たった1例のトゲアリの寄生のその後 2

9月22日に寄生を開始させたトゲアリのその後の様子です。
4日のブログと大きな変化はありませんが、2分間の動画にしてみました。

8時50分からの2分間動画

トゲアリの女王アリは、すっかりクロオオアリのコロニーの中に入り込んでいるようです。この動画を撮影した時は、トゲアリの女王アリはクロオオアリの塊の上にいて、それほど盛んにではありませんが、化粧をしていました。このクロオオアリの塊の下に殺されたクロオオアリの女王アリの死体がありそうです。

たった1例のトゲアリの寄生のその後 1

寄生から8日後の9月30日のトゲアリの寄生の様子です。
クロオオアリの女王アリは仰向けになっていて、トゲアリの女王アリは上からクロオオアリの女王アリの頸に咬みついています。この体勢は、寄生が成功しつつあることを表しています。

クロオオアリの女王アリは仰向けになり、トゲアリの女王アリは上から頸に咬みついている

寄生から12日後の10月4日の朝、まだ頸に咬みついているようでしたが、夕刻には、巣内を歩いていました。

まだ、頸に咬みついているようだ 10月4日7時54分撮影

巣内を歩いていた 10月4日16時50分撮影

この時期、トゲアリの女王アリが巣内を歩いていたということは、寄生に成功したと言うことです。クロオオアリの女王アリの姿は見られませんでしたが、おそらく殺されたと思われます。

このような場合、これまでの観察では、クロオオアリの女王アリの頸が咬み切られていることが多かったのですが、今回については確かめられませんでした。今朝まで、クロオオアリの女王アリとトゲアリの女王アリがいた近くには、クロオオアリの働きアリの塊がありましたが、これは、亡くなった女王アリを取り囲んでいるのでしょう。クロオオアリの女王アリの姿(死体)が見つからなかったのは、そのためなのでしょう。

今回は、たった1匹だけでトゲアリの寄生を試みたのですが、本日の様子から考えて寄生が成功しているとすれば、かなり希な例になります。これはとても意外なことです。

たった1例のトゲアリの寄生を試みる

9月19日にトゲアリの女王アリを41匹採集し、その内何匹かは事前にお声かけいただいていた方にお分けしましたが、それでも手元にまとまった数の女王アリが残りました。そこで、クロオオアリの1コロニーにだけトゲアリの女王アリを寄生させることにしました。
これまでの経験から、宿主側のコロニーの規模がある程度大きい方が良いように感じていましたので、2015年の5月15日に新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーS/N:B15002を用いることにしました。
9月22日の13時半頃、B15002から働きアリを1匹取り出し、クリアカップの中でトゲアリの女王アリと一緒にしました。間もなく、トゲアリの女王アリがクロオオアリを捕らえ、化粧を始めました。

間もなくトゲアリがクロオオアリを捕らえ、化粧を始めた 13時39分撮影

13時51分から1分30秒間の動画

クロオオアリがトゲアリの女王アリの肢に咬みついていましたが、やがて放しました。その後、両方共に自身の体に化粧をしていました。クロオオアリの方は、腹部がいびつな形にへこんでいました。

14時3分から1分30秒間の動画

クロオオアリの方から攻撃する様子はなく、トゲアリにもてあそばれている感じでした。トゲアリは引き続き、化粧に余念がありませんでした。

トゲアリの女王アリと一緒にするクロオオアリの働きアリは、特に考えがあったわけではないのですが、この1匹だけにしました。
14時17分直前に、トゲアリの女王アリと一緒にしていたクロオオアリをフィルムケースに移し入れ、このフィルムケースを蓋をしていない状態で、B15002の本巣の上方のアクセス穴の上に被せました。間もなく、トゲアリの女王アリは、B15002の本巣の中へ入っていきました。

14時17分から1分30秒間の動画

左上方のアクセス穴から入っていきました。その直後に複数のクロオオアリの働きアリに捕まってしまいました。やがて放たれますが、人工巣リトルアンテシェルフの上段で再び捕らえられました。

14時25分から1分30秒間の動画

その7分から8分後も、リトルアンテシェルフの上段で捕らえられたままでしたが、化粧を盛んに行っていました。

14時50分から1分30秒間の動画

それから24分から25分後、トゲアリは、自身の肢に咬みついて離れない1匹のクロオオアリを使って化粧をしていました。他のクロオオアリからは、攻撃はされていませんでした。

14時55分から1分42秒間の動画

その3分から4分後、リトルアンテシェルフの最上段に留まっていたトゲアリは、それまで咬みついていたクロオオアリから自由になり、上から4段目(下から3段目)に移動しました。最早、トゲアリを攻撃する者はいません。トゲアリはクロオオアリの塊の中でさえ自由に行き来できるようになっていました。やがて最下段の段へと移動しました。

14時59分から10分30秒間の動画

14時59分からは、トゲアリの女王アリの動きが活発になりました。最下段から2段目に移り、更に3段目へと移動しました。動きに余裕が見られ、化粧ではなく、身繕いもしていました。クロオオアリとの間に争いはなく、クロオオアリの集団がトゲアリを受け入れたかに見えました。更に、下から4段目へと上がっていきました。クロオオアリの塊の中へも入り込みました。クロオオアリの女王アリを探しているように見えました。やがて5段目(上から2段目)に入っていきました。実は、この段にクロオオアリの女王アリがいるのです。この段では、トゲアリの女王アリは、複数のクロオオアリの働きアリに、制止されました。不審がられているようです。1分10秒ほどたった時、複数のクロオオアリの制止を振り切って、クロオオアリの女王アリがいる塊へと進み、女王アリ同士の戦いが始まりました。戦いはトゲアリに有利に進み、背乗りから腹抱えへと体勢が変わっていきました。両者まぎれて一つ下の上から3段目に移動し、長い時間このままで膠着状態になりました。

寄生は順調に進んでいるように見えます。ただ寄生の成否は、何日も後にならなければ分からないものです。今後の経緯を見ることにします。

トゲアリの女王アリを採集(2018年)

例年、自宅から300km離れた彦根市内(滋賀県)でトゲアリの女王アリを採集していましたが、遠地のため、自宅近くで採集できればと思っていました。けれども、9月の上旬が過ぎても採集できないままでいました。そこで、都合のつく14日から、彦根市内へ採集に出かけました。
雨天の合間になった16日に採集場所へ出かけましたが、この間の天候が不順であったためか、地上を歩く女王アリの姿はありませんでした。

従来からの巣のありかの一つ 地上を歩く女王アリの姿はありませんでした 9月16日撮影

18日になり、やっと天気が回復しましたので、採集場所へ出かけました。まだ、地面は濡れている箇所が多く、早朝は結婚飛行に飛び立つには条件が良くなかったように思われました。案の定、この日、採集できたのは1匹だけでした。とても例外的な1匹で、今朝結婚飛行に飛び立った可能性と、以前に結婚飛行を行い、この日まで放浪していた可能性(こちらを参照)があるように思えました。

18日に採集したただ1匹の女王アリ

その翌日の19日は、2日連続の晴の日になり、トゲアリの女王アリが早朝に、結婚飛行を行うことが容易に予想できました。8時過ぎに採集場所へ着いてみると、案の定、たくさんのトゲアリの女王アリが地上を歩いていました。例年最も多くの女王アリが採集できていた狭い範囲の箇所だけで、大半の女王アリを採集しました。また、以前にも採集できていたその他の箇所でも採集でき、10時前までの2時間弱で、41匹を採集しました。

最も多く採集した箇所の環境 フィルムケースを置いている極近辺に多数の女王アリがいた

帰宅後、41匹の内3匹が肢を部分的に失っていたり、不自由であることが分かりました。ちなみに、採集中には、腹部を失ってもまだ生きていた女王アリを1匹と、肢を失っていることが分かり採集しなかった女王アリが1匹いました。蛇足ですが、この日の2時間弱の間に総計43匹の女王アリに出会い、その内4匹の女王アリが、生きている状態で怪我等をしていたことになります。その怪我等の割合は、11.6%程になります。もっとも、怪我ではなく、他にまるごと食べられた女王アリがいた可能性はあります。

この日、40匹程度を採集したのですが、それは、採集目標を予め40匹と決めていたからです。更に時間をかければ、それ以上採集できたでしょう。前日と比べてこれほど多く採集できたことから、今朝結婚飛行が行われたと断定してよいと思います。ただ、この結婚飛行が今年最初であったと断定することはできません。また、今年は9月に入ってから雨天が多かったことを鑑みると、以後にも本格的な結婚飛行が何回かに渡って行われそうです。

特別仕様の人工巣2つ

今年の6月5日のブログ「アンテグラウンドⅠ型」で、2つのコロニーをアンテグラウンドに繋げたことを書きましたが、その後、S/N:B110608-07のクロオオアリのコロニー(2011年6月8日に新女王アリを採集)の方は、アンテグラウンドから外しました。2つのコロニーが混在すると、腹部を噛みちぎられる等の事象が度々見られたからでした。今は、コンクリート人工巣のクロオオアリのコロニーのS/N:B15006(2015年5月27日に新女王アリを採集)のみをアンテグラウンドⅠ型に繋げています。
そのB15006はかなり個体数が多くなり、コンクリート人工巣の中で、密集するようになりましたので、人工巣を拡張する必要を感じていました。そこで、様々に巣の拡張方法を考えたのですが、最終的にはアンテシェルフ型の人工巣にすることにしました。ただ、特別仕様としました。
底面を含めると17段からなり、1段の広さは 29.1cm×4.5cm=130.95㎠あります。高さは42.8cmあり、台座を含まない本体の横幅は30.7cm、奥行きは5.1cmあります。最下段に2箇所、最上段に1箇所出入り口用に穴があり、パイプが差し込まれています。この特別仕様のアンテシェルフには活動室は必要ではないため、最上段も他の段と同様の作りになっています。7月24日に完成しました。

17段2226カスタムメイドアンテシェルフ 8月21日撮影

この特別仕様のアンテシェルフを「17段2226カスタムメイドアンテシェルフ」と名付けることにします(2226とは17段の床面積の総和 単位㎠)。この17段2226カスタムメイドアンテシェルフは、アンテグラウンドⅠ型とコンクリート製人工巣の中間に繋いでいます。
カスタムメイドアンテシェルフを設置して1ヶ月程経ちますが、アリたちは下方の3段を利用しています。幼生虫は運び込んでなく、まだ、居住スペースとしては十分には利用されていないようです。

別のクロオオアリのコロニーになりますが、もう一つ人工巣を拡張しました。そのコロニーは、S/N:B120614-86(2012年6月14日に新女王アリを採集)で、真砂土を使った人工巣であるアンテネストで飼育し、後からアンテネストと繋げていました。このコロニーも、個体数が多くなり密集するようになっていましたので、人工巣を拡張する必要がありました。
カスタムメイドアンテシェルフとは、発想を変えて、そのアンテシェルフを作った3日後に百円shopで購入したケースを使って人工巣を作りました。Seriaで購入したもので、商品名は「Clear Case」です。ポリスチレン製でアクリルと比べれば、耐久性や硬度に問題がありそうですが、短時間で製作できそうです。「Clear Case」は重ね置きができるように設計されていて、大きさにバリエーションがあります。その中で最も底面積が広いケースを使うことにしました。そのケースも深さが2種類あり、内法の高さが14mmのものと37mmのものがあります。この2種を組み合わせて人工巣を作ります。

中央:百円shop購入のケースで作った人工巣 左:アンテシェルフ 8月21日撮影

最下段と上から2段目に深い方のケースを置き、その間に浅い方のケースを重ねます。最上段には浅いケースを重ね、蓋とします。ケース同士は、ただ重ねるだけで、貼り付けてはいません。こういった重ね方をすることで、後から中段に浅いケースを容易に追加することができます。中間の浅いケースと上方の深いケースの底には、長辺側の両端の中央に径9.2mmの穴を空けて、行き来できるようにします。最上段の浅いケースには、長辺側の両端の中央に空けた径9.2mmの穴の他に、中央に4cm間隔で4つの径9.2mmの穴を空けておきます。この4つの穴には、大気圧式給餌器を差し込みます。こうすることで、この上方の深いケースは給餌場になります(最上段の浅いケースの両端の2つの穴からは、シリコン栓を外して昆虫などを入れることができます)。最下層のケースには、他の人工巣と繋ぐための穴があり、アクリル製のパイプが差し込まれています。(そのパイプを穴に固定するために、アクリサンデー社のアクリル接着剤を使いましたが、ポリスチレンも溶解したらしく、アクリルと接着できました)
この百金のケースの人工巣にたくさんの働きアリがやって来ていますが、これまでに幼生虫は運び込まれていません。また、最下層のケースはごみ置き場になっていて、繭の殻などが置かれています。この百金ケース製の人工巣は、17段2226カスタムメイドアンテシェルフと同様、まだ、居住スペースとしては十分には利用されていないようです。

2018年 クロオオアリの新女王アリの死亡率と子育て成功率

2018年5月に採集したクロオオアリの女王アリの死亡率と子育て成功率をまとめてみました。これまでも報告してきたムネアカオオアリの女王アリの死亡率と子育て成功率については、今年は採集できた女王アリの個体数が少なかったため、データ化していません。
ここで言う子育て成功率とは、ある決まった定義はないのですが、「ある期間までに働きアリが1匹でも誕生したコロニーの割合」とします。

サンプル:
5月15日 蒜山高原採集 クロオオアリ32匹

飼育環境:
◎ 小型のふた付き透明カップの中にカット綿を敷き、常に湿った状態(結露などで透明カップの側面等が湿る程度)を保ちます。
◎ 糖分等の餌は与えず、水だけを摂取する状態にしておきます。
◎室温での飼育となります。

調査日:7月31日
死亡した個体数 3匹
子育てができなかった個体数 5匹
死亡率:9%〈3匹÷32匹×100〉 昨年12%
子育て成功率(死亡した個体数を含む):75%〈(32匹−(3匹+5匹))÷32匹×100〉 昨年72%
子育て成功率(死亡した個体数は含まない):83%〈((32匹−3匹)-5匹)÷(32匹-3匹)×100〉 昨年82%

これまでの子育て成功率の定義を変えないために、今年も「ある期間までに働きアリが1匹でも誕生したコロニーの割合」としましたが、今年の場合は、働きアリが少ないコロニーはありませんでした。子育てに成功した24のコロニーは、いずれも下の写真のようです。

子育てが成功したコロニーの例 8月20日撮影

同じコロニーの2度目?の結婚飛行

梅雨空の曇天で、小雨が僅かに降ったり止んだりしていました。庭を歩いていてふとB巣の近くでクロオオアリの有翅女王アリを見つけました。更に辺りを見ると有翅女王アリが数匹歩いています。そこで、A巣の方はと思い見ると、かなりの数の有翅女王アリと雄アリが巣から出て歩いていました。結婚飛行です。更に、もしかしてと思い、C巣を見ると、数は少ないのですが、有翅女王アリと雄アリの姿がありました。
5月16日にA巣とB巣で結婚飛行が行われたことは、既にブログに書きましたが、今日はC巣でも結婚飛行が行われようとしていました。これまでの観察から、クロオオアリの場合、結婚飛行が数日に渡って行われることが分かっていますが、5月16日の結婚飛行がメインだと思っていましたので、今回の羽アリの数の多さは意外でした。また、曇天で小雨も僅かですが降っている中での結婚飛行ですから、このことも意外でした。ちなみに気温は25℃程でした。
A巣とB巣の結婚飛行を見たのは今回が2度目ですが、観察できていない日もあったかも知れません。それにしても、5月16日からは、22日も日を空けて結婚飛行が行われたのですから、これも意外なことです。

A巣の様子 15時31分撮影

C巣の様子 15時35分撮影

画面左上から外気温 その下は湿度

栗の花にもクロオオアリが

これまでに、庭の果樹にやって来るクロオオアリを紹介してきましたが、栗の花にもクロオオアリが来ていました。

地味な花ながら蜜が出ているようだ 16時54分撮影

体に花粉がついている 花粉を媒介することになる 16時57分撮影

体に花粉がついているクロオオアリもいましたから、受粉を媒介することもあるのでしょう。

過去の関連ブログ(今年の庭の果樹)
庭の果樹とクロオオアリ」(4月17日)
柿の花にも蜜が」(5月18日)
桑の実とサクランボの花外蜜腺」(6月4日)

移植後のBK17207の生存を確認

今年になって庭に移植したクロオオアリのコロニーの中で、また新たに生存しているコロニーを見つけました。東南フェンスに4月1日に移植したBK17207です。このコロニーは移植時は働きアリが10匹いました。

庭に設置している蜜器に蜜を配っていたところ、偶然にもある蜜器の中にクロオオアリがいました。そのクロオオアリは小柄でしたので、おそらく今年移植したコロニーの働きアリだろうと思いました。そこで、蜜を吸った後、帰路を追ってみると、案の定、今年移植した場所にある小さな穴の中に入っていきました。

同じクロオオアリが2回目に訪れているところ 帰路につく直前 16時36分撮影

再び巣に戻ったところ 巣穴に入る瞬間 16時37分撮影

ヘウレーカ! なぜアリは行列するのか?

6月6日に、NHK制作の「又吉直樹のヘウレーカ! 『なぜアリは行列するのか?』」という番組が放送されました。アリの行列に関してのテレビ放送としては、昨年の4月15日にも、NHKの Eテレで「なりきり! むーにゃん生きもの学園『アリになりきり』」が放送されています。その際にも、放送内容について、ブログで書いていますのでご参照下さい。

今回の放送では、次のようにアリの行列ができる仕組みを説明しています。

実例としては、モリシタケアリ(クサアリの一種)を取り上げていて、このアリは「いつも行列を作っているアリ」として紹介されています。つまり、上記のアリの行列の説明は、「いつも行列を作っているアリ」の場合としています。NHKの Eテレ放送の「なりきり! むーにゃん生きもの学園『アリになりきり』」では、特定の習性を持ったアリの行列についてと言う断りがなく、アリ一般の行列の仕組みを説明しているかのように受け取れますが、この点で、今回の放送との違いがあります。
上記のアリの行列の説明は、確かに理屈が通っているように思えます。ですが、良く吟味すると引っかかるところもあります。たとえば、「近くでふらふらしていたアリたちもフェロモンに気づき」「エサへと向かう」と説明していますが、フェロモンには方向性はないと考えられますから、どちらにエサがあるかは分からないでしょう。この場合は、出会う仲間に歩く方向を教えてもらうのでしよう。細かなことについては、更に吟味する余地がありそうです。

とは言え、この番組の最も大きな問題点は、アリの行列ができる仕組みを図で説明して終わっていることです。つまり、実写がないのです。アリの行列の説明を観察なしでしているとすれば、それは仮説に過ぎません。

これまでのブログで、いずれもクロオオアリに関してですが、幾度もアリの行列について書いてきました。仮説を立て、実際に観察で確かめてもいます。

マーキングを撮る(2013年6月12日)
アリの道(2016年4月14日)
クロオオアリの行列の起因は?(2016年5月14日)
道しるべ(2016年10月12日)
「ありの行列」を考える その1(2017年4月06日)
「ありの行列」を考える その2(2017年4月06日)
NHK Eテレ なりきり! での道しるべのこと(2017年4月17日)
「ありの行列」を考える その3(2017年4月18日)
「ありの行列」を考える その4(2018年4月10日)
「ありの行列」を考える その5(2018年4月20日)

再録になりますが、 Eテレ放送の際に書いた仮説を引用しておきましょう。

⑴クロオオアリは、自分たちの生活圏内で餌探しをしているので、餌を見つけた時には、道しるべはなくても、自分の巣に帰ることができる。つまり、餌探しをしながら、帰路のために道しるべを付けているのではなく、その必要もない。
ミツバチは、餌を探す際、空中に道しるべを付けようがなく、それでも、餌を見つけて自分の巣に帰ることができるが、アリの場合も同様と考える。

⑵ 餌を探し当てて巣に帰る際にも、道しるべは付けない。帰路は、餌を探していた道とは違った場所を歩いていて、かなり迷っていることもあるが、いずれにしても腹部を地面をつける行為は見られない。
それでも、帰路に道しるべを付けているとした場合、説明しにくいことがある。というのは、餌を見つけて戻ってきたアリが、仲間を連れて再び出かけるまでに10分から15分程経過する。例えば、真夏のかんかん照りの日だったなら、その間にフェロモンはほとんど蒸発してしまうのではないだろうか。

⑶ 仲間を連れて再び出かけるクロオオアリは、観察によれば、直前に戻ってきた道に沿って歩かない。先程の帰路よりは、多くの場合近道になっている。この再度餌場に出かける時に、初めて地面に道しるべを付ける行為を見ることができる。その道しるべを付けながら餌場に向かうアリは、数匹の中の必ず1匹のみで、先頭を行くアリである。この1匹のアリが、先程餌を見つけたアリだと考えられる。
先導する1匹のアリに数匹が右往左往しながら付いていくわけだが、その時に道しるべフェロモンが道しるべとして使われている。仲間が1匹の先導者の直後についていくのだから、フェロモンはまだ蒸発しないで感知できるのだろう。アリの視力はとても悪いようなので、他の動物のように、先を歩く仲間の姿は見えず、フェロモンが唯一有効なのでないだろうか。

「いつも行列を作っているアリ」に関しては、NHKの放送内容が正しいのか、それとも「いつも行列を作っているアリ」もクロオオアリと同じようにして行列を作るのか、とても興味深いところです。