クロオオアリの3通りの歩き方

直前のブログでは、再度、クロオオアリの庭への移植を行ったことを書きましたが、その後、夕刻に見てみると、3つのコロニー共に飼育器の惣菜容器から出ていて、女王アリの姿はありませんでした。その内、BK17057では、水槽の角のところに、外に繋がる穴が空いていました。

水槽の右の角のところに外に通じる穴が空けられていた

その穴を見ていると、働きアリが出入りしているのが分かりました。近くに直径10数ミリメートルの穴があり、そこと行き来していました。両者は、32cm程離れています。その穴は、園芸用の支柱で空いた穴のようにも見えましたが、なぜそこに穴があるのかは分かりませんでした。
働きアリが行き来する様子を、初めは一眼レフカメラで動画を撮りましたが、その後はiPadで撮影しました。
以下は、iPadの撮影データです。

撮影開始時刻 4月23日18時8分15秒
連続撮影時間 30分31秒
① 働きアリの往復の記録(経過時刻と時間) 〈〉内は下の動画の経過時刻
帰路 穴から水槽へ 0分15秒出 → 0分50秒着(0分35秒間)
往路 水槽から穴へ 1分45秒出 → 3分07秒着(1分22秒間)
帰路 穴から水槽へ 4分23秒出 → 4分52秒着(0分29秒間)
往路 水槽から穴へ 6分32秒出 → 7分48秒着(1分16秒間)
帰路 穴から水槽へ 9分06秒出 → 9分39秒着(0分33秒間)
往路 水槽から穴へ 11分24秒出 → 12分47秒着(1分23秒間)
帰路 穴から水槽へ 14分00秒出 → 14分28秒着(0分28秒間)
往路 水槽から穴へ 16分30秒出 → 17分40秒着(1分10秒間) 〈1分03秒 → 2分13秒〉
帰路 穴から水槽へ 22分44秒出 → 23分18秒着(0分34秒間) 〈7分17秒 → 7分51秒〉
往路 水槽から穴へ 24分38秒出 → 25分38秒着(1分00秒間) 〈9分11秒 → 10分11秒〉
帰路 穴から水槽へ 26分54秒出 → 27分29秒着(0分35秒間) 〈11分27秒 → 12分12秒〉
往路 水槽から穴へ 28分51秒出 → 30分26秒着(1分35秒間) 〈13分24秒 → 14分59秒〉

② 探索行動の記録
15分27秒〈0分0秒 下の動画の起点〉に画面左下から現れ、21分41秒〈6分14秒〉に水槽へ帰る

下の動画は30分31秒の原動画を最初からの15分27秒間をカットして、15分4秒にしたものです。

15分4秒の動画

この動画には、クロオオアリの3通りの歩き方が記録されています。以下その3通りの歩き方に触れてみます。
時間経過を数値化した上記の働きアリの往復の記録からは、とても顕著な傾向が読み取れます。「水槽から穴へ」向かう際(往路)には、1分以上(平均時間1分18秒)をかけていますが、「穴から水槽へ」向かう際(帰路)には、30秒程度(平均32秒)の時間です。その時間の違いは、歩く距離の違いではなくて、歩くスビードの違いです。往路では、3歩毎に腹部を曲げて腹部の先を地面につけていますが、帰路では、速く歩きながら時々腹部を曲げています。
また、第3の歩き方は、探索行動をしているかに見える歩き方です。腹部を地面には付けていません。
下の動画は、それぞれの場面を拡大して捉えた動画です。

往路では 20秒の動画

帰路では 20秒の動画

探索では 20秒の動画

ところで、クロオオアリが水槽と穴を何度も往復しているのですが、穴に行く目的のようなものが分かりません。また、観察した限りでは、複数のアリが往路と帰路を同時に歩く場面はなく、交互に往路と帰路を繰り返しているところから、1匹のアリの行動とも考えられます。また、一瞬ですが、15分4秒の動画の9分11秒の時点で、水槽から穴へと向かう直前のアリが、仲間のアリを引っ張る場面があります。穴への引越を促す行動だったのでしょうか。

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