トゲアリ物語(06)

トゲアリの女王アリを救出したのだが、だいぶ攻撃を受けていたので、とても心配だった。

次の日の夜に見てみると(その日は朝早くから夜遅くまで出かけていた)、何だかトゲアリがじっとしているのだ。「あー、死んでしまったか」と思いながら29日は過ぎてしまった。

30日になって、もう一度トゲアリを見てみると、あんなに絶望していたのに、生きているではないか。とても不思議で、トゲアリが生き返ったようにさえ思えた。

そこで、次の作戦?を考えてみた。私が46年前にトゲアリを見つけた時はクロオオアリの巣に寄生していた。また、郡場央基氏の研究やその他の方の見聞などでも、クロオオアリの巣に一時寄生をしていたという報告はある。ところが、ものの本によるとムネアカオオアリの巣にも一時寄生をすると書かれている。それなら、今度はムネアカオオアリの巣に侵入させて、ムネアカオオアリにも一時寄生をするか、試してみよう。

というわけで、2年目のもちろん女王アリのいるムネアカオオアリの巣に侵入させることにした。下の写真がその巣だ。

説明上、後に撮った写真。「インテリアリ」セットの試作品だ。

2年目の巣だが、働きアリは18匹しかいない。かなりの小規模だ。

日が替わって10月1日になっていた。トゲアリを入れている簡易飼育器のまま、「インテリアリ」セットの上方にある餌器「モートフィーダー」の中に入れた。すぐに一匹の働きアリが簡易飼育器の中に入り、トゲアリの女王アリと一戦を交えた。これはかなり早く決着がつき、ムネアカオオアリの働きアリの方がうずくまっている。トゲアリは簡易飼育器から外へ出かけた。

簡易飼育器から出ようとするトゲアリ ピントが合っていないがその上の茶色っぽく見えるのがうずくまる働きアリ

トゲアリは、とても速くモートフィーダーの中を走り回る。長い肢が素早く動いているのが印象的だ。慌てているとも思えるし、何かを探しに一直線に向かっているとも思える。それまでのあまり動かない印章とはまるで違っていた。途中で働きアリと出会うが、トゲアリが速く歩いているので、そのまま通り過ぎる。

出会ったが素早くそのまま通り過ぎる

やがて、人工巣「インテリアリ」へとつながっている入り口を見つけたようだ。

この入り口から人工巣につながる

とても速いスピードで走って行く。人?が変わったように、まっしぐらに。

走るのがとても速い

あっというまに「インテリアリ」の中に突入した。が、そこにも働きアリがいた。

インテリアリに入ったところで働きアリにでくわす

どうなるかと見ていると、

働きアリがトゲアリに食い付いた

働きアリが攻撃を始めて、トゲアリは足止めされてしまった。

1分30秒の動画

しばらくすると、トゲアリが反撃して働きアリを抱きかかえた。トゲアリはムネアカオオアリの腹柄節をくわえ、前脚でムネアカオオアリの胸部を撫で回しては、自分の腹部・胸部・頭部を撫で回している。他方、ムネアカオオアリの方は、トゲアリの肢に食い付いているようだ。時々やって来るムネアカオオアリの働きアリは、トゲアリを異物と捉えている様子だが、激しく噛みつくことはない。やがては、この現場から立ち去っていく。

かなり時間が経った頃、ほんの少し、目を離している内に、この場所からトゲアリがいなくなっていた。探すと、人工巣のインテリアリと餌器のモートフィーダーを繋ぐホースの中にいて、複数の働きアリに咬み付かれている。「このままでは、トゲアリが危ない」そう思い、再び救出してこの試みを中断した。

トゲアリが人工巣へ侵入を始めて、救出までおよそ2時間15分ほどの時間が経過していた。

モートフィーダーの中に置き去りにされている簡易人工巣を見ると、最初に一戦を交えたムネアカオオアリが死んでいるようだった。

後に死んでいるのを確認した

多く知られているケースでは、トゲアリの女王アリは、寄主の働きアリを殺さないのだが、今回のようなことも起こりうるのだ。

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