日別アーカイブ: 2019年5月25日

2019 蒜山高原

新女王アリを採集するために、蒜山高原へ出かける日を迷っていました。5月16日のブログ「結婚飛行の〈自宅庭と蒜山高原〉の相関」で述べたことは、「自宅の庭でクロオオアリの羽アリを見てから(結婚飛行ではなく)、1週間から10日後に蒜山高原で結婚飛行がある」ということです。そうすると、今年は蒜山高原で結婚飛行があるのは、5月の28日頃から31日頃までの間ということになります。ところが、20日から始まった週は、次第に気温が上がっていき、25日・26日の土日には特に気温が上昇し、平地では30°前後まで気温が上がるとの予報でした。そこで、予想よりも早く、24日に蒜山高原へ出かけました。

例年の採集場所の一つ ヒルゼン高原センター付近

先ず、例年定点的に観察をしているヒルゼン高原センター付近を調べましたが、地面を這っているクロオオアリが少なく感じました。巣もほとんど見つけることができませんでした。
午後になって、昨年多数新女王アリを採集した第1休憩所に行きました。しかし、ここでもほとんどオオアリの巣を見つけることができませんでした。ところが、13時過ぎ、ベンチに腰掛けていると、突然クロオオアリの脱翅女王アリが1匹、目の前に現れました。

クロオオアリの新女王アリ 13時06分撮影

それから、その極近くで何やら運ばれているものがあることに気づきました。死んだクロオオアリの雄アリをクロヤマアリが運んでいました。

死んだクロオオアリの雄アリをクロヤマアリが運んでいた 13時07分撮影

既に結婚飛行があったということになります。けれども、再度第1休憩所全域を隈無く探しましたが、新たに1匹も見つけることができませんでした。
その後、別の休憩所である百合原休憩園地に行きました。ここではクロオオアリの新女王アリを2匹、側溝の中を歩いているところを採集することができました。その採集場所の側溝にはすき間があり、そのすき間を巣口にしているクロオオアリの巣がありましたので、その巣から出てきて、交尾を済ませた女王アリの可能性がありました。
この後に採集したものを合せると、24日は、第1休憩所でクロオオアリの女王アリを1匹、ムネアカオオアリの女王アリを1匹、百合原休憩園地でクロオオアリの女王アリを2匹、ヒルゼン高原センター付近でクロオオアリの女王アリを2匹を採集しました。
翌25日は、第1休憩所でクロオオアリの女王アリを1匹、ムネアカオオアリの女王アリを2匹、道の駅蒜山高原でムネアカオオアリの女王アリを1匹採集しました。
2日間を合せると、クロオオアリの新女王アリは6匹、ムネアカオオアリの新女王アリは4匹となります。

25日に採集したムネアカオオアリの新女王アリ 15時35分撮影

3日目の26日も、気温がとても高くなる予報でしたので、蒜山高原で採集を続けるかどうか迷いました。けれども、結局この2日間で採集を終えようと思い始めていました。
一番の決め手は、結婚飛行の前兆となる巣口の様子です。2日間を通して、巣口に羽アリが出ているところを見ることはありませんでした。そこで、2つの可能性が考えられました。もう既に結婚飛行のピークが終わってしまっているのか、それともこれからなのか ─ どちらにせよ、明日結婚飛行のピークを迎えはしないはずです。
そのように思いかけている時、やっと判断を後押ししてくれそうな巣口に出会いました。

クロオオアリの巣口 今拡張しているところだった 15時12分撮影

道の駅蒜山高原の近くを探索している時、巣穴が大きく空いた巣を見つけました。しかも、雨が降った後でもないのに、土を運び出して巣口を広げていたのです。これは、自宅の庭で5月21日に起こった現象(「巣口に雄アリが出てきた」)と同じです。結婚飛行のための巣口の拡張です。ちなみに、庭では当日に初めて雄アリが巣口に現れました。
2日間で巣口を拡張している巣を見つけたのはこの一例だけでしたので、確言はできないものの、蒜山高原での結婚飛行は既に終わったのではなく、まだ少し先のようです。

参照:最高/最低気温のデータ(蒜山上長田)
    24日 28.4℃ / 6.0℃
    25日 29.3℃ / 7.0℃