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アリ日記 2011/07/27 庭で飼うために

私の家の庭でクロオオアリを飼いたい─以前からそんな思いがありました。

去年、クロオオアリの女王アリを庭で飼おうと、2匹の女王アリを庭に放ちました。方法としては、地面にシャーレを被せ、その中に女王アリを入れました。やがて、女王アリは、シャーレの中からは出られないため、その中で穴を掘り始め、地中にもぐりました。その後でシャーレを取り払いました。

結果としては、この方法ではうまくいきませんでした。ダンゴムシなど地面を這ういろんな生き物が巣の中に入りこんだり、また雨などで巣穴が維持できないなどのトラブルがあったと考えられ、2匹ともに姿を消してしまいました。

今年は、昨年の失敗に鑑み、また、個体数も増やして、昨日、新しい方法で庭での飼育に挑戦することにしました。

下の写真のように、レンガを組んでその中に真砂土 (まさど・まさつち)を押しつけながら入れ、そこに女王アリとその家族を入れました(子育てが比較的遅く、働きアリが1匹の家族)。PET樹脂製の板(10cm角)で巣穴に蓋をし、更にタイル(10cm角)を載せています。同じものを10個作りました。

これは、タイルの部分を拡大した様子です。

 

タイルを取るとこのようになっています。

 

女王アリとその家族がいる巣穴は、私が土を指で押さえるようにして 作りました。その巣穴には外につながる通路(写真では下方)も作りました。このような10個の巣のうち、3個からは、この通路から働きアリが1匹出てきて、辺りを這い回っていました。いずれも、また、巣穴に戻っていきました。その中の1匹は、砂粒をくわえて巣穴に入っていきました。

次の日、つまり今日27日、そっとタイルを除けてみると、巣穴は下の写真のようになっていました。

左側に外につながる通路があるのですが、巣穴の内側からふさがれていました。また、巣穴と透明蓋のわずかな隙間が小粒の土で埋められていました。
働きアリが1匹位の時期では、自然界では穴はふさがっているのでしょう。ということは、この段階では、餌を外に探しに出かけないのでしょう。働きアリは、暫くは女王アリから口移しで食料をもらうだけで生きていけるのでしょう。 また、通路を塞いでおくことで、外敵から巣を守ることにもなるのでしょう。

アリ日記 2011/07/22 子育て成功率72%

子育て成功率という特定の規定や概念はないのですが、ここでは、現時点において、繭のある家族の割合を取り敢えずそのように呼ぶことにします。生存している個体数が110匹で、繭が1個でもある個体数が79匹です。したがって79÷110×100で、約72%になりました。逆に言えば28%もの割合で、順調に子育てができていないということになります。自然界に比べて、現時点での生存率は比べ物にならないほど高いと考えられますが、生存率に関係なく、この子育て成功率は一定だと考えます。28%の女王アリが、今後、遅れた子育てをどこまで成功しうるのかは、これからの観察となります。

なお、現時点での女王アリの生存率は89%です。

アリ日記 2011/07/22 働きアリのいる家族2割に

働きアリがいる家族が全体の2割になりました。一番働きアリが多い家族では3匹です。

下の写真はムネアカオオアリの家族です。クロオオアリと同じ速さで育ちました。働きアリは、女王アリとはちがって、胸の色がはっきり赤味がかって見えます。

7月18日に子どもがいなくなった女王アリを紹介しましたが、卵を1個産んでいました。これから育てるのでしょうか。

アリ日記 2011/07/20 ついに働きアリが生まれる

ついに働きアリが生まれました。

飼育個体全体のわずかに2.5%の家族で1匹の働きアリが生まれました。

こちらは成虫になる直前の繭のようです。一番下の繭と女王アリのすぐ下の繭がそうです。

何をしているのでしょう。働きアリが繭の殻を口にくわえていました。

アリ日記 2011/07/18 子どもがいなくなった女王アリ

ほとんどが繭になりました。

下の写真は人工巣で飼っている場合ですが、新たに卵を産んだようです。まもなく成虫の働きアリが生まれてくるからでしょうか。

下の写真には、繭がすけて、黒くなりかけているさなぎが写っています(頭部の下辺り)。

以上は子育てが順調に進んでいる例ですが、以前には幼虫などがいたはずなのに、全くいなくなったのもあります。

女王アリが幼虫などを食べてしまったとしか考えられません。子どもが育たなければ、自分では餌は取れないのですから、やがてこの女王アリは死んでしまうのでしょうか。それとも、もう一度産卵をして、子育てを始めるのでしょうか。

2年目のクロオオアリの家族は、益々大きくなってきています。たくさんの卵が見られます。

アリ日記 2011/07/11 いくつかの疑問

下の写真は、2年目のクロオオアリの人工巣を掃除して取り出したゴミです。

1ヶ月ほどは掃除をしなかったのですが、確認できた働きアリの死骸は3匹でした。かなり家族は多くなってきましたので、3匹は少ないと考えてよいと思います。寿命がきて死んだのでしょうか。

人工巣のコンクリートの表面を掃除するには、蓋を開けなくてはならないのですが、近ごろは常時10匹ぐらいの働きアリが、巣穴から出て飼育ケースの中を歩き回っています。ですから、蓋を開ければ、ケースから外に出てしまいます。
そこで、下の写真のような工夫をしました。

外側の透明なケースには水が入っていて、逃げ出せないようにしています。ただ正確に言えば、水の上を表面張力の力を利用して沈まずに渡るものもいます。ですから、決して安心はできないのですが、 よく見ておけば、大丈夫なのです。

さて、今年家族を作り始めた方のクロオオアリですが、さなぎがむき出しになっているのを見つけました。

無事羽化するのでしょうか。少し心配です。
ところで、そのすぐ横を見ると、

黄色っぽい破片のようなものがありました。繭の破片のようにも見えるのですが? 先程の繭のないさなぎの繭の破片なのでしょうか。

そのようには考えたものの、別のクロオオアリの巣を見ると、繭のままなのに、同じようにそのすぐ横に黄色っぽい破片がありました。

どうやら、通常でも繭の破片が出るようなのです。
以前に、幼虫がどのようにして繭を作るのか不思議なことがあると書きましたが、このこともその不思議を解く手がかりになりそうです。

アリ日記 2011/07/07 2年目の家族の様子

2年目のアリの家族の様子です。
繭がたくさん見られます。

赤とんぼ大のトンボを解体した跡。トンボの胸部がすっかり空洞になっています。その向こうの桃色のケースの中には常時水を入れています。ちょうど、水を飲んでいる働きアリがいます。

卵もたくさんあります。

女王アリが、口移しで働きアリから餌をもらっています。

アリ日記 2011/07/05 ムネアカオオアリの巣

以下は、石川県白山市白峰の市ノ瀬で見かけたアリの記録です。

クロヤマアリが幼虫を運んでいました。

この幼虫は確かにアリの幼虫です。おそらくクロヤマアリの幼虫だと思うのですが、なぜ地上をかなりの距離運んでいるのかがわかりません。しかも、この1匹のみでした。暫くは後をつけたのですが、茂みの中に入ってしまったので、どこへ運んでいったのかはわかりませんでした。
後で写真を見て気づいたのですが、大あごが鎌の形をしています。一見クロヤマアリのように見えたのですが、実はサムライアリだったのでしょう。

少し離れたコンクリートの敷物の上で、ムネアカオオアリを幾匹も見つけました。

歩く後を追えば巣が見つかりそうです。ということで、まわりを見渡していると側溝のコンクリートの隙間へ入っていくのを見つけました。

一般にムネアカオオアリは、朽ち木の中に巣を作ると言われていますが、この場合は例外なのでしょうか。近くに朽ち木はありませんでした。