野外蜜器を設置

10月8日のブログで、クロオオアリの2つのコロニーが自宅の庭への移植に成功していたことを書きましたが、この2つのコロニーの今後の繁栄を考えると、蜜源を巣の近くに確保する必要がありそうです(たんぱく源はこれらのコロニーにも容易に確保できそうです)。以前から庭に巣があるクロオオアリに関して言えば、今年の6月14日のブログ〈クロオオアリの行動範囲とアリの「高速道路」〉で書いているように、庭を出て隣接する林の中で蜜源を確保していますが、他方これらの2つのコロニーはまだ家族の規模が小さく、おそらくそれほど遠くへは遠征できないでいると思われます。

ところで、庭の環境についてですが、今年の春から大きく植栽を変えています。これまで庭に植わっていたほぼ全ての樹木を伐採し、新たに40本を越える果樹を植え、ガザリアなどの花やミント・イチゴ・野菜などを植えています。また、庭全面に芝が広がるようにしています。そして、今後は雑草が生えないように庭全体を管理します。これまで、春にはアリの蜜源になっていたカラスノエンドウなども、雑草用に特設する場所を除いて除草します。このことは、庭に隣接して林があるとは言え、以前から庭に棲み付いていた大家族のクロオオアリにも大きな影響を与えることになります。

このような事情から、10月9日、庭のクロオオアリたちに人工的に蜜を与える試みをしてみることにしました。
蜜を入れる器は、地面に直置きせずに、少し高めにして設置します。そこで、プラスチック製の境界杭を使い、その頭の部分に自家製のアクリルの蜜器をはめ込むことにしました。

野外蜜器の全体像

野外蜜器の全体像

蜜を入れる部分は、縦横3.1cm高さ1cmで、容積としては最大9.61mLあります。

蜜を入れたところ

蜜を入れたところ 17時7分撮影

ただ蜜は5mL入れることにしました。屋根に当たる部分はとても簡易的なつくりですが、雨水が入りにくくなっています。また、杭の頭の部分の縦横は30mmなので、蜜器の下部の内壁は縦横31mmにしていて、杭とは容易に脱着ができるようにしています。

蜜器の図面

蜜器の図面

蜜器はB巣のクロオオアリ(「庭のクロオオアリの巣の位置図」を参照)が日常的によく使っている道のすぐ横に設置しました。それから、設置場所の近くまで来た往きのクロオオアリを捕らえ、蜜器に置きました(上の2つの写真はその時の様子)。やがて、蜜を腹部いっぱいに吸って境界杭を伝って下りていきます。このクロオオアリは、蜜器の設置場所より更に先へ方へと向かっていましたし、いきなり蜜器の上に置かれたのですから、帰り道が分かるかどうか心配でしたが、すんなりと迷うことなく帰路につきました。巣までかなりの距離がありますから、再び蜜器に戻ってくるまでには時間がかかりそうでした。
ところが、ほんのしばらくすると、オオズアリが蜜器にたくさん集まってきました。

蜜器に集まったオオズアリ まだ大型の働きアリは来ていない 17時17分撮影

蜜器に集まったオオズアリ まだ大型の働きアリは来ていない 17時17分撮影

そこで、蜜器を杭から取り外し、今日の観察はここまでとしました。

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  1. ピンバック: カラスノエンドウの保護区を作る | anttech.jp

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