クロオオアリ」タグアーカイブ

現有のクロオオアリのコロニー

小学生中学生の頃、アリを飼育していましたが、2010年になって再びアリを飼育するようになりました。その年の6月8日、たまたまですが長野県のK地点でクロオオアリの新女王アリを1匹採集したのが、再びアリを飼育するきっかけになりました。そして、その翌年の3月に退職したため、2011年からは、アリを飼育する時間が持てるようになりました。
2010年に採集したクロオオアリの女王アリは、5年後の2015年6月27日に死に、現在コロニーは残っていません。
現有の最も古い採集年のコロニーは、2011年に新女王アリを採集したコロニーになります。以下、今年採集のクロオオアリの新女王アリのコロニーを除く、現有のクロオオアリのコロニーを列挙します。

2011年採集 4コロニー(以下シリアル番号と飼育器を記載)
B110608-04 旧型アンテシェルフで飼育 過去大家族 現在小家族
B110608-06 カップ型コンクリート人工巣をグッピー水槽に入れて飼育
B110608-07 リトルアンテシェルフ2個を中型水槽に入れて飼育 大家族
B110608-11 グッピー水槽で飼育

2012年採集 2コロニー
B120614-03 グッピー水槽で飼育
B120614-86 旧型アンテネストとアンテシェルフと百均トレー5段組で飼育 最多大家族

2013年採集 1コロニー
B130617-04 カップ型コンクリート人工巣をグッピー水槽に入れて飼育

2014年採集 1コロニー
B14034+133(同種間共存) リトルアンテシェルフをグッピー水槽に入れて飼育

2015年採集 2コロニー
B15006 虫籠コンクリート人工巣と特製アンテシェルフとアンテグラウンドⅠ型
B15099 カップ型コンクリート人工巣をグッピー水槽に入れて飼育 大家族

2016年採集 4コロニー
B16000 百均簡易飼育器で飼育
B16001 リトルアンテシェルフで飼育
B16012 研究用アンテネストで飼育
B16018 研究用アンテネストで飼育

2017年採集 14コロニー
BH17001+BH17025(同種間共存) カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17007 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17015+BH17009(同種間共存) カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17010 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17023 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17027 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17031 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BK17015 ミニアンテシェルフで飼育
BK17022 百均簡易飼育器で飼育
BK17040 リトルアンテシェルフで飼育
BK17052 リトルアンテシェルフで飼育
BK17055 百均簡易飼育器で飼育
BK17064 百均簡易飼育器で飼育
BK17081 リトルアンテシェルフで飼育

2018年採集 9コロニー
BH18008 百均簡易飼育器で飼育
BH18015 百均簡易飼育器で飼育
BH18019 百均簡易飼育器で飼育
BH18020 百均簡易飼育器で飼育
BH18024 グッピー水槽で飼育
BH18030 グッピー水槽で飼育
BH18034 百均簡易飼育器で飼育
BH18037 グッピー水槽で飼育
BH18040 百均簡易飼育器で飼育

以上37コロニー

こうして見ると、8年以上生きている女王アリがいることが分かります。
また、37コロニーの中で最も大家族になっているのは、2012年採集のB120614-86で、次に大家族になっているのは、2015年採集のB15006です。このことから、コロニーの規模の大小は、結果的には、経過年の長短によらないことが分かります。ただ、故意にそうしたわけではありませんが、飼育環境や餌の量の違いが要因となったかも知れません。ですから、女王アリ(とそのコロニー)には個体差があることは分かっていますが、以上の記録からだけでは、コロニーの規模を個体差だけで説明するには無理がありそうです。

ところで、大家族のB120614-86とB15006に限りませんが、他の大家族のコロニーも含めて、これからを期待していることがあります。それは、羽アリの誕生です。今年も羽アリは生まれないようです。羽アリの誕生の条件については、飼育下での先行事例もあるようですが、検証してみたいと考えています。

羽アリは毎年生まれるか

クロオオアリでは、創巣から何年か後に羽アリが生まれるのですが、何年後から羽アリが生まれるのかは、私にはまだ分かりませんし、そもそもコロニーの個体差(集団差)や、巣のある場所の周りの環境の差や、気候などが要因となって、一律に何年後からということではないでしょう。
では、何年後かに羽アリが生まれるようになってからは、毎年羽アリは生まれるのでしょうか。このことについては、過去4年間の観察で少し分かってきました。
自宅の庭にはいくつかクロオオアリの巣があるのですが、この内、これまでに羽アリを見たA巣とB巣とC巣で、年次ごとに振り返ってみましょう。

2016年 羽アリを見たのは B巣のみ
2017年 B巣と C巣(わずかに雄アリのみ)
2018年 A巣と B巣と C巣(少数の雌雄アリ)
2019年 A巣のみ

B巣は、庭のクロオオアリのコロニーの中で、一番繁栄していると思っていましたが、3年連続で羽アリが出てきた後、今年は羽アリが出てきませんでした。A巣とC巣は2年連続で羽アリが出てきましたが、C巣では3年目は羽アリが出てきませんでした(C巣は、A巣とB巣と比べて、これまでの観察からコロニーの規模が小さいと思われます)。
以上のことから、いくつか考えられるのですが、次のように考えることもできます。

A巣では、羽アリが生まれるようになってからは2年連続で羽アリが生まれていて、来年も羽アリが生まれるかもしれない。
B巣では、少なくとも3年連続で羽アリが生まれたが、コロニーが終焉をむかえた(女王アリが死んだ等)のかもしれない。
C巣では、コロニーの規模が不安定で、来年以降羽アリが出てくるかわからない。

いずれも、来年以降の各コロニーの羽アリの有無を見なければ、確かなことは言えないようです。

4例のクロオオアリの同種間共存のその後

(1)昨年2018年の3月28日のブログ「クロオオアリの同種間共存(1)」で取り上げている「ケース1」のその後について

2018年4月5日には、B15053+R(2016年8月16日女王アリ死)のクロオオアリの働きアリ7匹を加えました。この時、 喧嘩は無く受け入れられました。
2018年4月14日に、BH17022(2018年4月13日女王アリ死)のクロオオアリの働きアリ7匹と幼虫3匹を加えています。
2018年5月1日に、B130605+R(旧名B131015)のクロオオアリの働きアリ6匹とムネアカオオアリの働きアリ1匹を加えました。この時、ムネアカオオアリも受け入れられました。
2018年5月7日に、BK170530-114(2018年5月7日女王アリ死)のクロオオアリの働きアリ2匹を加えました。しかし、受け入れられませんでした。
2019年の02月28日には、既に全滅していました。

(2)昨年2018年の3月28日のブログ「クロオオアリの同種間共存(2」で取り上げている「ケース2」のその後について

2018年6月3日に、BK170530-195(2018年6月3日女王アリ死)のクロオオアリの働きアリ3匹と幼虫2匹を加えましたが、働きアリは受け入れられませんでした。
そこで、2018年の6月3日時点でのコロニーの構成は、女王アリに働きアリ15匹と幼虫が2匹になります。それから13ヶ月強経った現在の様子は、下の写真のようです。

人工巣の部屋の中 2019年7月10日撮影
人工巣の地上面 2019年7月10日撮影

かなりコロニーが大きくなったことが分かります。

(3)今年2019年の4月19日のブログ「Q+WとWのみのクロオオアリのコロニーを合併」で取り上げている1つ目の例のその後について

4月16日に合併したコロニー
BH170521-025:
  2017年5月21日に岡山県蒜山高原で採集した女王アリのコロニー
  働きアリ2匹と女王アリ 幼生虫なし
BH170520-001:
  同年5月20日同地(採集箇所も同じ)で採集した女王アリのコロニー
  昨年女王アリ死 働きアリ多数 幼虫あり

4月16日には、女王アリに、働きアリ多数と幼虫も多数居たことになります。次の写真は、その後の3ヶ月弱の様子です。

左に見えるのは女王アリの腹部 よく膨れている 2019年7月10日撮影

人工巣には、写真の部屋の他にもう一つ部屋があり、そこにも幼生虫が居ました。写真には写らなかったのですが、卵もありました。一つのコロニーに成ったようです。

(4)今年2019年の4月19日のブログ「Q+WとWのみのクロオオアリのコロニーを合併」で取り上げている2つ目の例のその後について

4月19日に合併したコロニー
BH170520-015:
  2017年5月20日に岡山県蒜山高原で採集した女王アリのコロニー
  働きアリ2匹と女王アリ 幼生虫なし
BH170520-009:
  同年同日同地(採集箇所も同じ)で採集した女王アリのコロニー
  今年3月に女王アリが死亡 働きアリ4匹のみ 幼虫なし

4月19日には、女王アリに働きアリ6匹のみで、幼生虫は居ませんでした。次の写真は、その後の3ヶ月弱の様子です。

2019年7月10日撮影

4月19日には居なかった幼生虫が育っています。働きアリは、写真には4匹写っていますが、5匹居ました。1匹は死んだようです。

ミツバチの蜜枠にやって来たクロオオアリ

少し以前から、ミツバチの蜜枠を屋外に出しています。

一度スムシが付いてしまった蜜枠で、蜜を別のコロニーのミツバチに与えるのが目的です。

ミツバチがやって来ている

既にクロヤマアリはこの蜜枠にやってきていましたが、つい2〜3日前から、クロオオアリもやって来るようになりました。

蜜を吸うクロオオアリ 右のアリはクロヤマアリ 9時21分撮影

このクロオオアリの帰路を追ってみると、A巣から来ていることが分かりました。
少し意外なのは、この蜜枠で同時に見かけるのが2匹までだという点です。ここには蜜が豊富にあるにも関わらず、仲間を引き連れて来ないようなのです。その理由として考えられるのは、A巣が比較的遠方にあることや、蜂蜜の嗜好性についてですが、確かなことは分かりません。

B16015が引越

6月19日に、自宅の庭に、ミツバチの巣箱を使って移植したクロオオアリのコロニーB16015が、引越を始めていました。
気づいたのは6月29日のことで、早朝に庭を見回っていた時のことでした。

6時35分撮影

先ず目に付いたのは、繭を運んでいるところでした。芝地の斜面を上へと歩いていきます。少しして、そこより下の方を見ると、同じく繭を運んでいる複数のクロオオアリがいました。

6時37分撮影

これは、6月19日に移植したコロニーが引越をしているところだろうと思い、更に下の方にあるミツバチの巣箱を見ると、ちょうど仲間を咥えて歩いていくクロオオアリがいました。

6時38分撮影

やはり、B16015が引越を始めているようです。もう一度斜面の上の方を見ると、階段として踏み石にしているコンクリートブロックと芝生の間に繭を引きずり込んでいました。

6時40分撮影

後に続くクロオオアリを観察しても、同じ場所で繭を引き込んでいきます。この場所に巣を作ったようです。その場所は、コンクリートブロックの階段の上から2番目でした。

上から2段目のコンクリートブロックに接する場所に巣を作ったようだ 巣の場所はコンクリートブロックの中央より右寄りにある

幼虫を運び出しているところも見ました。

6時50分撮影

初めに引越に気づいてから2時間ほど経っても、まだ繭を運び出しているところを見ました。

8時31分撮影

この引越はいつから始まっていたのか、また何時頃終わりそうなのかが全く分かりませんでした。ミツバチの巣箱の蓋を開けて、人工巣アンテネストを見ると、まだ引越前とほとんど様子が変わりませんでした。引越は始まってまだそれほど時間が経っていないように思えました。

8時53分撮影

引越の際、女王アリがどのようなタイミングで移動するのかを観察したかったのですが、これ以上時間を取って観察しても、しばらくの間は女王アリの引越に出会せないように思え、9時に観察を終了しました。

それから、1日置いて7月1日、ミツバチの巣箱を開けてみると、アンテネストの中のアリの部屋が空になっていました。

15時40分撮影

2匹ほどアンテネストの中で働きアリを見ましたが、女王アリも含め引越は既に完了しているようでした。
引越先の巣の場所は分かってはいましたが、巣口を特定するために、コンクリードブロックに接する芝を刈りました。すると、コンクリートブロックの1つの穴が一部むき出しになり、穴の中から働きアリが飛び出してきました。

16時7分撮影

コンクリートブロックの穴を巣として利用しているのかも知れません。だとすると、上下左右の4面はコンクリートに覆われ、安全が確保されていると思われます。
芝を刈ったために、不用心にも空いてしまった前面の穴を塞がなくてはならなくなりましたが、辺りには穴を塞ぐ材料が無いように思いましたので、真砂土で周囲を覆いました。

出入り口が残るように真砂土を周囲に被せた 16時18分撮影

1時間ほど経つと、巣口は適度に塞がれていました。

穴を塞ぐ材料として、土の他、芝も利用されていた 17時25分撮影

今回の引越先は、意外にも移植した場所からかなり離れた場所でした。

引越の全景 上から2段目のコンクリートブロックの横に引越先の新巣の巣口がある 葉の陰で見えないが遠方中央左に引越元のミツバチの巣箱がある

直線距離にして7.8mです。人間にとっては極近くですが、クロオオアリにとっては、たいそうな距離です。上掲の6月29日の8時31分撮影の繭を咥えたクロオオアリの足跡を追ってみると、ミツバチの巣箱から新巣の巣口に到着するまで、17分強かかっていました。直線距離を使って計算するのは必ずしも妥当ではありませんが、分速にするとおよそ46cm/分になります。この数値は、繭を運んでいたとは言え、クロオオアリの通常の歩く早さからするとかなり遅い数字です。その原因として考えられるのは、主に芝生の上を移動したからでしょう。もっとも、巣口から下方にあるコンクリートブロック9箇所については、全て平面を横断していました。これはクロオオアリなりの知恵のようなものなのでしょう。
どのような過程で、こんなにも移動するには不便な場所を見つけ、移動先として選んだのか興味深いところです。
ところで女王アリは引越の過程のどの時点で移動したのでしょうか。今回は、というか今回もなのですが、ついに出会すことはできませんでした。私がひそかに思っていることは、女王アリが引っ越すのは夜間なのではないかということです。鳥に襲われるのが一番危険だと思うのです。

新巣M巣の発見

6月19日に「ミツバチの巣箱で「移植」その3(B16015)」を行いましたが、その際、ミツバチの巣箱のすぐ傍にクロオオアリの巣穴があるのに気づきました。

新たに見つけたクロオオアリの巣穴 6月19日16時15分撮影
写真中央に巣穴がある

この場所に突如、巣穴が空いたと言う感じで、少し驚きでした。一番近いところにあるクロオオアリの巣はA巣で、5.7m離れていて、次に近いところにある巣はB巣で、7m離れています。これだけの距離離れていますので、同じ巣だとは考えにくく、新発見のコロニーの可能性が高いと思いました。ただ、この日は別のコロニーなのかを確かめることはしませんでした。

それから2日後の6月21日、この新発見の巣穴の中に棲むクロオオアリが、これまでとは別のコロニーなのかを確かめることにしました。
A巣には巣口が主に2箇所あるのですが、その内この新発見の巣口に最も近い西寄りの巣口に帰ろうとしているクロオオアリをフィルムケースで捕らえ、新発見の巣口の上に被せました。

フィルムケースの中の中央の穴が巣口 10時21分08秒撮影

巣口には入ろうとしません。もしかすると巣口があることに気づいていないのかも知れません。もし、この巣口がA巣の巣口なら、この働きアリはすぐに自分のコロニーの出入り口であることに気づくはずです。
それからほんのしばらくして、この巣口へと向かってくるクロオオアリがいました。そこで、そのクロオオアリも同じフィルムケースで捕らえました。すると、すぐに栄養交換が始まりました。

左側がA巣の近くで捕らえたクロオオアリ 大腮を開けているので蜜を与えている方がA巣のクロオオアリだと分かる 10時21分58秒撮影

そのまま、巣穴の上に移動しました。

10時22分41秒撮影

しばらくすると、どちらが先かは分かりませんでしたが、2匹共に巣穴に入っていきました。

巣穴に入る直前の2匹 10時23分09秒撮影

巣穴を覗いて見ると、そのうち1匹は完全には巣穴の中に入っていないようです。

腹部が見える 10時25分39秒撮影

腹部の膨らみから、A巣の近くで捕らえたクロオオアリのように見えます。
2匹が巣穴の中に入ってから3分26秒後に、A巣のクロオオアリと思われる働きアリが巣穴から出てきました。そこでこのクロオオアリを捕らえ、A巣の巣口の近くで放ちました。すると、A巣の巣口の中に入っていきましたので、このクロオオアリがA巣の成員であったことが確かめられました。
同じように、A巣の近くで更に2匹クロオオアリを捕らえ、それぞれ同じようにクロオオアリが入ったままフィルムケースを巣穴に被せましたが、この2例ではクロオオアリはいずれも巣口の中には入っていきませんでした。その後、A巣の巣口の近くに放ち、いずれもA巣の巣穴に入っていくのを確認しました。
以上のことから、この新発見の巣のクロオオアリとA巣のクロオオアリとは友好的ですが、別のコロニーのように思えます。

次に、夕刻になって、B巣のクロオオアリと思われる働きアリをB巣の近くでフィルムケースで捕らえ、新発見の巣穴に被せました。このクロオオアリは、人工的に設置している蜜器の蜜を吸って帰っていくところだったようです。腹部が膨れています。

16時53分撮影

4分ほどすると巣穴の中に入っていきました。
2匹目でも観察することにしました。今度は、B巣から出てきたクロオオアリをフィルムケースで捕らえ、新発見の巣穴に被せました。このクロオオアリは、腹部が膨れていません。このクロオオアリも、新発見の巣穴に入っていきました。
1匹目のクロオオアリが巣穴に入ってから、10分ほども経って、1匹目と思われるクロオオアリが巣穴から出てきました。

17時06分45秒撮影

10分ほどの間、巣の中で何をしていたのでしょう。それから1分ほど経って、もう一匹クロオオアリが出てきました。

17時07分49秒撮影

巣から出てきたこれら2匹を再びフィルムケースで捕らえ、B巣の近くで放ちました。2匹共に、B巣の巣穴に入っていきました。
以上のことから、この新発見の巣のクロオオアリとB巣のクロオオアリとは、喧嘩はなかったようですが、別のコロニーのように思えます。

この新発見の巣をM巣と名付けることにします。

今年のオオアリの結婚飛行の日

今年も異常気象なのでしょうか、私が住む中国地方では6月26日に梅雨入りしました。これは、記録が残る1951年以降で最も遅い梅雨入りだそうです。
そのためか、今年はクロオオアリやムネアカオオアリの結婚飛行の日を見誤ったようです。採集旅行には4回出かけましたが、結婚飛行のピークの日に出会うことなく、今年の採集を終えることになりました。
6月11日に自宅の庭で、本格的なクロオオアリの結婚飛行を観察してから、翌日の12日から14日まで長野県へオオアリの採集に出かけました。これまでに3回、岡山県の蒜山高原へ採集旅行に出かけたことについては、既にブログに書いた通りですが、4回目に当たる長野県では、1匹も新女王アリを採集することはできませんでした。既に、クロオオアリもムネアカオオアリも結婚飛行は終わっていたようです。どの巣穴を覗いて見ても、巣穴は小さく、羽アリの姿はありませんでした。

クロオオアリの巣 長野県駒ヶ根市内 6月13日撮影

これまでに分かっている今年の結婚飛行のピークの日は次のようになります。(市町村名も分かっていますが、ここでは県名のみ記載します)
5月23日 栃木県(ムネアカオオアリも)
5月25日 長野県(ムネアカオオアリも)
6月03日 香川県(クロオオアリのみ)
そして、自宅の岡山市では、6月11日(クロオオアリのみ)
これのみの情報からは、より北方でしかも高度が高いところの方が、結婚飛行が早かったことになります。このようになったのは、やはり、各地方間の気象の違いによるのでしょう。

ついに本格結婚飛行

昨日10日は、庭のクロオオアリの結婚飛行が、おそらく雨が降り出したためと思われますが、中断してしまいました。今日は夕刻ににわか雨はなさそうなので、本格的な結婚飛行が行われるのではないかという期待がありました。
13時過ぎにA巣を見ると、巣口の中に羽アリが見えました。

僅かに羽アリの翅が見える 13時10分撮影

それから30分ほどすると、僅かですが有翅女王アリが地上に出ていました。

13時44分撮影
13時46分撮影

そして、13時46分には、有翅女王アリが1匹飛び立ちました。
所用のため、観察の空白が出来てしまいましたが、15時半前に観察に行くと、既に多くの有翅女王アリが巣口から出ていました。

A巣の最も西側にある巣口の様子 この写真には有翅女王アリが8匹写っている 15時24分撮影
上の写真と同じ箇所の小枝の先の様子 ここにも有翅女王アリが5匹写っている 15時25分撮影

それからは、盛んに有翅女王アリが飛び立っていきました。15時25分から58分までの33分の間に、数えられただけでも30匹ほどの有翅女王アリが空高く飛び立ちました。(この間は、A巣の巣口の中で最も西側にある巣口のみを観察していましたから、東へ1.8mの場所にあるA巣の巣口から出て飛び立った女王アリの数は入っていません。)

15時37分撮影
15時38分50秒撮影
15時38分53秒撮影 上の写真と同じ個体
15時39分撮影
15時49分撮影

ところが16時になるととても急な感じで、結婚飛行が終結していきました。働きアリが、女王アリに巣に戻るよう促したようです。

働きアリが女王アリに巣に戻るよう促しているようだ 16時00分撮影

そして、10分も経たない16時9分には、有翅女王アリの姿が消えてしまいました。

まるで何事もなかったように閑散となった 16時9分撮影

A巣の東側の巣口の周りからも羽アリの姿が消えました。ただ1匹の有翅女王アリが、巣穴へと戻っていきました。

巣穴へ戻っていく女王アリ 巣口の周りには既に羽アリの姿はない 16時10分撮影

ところで、有翅女王アリが姿を消した直後の働きアリの動きを見ていると、その動きには意味があるように思えました。

16時4分から45秒間の動画

小枝に1匹、切り株に5匹ほど働きアリが見えますが、いずれも素早く動き回って、何かを捜しているように見えます。推察するしかありませんが、まだ巣に戻っていない有翅女王アリがいるかどうかを調べているように私には見えたのですが、どうでしょうか。

さて、これでやっと本格的な結婚飛行が行われたようです。昨年は、同じA巣で、5月16日に本格的な結婚飛行を観察しましたから、今年は1ヶ月近くも遅い結婚飛行となります。ただ、以上の観察からも分かるように、今日の結婚飛行は、飛び立った羽アリの個体数からもピークであるとは思いますが、まだ巣の中には有翅女王アリが残っています。昨年は同じA巣で2度目の大きめの結婚飛行を観察していて、その2度目は、最初の結婚飛行の22日後でした。今年もA巣の2度目の大きめの結婚飛行があるのかも知れません。

梨の木のアブラムシとクロオオアリ

もう何時頃からか、二十世紀ナシにアブラムシが付いていました。そこにクロオオアリがやって来ていました。

梨の木のアブラムシとクロオオアリ 6月3日15時20分撮影

その様子を見ようと下から覗き込むと、クロオオアリたちはとても慌て出し、ドラミングをしてカサカサと葉音をたてます。こんなにまで、興奮するクロオオアリを屋外で見ることはまずありません。その行動が不思議なのは、息を潜め、普通に距離をとって、本当にそっと見るだけなのに、クロオオアリがそれを感知することです。
クロオオアリはいつも人間が近づいても何の反応もしません。人間の姿など、見えていないかのようです。蜜を飲んでいる時も、地上を歩いている時も、結婚飛行の時も、……、人間が近づいたからといって、何も反応がないのです。
それなのに、梨の木のアブラムシのところにいるクロオオアリだけは、意外な反応を示すのです。いったいクロオオアリは、どのような感覚を使って人間の何を察知しているのでしょうか。それが分かりませんでした。

さて、このアブラムシは、ナシミドリオオアブラムシのようです。

ナシミドリオオアブラムシ 葉裏の主脈に沿って整然と並んで寄生していた 6月10日9時25分撮影

ナシミドリオオアブラムシが梨の木に付くことについては、複雑な思いがあります。というのは、一方ではナシの害虫ですから駆除しなくてはならないのですが、他方ではクロオオアリにとっては貴重な蜜源なのです。そこで、ナシミドリオオアブラムシが適当な数に留まるように、間引くことにしました。毛の部分が固めの絵の具筆を使って、葉の裏面についているアブラムシを撫で落とします。但し、アブラムシが付いている何枚かの葉はそのまま残しました。

ところで、ナシミドリオオアブラムシを実体顕微鏡で見ると、とても意外な動きをしていました。

1分間の動画

ナシミドリオオアブラムシの腹部の先端から球形をした透明な甘露が出たり入ったりしていました。ちょうど夜空の星が瞬いているかのようです。このリズミカルに出入りしている甘露をクロオオアリは摂取しているのでしょう。

結婚飛行と働きアリ

結婚飛行における働きアリの役割とは、どんなものなのでしょうか。
クロオオアリで観察してみましょう。
結婚飛行中またはその前後の働きアリの動きを次のムービー(6月1日撮影 再録)で見てみます。

16時11分から4分間のビデオ

働きアリと羽アリは巣口の周りに出ていて、働きアリが大きく身体全体をぴくぴくと動かしています。ただ、働きアリが羽アリに接して、そのぴくぴくする動きを伝えているとは限りません。働きアリ同士で動きを伝えあっている場面も多く見られます。

有翅女王アリへの働きアリの働きかけについては、5月26日のブログ「女王アリが出てきた」で取り上げています。
引用:「この写真(下の写真)には、働きアリが有翅女王アリにしているある行為が写っています。よく見ると、働きアリが女王アリの翅を咬んでいるように見えます。写真では分かりませんが、数匹の働きアリが、この女王アリの周りで何らかの働きかけをしていました。想像に過ぎませんが、巣に戻るように働き掛けていたのではないかと思います。」

働きアリの有翅女王アリへの働きかけ 5月26日撮影

次に紹介するムービーでは、結婚飛行を終える時刻になったのでしょう、その時の働きアリが雄アリへ働きかける様子が映っています。画面中央上方を見て下さい。

16時41分から2分20秒間のムービー 6月8日撮影

働きアリが雄アリに巣へ戻るように促したのでしょう。この時巣口から外に出ていた何匹かの雄アリは、巣に戻っていきます。複数の働きアリ同士が申し合わせたかのように、あちこちで雄アリを誘導したかにみえます。

以上の3例の観察から、結婚飛行における働きアリの役割はとても大きいと言えそうです。