クロオオアリは幼虫にどんな餌を与えているのでしょうか。
これまで私は、働きアリが口から液状の餌を出して与えていると思っていました。口移しをしている場面を何回も観察しましたから、それがまちがっているというわけではありません。けれども、長い間、1つの疑問は持っていました。それというのは、アシナガバチの場合、蛾の幼虫などを狩りして、それをかみ砕いて団子状にして、幼虫に与えているからです。アリの場合は、肉団子を幼虫に与えていないのだろうか、そんな疑問があったのです。
ところが今日、その疑問が解けました。実体顕微鏡を覗いていた時、幼虫が肉団子状のものを食べているのを見い出したのです。
その様子を見て、幼虫の形が納得できました。アシナガバチの幼虫は、頭がまっすぐ上についています。それに対して、クロオオアリの幼虫は、首?が曲がっていて、胸?に団子が載れば手?がなくても口が届く形をしているのです。その胸?はちょうどよい広さの食卓になるのです。
ムービーもありますのでご覧下さい。
2分のムービーの方ですが、幼虫は肉団子を十分に食べたのでしょう、もうあまり食べているようではありません。そこへ働きアリがやってきて、肉団子を取り去ります。幼虫の体にほんの少し肉団子のかすがついていましたが、働きアリが舐めて掃除をします。幼虫の口元の掃除もしています。
クロオオアリの幼虫は、おそらく他の多くの種のアリの幼虫も同様だと思われますが、液状の食べ物と昆虫などをかみ砕いた肉団子を食べて育つのでしょう。タンパク源の摂取という点では、肉団子を直接食べる方が手っ取り早いでしょう。