日別アーカイブ: 2016年10月14日

庭のB巣C巣D巣が別のコロニーか調べる

これまでに庭には7つのクロオオアリのコロニーが棲息していることが分かっています。

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その内、比較的早くから棲息していることが分かっていたA巣・B巣・C巣・D巣が、互いに別のコロニーかどうかについては、未だに検証していませんでした。もっと早い時点ですべきであったのですが、本日やっとその検証をすることにしました。
検体は、それぞれの巣の近くを歩いている働きアリです。小型の小さめのキャップ付きの試験官に入れ、キャップを外して試験官の口同士を合せます。こうすることで異なる巣の働きアリ同士が出会うようにします。

B巣とC巣では:

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B巣とC巣の働きアリ

C巣の働きアリは、小さな幼虫を銜えて巣に戻る直前に捕らえられました。その幼虫を銜えたまま、試験管の中でB巣の働きアリに出会いました。その事があってかどうかは分かりませんが、C巣の働きアリの方から攻撃していました。激しい喧嘩にはならず、両者ともに怪我はしませんでした。

C巣とD巣では:

C巣とD巣の働きアリ

C巣とD巣の働きアリ

B巣とC巣の場合と同じく、どちらかがほぼ一方的に攻撃していました。この場合も、激しい喧嘩にはならず、両者ともに怪我はしませんでした。

B巣とD巣では:

B巣とD巣の働きアリ

B巣とD巣の働きアリ

とても激しい喧嘩になりました。B巣の働きアリの方が体が一回り大きく、B巣の働きアリの方から喧嘩をしかけ、常に優勢でした。短時間でD巣の働きアリは深手を負い、歩けなくなりました。

以上の実験から、B巣・C巣・D巣の3つのコロニーは、別のコロニーである事が分かりました。ちなみに、A巣についていえば、巣の出入り口があった場所の地面が崩れて以来、姿を見なくなっています。死滅したとは考えてはいないのですが、今日も働きアリの姿がありませんでしたので、検証できませんでした。また、先日の10月12日に見つけたG巣については、しばらくの間巣口からの働きアリの出入りを待っていましたが、働きアリは現れませんでした。A巣とG巣については、またの機会に検証する事になります。

アンテネストの長所

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S/N:B15017の片面

2014年7月13日開発のアンテネストで飼育しているクロオオアリのコロニーは2家族あります。
一つは、2015年5月27日採集のクロオオアリのコロニー(S/N:B15017)で、同年6月10日のブログ「新女王アリの穴掘り」に登場するコロニーです。アンテネストでの生活は1年と4か月になります。

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S/N:B15017のもう片面

とても大きな空洞が作られています。

もう一つは、2012年6月14日採集のクロオオアリのコロニー(S/N:B120614-86)で、2014年7月からアンテネストで飼育しています。

 

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S/N:B120614-86の片面

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S/N:B120614-86のもう片面

どちらのコロニーも順調に家族を増やしています。特に後者の方は、大家族になっています。

アンテネストは、巣穴を観察するために作られた人工巣ですが、実際に飼育してみて他の人工巣とは違う長所が見えてきました。その長所とは、飼育器の中が汚れにくいという点です。土を使わない飼育器では、アリの排泄物(昆虫の食べかすや仲間の死骸や繭の殻等ではない)がたまって目立つようになりますが、アンテネストではその汚れが目に付きません。おそらく、土は小さな粒の集まりですから、一粒の表面積は小さくても、それが無数に集まることで、土全体の表面積は無限に広くなるのでしょう。そのため、排泄物が土の粒の表面に薄く広がり、微生物等で分解されるのでしょう。
また、昆虫の食べかすや仲間の死骸や繭の殻等のゴミは、上部の活動室に運ばれれば、良く乾燥した土に混ざり、腐敗しにくくなるようです。飼育者は、ゴミと混ざったこの土を取り除けば、飼育器内が清潔に保たれます。

活動室の様子 運び出された土は良く乾燥している

活動室の様子 運び出された土は良く乾燥している

アンテネストは、飼育器の中が汚れにくいという長所の他に、常時水を与えなくても良いと言う長所もあります。土は常に適度に湿っている必要はありますが、乾燥気味になった時に土に水を含ませれば良いので、かなり長い間水を与えなくてすみます。他の人工巣のようにペットボトルのキャップなどに入れた水が腐るということはありません。その点で、手間が省けるのです。

関連ブログ
2年目のアンテネストのその後の様子」(2016年7月3日)
2年目のアンテネスト」(2016年4月21日)
新女王アリの穴掘り」(2015年6月10日)
新しいアリの飼育器を開発(オオアリ用)」(2014年7月13日)
新しい飼育器を開発しています」(2014年7月5日)