6月19日に「ミツバチの巣箱で「移植」その3(B16015)」を行いましたが、その際、ミツバチの巣箱のすぐ傍にクロオオアリの巣穴があるのに気づきました。
この場所に突如、巣穴が空いたと言う感じで、少し驚きでした。一番近いところにあるクロオオアリの巣はA巣で、5.7m離れていて、次に近いところにある巣はB巣で、7m離れています。これだけの距離離れていますので、同じ巣だとは考えにくく、新発見のコロニーの可能性が高いと思いました。ただ、この日は別のコロニーなのかを確かめることはしませんでした。
それから2日後の6月21日、この新発見の巣穴の中に棲むクロオオアリが、これまでとは別のコロニーなのかを確かめることにしました。
A巣には巣口が主に2箇所あるのですが、その内この新発見の巣口に最も近い西寄りの巣口に帰ろうとしているクロオオアリをフィルムケースで捕らえ、新発見の巣口の上に被せました。
巣口には入ろうとしません。もしかすると巣口があることに気づいていないのかも知れません。もし、この巣口がA巣の巣口なら、この働きアリはすぐに自分のコロニーの出入り口であることに気づくはずです。
それからほんのしばらくして、この巣口へと向かってくるクロオオアリがいました。そこで、そのクロオオアリも同じフィルムケースで捕らえました。すると、すぐに栄養交換が始まりました。
そのまま、巣穴の上に移動しました。
しばらくすると、どちらが先かは分かりませんでしたが、2匹共に巣穴に入っていきました。
巣穴を覗いて見ると、そのうち1匹は完全には巣穴の中に入っていないようです。
腹部の膨らみから、A巣の近くで捕らえたクロオオアリのように見えます。
2匹が巣穴の中に入ってから3分26秒後に、A巣のクロオオアリと思われる働きアリが巣穴から出てきました。そこでこのクロオオアリを捕らえ、A巣の巣口の近くで放ちました。すると、A巣の巣口の中に入っていきましたので、このクロオオアリがA巣の成員であったことが確かめられました。
同じように、A巣の近くで更に2匹クロオオアリを捕らえ、それぞれ同じようにクロオオアリが入ったままフィルムケースを巣穴に被せましたが、この2例ではクロオオアリはいずれも巣口の中には入っていきませんでした。その後、A巣の巣口の近くに放ち、いずれもA巣の巣穴に入っていくのを確認しました。
以上のことから、この新発見の巣のクロオオアリとA巣のクロオオアリとは友好的ですが、別のコロニーのように思えます。
次に、夕刻になって、B巣のクロオオアリと思われる働きアリをB巣の近くでフィルムケースで捕らえ、新発見の巣穴に被せました。このクロオオアリは、人工的に設置している蜜器の蜜を吸って帰っていくところだったようです。腹部が膨れています。
4分ほどすると巣穴の中に入っていきました。
2匹目でも観察することにしました。今度は、B巣から出てきたクロオオアリをフィルムケースで捕らえ、新発見の巣穴に被せました。このクロオオアリは、腹部が膨れていません。このクロオオアリも、新発見の巣穴に入っていきました。
1匹目のクロオオアリが巣穴に入ってから、10分ほども経って、1匹目と思われるクロオオアリが巣穴から出てきました。
10分ほどの間、巣の中で何をしていたのでしょう。それから1分ほど経って、もう一匹クロオオアリが出てきました。
巣から出てきたこれら2匹を再びフィルムケースで捕らえ、B巣の近くで放ちました。2匹共に、B巣の巣穴に入っていきました。
以上のことから、この新発見の巣のクロオオアリとB巣のクロオオアリとは、喧嘩はなかったようですが、別のコロニーのように思えます。
この新発見の巣をM巣と名付けることにします。