月別アーカイブ: 2014年6月

トゲアリの繭

6月19日のブログで「トゲアリの様子」を取り上げましたが、その時は、トゲアリの繭をクロオオアリやムネアカオオアリの繭から識別できませんでした。ところが、6月25日、SIMSMA01043でトゲアリらしき蛹を見つけました。

繭のない蛹 棘らしきものが見える

繭のない蛹 棘らしいものが見える

この蛹には繭がありませんが、そのため、トゲアリの蛹であることがはっきりしました。棘らしいものが見えますし、腹部が丸く、明らかにトゲアリの蛹のようです。その右横に繭がありますが、この繭はクロオオアリやムネアカオオアリの繭よりも色が濃く、また少し太めで丸く見えます。これはトゲアリの繭なのでしょう。

次の写真は、6月30日の他の巣の様子です。

NESTCON01001

NESTCON01001

NESTCON01030

NESTCON01030

こうして改めて見ると、これらの繭は色が濃く太めですので、やはりトゲアリの繭と思ってよいでしょう。

単独女王アリと異種間の養子縁組?

現時点で、今年採集した女王アリを除き、働きアリがいない女王アリは、8匹です。

SIMSMA01011 2011年6月8日採集 ムネアカオオアリ 卵1個

SIMSMA01011 2011年6月8日採集 ムネアカオオアリ 卵1個

SIMSMA01015 2013年6月5日採集 クロオオアリ 卵2個 羽化を介助できない

SIMSMA01015 2013年6月5日採集 クロオオアリ 卵2個 羽化を介助できない

ANTCUB03016 2013年6月15日採集 ムネアカオオアリ 卵10個 昨年は一度も産卵しなかった

ANTCUB03016 2013年6月15日採集 ムネアカオオアリ 卵10個 昨年は一度も産卵しなかった

ANTCUB03014 2013年6月16日採集 クロオオアリ 幼虫8匹

ANTCUB03014 2013年6月16日採集 クロオオアリ 幼虫8匹

ANTECB0211 2013年6月17日採集 クロオオアリ 卵30個以上

ANTECB0211 2013年6月17日採集 クロオオアリ 卵30個以上

2012年6月14日採集のクロオオアリのSIMSMA01039は、卵も幼虫も蛹もありません。

ところであと2匹ですが、異種間で養子縁組をすることにしました。

NESTCON01017 2011年6月8日採集 ムネアカオオアリ 卵14個 + 今年採集のクロオオアリの卵5個・幼虫14匹・繭1(S/N:B120より)

NESTCON01017 2011年6月8日採集 ムネアカオオアリ 卵14個 + 今年採集のクロオオアリの卵5個・幼虫14匹・繭1(S/N:B120より)

SIMSMA01081 2011年6月8日採集 クロオオアリ 卵・幼虫・繭全て無し + 今年採集のムネアカオオアリの卵9個・幼虫24匹・繭無(S/N:R021

SIMSMA01081 2011年6月8日採集 クロオオアリ 卵・幼虫・繭全て無し + 今年採集のムネアカオオアリの卵9個・幼虫24匹・繭無(S/N:R021)

今年採集のS/N:B120とR021は、今日女王アリが死んでいるのに気付いた家族で、幼虫は死んでいませんでした。おそらく、卵も蛹も生きていると思われます。

NESTCON01017には、次のような記録があります。

2012年8月27日 働きアリ6匹 卵等記録なし
2012年10月24日 働きアリ4匹 卵等記録なし
2013年3月21日 働きアリ3匹 卵等記録なし
2013年10月7日 働きアリ3匹 卵等記録なし
2014年4月15日 働きアリ2匹 卵8個
2014年5月15日 女王アリのみとなる(働きアリ2匹と卵死亡)

このことから、NESTCON01017は、産卵ができ、子育ての経験があることがわかります。

SIMSMA01081には、次のような記録があります。

2012年8月27日 働きアリ2匹 卵等記録なし
2012年10月24日 働きアリ3匹 卵等記録なし
2013年3月21日 働きアリ3匹 卵等記録なし
2013年7月30日 働きアリ1匹 卵等記録なし
2013年8月15日 働きアリ0匹 卵3個(幼虫・繭ともに無)
2013年9月2日 卵7個(幼虫・繭ともに無)
2013年9月12日 卵11個(幼虫・繭ともに無)
2013年10月9日 卵も含め全て無
2014年2月28日 卵も含め全て無

このことから、SIMSMA01081も、産卵ができ、子育ての経験があることがわかります。

NESTCON01017とSIMSMA01081の女王アリは、上の記録のように小さな家族のまま生き続けてきました。そして、働きアリが全て死んでしまってからも生き続けているのですが、それは自分で蜜を摂取しているからでしょう。

どちらの女王アリも、養子と出会った時、卵や幼虫や繭を我が子であるかのようにすんなりと受け入れました。今日からは、たくさんの異種の養子に囲まれるのですが、この2匹の女王アリは、養子たちを上手に育てあげることができるのでしょうか。結果が楽しみです。

働きアリの寿命(その3)

これまでも働きアリの寿命について触れてきましたが(「1匹だけ育った働きアリ」「働きアリの寿命」「働きアリの寿命(その2)」、新たに追記します。

現在、女王アリが死んでしまった家族を13家族飼育しています。

2011年採集 3家族
NESTCON01002 クロオオアリ 2013/01/01女王死
NESTCON01012 クロオオアリ 2014/04/15女王死
NESTCON01019 ムネアカオオアリ 下記記載

2012年採集 6家族
SIMSMA01002 クロオオアリ 2014/02/28女王死
SIMSMA01049 クロオオアリ 2014/01/01女王死
NESTCON01023 クロオオアリ 2012/09/15女王死
NESTCON01027 ムネアカオオアリ 2014/04/10女王死
SIMSMA01067 クロオオアリ 2013/09/27トゲアリに殺される
SIMSMA01075 クロオオアリ 2014/01/20女王死

2013年採集 4家族
SIMSMA01034 クロオオアリ 2013/10/15女王死
SIMSMA01044 クロオオアリ 2013/10/15女王死
SIMSMA01056 クロオオアリ 2013/09/02女王死
ANTCUB03007 クロオオアリ 2013/10/07女王死

これらの内、2011年6月8日に採集したムネアカオオアリの女王アリの家族(S/N: NESTCON01019)が今日見ると全滅していました。記録では、この家族の女王アリは2011年中に死んでいて、2012年は通年働きアリが8匹でした。つまり、この8匹は、交尾後最初に育てられた働きアリと考えられます。その後、2013年の3月には7匹、6月には5匹、10月には4匹となり、今年(2014年)になって3匹になっていましたが、この度全て死んでしまいました。

2011年に成虫になったのが7月下旬ですから、2014年の6月で、最長で2年と11ヶ月近く生きていたことになります。

トゲアリの様子

トゲアリが寄生したいくつかの巣でも、繭が目立つようになりました。

NESTCON01001

NESTCON01001

NESTCON01025

NESTCON01025

SIMSMA1028

SIMSMA1028

NESTCON01030

NESTCON01030

SIMSMA01089

SIMSMA01089

ただ、SIMSMA01043には繭はありませんでした。

SIMSMA01043

SIMSMA01043

また、SIMSMA01024は、子育てができてなく、今回も卵は見当たりませんでした。

SIMSMA01024

SIMSMA01024

以上7コロニーの内5コロニーで繭がみられます。これらの写真に写っている繭の中にトゲアリの繭も含まれているように思うのですが、どの程度含まれているのかはわかりません。
と言うのは、クロオオアリやムネアカオオアリの巣でも、昨年生まれの幼虫が今、蛹になっているのですから、トゲアリが寄生しているこれらのコロニーでも、昨年生まれのクロオオアリやムネアカオオアリの繭があると考えられるのです。

トゲアリの繭を1度も見たことがない私には、トゲアリの繭とクロオオアリやムネアカオオアリの繭との違いがわかりませんし、そもそも同じように見えるのかも知れません。いずれにしろ、トゲアリの羽化を待って、さかのぼってトゲアリの幼虫の蛹化について考えるのが良いように思われます。

子育ての経過

今年採集した女王アリの子育ての経過を記録しておきましょう。

★クロオオアリ

5月19日採集
○ 5月22日以前 産卵開始
○ 6月12日以前 幼虫へ孵化

 

6月12日

6月12日 クロオオアリ

○ 6月18日以前 蛹へ蛹化

6月18日

6月18日 クロオオアリ

5月28日採集
○ 6月1日以前 産卵開始
○ 6月18日以前 幼虫への孵化が始まる

6月2日・3日採集
○ 6月18日 孵化なし

★ムネアカオオアリ

5月28日・29日・30日採集
○ 6月1日以前 産卵開始
○ 6月18日以前 幼虫への孵化が始まる

6月2日・3日採集
○ 6月18日 孵化なし

以上の記録と、実際に観察したことから、次のようにまとめることができます。
○ 産卵は交尾後、翌日から始める個体もあり、交尾の日を入れて4日以内には、ほぼ産卵が始まる。
○ 20日前後で孵化する。
○ 1週間程度で蛹化する。

孵化するまでにはかなり時間がかかっていますが、孵化してから蛹化するまでの幼虫の期間は、短いことがわかります。

女王アリは、エアコンを使っている部屋で育てています。気温が高ければ、より早く孵化・蛹化するのではないかと思いますが、対照実験はしていませんので、あくまでも気温については予想に過ぎません。

寄生虫 その後

6月7日のブログ「女王アリの死因を考える」で触れた寄生虫ですが、その後、ムネアカオオアリの腹部から抜け出し、容器内を盛んに這い回るようになりました。

容器内を這い回る寄生虫

容器内を這い回る寄生虫

ところで、2体の内1つを見ると、女王アリの死体にカビが生えているようでした。

カビが生えているように見える

カビが生えているように見える

けれどもこれは、カビではなかったのです。実体顕微鏡で見ると、無数の半透明な細長い生き物が動いていました。ムネアカオオアリの腹部から抜け出した寄生虫が蛹になっているようでしたが、この蛹にもこの細長い生き物が付いていました。

湯気が立ち上っているようにも見える

湯気が立ち上っているようにも見える

これは、寄生虫よりも更に小さな生き物で、もはや昆虫でもなさそうです。私は、気持ちが悪くなり、ケースを丸ごと処分しました。

幸い寄生虫がいるもう1体には、このとても小さな生き物は発生していませんでした。この寄生虫の正体を知るには、残った1体だけで十分です。

下の写真は、今日の様子です。幼虫が蛹になり始めています。やはり、この寄生虫は、完全変態をする昆虫のようです。

蛹になっている

蛹になりつつある

蛹の拡大写真

蛹の拡大写真

どんな成虫が出てくるか楽しみです。

新女王アリの死亡率

今年、これまでに採集したクロオオアリとムネアカオオアリの女王アリの数をまとめてみます。

5月16日 彦根市             0(クロ)  2(ムネ)
5月19日 彦根市   10      0
5月28日 駒ケ根市    3      4
5月29日 駒ケ根市    0      2
5月30日 駒ケ根市    1      7
6月  2日 駒ケ根市  69       17
6月  3日 駒ケ根市  50       16

クロオオアリは全部で133匹、ムネアカオオアリは48匹です。(ムネアカオオアリの数については、6月4日のブログ「採集の旅」で報告している数の51匹とは違います。これは、そのうちの3匹が、ムネアカオオアリの女王アリによく似ていますが、一回り体が小さく、違う種かもしれないからです(6月12日ブログ参照))。

6月12日の時点で、死亡したのはクロオオアリが20匹、ムネアカオオアリが9匹で、割合にすると(死亡率)、

クロオオアリの女王アリ      15%(20 ÷ 133)
ムネアカオオアリの女王アリ 19%(  9 ÷   48)

になります。

今回の採集に当たっては、採集時に傷を負っていることがわかった場合は、採集しませんでした。ただその時は気付かなくて、傷を負っている女王アリも採集しています。
傷を負ったクロオオアリで生きているのが17匹、死んだのが7匹です。同じく傷を負ったムネアカオオアリで生きているのが1匹、死んだのが0匹です。

そこで、今度は、傷を負っている場合の女王アリの死亡率を考えてみましょう。ここでは、ムネアカオオアリはサンプル数が少ないので、クロオオアリのみで考えることにします。クロオオアリの女王アリで、負傷していない個体の死亡率と、負傷している個体の死亡率を比較すると、

負傷していない個体の死亡率 12%(13 ÷ 109)
負傷している個体の死亡率  29%(  7 ÷   24)

になります。このことから、傷を負っていると死亡率が高いことがわかります。
ですが、見方を変えれば、今年のクロオオアリの場合、傷を負っていても、71% の女王アリが生きているとも言えます。

小型の女王アリ

5月19日のブログで触れましたが、一見ムネアカオオアリの女王アリのような、しかし明らかに小型の女王アリのことですが、6月2日の夜、駒ケ根市でも2匹同じ場所で採集しました。彦根市内と駒ケ根市内では、明らかに標高差などの環境の違いがあるのですが、同じ種のようです。

小型の女王アリ

小型の女王アリ

そこで、たまたまムネアカオオアリの女王アリの小型の1匹がいたと言うことにはならないので、この女王アリはムネアカオオアリの女王アリの「小型」とは考えずに、別種と考えることにしました。

体長は13mm位で、体全体に光沢があります。ムネアカオオアリの女王アリの場合は、胸部の前伸腹節から見かけ上の腹部第1節にかけて赤いのですが、この小型の女王アリは、体全体がムネアカオオアリの黒っぽい色の部分の色とよく似ており、脚の基節と転節が透き通るようなアメ色をしています。また、腹柄節が1節あります。ヤマアリ亜科のオオアリ属に属するように思われます。

3匹ともに産卵をしており、働きアリが生まれれば、種を特定できそうです。

トゲアリの幼虫

5月22日のブログで、トゲアリの卵が孵化し始めたことを書きましたが、幼虫がかなり大きくなってきています。

25

NESTCON01025

28

SIMSMA1028

写真は撮っていませんが、NESTCON01030の幼虫もかなり大きくなっています。また、5月22日にはまだ幼虫になっていなかったSIMSMA01043とSIMSMA01089も、幼虫が大きくなっています。
SIMSMA01024については、5月22日には卵がなくなっていましたが、それから産卵したらしく、少しですが卵がありました。

ところで、NESTCON01001ですが、今日になってトゲアリの女王アリの様子が少し変だと思っていましたが、左中脚の腿節が途中からなくなっていて、前脚も自由に動かせないことがわかりました。これまでこのような怪我はしていなかったと思うのですが、今になって働きアリの攻撃を受けたとは考えられないのです。昨年の侵入時から負傷していたのでしょうか。謎です。

画期的なたんぱく源

画期的なたんぱく源を見つけました。それは「シルクパウダー」というものです。

シルクパウダー

シルクパウダー

糖分が粉状なのは極く普通ですが、ひょっとしたらたんぱく質にも、粉状のものがあるのではないかと思い、ネットで粉状のたんぱく源を探したところ、このシルクパウダーにたどり着きました。
裏面の表示を見ると、

包装の裏面

と書かれていて、フィブロインが100%となっています。フィブロインとは、「繊維状のタンパク質の一種で、昆虫とクモ類の糸を構成し、その70%を占める(Wikipedia)」物質とのことです。

この物質は、水に溶けるのでしょうか。試してみると水が茶色っぽく透明になりました。つまり溶けるのです。このシルクパウダーは、「絹たん白加水分解物」とありますが、加水分解物なので水に溶けやすいのです。

ずいぶんと薄い水溶液でしたが、ムネアカオオアリに与えてみると、

薄いシルクパウダーの水溶液

薄いシルクパウダーの水溶液

飲み始めました。アリにとって、かなり嗜好性の高いもののようです。次に濃いめにしてクロオオアリに与えてみたのが下の写真です。

濃いめのシルクパウダーの水溶液

濃いめのシルクパウダーの水溶液

ヨーグルト用のグラニュ糖を与える時には、効率良く糖分を補給させるために、水に溶かさずに粒のまま与えますが、このシルクパウダーを粉のまま与えるとどうなるのでしょうか。与えてみると、

粉のままのシルクパウダー

粉のままのシルクパウダー

しばらくは、これが食べられるものとはわからないようでしたが、やがて舐め始めました。また、グラニュ糖の場合と同じで、少し固まっている粒を銜えて運び出すものもありました。

このシルクパウダーは、水溶性であるということと、アリが好むということと、粉は保存ができるという3つの点で、アリのたんぱく源としては、画期的な発見?です。

そこで、このシルクパウダーを特製の蜜(2014年4月26日ブログ参照)に加えてみました。こうすれば、この新たな蜜だけで、糖分とたんぱく質を同時に与えることができます。果たして与えてみた結果は、

蜜に群がるムネアカオオアリ

蜜に群がるムネアカオオアリ

大好評でした。