トゲアリ物語(10)

予想に反して、翌朝(10月3日)、ムネアカオオアリの女王アリは死んではいなかった。

10月3日 8時47分撮影

どうやら、長期戦になりそうだ。……

と思ったのだが、午後になって、1時半頃に気付いた時には、事態は動いていた。いつの間にか、トゲアリがムネアカオオアリの頸部を放していたのだ。

わずか4秒の動画 13時35分撮影

その後の様子は、引き続きビデオに収めることができた。

6分30秒の動画

午後1時40分ごろからの様子だ。初めは両者とも頭部をすり合わせて、触角を盛んに動かし接触させていたが、やがてムネアカオオアリの女王アリの攻撃が始まる。トゲアリの方は応戦することもなく、されるままの様子だ。トゲアリは、一度は他の部屋へと逃げるが、また元の部屋に戻ってきて、再び攻撃を受ける。トゲアリは、そもそもとても速く歩けるにも関わらず、動きが鈍く、逃げようとしているのかさえ疑わしい。やがて、腹柄節をムネアカオオアリの女王アリに咬まれ、そのまま両者がその場を動かなくなる。この間、働きアリは、どちら側につくということなくずっと傍観していた。

このビデオを見ると、既にトゲアリは2箇所で深手を負っていたことが分かる。1ヶ所は、左側の前脚で、脛節(けいせつ)と付節を失っている。細かい毛がついているのが付節であるから、かなり大きな痛手である。もう1ヶ所は、右の触角で、先の棍棒部を含む5節を失っている。もし、この場を逃げ切ったとしても、トゲアリの女王アリは生きていけるのだろうか。

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