クロオオアリとムネアカオオアリの新女王アリを多数採集

今年は、長野県まで出かけて、いつもの場所(K地)で、オオアリの新女王アリを採集しようと考えていました。ここ2年間は、蒜山高原(岡山県)で採集していたのですが、やはり採集匹数に限界があり、研究に必要な数だけの女王アリが採集できないでいました。
昨年のブログ「K地の過去の採集日と気候」で、結婚飛行が行われる日を予想できるようになりましたが、今年の場合、既に5月2日にK地近くで、その日が来ていました。その日は最高気温が今年初めて30℃を越え、31.3℃にまでなっていました。ただ、あまりにも早い時期でしたので、結婚飛行は行われなかったと考えました。
それ以後、K地近くで30℃を越える日がいつになるか天気予報を見ていたのですが、そうこうしている内に5月が終わってしまいました。天気予報のサイトによって予報にかなりの違いがありましたが、ヤフーが提供する天気予報では、6月の上旬から30℃近くまで気温が上がりそうだとありました。そこで、当初6月1日から採集に出かける予定にはしていましたが、直前に2日ずらして、3日に採集に出かけました。
途中滋賀に立ち寄って、K地近くのサービスエリアまでたどり着きましたが、何せ500kmを越える距離がありましたので、サービスエリアについた頃にはもう日が暮れていました。
そんな時、ふと気づくと薄暗い中、何か小さなものが舗装した地面の上を動いていました。近づいてみると、クロオオアリの脱翅女王アリでした。このサービスエリアで20匹を採集しました。
このことから、この日、K地の他の場所でも結婚飛行が行われた可能性がありました。そこで、かつて大量にオオアリの新女王アリが採集できた場所(M&M広場)へ行くことにしました。そこは、2017年に特にムネアカオオアリの女王アリを多く採集したところでもありました。
そこに着いたのは、もう午後の8時を過ぎた頃でした。

M&M広場の主な採集場所 次の日の昼間に撮影

案の定、暗闇の中をとてもたくさんの脱翅女王アリが歩いていました。次の日(4日)の午前1時過ぎまで採集を続け、ムネアカオオアリの女王アリを124匹、クロオオアリの女王アリを79匹採集しました。
4日の朝は、先ず初めに、これまで採集したことがなかったM公園を訪れました。ここにも、昨日結婚飛行を終えたオオアリの女王アリがいました。

クロオオアリの脱翅女王アリ 4日7時36分撮影
ムネアカオオアリの脱翅女王アリ 4日7時37分撮影
主に採集した所の一つ

ここでは、クロオオアリの女王アリを7匹、ムネアカオオアリの女王アリを1匹採集しました。
次にT場に行きました。かつてここでもオオアリの女王アリを採集しています。

T場の一角 採集を終えた頃 8時46分撮影

ここでは、クロオオアリを12匹、ムネアカオオアリを13匹採集しました。
次は、S周辺へ行きました。2017年にクロオオアリとムネアカオオアリの女王アリを多数採集した地点を見ましたが、前日の夕刻にこの地点でも結婚飛行が行われたと思われるのですが、もう女王アリの姿はありませんでした。
それから少し歩いて、開けたところまで行くと、そこにはかなりの数のオオアリの女王アリがいました。昨日結婚飛行を終えているはずですが、まだ地上を歩いていたのです。ただ、既に穴掘りを始めている女王アリも見かけました。

巣作りを始めている 9時53分撮影
採集場所 採集をほぼ終えた頃 10時1分撮影

この場所で、これほどまで多くの女王アリを採集したことはかつてありませんでした。ここではクロオオアリの女王アリばかりでしたが、65匹採集しました。S周辺では、この他にクロオオアリの女王アリを2匹、ムネアカオオアリの女王アリを1匹採集しています。

こうして、2日間でクロオオアリの女王アリを185匹、ムネアカオオアリの女王アリを139匹採集しました。合せると324匹になります。(この他に、ミカドオオアリの女王アリを3匹採集しました)

ところで、この数日間の気象はどうだったのでしょうか。
K地点の近くの、指標としている地点(測量地点はK地ではなく、北におよそ11km程離れたところ)のアメダスによると、次のようでした。

※ 表記の例:
31.3(15:10)/ 10.2 / 0.0 は
最高気温(℃)(時刻)/ 日照時間(時)/ 降水量(mm) を表す

5月31日   18.4(14:40)/ 0.0 / 0.0
6月01日   24.8(13:40)/ 2.6 / 0.0
6月02日   29.3(15:10)/ 11.3 / 0.5(午前7時台)
6月03日   29.3(13:50)/ 6.9 / 0.0
6月04日   28.4(15:10)/ 9.2 / 0.0

6月2日と3日は、最高気温が30℃を越えてはいませんが、30℃にかなり近い気温です。本格的な結婚飛行が行われたのは、3日の夕刻と考えていますが、そこで、同じ最高気温だった2日との気象の違いを日照時間(分)に注目して見てみました。

時刻帯 2日 3日
12:00 57 28
13:00 46 37
14:00 60 43
15:00 60 10
16:00 60 0
17:00 57 0
18:00 20 0
19:00 0 0

日照時間に明らかな違いがあることが分かります。特に、結婚飛行が行われる15時前後から後の時間帯で大きな違いが見られます。ただ、「高温の日の曇の時に結婚飛行が行われる」と結論づけることはできません。この資料からわかることは、「高温の日には曇であっても結婚飛行が行われる」と言うことです。
ちなみに、この両日の最高気温になった時刻を見ると、3日は14時前ですが、15時ごろからは日照時間が少なくなります。そこで、2日と同じように日照が続いていれば、3日の15時ごろは30℃を越えていたかも知れません。

クロオオアリとムネアカオオアリの新女王アリを多数採集」への4件のフィードバック

  1. ピンバック: 今年もオオアリに寄生虫 | anttech.jp

  2. ピンバック: 新女王アリの異常な腹部の膨らみ | anttech.jp

  3. ピンバック: ムネアカオオアリで羽化が始まる | anttech.jp

  4. ピンバック: クロオオアリでも羽化が始まる | anttech.jp

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