以前のブログ「季節外れの有翅女王アリ」で、9月に翅のあるクロオオアリの女王アリが地上を歩いていたことに触れていますが、今日、再び地上を歩いているクロオオアリの女王アリを見つけました。
今日はかなり暖かい日で、直接日光に当たり続けると暑くなる程でした。最高気温は25.8℃でした。
女王アリには、僅かに翅が付いていました。元気そうで、腹部も適度に膨れていました。後を追って行くと、ほとんど迷っている様子もなく、緩やかな芝地の坂を登って行きます。その先には、A巣の巣があるのですが、案の定、今年6月にA巣の巣口があった場所の極近くで芝生の中に潜って行きました。
女王アリを発見した地点から、女王アリが潜って行った地点までの距離は、60cm程でした。念のため、蜜を吸って戻って行く働きアリが、どこに行くかを観察しましたが、女王アリが潜って行った場所と一致しました。やはり、女王アリは巣の中に戻って行ったことになります。
しばらくは、巣口の辺りを観察しましたが、女王アリは出てきませんでした。巣から追い出されなかったことになります。
この半無翅女王アリは、今年の新女王アリだと思われますが、この季節になってもまだ巣に残っていたことは、とても意外なことです。また、この女王アリが、私が見つけるまで、どの程度の時間、またどの程度の範囲で地上を歩いていたのかは分からないのですが、なぜ今地上に出てきたのか、そして、迷いもなく巣に戻れたのか、またなぜ巣に戻ったのか、分からないことだらけでした。
今日は。伊藤です。ご無沙汰しておりました。
この無翅クロオアリの女王は以前、私も8月下旬夜と10月の寒い昼にとぼとぼと歩く各1匹を見つけ、採集後平型石膏容器に飼育しましたが、前者は約1週間、後者は2日後に死亡しました。
交尾は不明ですが、巣口での騒ぎや飛行を見ていないこと、10月は近くのクロオオアリの巣は既に閉じており雄などの死骸が近くに見当たらず、突如出現の感が強く、然も1匹のみの
女王で、8月下旬や10月では季節的に新たな巣の創設は難しいなどから、巣から追い出され
たものと考えておりました。(勿論、元の巣に戻れば産卵、育児は可能ですが、女王フェロ
モンの関係などで無理かと・・・)
追放の理由は全くの推論ですが
女王フェロモンが強い場所にいたため、ワーカーに襲われた(翅ももぎ取られる)
ワーカーとして採餌に出た
季節を見誤った(未交尾だと一般に翅を取らないので矛盾)
などです。
実は、結婚飛行を逃した女王は、巣内で翅を取り去りワーカーとし働く事がブログ1件とアリ
の研究をしている方から報告されています。
これは英国の昆虫学者ノース氏の著書「アリと人間」に書かれている「ワーカーは、営巣早期に協力していた複数の女王から進化したと考えられている}という内容に暗示されます。
長くなりました。最後に「女王不在のコロニーの羽化結果」をご報告しておきます。
’19年9月15日の確認では、8匹の繭から羽化したアリは 「全て有翅オス」 であること
を確認しました。10月24日現在、8匹共に無事です。
幼虫、繭はワーカーのものより細長い特徴があるので数の増減はありますが間違いなく
全てオスでした。