月別アーカイブ: 2015年7月

冷凍庫の中で生きていた雄アリ

今年捕虫器を新たに購入して使っています。この捕虫器は、以前から使っている捕虫器よりもずっと多くの虫を捕らえることができます。

SURE 屋内用捕虫器 MC-8200

SURE 屋内用捕虫器 MC-8200

さて、7月14日の深夜近く、この捕虫器の網の中をのぞいてみると、とてもたくさんの雄アリが入っていました。更に女王アリらしき羽アリもちらっと見えたような気がしました。改めて懐中電灯で捕虫器のあたりを探すと、羽アリがいっぱい壁などについていました。また、働きアリも集まっていましたので、まず雄アリと働きアリを採集し、女王アリを探しました。女王アリはなかなか見つかりませんでしたが、やっと1匹を採集しました。更に、翅を落として歩いている女王アリがいないかも探しましたが、1匹も見つかりませんでした。
捕虫器本体から捕虫網を外し、網ごと冷凍庫に入れておきました。

翌日、冷凍庫から取り出して実体顕微鏡で見たのが次の写真です。

中央に女王アリが見える

中央に女王アリが見える

上と同じ種のように見える女王アリ

上と同じ種のように見える女王アリ

上2つとは別の種のように見える女王アリ トビイロケアリかもしれない

上2つとは別の種のように見える女王アリ こちらはトビイロケアリかもしれない

とてもたくさんの雄アリの中にわずかに3匹女王アリを見つけました。これらは2つの種のようです。
捕虫網の中ではなく、壁にいた女王アリは冷凍しませんでしたので、翌日も生きていました。

体が茶色でトビイロケアリのようにです

体が茶色でトビイロケアリのようだ

こちらは、網の中にいた1種と同じトビイロケアリの女王アリのように思います。働きアリも採集したと書きましたが、アミメアリでしたので、これら羽アリを捕まえる為に集まってきていたのでしょう。

さて、実体顕微鏡を通して上の写真を撮っている時、死んでいるはずの死骸の塊が動くような感じがありました。急激な気温の変化や風のようなもののためと思っていましたが、やがてそうではなく、死んでいるはずの雄アリの脚がかすかに動いているのに気がつきました。そこで、くまなく探してみると、足が動いている雄アリが13匹まで見つかりました。

13匹の雄アリがまだ生きていた

13匹の雄アリがまだ生きていた

これは、驚きです。冷凍庫の中に18時間程度入れておいたのですから、体内の全ての水分が凍り、死ぬはずなのですが。この日は数こそ多くはなかったとはいえ、他の昆虫も捕獲されていたのですが、これら雄アリ以外は動き出す昆虫はいませんでした。

5月27日採集コロニーの羽化開始

5月27日に採集したクロオオアリとムネアカオオアリのコロニーで、働きアリの羽化が始まりました。

ムネアカオオアリ

ムネアカオオアリ

この27日は、女王アリを大量に採集した日ですので、これから毎日次々と働きアリが生まれてくると思われます。

クロオオアリ97コロニー中 5コロニー で働きアリ1匹
ムネアカオオアリ80コロニー中 8コロニー で働きアリ1匹

7月15日は、5月27日から数えて50日目に当たっています。7月11日付けブログ「新女王アリの家族に働きアリが誕生」で、「さて、大多数の女王アリを採集した日が5月27日ですので、それらの家族は、それから56〜57日目に当たる7月21日・22日頃に羽化し始めるでしょうか。それとも、気温が明らかに高くなっているので、その日よりも早く羽化し始めるでしょうか」と書きましたが、羽化日数が早まったようです。やはり、気温が高くなったことが影響しているのでしょう。

ルリアリの女王アリの死

ルリアリの女王アリが死んでいました。
2013年の5月17日に、庭で見つけたルリアリのコロニーでした。採集した時は、まだ創巣を始めて2年目のように思える小さな家族でした。その時のことはこちらに記載しています。
女王アリは、食べられてリサイクルされています。

女王アリの死骸 体の中を食べられています

女王アリの死骸 体の中を食べられています

少し前から死んでいたと思われますが、気付きませんでした。幼生虫を探すと、卵がいっぱいありました。

ND4_8281

その卵の塊が占める体積は、女王アリの腹部の容積よりもずっと大きく、女王アリは最期まで卵を産み続けていたことが伺えます。
なぜ死んでしまったのか、原因は不明です。

ここにも異種合同の家族が

6月10日のブログ「2年目の単独の女王アリ」でふれた「S/N14091」のその後ですが、7月5日には働きアリが5匹になっていました。

クロオオアリの働きアリが5匹います 7月8日撮影

クロオオアリの働きアリが5匹います 7月8日撮影

他の家族からの幼生虫を受け入れて育てたことがわかります。

ところで、6月27日に、やはり女王アリが死んでいなくなっていたムネアカオオアリの幼生虫を加えました。7月13日に見ると、ムネアカオオアリの働きアリが2匹生まれていました。

ムネアカオオアリの働きアリも2匹生まれていました

ムネアカオオアリの働きアリも2匹生まれていました 7月13日撮影

これで、働きアリは合わせて7匹になりました。
とても不思議なことだと思うのですが、異種の働きアリ同士でありながら、完璧にコミュニケーションが取れているように見えます。ですから、自然界では起こりえない状況ですが、共通の「言語?」を使っていることになります。クロオオアリとムネアカオオアリは、おそらく、進化の過程で、2種に分かれた近縁種なのでしょうから、分岐する以前のコミュニケーションの方法が2種ともにそのまま受け継がれてきたのでしょう。

新女王アリの家族に働きアリが誕生

今年採集したクロオオアリの女王アリの家族に働きアリが誕生し始めています。
今年初めて採集したのが5月6日の1匹で、7月1日に最初の1匹が羽化しました。今(7月11日)は働きアリが8匹になっています。
5月15日には3匹採集しましたが、7月9日にそれぞれ1匹ずつ羽化しました。今は働きアリがそれぞれ1匹・2匹・3匹になっています。
交尾の日からその日を入れて羽化の日までの日数は、前者が57日、後者が56日で、ほぼ一致しています。

ND4_8257現時点で、5月27日に採集したクロオオアリとムネアカオオアリでは、クロオオアリ1匹だけが、家族に働きアリが生まれています。その家族は、6月10日にアンテネスト(土入り飼育器)に入れた家族です。

ND4_8265なぜ、その家族だけが、早く働きアリが生まれたのか、対照実験はしていないので何とも言えないのですが、土のあるなしではなく、置いていた場所による気温の違いによるものであろうと思います。

さて、大多数の女王アリを採集した日が5月27日ですので、それらの家族は、それから56〜57日目に当たる7月21日・22日頃に羽化し始めるでしょうか。それとも、気温が明らかに高くなっているので、その日よりも早く羽化し始めるでしょうか。結果を見るのが楽しみです。

もう1種類のダニ

前ブログのダニとは違う種のダニも見つけました。ムネアカオオアリの新女王アリを飼育しているカップの中にいました。それぞれ1匹ずつ、2つのカップで見つけています。

ND4_8216

上と同じ個体を上から撮影

上と同じ個体を上から撮影

とても小さいのですが、脱脂綿の上だと肉眼で何とか識別できます。前ブログのダニと比べればずいぶんと大きいのです。
このダニも女王アリや幼虫などに危害を加えているようには見えません。しばらく観察していても、ただただ歩き回っているだけでした。
いったい何を食べて暮らしているのでしょうか。

ムネアカオオアリとダニ

今年採集したムネアカオオアリの女王アリを実体顕微鏡で見ていたところ、体に多数のダニがついているのを発見しました。

写真をクリックすれば拡大して見られます

写真をクリックすれば拡大して見られます

写真をクリックすれば拡大して見られます

写真をクリックすれば拡大して見られます

ムネアカオオアリは、同一市内の3ヶ所で採集しましたので、それぞれから任意に取り出して合わせて20体を調べました。ダニは頭部に多くついている場合の他、胸部や腹部、脚にもついていました。ダニがついていたのは3ヶ所全てで、合わせて11体です。とても高い割合と言えます。

そこで、クロオオアリについても調べてみることにしました。クロオオアリの場合は、ムネアカオオアリを採集したのと同じ場所の3ヶ所と、彦根市内の1ヶ所の4ヶ所から、それぞれ任意に合わせて20体を取り出して調べました。クロオオアリの場合は、ダニは全くいませんでした。

3ヶ所は同じ採集場所であったにも関わらず、ムネアカオオアリのみに高い割合でダニがついていたことになります。また、繭や幼虫や卵にはついていませんでした。

2014年4月のブログ「ダニ」で、ダニについて書きましたが、そのダニと今回見つけたダニが同種なのかどうかはわかりません。

トゲアリの働きアリが誕生

7月10日、昨年寄生に成功していたトゲアリの3つの巣で、トゲアリの働きアリが誕生していました。この1週間以内の出来事です。

トゲアリの働きアリが誕生していたのは、T140902-01で13匹、T140903-01で1匹、T140906-03で11匹で、いずれもコンクリート製人工巣で飼育している家族です。

T140902-01

T140902-01

T140903-01

T140903-01

T140906-03

T140906-03

ちなみに、アンテシェルフで飼育していたT140906-18は、クロオオアリの働きアリが全滅していました。幼生虫も全てありませんでした。