月別アーカイブ: 2017年4月

「ありの行列」を考える その3

「ありの行列」を考えるブログシリーズの仮説
⑴最初に餌を見つけたクロオオアリは、帰路道しるべを付けずに巣に戻る。
⑵⑴のクロオオアリは、仲間を連れて餌場へ向かう。その際、道しるべを付けながら進み、その匂いを追いながら、仲間がついてくる。
⑶その帰りも、いずれのクロオオアリも道しるべは付けずに帰巣し、その後餌場へ向かう際、新たな仲間を引き連れて出かける際には、道しるべを付けながら進み、その匂いを追いながら、新たな仲間がついてくる。
今回のブログでは、上記仮説の⑴⑵⑶に言及します。

4月18日、上記仮説を確かめるために観察を行いました。
B巣(右の欄の固定ページ内「参照ページ」を参照)からは、カラスノエンドウの保護区との間を往復するクロオオアリがたくさんいます。これらのアリは、既に目的を持って行動(既存の場所からの蜜の運搬)しているので、実験の対象から外そうと考えました。実験の対象としては、餌探しをしているアリを用いたいと考えました。
そのことをはっきりとは確かめることはできませんでしたが、B巣から4.4m程離れたところを歩いている腹部が膨れていない1匹のクロオオアリを見つけました。C巣からも近いので、C巣のアリかも知れません。このアリのそばに蜜器を持っていき、蜜器に登らせてから蜜器を地面から持ち上げました。すぐに蜜を飲み始めました。

蜜を飲み始めたところ いったん地面において撮影 14時28分撮影

蜜器に登らせた場所に境界杭を打ち、その蜜器を被せました。やがて腹部が膨らむと、帰路につきました。迷わずに巣に戻れるでしょうか。
下の写真は、この後に行った他の観察の後に撮影したものですが、このアリが帰路に随分と迷った足跡を記録しています。

鉄砲串で足跡を追っている

写真右側にある境界杭に蜜器を載せています。帰路の30秒ごとにアリが歩いた跡に鉄砲串を地面に差し込んでいます。このアリは、B巣のアリであったことがこの後分かるのですが、B巣とは全く反対側の境界杭の左側をほぼ15分間も歩き回っていました(境界杭から左に最も離れた地点でおよそ3mありました)。その後は、もとの境界杭があった辺りから、今度はあまり迷わずに、ほぼ最短距離でB巣へと向かいました。
B巣の近くまでたどり着いた時、仲間のアリ1匹と出会い、蜜を分け与えました。

帰路途中で出会った仲間のアリに蜜を分け与えている 手前が蜜を運んだアリ 14時55分撮影

それからすぐ近くの巣に入っていきました。

鉄砲串の先の辺りに巣口があるようだ 14時58分撮影

ここまでが、帰路の観察になるのですが、ほぼ15分間も迷っていた間、フェロモンによる道しるべを付けていた様子はありませんでしたし、それでももし、道しるべを付けていたとすれば、たいそうな迷い道になります。その後、ほぼ迷わずに帰路につきましたが、道しるべを付ける動作は観察していません。また、その後、ほぼ迷わずに帰路についたとは言え、そのルートは、このB巣のアリたちがよく使っていた道だったということでもありません。

やがて、先程入っていった巣口の近くからクロオオアリが出てきました。

ここでは1匹しか写ってませんが…… 15時12分撮影

2〜3匹程度であったように思います。これまでの観察と比較すると少ない数でした。(確言はできませんが、巣に戻る前に仲間のアリに蜜を分け与えましたので、巣に戻ってからは他の仲間に残りの少しの蜜を分け与えたことになり、このことと関係があるのかも知れません)この集団を追っていたのですが、他に準備をしなければならないことがあったために、すぐに見失ってしまいました。
ところが、しばらくして、蜜器の方を見ると、クロオオアリが2匹来ていました。

右の小さい方が最初に蜜を見つけたアリのようだ 15時20分撮影

この蜜器の辺りを歩くクロオオアリはほとんどいませんでしたので、偶然2匹がほぼ同時に蜜を見つけたとは考えられません。この2匹はどうやら先程の一群のアリのようです。
この2匹が巣に戻っていく様子を見ると、ほとんど最短距離で戻っていきましたが、道しるべを付けている様子はありませんでした。

2匹は最初に確認した巣の場所とほぼ同じ場所に帰っていった 15時35分撮影

やがて1匹が巣から出てきました。このアリの後を追ってみると、道しるべを付けることなく、かなり早足で迷う様子もなく、蜜器へたどり着きました。後を追う仲間はいませんでした。

たった1匹でやってきた 最初に蜜を見つけたアリのようだ 15時41分撮影

ところが、それから2分程して、先程の巣口近くから、今度は少しまとまった数のクロオオアリの一群が出てきました。1匹のアリが、数歩歩いては一瞬止まり、その瞬間に腹部を曲げて道しるべを付けながら歩いていきました。

写真では5匹写っている 15時43分撮影

腹部を曲げて道しるべを付けているところ この一瞬立ち止まって腹部を曲げる動作を数歩毎にリズミカルに行っていた 15時44分撮影

先頭のアリについていくアリたち この写真では2匹写っている 15時44分撮影

道しるべを付けながら歩く様子 動画13秒 15時48分から

やがて、多くのアリが蜜器に着きました。

7匹に増えている 15時55分撮影

道しるべを付けながら歩くのは、仲間を引き連れて餌場へと向かう時のようです。

その後の餌器の様子は:更に多くのクロオオアリが集まっていた 16時40分撮影

観察を行った庭の全景 手前にB巣がある 奥に見える境界杭と蜜器が今回蜜源があったところ

NHK Eテレ なりきり! での道しるべのこと

先日の4月15日放送のNHK Eテレ「なりきり! むーにゃん生きもの学園『アリになりきり』」で、道しるべについて触れている箇所があります。(再放送は、4月20日(木)午後3:45~午後4:00)

①(白い紙のようなものの上を歩くアリの跡を追ってピンク色の線が引かれていく映像を映しながら)
「最初に食べ物を見つけたアリは、お尻の先んちょから、フェロモンをチョロチョロ出しながら巣に戻る」「うん」

②(巣と食べもの結ぶピンク色の点線を書き込んだ写真を映しながら)
「そのフェロモンを辿るちゅーと」「どれどれ、あー、道ができた」

③この後、アリになりきって、道しるべを体験します。体育館に草むらの小道具を5つ設置し、その中の一つの裏側にキャンディーを置いておきます。最初、3人の小学生が、そのキャンディーを探しに行きます。その際、サンダルの裏面にスタンプを貼り付け、歩くと白い模造紙に足跡がつくようにしておきます。スタートし、1人がキャンディーを見つけます。この子は、自分が歩いた足跡のスタンプに沿って元の場所に戻っていきます。(ナレーション:「キャンディを取ったら、自分が残したフェロモンスタンプを目印に巣まで帰ってね」

この放送の内容について、私の考えを記しておきます。
⑴ 上記①の映像についてですが、「お尻の先んちょから、フェロモンをチョロチョロ出しながら」という説明がつけられていますが、そうしている様子が見受けられません。腹部の先が白い紙に触れていませんし、所々で白い紙に触れるように腹部を動かしている様子もありません。それでも、フェロモンを出しながら歩いているというのならば、空中からフェルモンを発射していることになります。わずかなら白い紙(地面)に付くでしょうが、とても効果の低い方法になります。

⑵ ①と②のアリの種類は違うようです。そのことは問題ではありませんが、この2種のアリは、餌を見つけた帰路に道しるべをつけながら帰り、その道しるべに沿って再び餌にたどり着くと言っているのです。

⑶ ③からは、アリは餌探しをする時、常にフェロモンによる道しるべを付けながら歩いているということになり、その道しるべがあるから、餌を見つけた時は迷わずに巣に帰ることができるということになります。でもそうなのでしょうか。長時間に渡ってあちこちを歩き回って餌探しをしていると、フェロモンはやがて尽きてしまうでしょうし、そうでなくても、随分と時間が経過した道しるべのフェロモンは、もう感知できないほど薄れているはずです。仮にそうでなくても、確かに「餌を見つけた時は迷わずに巣に帰る」ことはできますが、あちこち歩いていたのですから、無駄にとても大回りをして巣へと帰ることになります。

私は、クロオオアリに限ってという限定付きですが、次のように考えています。(まだ仮説の段階ですが)
⑴クロオオアリは、自分たちの生活圏内で餌探しをしているので、餌を見つけた時には、道しるべはなくても、自分の巣に帰ることができる。つまり、餌探しをしながら、帰路のために道しるべを付けているのではなく、その必要もない。
ミツバチは、餌を探す際、空中に道しるべを付けようがなく、それでも、餌を見つけて自分の巣に帰ることができるが、アリの場合も同様と考える。

⑵ 餌を探し当てて巣に帰る際にも、道しるべは付けない。帰路は、餌を探していた道とは違った場所を歩いていて、かなり迷っていることもあるが、いずれにしても腹部を地面をつける行為は見られない。
それでも、帰路に道しるべを付けているとした場合、説明しにくいことがある。というのは、餌を見つけて戻ってきたアリが、仲間を連れて再び出かけるまでに10分から15分程経過する。例えば、真夏のかんかん照りの日だったなら、その間にフェロモンはほとんど蒸発してしまうのではないだろうか。

⑶ 仲間を連れて再び出かけるクロオオアリは、観察によれば、直前に戻ってきた道に沿って歩かない。先程の帰路よりは、多くの場合近道になっている。この再度餌場に出かける時に、初めて地面に道しるべを付ける行為を見ることができる。その道しるべを付けながら餌場に向かうアリは、数匹の中の必ず1匹のみで、先頭を行くアリである。この1匹のアリが、先程餌を見つけたアリだと考えられる。
先導する1匹のアリに数匹が右往左往しながら付いていくわけだが、その時に道しるべフェロモンが道しるべとして使われている。仲間が1匹の先導者の直後についていくのだから、フェロモンはまだ蒸発しないで感知できるのだろう。アリの視力はとても悪いようなので、他の動物のように、先を歩く仲間の姿は見えず、フェロモンが唯一有効なのでないだろうか。

これまでの観察から、以上のように考えていますが、餌を見つけた帰路に道しるべを付けないとしたら、餌の場所をどのように記憶しているのか、その仕組みについてはまだ仮説さえ考えられていません。ミツバチの場合はというと、道しるべを空中に印すことなく、その餌場を記憶して仲間に伝えているのですが……。
クロオオアリはいったいどのようにして餌場を記憶するのでしょうか。明らかにしたいものです。

小型種の女王アリを採集

今日4月16日は、全国的に今年の最高気温を記録したところが多く、岡山県の南部でも今年の最高気温を記録しました。25°を越えました。
午後3時頃、庭で除草をしていて女王アリらしいアリが地面を歩いているのを見つけました。また、その15分程後にも同じ種の女王アリらしいアリを見つけました。どちらも採集し、カット綿を敷いた小型ケースに入れました。カット綿は湿らせています。
下の写真は、体長を測るためのスケールボックスに入れて、実体顕微鏡で撮影したものです。

小型種の女王アリ 翅を落とした痕が見られる

同心円は0.5mm毎になっています。太い赤線は半径が5mm間隔です。体長は約9.5mmであることが分かります。
この女王アリはおそらくトビイロシワアリだろうと思います。「アリハンドブック」(文一総合出版)によると、この種は7月に結婚飛行をするようです。

「ありの行列」を考える その2

「ありの行列」を考えるブログシリーズの仮説
⑴最初に餌を見つけたクロオオアリは、帰路道しるべを付けずに巣に戻る。
⑵⑴のクロオオアリは、仲間を連れて餌場へ向かう。その際、道しるべを付けながら進み、その匂いを追いながら、仲間がついてくる。
⑶その帰りも、いずれのクロオオアリも道しるべは付けずに帰巣し、その後餌場へ向かう際、新たな仲間を引き連れて出かける際には、道しるべを付けながら進み、その匂いを追いながら、新たな仲間がついてくる。
今回のブログでは、上記仮説の⑴⑵に言及します。

昨年から、花壇の横に設置していた測量杭に、昨日蜜器を載せておきました。昨日はそこへクロオオアリは来ませんでしたが、今日の9時45分ごろ、1匹のクロオオアリが蜜を吸っていました。大きさは少し小さめで、「移植」に成功したシリアル番号SIMSMA01057の巣の働きアリのように思えました。確言はできないのですが、このアリは今初めて蜜場を見つけたのでしょう。

花壇横の蜜器にやってきたクロオオアリ

帰路を追ってみると、あまり迷わずに進み(道しるべは付けていない様子)、SIMSMA01057の巣の中に入っていきました。少し長めに時間が経過して、先ほどのクロオオアリらしいアリが巣口から出てきました。とても鈍く遅い歩きです。それでも、よく見るとレンガに道しるべを付けているようです。

鈍くゆっくりした動きだが、道しるべを付けている

しばらくはこの1匹だけでしたが、気づくと後から2匹が追ってきて、やがて追いつきました。

追いついて3匹になったところ

この後ですが、先頭のアリは芝地へと入っていきました。初めは、先頭のアリに1匹は付いていっていました。

赤丸の中に2匹いる レンガからは50cm程離れている

上写真の赤丸の部分を拡大 2匹見られる 先頭のアリは腹部を曲げて道しるべを付けている

しかし、しばらくすると、付いていっていたこの1匹のアリも先頭からはぐれ、結局、先頭のアリが1匹だけになりました。
ここで、先頭のアリの足跡を見ると、餌を見つけた後の帰路とはとても大きく逸脱しています。上の写真のように、レンガから最大で50cm程離れて歩いていますが、もともと帰路では、レンガから外れても、ほぼレンガ近くの芝地を歩いていました。帰路と往路とは全く異なる道です。
やがて右往左往しながらも、随所で芝の葉に道しるべを付けながら、総じて蜜器のある方向へと歩いて、境界杭の麓にたどり着きました。

右往左往しながらも、腹部を曲げて道しるべを付けながら歩くクロオオアリ

やっとのことで、蜜器のある境界杭の麓に着いた

その帰りは、往路のように迷うことなく、大体レンガに沿って、わずかに2分程度で巣へと戻っていきました。道しるべを付ける際のダンス(「一瞬立ち止まって腹部を曲げる」をリズミカルに繰り返す)はしませんでした。

帰路の足取り 赤丸の間隔は30秒 蜜器と巣口とは直線距離にして166cm離れている

「ありの行列」を考える その1

光村図書の3年生の国語教科書に、『ありの行列』という教材があります。もうずいぶん古くからある教材で、私が知る限りでは1977年以前からありました。この教材は、光村図書の教科書のために大滝哲也氏が書き下ろした文章で、ハーバード大学教授のウィルソン氏(Edward Osborne Wilson)の研究に基づいて書かれています。

その文章の中で、「ふしぎなことに、その行列は、はじめのありが巣に帰るときに通った道すじから、外れていないのです。」という記述があります。最初に餌を見つけたアリが巣に戻ったあと、巣から出てきたアリたちは、最初に餌を見つけたアリが歩いた道通りに餌へと向かうと言うことです。
また、研究の結果、分かったこととして「はたらきありは、えさを見つけると、道しるべとして、地面にこのえきをつけながら帰るのです。ほかのはたらきありたちは、そのにおいをかいで、においにそって歩いていきます。そして、そのはたらきありたちも、えさをもって帰るときに、同じように、えきを地面につけながら歩くのです。」と書かれています。

この考えは、今日でも正しいとされています。次に引用するのは、1988年に書かれた著書からではありますが、次のような記述があります。

「一匹のアリが砂糖を見つけると、仲間を呼んできてたちまち黒山のアリだかりができることは、皆さんもご存知のとおりである。一昔前までは、餌を見つけたアリが触角で仲間に餌場を知らせるものと思われていた。二匹のアリが触角と触角を触れ合って挨拶する姿はよく見うけられるから、この話はいかにももっともらしく聞こえる。しかし、実際はまったく違った方法を用いていることがわかってきた。餌を見つけた働きアリは、尻の先から匂物質を分泌して、それを一定間隔で地面につけながら巣に戻るのである。匂物質は次第に拡散してアリの通った道を中心に匂いのトンネルができる。このような匂いのトンネルは時間とともにうすれ、数分後には消失してしまう。そのわずかな時間の間に別のアリがこの匂いの道を横切ると、そこを逆にたどって餌を見つけることができるのである。そしてまた、匂いの道しるべをつけながら巣に戻っ ていく。この方法だと、餌のある間は次々に仲間が集まってきて、匂いの道は強化される。しかし、一たん餌がなくなると、だれも匂物質を出さなくなるので、匂いの道は自然に消えてしまう。 実に巧妙な方法である。」

ここでは、これらの説に共通している次の2点に注目したいと思います。

①最初に餌を見つけたアリは、匂いの道しるべを付けながら巣に戻る。
②餌を見つけた2匹目以降のアリも、巣に戻る際には匂いの道しるべを付けながら巣に戻る。

上記2点は、極く普通に見られるアリについて言えることとされているのですが、本当にそうなのでしょうか。
私は主にクロオオアリとムネアカオオアリの生態を観察しているのですが、ここでは、クロオオアリに限ってと言う限定付ですが、上記①②はいずれも、誤りであると考えています。では、どう考えているかと言うことですが、次のような仮説を立てています。

⑴最初に餌を見つけたクロオオアリは、帰路道しるべを付けずに巣に戻る。
⑵⑴のクロオオアリは、仲間を連れて餌場へ向かう。その際、道しるべを付けながら進み、その匂いを追いながら、仲間がついてくる。
⑶その帰りも、いずれのクロオオアリも道しるべは付けずに帰巣し、その後餌場へ向かう際、新たな仲間を引き連れて出かける際には、道しるべを付けながら進み、その匂いを追いながら、新たな仲間がついてくる。

以後、幾回かに渡って、これらの仮説を検証してみたいと思います。

3年目を迎える単独の女王アリ

下の写真は、2年前の2015年5月27日に採集したクロオオアリの女王アリ(S/N:B15043)です。

S/N:15043のクロオオアリの女王アリ

この女王アリは現在、単独で生きています。
採集した日の1ヶ月後の6月26日、この日はまだ卵はありませんでした。7月10日になって卵が4個になります。同じ日に採集した他の多くのクロオオアリの場合、この日のおよそ1週間後には、働きアリが羽化していますので、B15043は子育てがとても遅いことになります。
それでもその後、子育てができていて、8月13日には繭が1個、幼虫が1匹、卵が3個になり、9月8日には働きアリが2匹羽化していました。

ところが、次の年の5月11日には働きアリと全ての幼生虫がいなくなっていました。巣作りを初めて1年後には、子育てに完全に失敗していたのです。
しかし、2年目も産卵をします。7月9日には卵が5個、8月22日には卵が7個になります。このように確かに産卵はしたのですが、孵化しませんでした。8月26日には、卵7個のところに、ムネアカオオアリ(S/N:R15055)の繭を1個加えます。もし、この繭が羽化すれば、働きアリが誕生します。(羽化すれば、種は違いますが共存できることは既に分かっています)けれども、4日後の30日には、この繭にカビが生えていました。卵は2個に減っていました。9月11日には、卵が9個まで増えていましたが、今春を迎えると、女王アリのみになっていました。

2015年は、成虫が生まれてからは、たんぱく源の昆虫と蜜を与えていました。昨年2016年は、成虫がいませんでしたので蜜のみを与えていました。ただ、産卵した卵は食べられたと考えられますので、たんぱく源はわずかですがあったことになります。また、当然ながら、飼育の全過程で水分を与えています。
この女王アリは、右触角の先端がわずかに欠けています。触角に損傷を負っている女王アリの場合、産んだ卵が散乱していることがよくありますが、この女王アリも2015年の7月10日にはそうでした。

3年目も生き続け、今年こそは子育てを成し遂げて欲しいものです。

「移植」組が地上に出てきた

昨年の4月に数回に渡って、合わせてクロオオアリで9家族、ムネアカオオアリで13家族のコロニーを庭に「移植」しました。(詳しくは「蟻を庭に放つ その1」「蟻を庭に放つ その2」「蟻を庭に放つ その3」「蟻を庭に放つ その4」参照)この内、昨年の秋に生き残っているのが確認できたのは、わずかにクロオオアリの2つのコロニーだけでした。この2つのコロニーは、「蟻を庭に放つ その1」に出てくるクロオオアリの家族です。
現在の自宅では、庭は自然に恵まれている環境なので、多くのオオアリのコロニーが生き延びられるだろうと考えていましたが、振り返ってみると、春先にカラスノエンドウがたくさん生えていたものの、夏から秋にかけては庭には蜜源はなくなっていました。昨年4月の「移植」も、以前に住んでいた旧宅での「移植」(「2011/07/27 庭で飼うために」他参照)も、蜜が恒常的には確保できなかったことが、オオアリが死滅した主な原因のように思えます。
さて、この生き残っていた2つの家族のクロオオアリが、そろそろ地上に出てくるのではないかと、幾日か前から観察していましたが、今日の午後1時過ぎにそれらしき形跡を見つけました。巣から運び出されたような砂粒があったのです。

巣から運び出されたような砂粒が見える

クロオオアリの姿は見えませんでしたが、これらの砂粒はきっとクロオオアリが巣から運び出したのでしょう。この場所は、シリアル番号SIMSMA01057(2013年6月15日採集)のクロオオアリの家族を「移植」した場所です。
4時半頃見ると、巣から砂粒を運び出す働きアリの姿がありました。昨年の秋に生存が確認できていた2家族の内の1家族は、無事に冬を越したようです。

巣の中から砂粒を運び出すクロオオアリの働きアリ

カラスノエンドウの保護区で蜜を集め始めたクロオオアリ

昨日3月31日は朝から曇りがちで、昼前から雨が降っていました。今日4月1日は、晴れの時間が長く、岡山地方気象台からは桜の開花を観測したとの発表がありました。
午後3時過ぎ、先月26日のブログで触れたクロオオアリの巣(B巣)の近くで、複数のクロオオアリが歩いているのを見つけました。巣口から2m半程離れたフェンスとの間を行き来しているようです。そのフェンスの向こう下には、カラスノエンドウの保護区があります。

カラスノエンドウの保護区 今日の様子 まだ花は咲いていない

フェンスの外に行くと、カラスノエンドウの保護区にクロオオアリが来ていました。3月の24日や26日には、まだこの保護区にはクロオオアリが来ていませんでしたが、それから何日か経って、今日初めてカラスノエンドウの保護区でクロオオアリを見つけました。

カラスノエンドウの茎の先にはアブラムシがたくさんついている

葉に付いた甘露を舐めているようだ

こちらは花外蜜腺を舐めているようだ

もう一ヶ所のカラスノエンドウの保護区にも行ってみると、そこにもクロオオアリが来ていました。ただ、こちらの方は数が少なく、その時は2匹でした。

この時期の蜜源は、今年の庭の環境ではとても限られていて、この2ヶ所のカラスノエンドウの保護区のみのように思えます。1年前までは、庭の管理が行き届かなく、この時期にはカラスノエンドウなどの草花が庭一面に茂っていたのですが……。
と言うのは、この1年をかけて庭を整理してきた経緯があります。庭の樹をほぼ全て切り倒し、雑草等の草花を除去してきました。そうした上で、果物の木を植え、芝地が広がるようにしてきました。そのため環境が大きく変わり、特にこの春からは、クロオオアリにとっては棲みづらい環境になっていると考えられます。
クロオオアリが冬眠から覚めて地上に出てきた時、近くに蜜源がなければ、そのコロニーは死滅するか衰退することでしょう。昨年の秋にカラスノエンドウの保護区を作っておいて正解だったということになります。

クロオオアリとムネアカオオアリの新女王アリの予約受付開始

2017年のクロオオアリとムネアカオオアリの新女王アリの予約受付を開始致しました。

今年も昨年に引き続き、新女王アリに20日間の保証(届いた時点、あるいは届いた日を入れて20日以内に女王アリが死んだ場合は、送料無料で女王アリを再送)をお付け致します。但し、5月20日までにご予約をいただいた場合と致します。それ以後は7日間の保証となります。
また、新女王アリを研究用等でまとまった数お求めの場合は、別途割引料金を適用致します。

詳しくは、こちらhttp://www.kajitsuken.net/新女王アリ.html)をご覧下さい。

また、飼育器の大小アンテシェルフは、大変ご好評をいただいている人工巣です。この機会に是非ご検討下さい。