これまでも、ムネアカオオアリの同種間共存について、いくつかの実験をしてきました。今回は、これまでにはない条件で合併をしました。
合併したのは、次の2つのコロニーです。
RT19003: 昨年の5月23日に新女王アリを採集したコロニーです。今年の2月13日には、働きアリが13匹でしたが、5月26日には12匹になっていました。卵があり、女王アリがいます。
RT19007: 上記と同じ日に、同じ場所で新女王アリを採集したコロニーです。昨年の9月6日に働きアリが10匹いて、5月26日も10匹のままでした。女王アリは今年の5月2日には死にかけていて、5月10日には死んでいました。幼生虫はいません。
蓋付きの小型水槽を用意し、この水槽の中に、距離を離して2つのコロニーを入れました。
やがて、RT19003に侵入してきたRT19007の働きアリが捕らえられていました。
しばらくして、両コロニーの飼育容器をくっつけました。
翌日の朝、1匹の働きアリが解体されていました。
更に、9時半頃、もう一匹が取り押さえられていました。
それからしばらくして、2つのコロニーを飼育器から出して直に小型水槽に移し入れ、死んでいるRT19007の女王アリを取り出しました。
この日の両コロニーの夕刻の様子を見ると、それぞれが別の場所に寄り添っていました。
この日の夕刻までに、RT19007の方が2匹殺されたことが分かります。RT19007の方が劣勢で、水槽の蓋直下に追いやられていました。
次は28日の様子です。
次は5月29日の様子です。
それから10日程経ち、6月9日、RT19007は全て殺されていました。
ただ、RT19003も無傷ではありませんでした。
2つのコロニーは共存することはできませんでした。それどころか、女王アリを失っていたコロニーの方は、1匹残らず殺されてしまいました。
今回は、互いに距離を置ける広めの空間での合併でした。RT19007は全滅しましたが、何日もに渡って、1匹ずつ殺されていきました。そこで、もし、狭い空間に2つのコロニーを入れたとしたら、どうなったでしょうか。別の環境になり、別の結果になったかも知れません。