日別アーカイブ: 2019年9月25日

移植したB16013が生きていた

今年の6月8日に庭に移植し、6月18日に引越先が分かったクロオオアリのコロニーのB16013ですが、この3ヶ月ほど巣口を出入りする働きアリの姿を見ていませんでした。既に滅亡してしまったのではないかと心配でした。
ところが、9月25日、巣口の周辺にクロオオアリの働きアリが複数いるのを見かけました。その内の1匹は、巣口の近くに設置している蜜器の中にいました。そこで、その蜜器に蜜を入れました。蜜を吸ったこのアリは、帰路につきましたが、後を追うとB16013の引越先の場所へ戻って行きました。別のアリには、岩に蜜を垂らし、この蜜を吸ったクロオオアリも、B16013の引越先の場所へ戻って行きました。B16013は、滅亡してはなかったのです。
やがて、巣口近くから2匹のクロオオアリが出てきました。

15時57分撮影

先頭のアリが、リズミカルに、時々、腹部を地面に着けながら歩いていました。その後を働きアリが1匹付いて行きました。先頭のアリが、先程の蜜器へと案内しているようです。ところが、道案内を間違えてしまいました。蜜器を載せている測量杭のすぐ横に岩があり、その岩を登り始めたのです。

測量杭のすぐ横にある岩に登って行くアリたち 15時59分撮影

しばらくの間、先頭のアリは、岩を歩いて付いてくる仲間を案内していましたが、間違いに気づいたのか、案内するのをやめたようで、付いてきていた仲間をそのままにして、元の方向へ戻って行きました。そして、案内をしていたアリだけが、蜜器にたどり着きました。これまでに、道しるべを付けながら、餌場に仲間を案内するクロオオアリを数多く見てきましたが、案内を間違えるのを見るのは、これが初めてでした。
巣口と蜜器との距離はとても短いのですが、それでも途中の大部分は芝地で、歩きづらくなっていました。そこで、「高速道路」を作りました。

木片を使った高速道路 16時52分撮影

やがて、この高速道路を端から端まで使うクロオオアリが現れました。

高速道路を使って巣に戻るクロオオアリ 17時17分撮影

その頃には、蜜器にやってくるクロオオアリは多くなっていました。

6匹のクロオオアリが写っている 17時17分撮影

新たなトゲアリのコロニーを発見

滋賀県でのトゲアリの新女王アリの採集に失敗してしまいましたので、岡山の自宅近くで採集できればと思い、9月25日、3年前に見つけていたトゲアリの棲息場所へ出かけました。毎年この場所で、新女王アリの採集を試みていますが、これまでに一度も女王アリを見かけることはありませんでした。今日の観察の限りでは、働きアリの活動範囲が以前よりも狭く、クヌギと思われる樹にのみトゲアリがいました。辺りに新女王アリはいませんでした。

クヌギと思われる樹の幹を行き来するトゲアリ 9時13分撮影
中央がトゲアリがいる樹 地面近くが洞になっている 9時21分撮影

これまでも、この公園の隅々を探しても他の箇所でトゲアリを見つけることはできませんでしたが、念のために、新女王アリを探しにいつもの歩道を歩いていると、開けた幅広の道の脇でトゲアリの働きアリを見つけました。

道路脇のコンクリートの上を歩くトゲアリの働きアリ 9時25分撮影

近くの樹を見ると、幹を行き来するトゲアリがいました。

幹を行き来するトゲアリの働きアリ 9時26分撮影
外灯の支柱の左にある樹にトゲアリがいる

トゲアリの巣はどこにあるのでしょうか。蜜があれば、蜜を与えて帰路を追えば良いのですが……、そんなことを考えていると、何かを咥えて足早に歩いているトゲアリの働きアリがいました。

何かを咥えている 9時35分撮影

後を追ってみると、樹を登り始めました。

樹を登って行くトゲアリ 9時36分撮影

どうやら巣は、樹の上にあるようです。そこで、その樹の上方を見るのですが、そもそも根元の幹が細い樹ですから、樹の上方はますます細くなっていて、トゲアリが棲めそうな洞のようなところも見当たりません。後を目で追っていたトゲアリも樹の上の方で見失ってしまいました。結局、巣のありかは分かりませんでした。

樹の上方(中央の樹) 幹が細い

ところで、地上を歩いているトゲアリを見ていると、このトゲアリたちが何をしに地上を歩いていたのかが分かりました。近くで、何かの昆虫の死体にたくさんのトゲアリが集まっていました。

何かの昆虫の死体らしい 9時46分撮影

落ち葉を取り除くと、死体の他の部分も見えるようになりました。カマキリの死体でした。

カマキリの鎌が見える 9時49分撮影

先程、何かを咥えて樹に登って行ったトゲアリは、このカマキリを解体した身体の一部を咥えていたようです。確かに、咥えていた物は色が緑がかっていました。
何匹かが、同じように何かを咥えて樹へと向かっていましたので、その内の一匹から、その咥えていたものを取り上げました。自宅に帰ってから、実体顕微鏡で見ると、何かの昆虫の形ではなく、かみ砕かれた身体の一部でした。

働きアリが咥えていた物 実体顕微鏡で撮影

今回トゲアリを発見した箇所は、広い歩道に面していて、平地になっているため、比較的観察しやすい場所でした。ただ、コロニーの規模は、小さいように感じました。

この公園で、2つ目のトゲアリのコロニーを発見しましたので、それぞれにシリアル番号を付けることにしました。3年前に見つけたコロニーをTT20160513、今回新たに見つけたコロニーをTT20190925とします。「TT」の初めのTはトゲアリを、2番目のTは発見地を、数字は発見日を表します。