「誘拐」されたクロオオアリは巣に戻れるか(1)

直前のブログで、A巣の巣口を確認したことを書きましたが、この巣口にいるクロオオアリを捕らえて、別の場所で放すと巣に戻ることができるでしょうか。
下の写真は、この実験をするフィールドです。

実験の場所となるフィールド全景

この写真は斜面の上方(南向き)から撮影しています。左手が東で、左手上下中央にある木が清水白桃です。その左横にA巣の巣口があります。
初めに、フィルムケースを使って巣口から出てくるクロオオアリを捕らえます。巣口から出てくるクロオオアリには、既に分かっている蜜のある場所に行くものや、あてなく探索に行くものや、巣作りをしているものなどがいると考えられますが、蜜のある場所に行くものは避けたいと思いました。幸い最初に出てきたクロオオアリ(AW1)は巣作りをしているようでした。そのクロオオアリを捕らえて、蜜器へと移動させます。蜜を吸い始めると、蜜器に入ったまま測量杭に設置します。上写真の右中央をご覧下さい。蜜器は巣口から4.7m程離れた場所にあります。

実験が始まった 10時6分撮影

蜜を吸い初めて5分ほど経つと、AW1は帰路につきました。(これ以降の写真は先程のフィールドの全景とは逆の方向(北向き)から撮影しています。右が東側で巣口がある方向です)

蜜器のある測量杭から下りてきたところ 10時11分撮影

以後、この蜜器の周辺をあちこちと歩き回ります。

東方向へ 左上方に測量杭が見えている 10時13分撮影
北方向へ 10時16分撮影
北から西へ、そして測量杭の方向へ 10時18分撮影
斜面を下って南方向へ 10時23分撮影
先程より更に西へ 10時29分撮影
蜜器近くに戻る 10時31分撮影
再び東へ 10時31分撮影

そして、このまま東へと進み、ついに帰巣しました。

帰巣した巣口のある場所 10時37分撮影

帰路についたのが10時11分でしたから、26分かけて巣に戻ってきたことになります。そのほとんどの時間が迷っていた時間で、最後の6分間は、ほぼまっすぐに巣へと向かいました。

ここで、クロオオアリの生活圏という言葉を使うとして、次のように整理しておきます。
① 日や期間や季節により生活圏は異なる。
② 個々のクロオオアリは、生活経験の違いがあり生活圏に違いがある。

AW1にとってこの時、放たれた場所は生活圏内ではなかったのでしょう。およそ20分もの間、蜜器を中心にその四方を探し回ります。探していたのは生活圏内の見覚えのある場所だと考えられます。その場所を見つけるとほぼまっすぐに巣へと帰ることができました。
ところで、戻った巣口が別の場所だったことにお気付きのことと思います。この巣口は、AW1を捕らえた巣口の西方向に1.6m程離れたところにあります。この2箇所の巣口は、どちらもA巣の巣口であることが分かります

写真左右にA巣の別々の巣口がある

AW1が戻った巣口は、蜜器から3.1m程離れた場所でした。

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