10月31日、三度トゲアリの巣がある場所を訪れました。
C巣がある木の幹を見ると、何やら白っぽいものを働きアリが運んでいます。木にいた青虫を捕ってきたのかなとも思いましたが、何だかトゲアリの幼虫のように見えました。
しばらくすると、また何かを運んでいるトゲアリを見ました。このトゲアリも幹の上から下へと運んでいます。やはり、トゲアリ自身の幼虫のように見えました。
そして、またしばらくして、幼虫らしいものを運んでいるトゲアリを見ました。
いずれも、くわえていた荷物と一緒にトゲアリを捕らえて、帰宅してからじっくり見てみました。
いずれも、トゲアリ自身の幼虫のようです。これらの幼虫は、木の上方にある樹洞から運ばれてきたように思うのですが、おそらく木の根元の巣まで運ぶ途中だったのでしょう。今回は、そのルートを調べないで、採集をしたわけですが、次回同様の場面があれば、その時はどこからどこへ運んでいるのか確かめることにしました。
さて、この日は、3つの巣から働きアリをそれぞれ10匹とプラスアルファ匹捕らえるのが目的でした。それぞれの10匹は、アンテキューブで飼育し、プラスアルファ分は、違う巣の働きアリ同士を引き合わせて、喧嘩になるかどうかを調べるために使います。
まずは、しきりの壁の穴を4mmに拡張したアンテキューブに10匹ずつ入れました。
それから、違う家族の働きアリ同士を一緒にして喧嘩をするかどうかの実験です。ただし、A巣は、前日に比べて幹を歩く働きアリが少なく、10匹採集するのがやっとでしたので、この実験はできませんでした。
前日に採集したB巣の7匹の働きアリがいるアンテキューブの中へ、C巣の働きアリを1匹入れてみました。すると、予想に反して、喧嘩は起きず、すーとB巣のトゲアリの中へ違和感なく入りこんでしまいました。
次に、同じB巣の働きアリを1匹入れてみました。これは、予想通り、すんなり仲間の中へ入って行きました。
次は、再びC巣の働きアリを1匹入れました。すると今度は、すぐさま咬みあいました。どちらの方が咬みついたのか分からなかったのですが、片方の大腮を 長時間咬みついていました。
まわりのB巣の働きアリの様子はというと、無関心で、加勢しようとしていませんでした。
この後に、C巣の働きアリを3匹入れたのですが、 いずれも何も起こらず、すんなりと入りこんでいきました。
B巣の残りの6匹もこのアンテキューブの中にいれ、全部で19匹になりました。
この実験の結果は、予想を覆すものでした。26日にA巣の働きアリとB巣の働きアリを1匹ずつフィルムケースに入れた時にも(3例ともに)喧嘩が起こりませんでした。家族の違いで排斥し合うのがアリの世界では必然だと思っていたのですが、トゲアリでは事情が違うのかも知れません。今後、更に研究してみる必要がありそうです。
ちなみに、先程の喧嘩になったアリ同士ですが、3時間ほど経ってみた時には、喧嘩は終わっていて、どの働きアリも和んでいました。仲好し19人?組といった感じです。