季節が進んで庭に長時間いても苦痛ではなくなりました。これまでは暑さと蚊がとても不快でしたが、適度な温かさになり、蚊に刺されることもほとんどなくなり、何時間でも気持ちよく庭で過ごせるようになってきました。
昨日10月15日、B巣のすぐ近くに蜜器を置いておきました。人為的にB巣のクロオオアリに蜜器の場所を知らせる事はしませんでしたが、巣の近くなのでその内に蜜に気づくのではないかと期待していました。けれども、15日の夕刻になってもクロオオアリは訪れず、やって来たのはクロヤマアリでした。
今日16日、9時過ぎに蜜器のところへ行ってみると、クロオオアリが1匹来ていて、クロヤマアリが少しいました。蜜はほぼ無くなっています。そこで、蜜を5mL付け足しました。
その蜜を飲んで巣に帰ったのでしょう、B巣からぞくぞくと働きアリが出てきました。
蜜を付け足してからわずかな時間で、クロオオアリが蜜器にたくさん集まりました。
ところで、たくさんの働きアリが蜜器の方面へ歩いていったのですが、その蜜器の場所を越えて歩いていくアリたちがいました。なぜだろうと思っていると、蜜器からほんの少し離れた場所に数匹の働きアリが一ヶ所にかたまって何かをしていました。そこには、クモの死体がありました。実は、この場所の蜜器を最初に見に来た時に、クモの巣に引っ掛かり、その時は、クモの巣を払っただけでしたが、付け足す蜜を持ってきた時に、地面を這っているそのクモを見つけ、足で踏みつけて殺していました。そのクモの死体だったのです。
やがて、解体したクモの一部を運んでいくクロオオアリを見つけました。
更にもう一匹がクモの死体を運んでいきました。
ふと足下を見ると、緑色のものを銜えて歩いているクロオオアリがいました。以前にもよく見た風景でしたので、アリが銜えているものが幼虫であることがすぐに分かりました。
どこに帰るのか後を追ってみると、先ほどの巣穴とは違う穴の中に入っていきました。
クモを解体して巣へと運んでいったことや、緑色の幼虫を狩したことから、この時期もたんぱく源を必要としていることが分かります。
そうこうしている内に、蜜器の蜜がなくなってしまいました。
再び、蜜を補給しました。
さて、アリの道の道しるべについて、10月12日のブログで、「ところで、仲間無しで1匹だけで、地面に道しるべを付けながら花壇脇の蜜器まで行ったクロオオアリがいました。どこの巣から来たものなのかは確かめていません。1匹だけで道しるべを付けながら歩いていくのを見るのは初めてのことです。このようなことはよくあることなのか、またどのような意味があるのか、今後の観察で明らかになればと思います」と記しましたが、この単独で道しるべを付けながら蜜器へと向かう働きアリを短時間に3匹、目にしました。
この場所の蜜器の先客はクロヤマアリでしたが、クロオオアリが来るようになってからは、クロヤマアリは全てではないのですが、追い払われています。中にはクロオオアリにかみ殺されたものもいます。追われたりして危険を感じると、蜜器から飛び降りるものもいます。境界杭の麓周辺には、クロオオアリとクロヤマアリがいて、クロヤマアリが杭を登るのをクロオオアリが防いでいるようにも見えます。
小さなアブのような生き物がやって来ていました。ノヒラマメヒラタアブのオスのようです。
「高速道路」を見ると、いつもはクロオオアリが行き来しているのですが、姿がありません。日常的にこの「高速道路」を利用しているのが、今蜜器にたくさん集まっているB巣のアリたちです。極く近くで蜜が得られることになったので、わざわざ遠くの庭の外の林まで、蜜を求めて出かける必要がなくなったのでしょう。
ところで、B巣の巣口と蜜器までの歩行直線距離を測ってみました。50cm弱でした。
午後になり、一つ確かめておきたいことがありました。緑色の幼虫を運び込んだ巣穴のコロニーと、蜜器の蜜を吸っているコロニーは、同じコロニーなのかということです。
巣口は1.1m程離れいます。
もし、同じコロニーなら、幼虫を運び込んだ巣口から出てきたアリを蜜器へ人為的に移動させれば、帰りは元の巣口(写真の左)に帰らずに、右の巣口(蜜を吸いに来ている巣口)に帰るかも知れません。そこで、左の巣口から出てきたと思えるクロオオアリを捕らえて、空間移動させて(人為的に)蜜器へと運びました。
蜜器では、他のクロオオアリから受け入れられていて、喧嘩は起こりませんでした。これだけでも、同じコロニーのアリであることが実証されたようなものですが、はたしてどの巣口に戻るのでしょうか。やがて腹部が膨らむと、地面へと下りて行きました。歩き方や歩く方向が、他の回りのアリとは違っています。このアリは、大体は右の巣口の方面へと上っていきましたが、迷っている時の歩き方をしていて、巣口の辺りを通り越して、更に上へと斜面を登っていきました。帰路が全く分からないようです。同じコロニーのアリなら、仲間が既に作っている道しるべが分かると思うのですが、全くその道しるべに気づかないのか、利用しなかったのです。
ずいぶん辺りを迷って歩いた後、おそらく偶然に、元の左の巣穴の場所が分かったようです。左の巣穴に入っていきました。再び出てきて、蜜器へと向かうのではないかとしばらく見ていましたが、確かめるまでには至りませんでした。もし、先ほどのアリが出てきたとしても、あれほど迷って歩き回っていたのですから、蜜器へたどり着けはしないでしょう。もちろん、道しるべを付けながら歩いていたのでもないのですから、なおさらです。
左右の巣口のクロオオアリは、同じコロニーのようには思えるのですが、確かな検証をしてみることにしました。両方からクロオオアリを捕らえ、試験管の中で出会わせました。
喧嘩は起こりませんでした。更に念押しになったのですが、2匹のアリを1匹ずつ元の試験官に戻し、試験管に入っている状態で、試験官の口を巣口に近づけ、巣口に入っていくところを観察しました。その際、上写真左側の頭部の大きなアリは左の巣口のアリでしたので右の巣口に、右の頭部の小さい方のアリは右の巣口のアリでしたので左の巣口に、試験官の口を近づけました。どちらもすんなりと巣の中に入っていき、慌てて飛び出してくるということはありませんでした。
更に別の働きアリをそれぞれの巣口近くで捕らえ、同じことを繰り返しました。結果は同じでした。
こんにちは。はじめて書きこませていただきます。
いつも拝見させていただいております。昨年から蟻の飼育をはじめてこの日記にたどり着きました。
詳細な考察で丁寧に蟻の生態について書かれていることで大変助かり、飼育も楽しいものでした。
先日、ムネアカオオアリの女王があおむけになり、触覚が動くのみで噂に聞いていたその時がきたのかなと思っています。まだ息はあるようで周りのワーカーが解体する様子はありませんが。。
いろいろ手を尽くしたのですが残念な気持ちですが、楽しいひと時を過ごせたのはこちらの日記での様々な考察があってこそ、知識を深められたと思っています。ありがとうございました。
迷惑かと思いますが、感謝いたしたくメッセージを残させていただきます。
これからもこちらに伺い、楽しく拝見させていただこうと思っております。