月別アーカイブ: 2020年8月

新たな最後の移植

今年採集のオオアリの移植としては、今回で最後にしました。
敷地の西のコンクリート塀に沿う場所に移植したクロオオアリの12のコロニーでは、移植の翌日の5日には、全て地中に移動していました。

地中へ穴を掘っている B20200603-018 5日6時27分撮影
全景 5日6時33分撮影

8月7日、この場所に新たにクロオオアリの18コロニー移植しました。

左方向に見える黒色の柱は測量杭で蜜器を載せている その手前の4ブロックと奥の2ブロックを追加した 7日16時49分撮影

クロオオアリ:共通シリアルナンバーは(B200603) 以下は (-下3桁)
-002 -035 -048 -051 -078 -081 -089 -114 -117 -122
-123 -129 -131 -140 -141 -154 -156 -161
移植時点での働きアリの数:順に
10匹 13匹 7匹 7匹 12匹 11匹 11匹 9匹 11匹 10匹
9匹 8匹 9匹 10匹 10匹 10匹 10匹 10匹

8月4日に切り株に移植したムネアカオオアリの場合は、多くの場合は順調ではないようです。その原因としては、小型のアリに襲われやすいということもありますが、この間の猛暑に耐え切れなかったことが大きな原因のようです。

「桜2」に移植 小型のアリに襲われている R20200603-011 5日6時43分撮影
「栗2」に移植 シリアゲアリに襲われている R20200603-045 5日6時44分撮影
「栗3」に移植 こちらはまだクリアカップに止まっていた R20200603-068 5日6時45分撮影

8月7日に、再び同じ箇所と新たな箇所に、ムネアカオオアリの17コロニーを、8日にムネアカオオアリの2つのコロニーを移植しました。

移植場所として新たに加えた切り株 7箇所に移植している 17時2分撮影

コンクリートブロックを使った移植 +B20R10 のその後

7月31日に移植したコンクリートブロックを使った「移植」のその後と結果について、8月6日の時点でまとめてみます。
移植翌日の8月1日、クロオオアリのコロニーでは、20コロニーの内1コロニーを除いて、クリーンカップから出て、真砂土に穴を掘って移動していました。1コロニーは、女王アリがクリーンカップの中で死んでいました。

B20200603-095 クリーンカップから真砂土の中に移動していた 巣への出入り口は小さい 14時12分撮影
女王アリが死んでいた B20200603-079

ムネアカオオアリのコロニーでは、10コロニー全てが、真砂土に穴を掘っていませんでした。

R20200603-048 クリーンカップから出てはいたが、真砂土の地面に止まっていた 14時52分撮影
蛾を与えてみた B20200603-054

8月2日、異変が起こっていました。コンクリートブロックのクロオオアリの箇所では、前日、アクリル板の蓋を外していたのですが、その多くで、庭のA巣と思われるクロオオアリがクロオオアリのコロニーを襲っていました。巣の出入り口を拡張して、巣の中に押し入っているようです。

20200603-179の様子 複数のA巣から来たと思われるクロオオアリが巣口を拡張していた 8時6分撮影

新巣から逃げ出した女王アリもいました。

9時7分撮影

侵入者に食い付いた働きアリもいました。また、幼虫を咥えて逃げ出した働きアリもいました。

9時7分撮影 体の大きさの差は歴然
9時11分撮影 体の大きさから襲われた方の働きアリだと分かる

この2日の冒頭の写真のB20200603-179では、ついに侵入者が女王アリがいる箇所まで到達したのでしょう、女王アリが大型の働きアリに捕らえられていました。

9時17分撮影

その後、女王アリが死んでいるのを見ましたが、12時過ぎに見ると、その死体はなくなっていました。襲った複数のクロオオアリもいませんでした。

B20200603-179 12時6分撮影

移植したクロオオアリの20コロニーのほとんどが、この日、A巣から来たと思われるクロオオアリに襲われ、滅んだようでした。ムネアカオオアリの10コロニーは、アクリル板で蓋をしていたため、襲われずにすみました。
移植後の捕食者として、小型のアリが来ないように警戒していたのですが、同種のクロオオアリも捕食者となることが分かりました。A巣のクロオオアリにしてみれば、コンクリートブロックの移植場所は、A巣に近い所(最短で3m強)にあり、「なわばり」の中のような場所だったのでしょう。(クロオオアリに「なわばり」のようなものがあるのかについては知見がありませんが、複数のクロオオアリ同士が戦っているところは時々目にします。これが「なわばり」のようなものなのかも知れません。)

8月6日、ムネアカオオアリの10コロニーを見たところ、全てのコロニーが死滅していました。岡山での梅雨明けは7月30日で、30日と31日には雷雨がありましたが、その後はとても暑い日が続いていました。ムネアカオオアリは10コロニーとも、この間も地中へは穴を掘らずにいましたので、アクリル板の蓋は被せたままにしていました。そのため、コンクリートブロックには、直接日光が長時間直接当たる環境でしたので、熱死したのだと考えられます。すでに、蓋とコンクリートとのとてもわずかな隙間を通って、小型のアリがコンクリートブロックの穴のスペースに入り込んでいました。

コロニーは全滅している 小型のアリが見られる R20200603-088 9時24分撮影
R20200603-048 9時25分撮影

ほんのしばらく経つと、ムネアカオオアリの幼虫や遺体が運び出されていました。

幼虫が運ばれて行く 9時34分撮影
働きアリの死体が運ばれて行く 9時35分撮影
女王アリの頭部が運ばれて行く 9時37分撮影

ムネアカオオアリの移植に失敗したのはとても残念なのですが、このことで、分かったことがあります。7月25日に行った移植でも、ムネアカオオアリの場合は、例えば、31日にはR20200603-037は、W拡張蓋の底面の下へ移動していましたが、土を掘って地中へ移動したわけではありませんでした。

R20200603-037 W拡張蓋の底面の下へ移動していたが、土を掘って地中へ移動したわけではない 7月31日撮影

今回は10コロニーの全てが、地中へ穴を掘りませんでした。このことから、これら2つの移植の際の条件下では、ムネアカオオアリは地中に巣を作らないようです。ただ、実際の自然観察では、コンクリート等の隙間も含めて、地中に巣があるのを見かけています。

ムネアカオオアリを切り株に移植 +R10

コンクリートブロックを使った移植で、ムネアカオオアリは、地中へは巣を作りませんでしたので、8月4日、切り株に移植することにしました。
庭には、大きな切り株が5つあります。2本はサクラの木で、3本はクリの木です。その内、クリの木の2本は生きています。

サクラの木の切り株 手前を「桜1」奥を「桜2」とする
クリの木の切り株 手前から「栗1」「栗2」「栗3」とする 「栗1」と「栗2」は生きている

飼育しているクリアカップの蓋を取り、育苗用のジフィーポットを被せ、輪ゴムまたはセロハンテープで固定します。

これを切り株の上に置きます。置く直前に小さめの穴を空けます。

「桜1」に置いたところ 日除けもした 16時46分撮影

その後、敷地外になりますが、隣地にある5本の切り株にも移植しました。

隣地の切り株にも移植 17時31分撮影
隣地の5本切り株 左から「外1」「外2」「外3」「外4」「外5」 いずれも枯れている

庭の切り株に移植して僅かに1時間強が経った時、「栗1」に移植したR20200603-028を見ると、多数のシリアゲアリに襲われていました。

戦いの後のようだ 17時49分撮影
女王アリだけが生き残っていた

この切り株に移植する方法も、かなり危険を伴うようです。

コンクリートブロックを使った新たな試み +B12・B6×3

7月31日に移植したコンクリートブロックを使った「移植」では、クロオオアリのコロニーが先住のクロオオアリに襲われ、ほぼ全滅したようです。そこで、このA巣から離れたところで、コンクリートブロックを使って同じ方法で、8月4日、再度移植をすることにしました。
その第一候補地として、敷地の西のコンクリート塀に沿う所を選びました。この場所は、今年の4月の末に、それまで植えてあったビャクシンとサツキを全て伐採し、フェイジョアを植えています。アリを見かけることはほとんどなく、また西日が当たらないところです。

ここに移植したのは次のクロオオアリの12コロニーです。

クロオオアリ:共通シリアルナンバーは(B200603) 以下は (-下3桁)
-013 -014 -018 -026 -037 -045 -046 -063 -121 -127 -182 -184
7月29日時点での働きアリの数:順に
7匹 7匹 7匹 7匹 7匹 7匹 7匹 7匹 7匹 7匹 8匹 8匹

この他に、3箇所にクロオオアリのコロニーを各6コロニーずつ、同じ方法で移植しました。

南斜面下のピオーネの近く

クロオオアリ:共通シリアルナンバーは(B200603) 以下は (-下3桁)
-134 -136 -144 -145 -151 -153
7月29日時点での働きアリの数:全て7匹

東斜面下のブドウ園の中

クロオオアリ:共通シリアルナンバーは(B200603) 以下は (-下3桁)
-158 -168 -171 -173 -176 -178
7月29日時点での働きアリの数:全て7匹

南側フェンス外 アケビ植栽前

クロオオアリ:共通シリアルナンバーは(B200603) 以下は (-下3桁)
-011 -012 -025 -071 -072 -082
7月29日時点での働きアリの数:全て6匹

+R5コロニーのその後

+R5コロニー(ムネアカオオアリ)の8月2日の様子です。
移植した7月29日には、クリーンカップに止まっていたR20200603-046も素焼植木鉢皿の中に入ったようです。R20200603-053は、クリーンカップからは出ているようですが、植木鉢皿の中には入っていないようです。

R20200603-046 作り直された巣口が見える
R20200603-047 作り直された巣口が見える
R20200603-051 作り直された巣口が見える
R20200603-053 クリーンカップからは出ているが、植木鉢皿の中には入っていないようだ
R20200603-055 巣口から働きアリが出て来た

植木鉢皿の中がどうなっているかは見ませんでした。地中に穴を掘っているのでしょうか。