「直短的社会寄生」の試みは課題を残して終了

昨年の9月から始めたトゲアリの女王アリの「直短的社会寄生」の試みは、端的に言えば失敗に終わりました。以下にトゲアリの女王アリが死亡した日を記します。

S/N T17002:2017年09月30日(死亡時トゲアリの働きアリ28匹)
S/N T17008:2017年10月15日(死亡時トゲアリの働きアリ5匹)
S/N T17007:2017年10月17日(死亡時トゲアリの働きアリ5匹)
S/N T17001:2017年11月11日(死亡時トゲアリの働きアリ11匹)
S/N T17005:2018年02月12日(死亡時トゲアリの働きアリ21匹)
S/N T17006:2018年06月10日(死亡時トゲアリの働きアリ4匹)
S/N T17003:2018年07月05日(死亡時トゲアリの働きアリ0匹)

ただ唯一、S/N T17004はトゲアリの働きアリが1匹ですが、生き残っています。

T17004は働きアリが1匹ですが生き残っている

T17004では、今年の6月23日に卵らしいものを女王アリが咥えていたのを観察しています。しかし、6月30日には卵は見つかっていません。

女王アリの死亡時に1例を除いて働きアリが生き残っていましたので、今回の試みでは、働きアリがいなくなると女王アリがコロニーを作れなくなると言うことではないのですが、働きアリの寿命を考慮する必要はあったようです。直短寄生をした次の年の春に最初の産卵をしたとして、その卵から成虫になるのが早くて7月になってからだとすると、働きアリの寿命は少なくともその時点で10ヶ月になります。実際には、採集してきた働きアリは、前年の9月以前に生まれているのですから、更に長い寿命でなくてはならないことになります。ですから、「直短的社会寄生」の試みでは、働きアリの寿命も考慮してコロニー作りを行うことも、今後の課題になることでしょう。

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