ヘウレーカ! なぜアリは行列するのか?

6月6日に、NHK制作の「又吉直樹のヘウレーカ! 『なぜアリは行列するのか?』」という番組が放送されました。アリの行列に関してのテレビ放送としては、昨年の4月15日にも、NHKの Eテレで「なりきり! むーにゃん生きもの学園『アリになりきり』」が放送されています。その際にも、放送内容について、ブログで書いていますのでご参照下さい。

今回の放送では、次のようにアリの行列ができる仕組みを説明しています。

実例としては、モリシタケアリ(クサアリの一種)を取り上げていて、このアリは「いつも行列を作っているアリ」として紹介されています。つまり、上記のアリの行列の説明は、「いつも行列を作っているアリ」の場合としています。NHKの Eテレ放送の「なりきり! むーにゃん生きもの学園『アリになりきり』」では、特定の習性を持ったアリの行列についてと言う断りがなく、アリ一般の行列の仕組みを説明しているかのように受け取れますが、この点で、今回の放送との違いがあります。
上記のアリの行列の説明は、確かに理屈が通っているように思えます。ですが、良く吟味すると引っかかるところもあります。たとえば、「近くでふらふらしていたアリたちもフェロモンに気づき」「エサへと向かう」と説明していますが、フェロモンには方向性はないと考えられますから、どちらにエサがあるかは分からないでしょう。この場合は、出会う仲間に歩く方向を教えてもらうのでしよう。細かなことについては、更に吟味する余地がありそうです。

とは言え、この番組の最も大きな問題点は、アリの行列ができる仕組みを図で説明して終わっていることです。つまり、実写がないのです。アリの行列の説明を観察なしでしているとすれば、それは仮説に過ぎません。

これまでのブログで、いずれもクロオオアリに関してですが、幾度もアリの行列について書いてきました。仮説を立て、実際に観察で確かめてもいます。

マーキングを撮る(2013年6月12日)
アリの道(2016年4月14日)
クロオオアリの行列の起因は?(2016年5月14日)
道しるべ(2016年10月12日)
「ありの行列」を考える その1(2017年4月06日)
「ありの行列」を考える その2(2017年4月06日)
NHK Eテレ なりきり! での道しるべのこと(2017年4月17日)
「ありの行列」を考える その3(2017年4月18日)
「ありの行列」を考える その4(2018年4月10日)
「ありの行列」を考える その5(2018年4月20日)

再録になりますが、 Eテレ放送の際に書いた仮説を引用しておきましょう。

⑴クロオオアリは、自分たちの生活圏内で餌探しをしているので、餌を見つけた時には、道しるべはなくても、自分の巣に帰ることができる。つまり、餌探しをしながら、帰路のために道しるべを付けているのではなく、その必要もない。
ミツバチは、餌を探す際、空中に道しるべを付けようがなく、それでも、餌を見つけて自分の巣に帰ることができるが、アリの場合も同様と考える。

⑵ 餌を探し当てて巣に帰る際にも、道しるべは付けない。帰路は、餌を探していた道とは違った場所を歩いていて、かなり迷っていることもあるが、いずれにしても腹部を地面をつける行為は見られない。
それでも、帰路に道しるべを付けているとした場合、説明しにくいことがある。というのは、餌を見つけて戻ってきたアリが、仲間を連れて再び出かけるまでに10分から15分程経過する。例えば、真夏のかんかん照りの日だったなら、その間にフェロモンはほとんど蒸発してしまうのではないだろうか。

⑶ 仲間を連れて再び出かけるクロオオアリは、観察によれば、直前に戻ってきた道に沿って歩かない。先程の帰路よりは、多くの場合近道になっている。この再度餌場に出かける時に、初めて地面に道しるべを付ける行為を見ることができる。その道しるべを付けながら餌場に向かうアリは、数匹の中の必ず1匹のみで、先頭を行くアリである。この1匹のアリが、先程餌を見つけたアリだと考えられる。
先導する1匹のアリに数匹が右往左往しながら付いていくわけだが、その時に道しるべフェロモンが道しるべとして使われている。仲間が1匹の先導者の直後についていくのだから、フェロモンはまだ蒸発しないで感知できるのだろう。アリの視力はとても悪いようなので、他の動物のように、先を歩く仲間の姿は見えず、フェロモンが唯一有効なのでないだろうか。

「いつも行列を作っているアリ」に関しては、NHKの放送内容が正しいのか、それとも「いつも行列を作っているアリ」もクロオオアリと同じようにして行列を作るのか、とても興味深いところです。

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