F巣の引越

F巣は、2016年4月12日に庭の花壇だった場所に移植したクロオオアリの巣です。このコロニーは、2013年6月17日に、山梨県の清里にある丘の公園で、新女王アリを採集したコロニーで、シリアル番号はNESTCON02005です。移植した時、「採集からの飼育年数は長いのですが、家族の規模が小さいコロニー」でした。
直近でもほぼ毎日巣口を見ていましたが、8月22日、異変に気づきました。F巣の巣口を出入りする小さなアリが多数いるのです。

F巣の巣口を出入りする小型のアリ 8月22日15時38分撮影

このアリはオオズアリのようです。この巣の主のクロオオアリはと言うと、辺りを見回してみても、姿はありませんでした。F巣のアリたちは無事なのでしょうか。
この巣口とは別に、25cm程離れた場所にも穴が空いていました。この穴がいつからあったのかはわかりません。

青○の場所にいつも使われている巣口がある それとは別に赤○の場所にも穴があった

今年の3月22日のブログで、青○以外の場所にも巣穴が空いていたことに触れていますが、その場所と同じではありませんが、赤○は良く似た場所にありました。この穴を観察してみると、小型のアリは出入りしていないようです。

この穴に出入りしている小型のアリはいないようだ 15時40分撮影

この穴は、F巣の巣穴なのでしょうか。確かめたいと思って見ていると、クロオオアリが出てきました。仲間を咥えています。

赤○にある穴から出てきたクロオオアリ 仲間を咥えている 15時41分撮影

この穴はF巣の巣穴のようです。この巣穴を副巣口と呼ぶことにします。仲間を咥えているところを見ると、引越をしているようです。後を追ってみましょう。
このペアについては、残念ながら途中で見失ってしまいましたが、しばらくして、2匹目がやはり1匹目と同じように仲間を咥えて、副巣口から出てきました。

2匹目のペア 咥えていた仲間を放している 15時56分撮影

後を追ってみると、意外にも途中で何度も咥えていた仲間を放したり、また咥え直したりしていました。1匹目も同様だったとすれば、途中で見失った原因だったのかも知れません。結局、引越先をつき止めることはできませんでした。

ところで、巣穴を出入りしている小型のアリをどうしたら良いのでしょうか。もう手遅れかも知れませんが、それでもクロオオアリを少しでも助けることになれば良いのですが。
少し迷い(クロオオアリに害を与えるかもしれない)はありましたが、この小型のアリを殺虫剤で殺すことにしました。アースジェットを巣口に吹きかけました。
すると、アースジェトを吹き掛ける毎に、波状的に次々と、小型アリが巣口から出てきました。その中には、雄アリや数多くの無翅女王アリもいて、幼虫なども運び出されてきました。

巣穴から飛び出してきたアリたち 16時9分撮影

かなりの個体数を有するコロニーでした。ところで、殺虫剤を吹き掛けたことで、あることに気づきました。殺虫剤は巣口に向けて吹き掛けたのですが、その度にすぐにたくさんのアリが巣口から出てくるのです。つまり、このアリたちは巣口に近いところに大量にいたことになります。何度か殺虫剤を吹き掛けた後は、アリたちは出てこなくなりましたが、殺虫剤は巣の奥深くまでは届かなかったでしょう。それなのに、しばらく時間を置いて巣口を見ても、出入りする小型のアリはいないのです。このことからも、このアリは、やはり巣口の近くにだけいたのでしょう。
もし、その推論が正しければ、クロオオアリがこの小型のアリが巣に侵入してきた時に、どのように対応したかを次のように考えることもできるでしょう。

小型のアリの侵入に対処できなくなった時、クロオオアリは巣口の近くの地中の通路を土などで塞ぎ、それ以上巣の中に入ってこないようにしたのではないだろうか。それでも、身の危険を感じて、別の場所に副巣口を開き、引越を始めたのではないだろうか。

とにかく、F巣のクロオオアリのコロニーは無事なのかどうか、とても気になっていました。一つだけ安心の材料があるとすれば、それは、巣口の周りに食べられた痕のクロオオアリの死体などが全く見当たらなかったことです。

翌日の23日の朝、引き続き観察を始めました。F巣があった場所の近くをクロオオアリが1匹歩いていました。そこで、蜜を与えてみました。

蜜を吸うクロオオアリ 23日7時50分撮影

このクロオオアリは、蜜を吸った後、どの巣口に戻るのでしょうか。追ってみると、昨日仲間を咥えて出てきて副巣口の中へ入っていきました。

副巣口に入っていった 7時55分撮影

この後、蜜を吸って戻ってきたわけではないクロオオアリが、8時と8時8分の2度、副巣口に入っていきました。この巣口の巣穴はまだ使われているようです。
8時13分になって、1匹のクロオオアリが副巣口から出てきました。そこで、その後を追ってみると、やがてある地点で芝生の中へ姿を消しました。

姿を消した場所の目印に八朔の落ち葉を置いた 写真中央辺りがその場所

そこで、巣口があるであろう場所を確かめるために、その近くを歩いていたクロオオアリに蜜を与えました。

蜜を吸うクロオオアリ 8時23分撮影

蜜を吸ったクロオオアリは、やはり先程とほぼ同じ場所で、芝生の中へと姿を消しました。また、極近くでダンゴムシを運んでいるクロオオアリがいて、そのアリもほぼ同じ場所へと向かっていました。

ダンゴムシを運ぶクロオオアリ 8時27分撮影

これでほぼ巣口の場所が確定しましたので、その場所の芝生を刈りました。

芝生を刈った この場所のどこかに巣口があるはずだ 8時34分撮影

引き続き、近くに蜜を垂らして観察をすることで、巣口の場所を特定することができました。そこで更に巣口の極周りの芝を深く刈りました。

特定された巣口 8時52分撮影

近くの芝生の上に蜜器も置きました。

蜜器に気づいてやって来たクロオオアリ 9時32分撮影

それからしばらくすると、巣口を芝の葉で保護しようとしている1匹のクロオオアリを見つけました。

芝の枯れた葉を咥えて巣口の近くへと運んでいた 9時45分撮影

そこで、巣口の周りに真砂土を敷くことにしました。こうしておけば、土を使ってより丈夫に巣口を保護することができると考えたからです。ただ、このクロオオアリは、土を利用しませんでした。

巣口の周りに真砂土を敷いた 蜜器にはクロオオアリが4匹来ている 9時59分撮影

この後、巣口から25cm離れた場所に測量杭を打ち、蜜器を設置しました。

10時42分撮影

さて、まだ引越が完全には終わっていないように思えます。これからどうなるのでしょうか。また、今回のことで、F巣はどの程度ダメージを受けているのでしょうか。
それに、少し気掛かりなことがあります。と言うのは、新巣の巣口の周りに砂粒がないようなのです。この新巣はどこまで掘られているのでしょうか。分からないままなのです。

F巣の旧巣口(写真右)と新巣口(写真左) 2m50cm程離れている

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