トゲアリ」カテゴリーアーカイブ

広い床面積の人工巣「17段アンテシェルフ」

17段ある人工巣のアンテシェルフは、既に2018年7月24日から使っています。それから2年強経ち、クロオオアリのコロニーは順調に大きくなってきました。

2020年8月30日撮影

この人工巣は、アンテグラウンドⅠ型に繋いで使っています。
さて、この度、活動室専用のアンテグラウンドⅢの開発に伴い、この17段のアンテシェルフ(生活室専用)をご希望の方に提供を開始いたしました。

最下層段と16段棚を合せた総面積は、2229.3平方センチメートルで、約47.2cm平方の広さがあります。詳しくは、こちらをご覧下さい。

大型の活動室を製作 アンテグラウンドⅢ

これまで、アンテグラウンドと名付けてⅠ型Ⅱ型を製作していますが、この度、それらのおよそ0.56倍の底面積を持つアンテグラウンドⅢを作りました。Ⅰ型とⅡ型で働きアリの活動を観察してきましたが、活動のために巣から出てくる働きアリの密度は低く、そこまで広くなくても良いことが分かってきていました。
このアンテグラウンドⅢに、USB仕様の送風ファンと水槽と濾過器を組み込んで使用します。

このアンテグラウンドは活動室専用なので、シリコンチューブで人工巣を繋ぎます。

こんな感じです 写真の人工巣は「17段アンテシェルフ」

更に詳しくは、こちらをご覧下さい。

5月29日のクロオオアリとトゲアリの幼生虫

直近には5月14日にクロオオアリトゲアリの幼生虫の様子を記録していますが、引き続き記録しておきます。
ここでは、飼育している2種の中から、3コロニーを取り上げます。

クロオオアリ 2012年6月14日新女王アリを採集 B120614-86
クロオオアリ 2011年6月8日新女王アリを採集 B110608-07
トゲアリ 2014年9月6日寄生 T140906-40

5月14日と比べると、クロオオアリ、トゲアリ共に繭がとても多くなっています。

外勤が少ないトゲアリ

2018年9月に「たった1例のトゲアリの寄生」で始まったトゲアリのコロニーは、とても順調に増勢しています。

人工巣リトルアンテシェルフの様子 人工巣は小型の水槽の中に入れている トゲアリとクロオオアリが共存(寄生の結果)していることがわかる 5月29日撮影

寄生から1年8ヶ月ほど経過しているのですが、今もたくさんのクロオオアリの働きアリがいます。このクロオオアリの成虫の寿命を考えてみると、最短でも11ヶ月ほどになります。(トゲアリが寄生した2018年の9月22日の時点で、クロオオアリの巣にいた幼生虫は翌年の春から成長しますので、最も若い成虫では2019年の6月以後の生まれとなります)
これまでの観察から、オオアリの働きアリの寿命はとても長いことが分かっています。ですから、寄生時に既に成虫だったクロオオアリの働きアリも、まだ生きている可能性はとても高いと言えます。

それはさておき、このトゲアリは、巣になっているリトルアンテシェルフ(人工巣)をそのまま小型水槽に入れて飼育しているのですが、人工巣から水槽に出て来る働きアリは、圧倒的にクロオオアリが多いのです。

リトルアンテシェルフの外の様子 トゲアリは1匹だけ写っている 5月29日11時49分撮影

巣の中にはトゲアリもかなりの数いますので、トゲアリがクロオオアリに比べて少ないということはありません。トゲアリは、巣の中で子育てを主としているのでしょうか。

トゲアリの幼虫の様子

飼育環境下のトゲアリの幼虫はどうなっているのでしょうか。もう成長を始めているでしょうか。

S/N:T130921-09 18時57分撮影

この写真中央の幼虫は成長しているようです。しかし、写真の下方を見ると小さい幼虫も写っています。
2018年9月19日に寄生を始めたS/N:T180919の幼虫は、どれもまだ小さいようです。

S/N:T180919の幼虫 19時2分撮影

ところで、このコロニーには、まだ多くのクロオオアリがいます。このクロオオアリは、最も若い個体では、幼虫で越冬して2019年に成虫になったものです。クロオオアリも幼虫の世話をしています。

19時3分撮影

トゲアリが活動を始める

そろそろ飼育しているトゲアリが活動を始める頃です。もう何日も前から、巣があるケースからアンテグラウンドⅡ型へ幾匹かが出てきていましたが、それはまだ弱々しく歩いている感じでした。
今日はかなりの数のトゲアリがアンテグラウンドへ出てきていました。そこで、昆虫を与えることにしました。今年になって初めてのことです。昆虫は、自宅で飼っている西洋ミツバチの死骸が巣箱前に落ちているので、それを与えることにしました。

ミツバチに集まるトゲアリ S/N:T140906-40 3月20日14時26分撮影

ミツバチを5匹与えたのですが、いずれの箇所でもたくさんのトゲアリがミツバチを取り囲んでいました。
他のトゲアリのコロニーにもミツバチの死骸を与えてみました。こちらもミツバチを取り囲んでいました。

S/N:T130921-09 巣の中に運び込んでいる 18時55分撮影
S/N:T140906-03 19時00分撮影

クロオオアリにも、今年初めて昆虫を与えてみました。トゲアリと同様にミツバチの死骸です。

巣の中に運び込んでいた S/N:B15006 14時28分撮影
S/N:B120614-86 18時51分撮影

いずれもミツバチに反応はありますが、それは弱いようです。分解しようとはしていませんでした。

季節外れのトゲアリの新女王アリ その後

12月4日のブログで紹介したトゲアリの女王アリですが、12月10日、昼過ぎに見るとクロオオアリから攻撃を受けていました。気温は、12月1日にクロオオアリのコロニーの中にトゲアリの新女王アリを入れた時よりも少し低めでした。

クロオオアリの攻撃を受けるトゲアリの女王アリ 12月10日14時34分撮影
この日の14時半頃の気温は16〜17℃

トゲアリの女王アリは一方的に攻撃を受けているようで、寄生準備時に行う化粧行動は見られませんでした。この日の17時頃も、クロオオアリから一方的に攻撃を受けていました。

12月10日16時59分撮影

そして、その翌日12月11日、トゲアリの女王アリは死んでいました。

トゲアリの女王アリの死体は、簡易な飼育ケースのカット綿の上にありました 12月11日11時12分撮影

11月の30日に、偶然自宅の玄関前で採集した新女王アリと思われるトゲアリの女王アリは、観察した限りでは、一度も寄生準備の化粧行為をすることなく、クロオオアリの働きアリに殺されたことになります。

季節外れのトゲアリの新女王アリ

11月30日の14時過ぎ、玄関前のコンクリートの上を、少し大きめのアリが歩いていました。すぐにトゲアリの女王アリであることが分かりましたが、2つのことで驚きました。トゲアリの女王アリが自宅の庭にいたこと、そして季節外れであったことです。
自宅の庭でトゲアリの女王アリを見つけることなど、とても思いもつかなかったことです。トゲアリの巣が、自宅の極近くか、そう遠くないところにあることになります。意外な発見です。
また、これまでの観察では、トゲアリが結婚飛行を行うのは9月頃でしたので、どうして今になって、トゲアリの女王アリ、きっと新女王アリ、が地上を歩いているのか、考えもしていなかったことです。

採集直後の様子 11月30日14時15分撮影

簡易な飼育ケースにカット綿を入れ、カット綿を湿らせて、女王アリを入れました。

16時34分撮影

翌日の12月1日、このトゲアリの女王アリをクロオオアリに寄生させることにしました。宿主は、シリアルナンバーB110608-11で、2011年6月8日に新女王アリを採集したコロニーです。コロニーの創設から8年が経過していますが、コロニーの規模は小さい方です。小型の水槽で飼育しています。
15時50分ごろ、女王アリを入れていた簡易な飼育ケースの蓋を取って、そのままクロオオアリの水槽の中に入れました。

クロオオアリを飼育している水槽の中に、トゲアリの女王アリを飼育ケースごと入れたところ 15時51分撮影
この時の気温等の環境 気温が18℃であることが分かる

やがて、飼育ケースから出たのですが、

飼育ケースから出る女王アリ 15時58分撮影

そして、幾度かクロオオアリの働きアリと出会ったのですが、

16時1分撮影
16時2分撮影
16時7分撮影

トゲアリの女王アリは、クロオオアリから素早く逃げて行きました。
19時過ぎに見ると、水槽の上方の隅でじっとしていました。

19時2分撮影

その後本日4日に至も、寄生行動はなかったようです。女王アリは、簡易な飼育ケースの中に戻っていました。

12月4日15時45分撮影

このまま、観察を続けることにしています。

飼育中のトゲアリの様子 2019年9月末日

現在、トゲアリは4コロニーを飼育していますが、以下はそれらのコロニーの9月30日の様子です。(今年5月5日の4コロニーの様子はこちら 昨年10月11日の3コロニーの様子はこちら) 

① S/N:T140906-40
最も良く繁栄しているコロニーです。トゲアリの女王アリを2014年9月6日に採集し、同年9月11日にクロオオアリの巣S/N: NESTCON01024(2012年6月14日に新女王アリを採集)に侵入させました。したがって、寄生してから5年経過したことになります。
今年の1月29日から特製の飼育ケースに入れ、後日アンテグラウンドⅡ型に繋げています。小さな幼虫が多数見られます。

T140906-40の全体の様子 9月30日撮影 以下全て9月30日撮影
たくさんの小さな幼虫が見える
たくさんの小さな幼虫が見える

② S/N:T130921-09
順調に繁栄することが期待できるコロニーです。飼育器の水槽の中に置いたアクリルと木で作った巣箱の中にコロニーが入っています。この巣箱には、閉ざされた空間があり、側面の1つの穴からのみ出入りできるようになっています。トゲアリの女王アリを2013年9月21に採集し、同年10月3日にクロオオアリの巣S/N:NESTCON01030(2011年6月8日に新女王アリを採集)に侵入させました。したがって、寄生してから6年経過したことになります。小さな幼虫が多数見られる他、僅かに繭があります。

T130921-09の全体の様子
たくさんの小さな幼虫と僅かに繭が見える
たくさんの小さな幼虫と僅かに繭が見える

③S/N:T140906-03
4コロニーの中では、働きアリが一番少ないコロニーです。トゲアリの女王アリを2014年9月6に採集し、同年9月10日にムネアカオオアリの巣S/N:NESTCON01027(2012年6月14日に新女王アリを採集)に侵入させました。したがって、寄生してから5年経過したことになります。これは、①のT140906-40と同じ年数です。前回このコロニーについて触れた5月5日のブログ以降、コロニーの規模が拡大しました。小さな幼虫が多数見られる他、僅かに繭があります。

T140906-03の全体の様子
たくさんの小さな幼虫と僅かに繭が見える
たくさんの小さな幼虫と僅かに繭が見える

④S/N:T180919
昨年新たに寄生に成功したトゲアリの女王アリ(S/N:T180919)とクロオオアリのコロニー(S/N:B15002)です。(「たった1例のトゲアリの寄生を試みる」等を参照)
B15002の巣がある人工巣リトルアンテシェルフを小型水槽の中に入れています。
クロオオアリの働きアリに混じって、とてもたくさんのトゲアリの働きアリがいます。トゲアリの小さな幼虫が多数見られます。
(今年6月3日の様子はこちら 7月28日の様子はこちら

T180919の全体の様子
たくさんトゲアリの働きアリが見える
たくさんの小さな幼虫が見える

ところで、2013年以来、オオアリへのトゲアリの女王アリの寄生を数多く試みてきましたが、いずれも寄主のコロニーは小規模のものです。ところが、T180919が寄生したクロオオアリのコロニーのB15002は、比較的大きなコロニーでした。
このT180919の一例だけでは、断言はできないのですが、トゲアリが寄生するオオアリのコロニーが大きいと、より早くトゲアリの大きなコロニーができると言えそうです。

新たなトゲアリのコロニーを発見

滋賀県でのトゲアリの新女王アリの採集に失敗してしまいましたので、岡山の自宅近くで採集できればと思い、9月25日、3年前に見つけていたトゲアリの棲息場所へ出かけました。毎年この場所で、新女王アリの採集を試みていますが、これまでに一度も女王アリを見かけることはありませんでした。今日の観察の限りでは、働きアリの活動範囲が以前よりも狭く、クヌギと思われる樹にのみトゲアリがいました。辺りに新女王アリはいませんでした。

クヌギと思われる樹の幹を行き来するトゲアリ 9時13分撮影
中央がトゲアリがいる樹 地面近くが洞になっている 9時21分撮影

これまでも、この公園の隅々を探しても他の箇所でトゲアリを見つけることはできませんでしたが、念のために、新女王アリを探しにいつもの歩道を歩いていると、開けた幅広の道の脇でトゲアリの働きアリを見つけました。

道路脇のコンクリートの上を歩くトゲアリの働きアリ 9時25分撮影

近くの樹を見ると、幹を行き来するトゲアリがいました。

幹を行き来するトゲアリの働きアリ 9時26分撮影
外灯の支柱の左にある樹にトゲアリがいる

トゲアリの巣はどこにあるのでしょうか。蜜があれば、蜜を与えて帰路を追えば良いのですが……、そんなことを考えていると、何かを咥えて足早に歩いているトゲアリの働きアリがいました。

何かを咥えている 9時35分撮影

後を追ってみると、樹を登り始めました。

樹を登って行くトゲアリ 9時36分撮影

どうやら巣は、樹の上にあるようです。そこで、その樹の上方を見るのですが、そもそも根元の幹が細い樹ですから、樹の上方はますます細くなっていて、トゲアリが棲めそうな洞のようなところも見当たりません。後を目で追っていたトゲアリも樹の上の方で見失ってしまいました。結局、巣のありかは分かりませんでした。

樹の上方(中央の樹) 幹が細い

ところで、地上を歩いているトゲアリを見ていると、このトゲアリたちが何をしに地上を歩いていたのかが分かりました。近くで、何かの昆虫の死体にたくさんのトゲアリが集まっていました。

何かの昆虫の死体らしい 9時46分撮影

落ち葉を取り除くと、死体の他の部分も見えるようになりました。カマキリの死体でした。

カマキリの鎌が見える 9時49分撮影

先程、何かを咥えて樹に登って行ったトゲアリは、このカマキリを解体した身体の一部を咥えていたようです。確かに、咥えていた物は色が緑がかっていました。
何匹かが、同じように何かを咥えて樹へと向かっていましたので、その内の一匹から、その咥えていたものを取り上げました。自宅に帰ってから、実体顕微鏡で見ると、何かの昆虫の形ではなく、かみ砕かれた身体の一部でした。

働きアリが咥えていた物 実体顕微鏡で撮影

今回トゲアリを発見した箇所は、広い歩道に面していて、平地になっているため、比較的観察しやすい場所でした。ただ、コロニーの規模は、小さいように感じました。

この公園で、2つ目のトゲアリのコロニーを発見しましたので、それぞれにシリアル番号を付けることにしました。3年前に見つけたコロニーをTT20160513、今回新たに見つけたコロニーをTT20190925とします。「TT」の初めのTはトゲアリを、2番目のTは発見地を、数字は発見日を表します。