ムネアカオオアリ」カテゴリーアーカイブ

+R5コロニーを移植(植木鉢皿)

7月25日に引き続き、29日、ムネアカオオアリ(R)の5つのコロニーを庭に移植しました。
前回の素焼植木鉢皿を使った移植の方法ですが、植木鉢皿の周りに土を盛り、より外部から捕食者が侵入しにくくしました。

ムネアカオオアリ:共通シリアルナンバーは(R200603) 以下は (3桁
-046 -047 -051 -053 -055
移植時の働きアリの数:順に 8匹 7匹 7匹 9匹 9匹

植木鉢皿の周りを土で覆った
設置したところ プラスチック製のクリアケースの周囲に土を寄せ、容易に外部から捕食者等が侵入できないようにしている
遮光の目的で、ベニヤ板を被せた 9時3分撮影
移植後の全景

夕刻内見すると、B200603-046以外は、クリーンカップから移動していました。植木鉢皿の中に入ったかどうかは確認していません。

移動済 17時10分撮影
B200603-046のみは、まだクリーンカップに止まっていた 17時8分撮影

移植35コロニーのその後

7月25日に移植した今年採集のオオアリのその後の様子です。

① W拡張蓋を使った移植
クロオオアリ10コロニーの内、9コロニーが地中へと引越をしていました。ムネアカオオアリでは、5コロニーの内2コロニーが地中へと引越していました。

引越した後
引越した後 穴を掘った土が運び出されている
働きアリが1匹W拡張蓋の中にいた 地中への引越は済ませている
まだ地中へ移動していないコロニー
B200603-137に小さなアリがいた 蓋を開けた僅かな時間に入って来たのかもしれない
B200603-147には、蜜を入れていた餌器にたくさんの小さなアリが入っていた
餌器に蜜を入れて取り替え、昆虫を与えて内検を終えた B200603-147
こちらはムネアカオオアリのコロニー 地中への穴が掘られたようだが、まだW拡張蓋の中にいた

② 素焼植木鉢皿を使った移植
クロオオアリ10コロニーの内、7コロニーが飼育していたクリーンカップからいなくなっていました。多くの場合、伏せた素焼植木鉢皿の下に移動したと思われます。

クリーンカップからいなくなっていた
こちらはまだクリーンカップに止まっている
引越しているが、働きアリが1匹だけ、クリアケースの中を歩いていた B200603-175
素焼植木鉢皿の出入り口 土を盛って作り変えている B200603-172
餌器に蜜と昆虫を入れて設置 この後元通りにクリアケースを被せて内検を終えた B200603-160

③ 小型移植器を使った移植
② 素焼植木鉢皿を使った移植
クロオオアリ10コロニーの内、7コロニーが地中へと引越をしていました。

地中への引越が完了している 掘り出した土が少し見えている
こちらは地中からたくさんの土が運び出されている B200603-040
地中を掘った土が見えるが、まだ移植器の中に止まっている
小さなアリが移植器の中に入り込んでいる B200603-077
地中への穴を出入りする働きアリ B200603-077
こちらにも別の種のアリが入り込んでいた B200603-058
移植器の下にも入り込んでいる B200603-058
クロオオアリは既に地中へ移動していた その後からこの小型のアリが侵入してきたのだろう 巣穴にもこのアリは入り込んでいる クロオオアリにとってとても危険な状態 B200603-058
小型移植器を取り出し、バーナーの炎を小型アリに当てた B200603-058
土で覆った このクロオオアリのコロニーは死滅したかも知れない

今年採集のオオアリを「移植」

今年の6月3日から4日かけて長野県で新女王アリを採集したコロニーを、7月25日、庭に「移植」しました。今回は3通りの方法で移植しています。

W拡張蓋を使って
コンクリート製の人工巣用に作成していたW拡張蓋を使いました。

このW拡張蓋を移植に使う利点としては、底面の下に空間があることです。径7mmの穴を潜れば、広々とした土の上に移動できます。その後、巣穴を掘ることになりますが、掘り出した土も、この空間に置くことができます。この空間は、外部からは閉ざされていますから、捕食者に襲われることなく巣作りができます。また、上部は開閉式の蓋になっていますので、餌を補給できます。
このW拡張蓋を使って、クロオオアリを10コロニー、ムネアカオオアリを5コロニー移植しました。

クロオオアリ:共通シリアルナンバーは(B200603) 以下は (-下3桁)
-021 -031 -032 -047 -060 -074 -090 -094 -137 -147
ムネアカオオアリ:共通シリアルナンバーは(R200603) 以下は (3桁
-012 -018 -029 -037 -042

移植する前のクロオオアリのコロニー
移植する前のムネアカオオアリのコロニー
設置したところ W拡張蓋の周囲に土を寄せ、容易に外部から捕食者等が侵入できないようにしている
遮光の目的でベニヤ板を被せた(※ ベニヤ板を被せても、2枚の蓋が合わさる両端の側面には僅かに隙間ができるので、そこからとても小さなアリは入って来そうだ。)

ムネアカオオアリの営巣場所としては、「木の腐朽部」が多いようです。腐朽部と言っても、木は生きていることが多く、大木の腐朽した空間に巣を作っています。ただ、地面に巣を作っているムネアカオオアリも幾度か見ていますので、ここでは地面に移植しました。

② 素焼植木鉢皿を使って
ダイソー(DAISO)で販売されている「素焼植木鉢皿」を使いました。直径7.5cmの浅い皿で、これを逆さにして地面に被せ、2箇所から皿の中に入れるように地面に隙間を作ります。飼育しているクリーンカップの蓋を取り、皿の横にそのまま置きます。それから透明のプラスチック製のクリアケースを逆さにして被せます。小箱の周りに土を僅かに盛り、外部から遮断します。取り敢ず、皿の中に引越すれば成功です。
この素焼植木鉢皿を使って、クロオオアリを10コロニー庭に移植しました。

クロオオアリ:共通シリアルナンバーは(B200603) 以下は (-下3桁)
-007 -160 -162 -165 -172 -175 -177 -181 -183 -185

設置したところ プラスチック製のクリアケースの周囲に土を寄せ、容易に外部から捕食者等が侵入できないようにしている
遮光の目的で、1×4材で作った覆いを被せた

この方法は、これまで飼育してきたクリーンカップのまま移植できるところが利点でしょう。営巣後も、給餌する時以外は小箱を外さなければ、外部からの捕食者の侵入をある程度防げるでしょう。

③ 小型移植器を使って
かなり以前に移植器として製作していた小型移植器を使いました。

小型移植器

内法が48mmの方形の中が、3室に区切られています。3室の仕切壁には径3mmの穴があり、各部屋間を行き来できます。また、外部への出入り口(外部から移植器の中に入りにくくするため、出入り口は、一段と高くしています)、餌器(地中への営巣後も、餌器に蜜などを与えることができます)、地中への出入り口があり、上部には観音開きになる2分割された蓋(移植器によっては蓋に僅かな隙間のあるため、極小型のアリなどの捕食者は、移植器の中に侵入できるかもしれません)があります。
女王アリと幼生虫は上図の設計図の黄色の部屋に入れます。
この小型移植器を使って、クロオオアリを10コロニー庭に移植しました。

クロオオアリ:共通シリアルナンバーは(B200603) 以下は (-下3桁)
-020 -023 -028 -036 -039 -040 -044 -049 -058 -077

移植前の様子
設置したところ 小型移植器の周囲に土を寄せ、容易に外部から捕食者等が侵入できないようにしている
遮光の目的でベニヤ板を被せた
移植後の全景 手前からW拡張蓋、素焼植木鉢皿、小型移植器を使った移植の様子

今年採集したオオアリの子育ての今

6月29日のブログで、今年新女王アリを採集したオオアリで、蛹化が始まっていることに触れていますが、その後の様子を記録しておきます。
まだ羽化は始まっていませんが、新女王アリの多くの個体で繭の数が増えています。

クロオオアリ:B20200603-137 繭が9個あるように見える
クロオオアリ:B20200603-159 繭が8個あるように見える
クロオオアリ:B20200603-178 繭が7個あるように見える
クロオオアリ:B20200603-180 繭が8個あるように見える

以上の4例あたりが、今時点でのクロオオアリの標準的な子育ての状況です。幼生虫の構成で言えば、繭、大小の幼虫、そして卵です。これは、同じ日に結婚飛行を行ったムネアカオオアリも同様のようです。

ムネアカオオアリ:R20200603-088 繭が9個あるように見える
ムネアカオオアリ:R20200603-121 繭が6個あるように見える

ところが、子育てが進んでいない個体も極少数ですがあります。

クロオオアリ:B20200603-105 卵のみ3個見える
クロオオアリ:B20200603-119 こちらも卵のみ3個見える
クロオオアリ:B20200603-113 卵のみ8個見える

幼生虫が全くいない個体もあります。

クロオオアリ:B20200603-100 幼生虫が全くない

また、幼虫や繭はあっても、子育てが遅い個体もあります。

クロオオアリ:B20200603-110 繭がまだない
ムネアカオオアリ:R20200603-030 繭は1個しかない
ムネアカオオアリ:R20200603-136 幼生虫が少なく、まだ繭がない

ところで、幼生虫が全くないクロオオアリのB20200603-100は、左翅が少し残っています。また、繭がまだないクロオオアリのB20200603-110は、左中脚の先端部が欠けています。この異状や障害と子育ての可否とは、何か関係があるのでしょうか。
2015年11月13日のブログ〈「片翅を付けたままの」女王アリ のその後〉によると、ムネアカオオアリの例ですが、子育てに問題はないようです。また、障害については、今年採集のムネアカオオアリの例があります。

ムネアカオオアリ:R20200603-139 右中脚に欠損がある 繭は4個見られる

繭の数が少し少ないですが、子育ては正常のようです。

新女王アリの原因不明の死

子育ての途中、突然女王アリが死んでしまうことはよくあります。創巣期の極初期に寄生虫のために死んでしまう場合は、その死の原因は明らかですが、その後に死ぬ場合は、原因がいつも分からないままです。
手元に残った今年採集のクロオオアリのコロニーは181で、その内寄生虫で死んだのが4コロニーです。そして、7コロニーが原因不明で死にました。7コロニーは次のようでした。

卵を産まずに死んだ個体:3個体
卵があった個体:4個体(それぞれ 3個 12個 2個 12個)

ムネアカオオアリの場合は、手元に残ったのは114コロニーで、その内寄生虫で死んだのが11コロニー、原因不明で死んだのは4コロニーです。4コロニーは次のようでした。

卵を産まずに死んだ個体:0個体
卵があった個体:3個体(それぞれ 1〜3個 9個 10個)
幼虫と卵があった個体:1個体(多数個 次の写真2枚を参照)

蛹化が始まる

6月21日のブログで、6月3日に採集したオオアリの卵が孵化し始めたことについて書きましたが、6月29日には、まだ全体としては少数ですが、蛹化が始まっているコロニーもありました。

クロオオアリの場合

繭が4個見える B200603-061
繭が3個見える B200603-086
繭が2個見える B200603-132
繭が1個見える B200603-174

ムネアカオオアリの場合

繭が3個見える R200603-037
繭が4個見える R200603-071
繭が2個見える R200603-134

孵化から僅かに1週間程度で蛹化したことになります。孵化までに半月程度かかったことを考えると、幼虫の期間はその半分程度で、とても短いことになります。
この期間の短さには、十分意味があるように思えます。卵が孵化するまでの期間は、大きなコロニーになってからも、変わりようがないように思えますが、幼虫の期間なら、母体からの栄養の与え方次第では短縮できるのでしょう。その代償としては、最初に生まれてくる働きアリたちの体は、かなり小さくなりますが、子育てや餌取りなどで、それらより大きめの働きアリと同じように働けます。蛹化から羽化までの時間も短縮できないとすれば、幼虫の期間を短縮することによって、より早く働きアリがいるコロニーになることができ、外から栄養を得ることができない女王アリ単独の期間を短くすることができるのでしょう。

孵化開始

6月3日に結婚飛行を終えたオオアリの女王アリ(長野県採集)の卵が孵化し始めました。今日が6月21日で、早くて6月5日辺りから産卵を始めていましたから、およそ半月で卵から孵化したことになります。

クロオオアリの場合

S/N: B200603-076 写真からは少なくとも1匹孵化しているのが分かる
S/N: B200603-077 写真からは少なくとも3匹孵化しているのが分かる
S/N: B200603-146 まだ孵化していないようだ
S/N: B200603-168 まだ孵化していないようだ

ムネアカオオアリの場合

S/N: R200603-023 写真からは少なくとも3匹孵化しているのが分かる
S/N:R200603-085 まだ孵化していないようだ

孵化に限らず、成長の早さには気温が影響しているようです。新女王アリを置いている部屋は、2階の西日の当たる部屋ですので、午後からはかなり暑くなるのですが、室温が高くなりそうな時は、エアコンを28℃にして使うことがあります。
室温は計画的に管理していませんので、孵化までの日数については、この度は半月程度になりましたが、この日数は一般化できるものではありません。

新女王アリの異常な腹部の膨らみ

先のブログで、クロオオアリの新女王アリを185匹、ムネアカオオアリの新女王アリを139匹、合せて324匹採集したことについて書きましたが、その中でただ1匹だけですが、6月18日、腹部が異常に膨れている女王アリがいるのに気づきました。いつから腹部が膨れていたかは定かではありませんが、採集時ではなく、つい最近でもなさそうでした。
その女王アリはムネアカオオアリで、シリアル番号はR200603-085です。

R200603-085の腹部が異常に膨れている 6月18日撮影
通常の腹部の膨らみ

ところが6月21日に見ると、腹部の膨らみはなくなっていました。

R200603-085 腹部の膨らみがなくなっている 6月21日撮影

どうして腹部が異常に膨らんだのか分からないのですが、腹部の内容物としては、水であったとしか考えられません。

女王アリがいるコロニーといないコロニーの合併 ムネアカオオアリ

これまでも、ムネアカオオアリの同種間共存について、いくつかの実験をしてきました。今回は、これまでにはない条件で合併をしました。
合併したのは、次の2つのコロニーです。

RT19003: 昨年の5月23日に新女王アリを採集したコロニーです。今年の2月13日には、働きアリが13匹でしたが、5月26日には12匹になっていました。卵があり、女王アリがいます。

RT19007: 上記と同じ日に、同じ場所で新女王アリを採集したコロニーです。昨年の9月6日に働きアリが10匹いて、5月26日も10匹のままでした。女王アリは今年の5月2日には死にかけていて、5月10日には死んでいました。幼生虫はいません。

簡易な飼育器に入っている RT19003
RT19007 女王アリは死んでいる
RT19003には卵がある

蓋付きの小型水槽を用意し、この水槽の中に、距離を離して2つのコロニーを入れました。

左がRT19003 右がRT19007 飼育器の蓋は取ってある 5月26日14時6分撮影

やがて、RT19003に侵入してきたRT19007の働きアリが捕らえられていました。

触角の片方に咬みつかれている この後放された 14時11分撮影

しばらくして、両コロニーの飼育容器をくっつけました。

14時25分撮影

翌日の朝、1匹の働きアリが解体されていました。

腹部が切り離されている 5月27日7時15分撮影

更に、9時半頃、もう一匹が取り押さえられていました。

9時36分撮影

それからしばらくして、2つのコロニーを飼育器から出して直に小型水槽に移し入れ、死んでいるRT19007の女王アリを取り出しました。

小型水槽から飼育器を取り出して、ムネアカオオアリを水槽の中に直に入れている 右は取り出した死んでいるRT19007の女王アリ 9時45分撮影

この日の両コロニーの夕刻の様子を見ると、それぞれが別の場所に寄り添っていました。

働きアリは12匹のままだ 16時49分撮影
右端近くにも1匹いて、全部で8匹 16時52分撮影

この日の夕刻までに、RT19007の方が2匹殺されたことが分かります。RT19007の方が劣勢で、水槽の蓋直下に追いやられていました。
次は28日の様子です。

RT19003は12匹とも生きている 5月28日17時13分撮影
殺されたムネアカオオアリ 3匹のようだ 5月28日17時13分撮影
RT19007は7匹になっていた やはり水槽の蓋直下に追いやられていた 5月28日17時14分撮影

次は5月29日の様子です。

更に1匹が攻撃されていた 5月29日11時34分撮影
RT19007は6匹になっている 5月29日11時25分撮影

それから10日程経ち、6月9日、RT19007は全て殺されていました。

死骸は一箇所に集められていた
RT19003 働きアリは12匹のまま 6月9日9時42分撮影

ただ、RT19003も無傷ではありませんでした。

触角に咬みつかれたままになっている 6月1日撮影
中央上下2匹の触角が途中から無くなっている 6月9日撮影

2つのコロニーは共存することはできませんでした。それどころか、女王アリを失っていたコロニーの方は、1匹残らず殺されてしまいました。
今回は、互いに距離を置ける広めの空間での合併でした。RT19007は全滅しましたが、何日もに渡って、1匹ずつ殺されていきました。そこで、もし、狭い空間に2つのコロニーを入れたとしたら、どうなったでしょうか。別の環境になり、別の結果になったかも知れません。

今年もオオアリに寄生虫

これまでこのブログでは3回に渡ってオオアリの寄生虫について触れていますが、今年の6月3日と4日に採集したオオアリの新女王アリにも寄生虫がいました。クロオオアリの新女王アリで4匹に、ムネアカオオアリの新女王アリで11匹に寄生していました。
クロオオアリの場合は、採集した5個所の中でM&M広場で採集したクロオオアリのみに寄生していました。ムネアカオオアリの場合は、採集した4個所の中でS周辺以外で採集したムネアカオオアリに寄生していました。
寄生率は、クロオオアリで 4匹/185匹 で2%強、ムネアカオオアリで 11匹/139匹 で8%弱になります。

クロオオアリに寄生 クリックで動画再生 6月8日撮影
ムネアカオオアリに寄生 クリックで動画再生 6月8日撮影

今年こそはこの寄生虫の正体を明かしたいと思います。これまでは蛹までは観察できていますが、成虫になるまでは観察できていません。容器内が乾燥したことが原因なのかも知れません。
そこで、今回は、自然界に近い環境にするため、百均の飼育器に真砂土を入れて湿らせ、それぞれの種から2個体ずつを移し入れました。

6月8日11時23分撮影