単独女王アリが1年ぶりに子育てに成功 他コロニーの働きアリとは共存できず

シリアル番号BH18019は、2018年5月15日に、岡山県の蒜山高原で採集したクロオオアリの新女王アリです。通常は働きアリが多数誕生している同年の7月22日時点でも、働きアリは生まれていませんでした。その後、ほぼ1ヶ月後の8月20日には、繭が1個、幼虫が4匹いましたが、この時点でも働きアリは生まれていませんでした。やっと10月6日の時点で働きアリが1匹になっていましたが、幼生虫はいなくなっていました。その後、その1匹の働きアリも死んでしまいました。
BH18019は、このように子育てに失敗してはいるのですが、それでも産卵ができ、下手ですが子育てができないわけではないのです。そこで、クロオオアリ同士で共存させて、新たなコロニーが作れるかどうか試してみることにしました。

左からBH18019、BM19022、BM19029の各コロニー

今年新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーの中で、女王アリが死んでしまったコロニーが2つあります。BM19022は、8月27日には女王アリが死んでいて、働きアリが12匹、繭が7個で幼虫と卵がありました。BM19029は、7月23日に女王アリが死に、その時は働きアリが4匹と幼生虫がいました。

8月27日撮影 BH18019 繭1個と幼虫が2匹(その内1匹は大きい)
8月27日撮影 BM19022 働きアリが12匹と繭など幼生虫が多数
8月27日撮影 BM19029 働きアリが12匹と幼生虫

8月27日、グッピー水槽の中に、飼育ケースのままBH18019とBM19022を同時に入れ、2つともケースの蓋を取りました。しばらくすると、BM19022の飼育ケースから出てきた1匹の働きアリが、BH18019のケースの中に入り、あっという間に大きな方の幼虫を咥えてケースから出て行きました。女王アリは、あまりに突然のことで、防ぎようがなかったようです。

BH18019の幼虫を咥えて、自分の巣がある飼育ケースを探して歩き回るBM19022の働きアリ 8月27日14時01分撮影
幼虫が奪われた後のグッピー水槽の中の様子 右がBH18019 大きな幼虫がなくなっている 14時7分撮影

その後、更にBM19022の働きアリが1匹、BH18019のケースの中に入ってきました。働きアリも女王アリも戦いを避けようとはせず、戦いが始まりました。戦いは終始女王アリの方が優勢のようでした。やがて、働きアリは殺されてしまいました。

14時09分撮影

それから15日後の9月11日、BH18019に働きアリが1匹生まれていました。

働きアリが1匹生まれていた 繭のように見えるのは繭の殻 9月11日午前6時34分撮影

BM19022は、働きアリが3匹になっていました。2週間強の間に12匹から激減しています。繭もあったのですから、繭から羽化した働きアリもいたはずなのに、とても少ない数です。

左がBM19022 働きアリが3匹になっていた 幼生虫も少ないようだ

BH18019のケースの中を見ると、クロオオアリの働きアリと思えるたくさんのバラバラの死骸がありました。

たくさんのクロオオアリの死骸

どうやら、BH18019の女王アリがBM19022の働きアリを殺したようです。ちなみに、BM19029の働きアリは、15日前と変わらず、12匹いました(繭から羽化する成虫がいたはずですが)。
9月11日時点の3コロニーの幼生虫の様子は以下のようです。

BH18019 卵3個と死んでいる卵2個 繭は抜け殻
BM19022 繭が1個と幼虫が2匹
BM19029 小さな幼虫が6匹と大きな幼虫が1匹

さて、2018年採集の単独女王アリが1年ぶりに子育てに成功したので、BM19022との合併の試みは終了することにしました。そして、上記のBM19022とBM19029の幼生虫のみをBH18019の中に入れました。女王アリは、その幼生虫を初めから我が子であるかのように、迷う様子もなくすんなりと受け入れました。

BH18019のケースに幼生虫を入れた時には幼生虫は散乱していたが、働きアリの手助けなく、女王アリが幼生虫を一箇所に集めた

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください