クロオオアリ」カテゴリーアーカイブ

移植35コロニーのその後

7月25日に移植した今年採集のオオアリのその後の様子です。

① W拡張蓋を使った移植
クロオオアリ10コロニーの内、9コロニーが地中へと引越をしていました。ムネアカオオアリでは、5コロニーの内2コロニーが地中へと引越していました。

引越した後
引越した後 穴を掘った土が運び出されている
働きアリが1匹W拡張蓋の中にいた 地中への引越は済ませている
まだ地中へ移動していないコロニー
B200603-137に小さなアリがいた 蓋を開けた僅かな時間に入って来たのかもしれない
B200603-147には、蜜を入れていた餌器にたくさんの小さなアリが入っていた
餌器に蜜を入れて取り替え、昆虫を与えて内検を終えた B200603-147
こちらはムネアカオオアリのコロニー 地中への穴が掘られたようだが、まだW拡張蓋の中にいた

② 素焼植木鉢皿を使った移植
クロオオアリ10コロニーの内、7コロニーが飼育していたクリーンカップからいなくなっていました。多くの場合、伏せた素焼植木鉢皿の下に移動したと思われます。

クリーンカップからいなくなっていた
こちらはまだクリーンカップに止まっている
引越しているが、働きアリが1匹だけ、クリアケースの中を歩いていた B200603-175
素焼植木鉢皿の出入り口 土を盛って作り変えている B200603-172
餌器に蜜と昆虫を入れて設置 この後元通りにクリアケースを被せて内検を終えた B200603-160

③ 小型移植器を使った移植
② 素焼植木鉢皿を使った移植
クロオオアリ10コロニーの内、7コロニーが地中へと引越をしていました。

地中への引越が完了している 掘り出した土が少し見えている
こちらは地中からたくさんの土が運び出されている B200603-040
地中を掘った土が見えるが、まだ移植器の中に止まっている
小さなアリが移植器の中に入り込んでいる B200603-077
地中への穴を出入りする働きアリ B200603-077
こちらにも別の種のアリが入り込んでいた B200603-058
移植器の下にも入り込んでいる B200603-058
クロオオアリは既に地中へ移動していた その後からこの小型のアリが侵入してきたのだろう 巣穴にもこのアリは入り込んでいる クロオオアリにとってとても危険な状態 B200603-058
小型移植器を取り出し、バーナーの炎を小型アリに当てた B200603-058
土で覆った このクロオオアリのコロニーは死滅したかも知れない

今年採集のオオアリを「移植」

今年の6月3日から4日かけて長野県で新女王アリを採集したコロニーを、7月25日、庭に「移植」しました。今回は3通りの方法で移植しています。

W拡張蓋を使って
コンクリート製の人工巣用に作成していたW拡張蓋を使いました。

このW拡張蓋を移植に使う利点としては、底面の下に空間があることです。径7mmの穴を潜れば、広々とした土の上に移動できます。その後、巣穴を掘ることになりますが、掘り出した土も、この空間に置くことができます。この空間は、外部からは閉ざされていますから、捕食者に襲われることなく巣作りができます。また、上部は開閉式の蓋になっていますので、餌を補給できます。
このW拡張蓋を使って、クロオオアリを10コロニー、ムネアカオオアリを5コロニー移植しました。

クロオオアリ:共通シリアルナンバーは(B200603) 以下は (-下3桁)
-021 -031 -032 -047 -060 -074 -090 -094 -137 -147
ムネアカオオアリ:共通シリアルナンバーは(R200603) 以下は (3桁
-012 -018 -029 -037 -042

移植する前のクロオオアリのコロニー
移植する前のムネアカオオアリのコロニー
設置したところ W拡張蓋の周囲に土を寄せ、容易に外部から捕食者等が侵入できないようにしている
遮光の目的でベニヤ板を被せた(※ ベニヤ板を被せても、2枚の蓋が合わさる両端の側面には僅かに隙間ができるので、そこからとても小さなアリは入って来そうだ。)

ムネアカオオアリの営巣場所としては、「木の腐朽部」が多いようです。腐朽部と言っても、木は生きていることが多く、大木の腐朽した空間に巣を作っています。ただ、地面に巣を作っているムネアカオオアリも幾度か見ていますので、ここでは地面に移植しました。

② 素焼植木鉢皿を使って
ダイソー(DAISO)で販売されている「素焼植木鉢皿」を使いました。直径7.5cmの浅い皿で、これを逆さにして地面に被せ、2箇所から皿の中に入れるように地面に隙間を作ります。飼育しているクリーンカップの蓋を取り、皿の横にそのまま置きます。それから透明のプラスチック製のクリアケースを逆さにして被せます。小箱の周りに土を僅かに盛り、外部から遮断します。取り敢ず、皿の中に引越すれば成功です。
この素焼植木鉢皿を使って、クロオオアリを10コロニー庭に移植しました。

クロオオアリ:共通シリアルナンバーは(B200603) 以下は (-下3桁)
-007 -160 -162 -165 -172 -175 -177 -181 -183 -185

設置したところ プラスチック製のクリアケースの周囲に土を寄せ、容易に外部から捕食者等が侵入できないようにしている
遮光の目的で、1×4材で作った覆いを被せた

この方法は、これまで飼育してきたクリーンカップのまま移植できるところが利点でしょう。営巣後も、給餌する時以外は小箱を外さなければ、外部からの捕食者の侵入をある程度防げるでしょう。

③ 小型移植器を使って
かなり以前に移植器として製作していた小型移植器を使いました。

小型移植器

内法が48mmの方形の中が、3室に区切られています。3室の仕切壁には径3mmの穴があり、各部屋間を行き来できます。また、外部への出入り口(外部から移植器の中に入りにくくするため、出入り口は、一段と高くしています)、餌器(地中への営巣後も、餌器に蜜などを与えることができます)、地中への出入り口があり、上部には観音開きになる2分割された蓋(移植器によっては蓋に僅かな隙間のあるため、極小型のアリなどの捕食者は、移植器の中に侵入できるかもしれません)があります。
女王アリと幼生虫は上図の設計図の黄色の部屋に入れます。
この小型移植器を使って、クロオオアリを10コロニー庭に移植しました。

クロオオアリ:共通シリアルナンバーは(B200603) 以下は (-下3桁)
-020 -023 -028 -036 -039 -040 -044 -049 -058 -077

移植前の様子
設置したところ 小型移植器の周囲に土を寄せ、容易に外部から捕食者等が侵入できないようにしている
遮光の目的でベニヤ板を被せた
移植後の全景 手前からW拡張蓋、素焼植木鉢皿、小型移植器を使った移植の様子

クロオオアリでも羽化が始まる

昨日は、6月3日に結婚飛行を行ったムネアカオオアリで羽化が始まりましたが、今日は、同じ日に結婚飛行を行ったクロオオアリで羽化が始まりました。羽化が始まったのは、手元で飼育している166匹の内、19コロニーです。(以下4例のみ記載)

B200603-050
B200603-073
B200603-086
B200603-093

3例のクロオオアリの同種間共存のその後

ほぼ1年前の7月10日のブログ「4例のクロオオアリの同種間共存のその後」の内、その時点で生存していた3例について、その後の様子を記録しておきます。

⑴ 2018年の3月28日のブログ「クロオオアリの同種間共存(2」で取り上げている「ケース2」について

2018年3月19日に合併
BH170521-023:
  2017年5月21日に岡山県蒜山高原で採集した女王アリのコロニー
  2018年3月19日女王アリ死亡 働きアリ15匹 幼生虫なし
BK170530-133:
  同年5月30日に長野県で採集した女王アリのコロニー
  2018年3月11日から女王アリのみ 働きアリ・幼生虫なし

コンクリート製人工巣(4室仕様)の上部のW拡張蓋の中の様子 2020年7月14日撮
出入り口付近の部屋の様子 2020年7月14日撮影
 底の部屋の様子 2020年7月14日撮影
女王アリがいる部屋の様子 2020年7月14日撮影

大変繁栄していることが分かります。

⑵ 2019年の4月19日のブログ「Q+WとWのみのクロオオアリのコロニーを合併」で取り上げている1つ目の例について

2019年4月16日に合併
BH170521-025:
  2017年5月21日に岡山県蒜山高原で採集した女王アリのコロニー
  働きアリ2匹女王アリ 幼生虫なし
BH170520-001:
  同年5月20日同地(採集箇所も同じ)で採集した女王アリのコロニー
  2018年女王アリ死亡 働きアリ多数 幼虫あり

コンクリート製人工巣(2室仕様)の出入り口付近の部屋の様子 2020年7月14日撮影
女王アリがいる部屋の様子 2020年7月14日撮影

こちらも繁栄していることが分かります。

⑶ 2019年の4月19日のブログ「Q+WとWのみのクロオオアリのコロニーを合併」で取り上げている2つ目の例について

2019年4月19日に合併
BH170520-015:
  2017年5月20日に岡山県蒜山高原で採集した女王アリのコロニー
  働きアリ2匹女王アリ 幼生虫なし
BH170520-009:
  同年同日同地(採集箇所も同じ)で採集した女王アリのコロニー
  2019年3月女王アリ死亡 働きアリ4匹 幼生虫なし

2019年8月17日に女王アリが死亡しました。その時、働きアリが2匹と幼虫が3匹いました。同年9月27日、最後の1匹の働きアリが死に、全滅しました。

今年採集したオオアリの子育ての今

6月29日のブログで、今年新女王アリを採集したオオアリで、蛹化が始まっていることに触れていますが、その後の様子を記録しておきます。
まだ羽化は始まっていませんが、新女王アリの多くの個体で繭の数が増えています。

クロオオアリ:B20200603-137 繭が9個あるように見える
クロオオアリ:B20200603-159 繭が8個あるように見える
クロオオアリ:B20200603-178 繭が7個あるように見える
クロオオアリ:B20200603-180 繭が8個あるように見える

以上の4例あたりが、今時点でのクロオオアリの標準的な子育ての状況です。幼生虫の構成で言えば、繭、大小の幼虫、そして卵です。これは、同じ日に結婚飛行を行ったムネアカオオアリも同様のようです。

ムネアカオオアリ:R20200603-088 繭が9個あるように見える
ムネアカオオアリ:R20200603-121 繭が6個あるように見える

ところが、子育てが進んでいない個体も極少数ですがあります。

クロオオアリ:B20200603-105 卵のみ3個見える
クロオオアリ:B20200603-119 こちらも卵のみ3個見える
クロオオアリ:B20200603-113 卵のみ8個見える

幼生虫が全くいない個体もあります。

クロオオアリ:B20200603-100 幼生虫が全くない

また、幼虫や繭はあっても、子育てが遅い個体もあります。

クロオオアリ:B20200603-110 繭がまだない
ムネアカオオアリ:R20200603-030 繭は1個しかない
ムネアカオオアリ:R20200603-136 幼生虫が少なく、まだ繭がない

ところで、幼生虫が全くないクロオオアリのB20200603-100は、左翅が少し残っています。また、繭がまだないクロオオアリのB20200603-110は、左中脚の先端部が欠けています。この異状や障害と子育ての可否とは、何か関係があるのでしょうか。
2015年11月13日のブログ〈「片翅を付けたままの」女王アリ のその後〉によると、ムネアカオオアリの例ですが、子育てに問題はないようです。また、障害については、今年採集のムネアカオオアリの例があります。

ムネアカオオアリ:R20200603-139 右中脚に欠損がある 繭は4個見られる

繭の数が少し少ないですが、子育ては正常のようです。

クロオオアリのコロニーに雄アリが生まれる

飼育下でオオアリのコロニーに雄アリが生まれたのは、2011年以来3度あります。最初は2015年の9月で、その年に新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーでのことでした。2度目は2016年の6月で、2012年に新女王アリを採集したかなり大きなムネアカオオアリのコロニーでのことでした。3度目は同じく2016年の6月で、その前年に新女王アリを採集したムネアカオオアリのコロニーでのことでした。これらはいずれも雄アリは1匹でした。
ところが、今日気づくと、雄アリが複数匹いるコロニーがありました。2012年の6月14日に新女王アリを採集したクロオオアリのB120614-03です。

B120614-03
この写真には雄アリが5匹写っている 7月10日17時17分撮影

雄アリの数を数えてみると、全部で14匹いました。有翅女王アリはいませんでした。
もしかすると女王アリが死んでしまっているのではないかと思い捜してみると、女王アリは生きていました。

17時19分撮影

このコロニーは、創巣から8年経って初めて、生殖虫のうち雄アリのみを生んだことになります。
他のオオアリのコロニーでも生殖虫が生まれていないか見ましたが、2011年に新女王アリを採集した最も早い時期のコロニーも含め、生殖虫はいませんでした。

新女王アリの原因不明の死

子育ての途中、突然女王アリが死んでしまうことはよくあります。創巣期の極初期に寄生虫のために死んでしまう場合は、その死の原因は明らかですが、その後に死ぬ場合は、原因がいつも分からないままです。
手元に残った今年採集のクロオオアリのコロニーは181で、その内寄生虫で死んだのが4コロニーです。そして、7コロニーが原因不明で死にました。7コロニーは次のようでした。

卵を産まずに死んだ個体:3個体
卵があった個体:4個体(それぞれ 3個 12個 2個 12個)

ムネアカオオアリの場合は、手元に残ったのは114コロニーで、その内寄生虫で死んだのが11コロニー、原因不明で死んだのは4コロニーです。4コロニーは次のようでした。

卵を産まずに死んだ個体:0個体
卵があった個体:3個体(それぞれ 1〜3個 9個 10個)
幼虫と卵があった個体:1個体(多数個 次の写真2枚を参照)

蛹化が始まる

6月21日のブログで、6月3日に採集したオオアリの卵が孵化し始めたことについて書きましたが、6月29日には、まだ全体としては少数ですが、蛹化が始まっているコロニーもありました。

クロオオアリの場合

繭が4個見える B200603-061
繭が3個見える B200603-086
繭が2個見える B200603-132
繭が1個見える B200603-174

ムネアカオオアリの場合

繭が3個見える R200603-037
繭が4個見える R200603-071
繭が2個見える R200603-134

孵化から僅かに1週間程度で蛹化したことになります。孵化までに半月程度かかったことを考えると、幼虫の期間はその半分程度で、とても短いことになります。
この期間の短さには、十分意味があるように思えます。卵が孵化するまでの期間は、大きなコロニーになってからも、変わりようがないように思えますが、幼虫の期間なら、母体からの栄養の与え方次第では短縮できるのでしょう。その代償としては、最初に生まれてくる働きアリたちの体は、かなり小さくなりますが、子育てや餌取りなどで、それらより大きめの働きアリと同じように働けます。蛹化から羽化までの時間も短縮できないとすれば、幼虫の期間を短縮することによって、より早く働きアリがいるコロニーになることができ、外から栄養を得ることができない女王アリ単独の期間を短くすることができるのでしょう。

僅かな数の羽アリが巣口から出て来た

今年は、庭のクロオオアリの結婚飛行は見ていません。推察ですが、私が長野県へ採集に行っていた6月3日に、長野県と同様に結婚飛行が行われたのではないかと考えています。6月5日以降も、できるだけA巣の様子を見ていましたが、昨日、巣口付近に羽アリが出ているのを見ました。

クロオオアリの女王アリ 6月22日16時34分撮影
雄アリ 6月22日16時37分撮影

ですが、数は少なく、同時に見た匹数としては女王アリが3匹、雄アリは2匹まででした。巣口から60〜70cm離れたところまで歩いて行った女王アリもいましたが、また巣口へ戻って行きました。
やはり、既に本格的な結婚飛行は終わっているのでしょう。ただ、以前、2018年に、5月16日と6月8日の2度に渡って同じ巣の結婚飛行を観察していますので、昨日は結婚飛行にまでは至らなかったとは言え、これから先、結婚飛行が行われる可能性がないとは言い切れません。
そして、今日ですが、今日は巣口に羽アリは現れませんでした。昨日と今日の気象を比べて見ると、
昨日(6月22日)
最高気温 31.6℃ (16:10)
最低気温 17.8℃ (05:20)
6時〜17時までの日照時間 657分
降水量 0.0mm
最大風速 5.1 m/s (17:40)
今日(6月23日)
最高気温 33.1℃ (16:34)
最低気温 19.6℃ (05:33)
6時〜17時までの日照時間 660分
降水量 0.0mm
最大風速 5.3m/s (14:50)
となっています。ほとんど違いはありません。気象がほぼ同じでも、羽アリが巣口から出て来る日もあれば、出て来ない日もあることが分かります。