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トゲアリの直短的社会寄生 初めての産卵

トゲアリの直短的社会寄生の試みでは、8例扱いましたが、その内の4例は昨年9月11日に採集した新女王アリです。その内、現時点では2例(S/N:T17003とT17004)が生き残っていますが、6月3日、T17004が産卵していることに気づきました。

卵が見える 6月3日17時7分撮影

産卵を確認できたことの意味は大変大きく、この方法(直短的社会寄生)でトゲアリのコロニーを人工的に作ることができることを意味しています。ただ、今の時点では、1例のみなので一般化することはできませんし、この後、卵から成虫まで育つのか分かりません。今後の経緯を見守りたいと思います。

トゲアリの引越先

2016年5月13日に塚山公園でトゲアリを見つけたことをブログ「岡山市内でトゲアリを発見」で書きましたが、ほぼ同じ場所で、トゲアリの巣になっていると思われる樹を見つけました。この樹は、2年前の発見とは違って、歩道のすぐ横にあり、とても観察しやすい場所にあります。昨年もこの樹については、トゲアリが僅かに上り下りしているところを見かけたことがありますが、今回はとても個体数が多いことから、おそらく近くから巣ごと引越してきたのでしょう。

5月16日15時58分撮影

5月16日15時58分撮影

まだそれほど大きくはない桜の木のようです。一部が朽ちていて、その中を巣にしているようです。

ところで、実はこの時間、自宅の庭ではクロオオアリが結婚飛行を行っていました。その観察を中断して、この塚山公園に来ていたのです。その目的は、この公園でのクロオオアリの結婚飛行を観察することでしたが、1つの巣口の中に羽アリがいただけで、結婚飛行は行われてはいませんでした。この公園では、クロオオアリの結婚飛行が既に終わっているのか、あるいはこれからなのかは判断できませんでした。

飼育中のトゲアリの様子

現在、飼育しているトゲアリの内、「直短的社会寄生」を試みているトゲアリ以外では、7コロニーを飼育しています。そのうち、最もよく繁栄しているのは、シリアルナンバーT140906-40です。2014年の9月11日にクロオオアリの巣NESTCON01024に侵入して寄生を始めました。2017年6月16日に、カップ型コンクリート製人工巣から小型の水槽へ移し替えました。これが原因かは分かりませんが、この年、特に8月に働きアリがたくさん死んでいます。8月にはトゲアリ(TW)が35匹、クロオオアリ(BW)が2匹、9月にはTW2匹、10月にはTW7匹、11月にはTW1匹、12月にはTW1匹、今年になってからは4匹が死にました(トゲアリは合せて50匹死んだことになります)。けれどもコロニーの規模はそこそこ維持されました。下の写真は、4月30日の様子です。

4月30日撮影 中央下方に女王アリが写っている

更に拡大すると 4月30日撮影

ツーバイフォー材で作ったコの字型の下駄のような置物の下にできた空間に、柱のように幼生虫を積み上げ、その周りに働きアリがいます。女王アリも健在です。
ガを3匹与えたところ、すぐに寄ってきて、分解を始めました。

ガを分解し始めた 4月30日撮影

異種間で共生するクロオオアリとムネアカオオアリ

B130605+R(旧S/N:B131015)の場合
現在のこのコロニーの元々のコロニーは、2013年の6月5日に採集したクロオオアリの女王アリのコロニーでした。この女王アリは、繭からの羽化を介助する能力がなく、記録によると少なくとも翌年の6月29日までは働きアリはいませんでした。その後、記録が途切れますが、2016年5月14日にはクロオオアリの働きアリが3匹、ムネアカオオアリの働きアリが4匹になります。働きアリがいるのは、これも記録はないので成虫や幼生虫がどの程度外部から導入されたのか分かりませんが、外部から導入されたことは確かです。同年の8月26日には、クロオオアリが19匹、ムネアカオオアリが2匹になっています。その後、同年の12月1日には、クロオオアリ15匹、ムネアカオオアリ1匹の中へ、ムネアカオオアリ(S/N:R15066)の幼虫4匹を加えています。翌年の2017年3月14日には、女王アリが死んでいて、働きアリは前年と同数でした。それからほぼ1年が経ち、2018年の3月8日、クロオオアリの働きアリ11匹とムネアカオオアリの働きアリ1匹が共存しています。

右の赤みを帯びているのがムネアカオオアリ

ムネアカオオアリとクロオオアリが栄養交換を行っている

R11055+070の場合
このコロニーは、2011年7月27日に採集した2匹のムネアカオオアリの女王アリのコロニーを、2015年11月29日に合併したものです。
S/N:SIMSMA01055(働きアリ4匹 幼生虫無 黒みの強い女王アリ)
S/N:SIMSMA01070(働きアリ8匹 幼生虫無 女王アリ無し)
2016年6月22日には、ムネアカオオアリの合併巣の生まれたばかりのムネアカオオアリの働きアリを1匹と、ムネアカオオアリのコロニー(S/N:R120614)の繭を1個加えました。その1週間後の29日、ムネアカオオアリのコロニー(S/N:R120614-05)の繭3個幼虫17匹卵9個を入れ、翌日には同じコロニーの幼生虫を多数入れています。同年7月5日には、クロオオアリの働きアリが1匹(記録にはありませんが、クロオオアリの幼生虫を加えていたと考えられます)とムネアカオオアリの働きアリが2匹になりました。同年8月25日には、ムネアカオオアリが4匹いて、S/N:R15071のコロニーよりムネアカオオアリの働きアリ12匹と幼虫29匹を加えています。また、同日、S/N:B15044+Rのムネアカオオアリの働きアリ1匹(攻撃され1時間後馴染む)とクロオオアリの働きアリ3匹(翌朝までに死亡)、繭4個、幼虫6個を加えました。翌朝、ムネアカオオアリの働きアリが2匹、瀕死の状態でした。同年の11月1日にはムネアカオオアリの女王アリが死んでいて、ムネアカオオアリが8匹、クロオオアリが2匹、幼虫が10匹前後になります。そして、同月30日には、ムネアカオオアリが4匹、クロオオアリが2匹になり、その翌年の2017年3月14日には、ムネアカオオアリが7匹、クロオオアリが2匹になります。それからほぼ1年後の2018年3月8日現在、ムネアカオオアリの働きアリ3匹とクロオオアリの働きアリ1匹が共存しています。

今ではたった4匹だが、種が異なっても仲良く暮らしている

共生に関するブログ一覧

クロオオアリとムネアカオオアリの同種間の共生
コロニー同士の合併 共存 その1  2015年11月13日
 コロニー同士の合併 共存 その2  2015年11月13日
クロオオアリの合同コロニーに同種の女王アリを入れて 結果  2016年05月10日
クロオオアリの複数の女王アリは同居できるか 結果  2016年05月10日
ムネアカオオアリの女王アリの同居  2016年05月10日
ムネアカオオアリの合併コロニーの半年後  2016年05月10日

クロオオアリとムネアカオオアリの異種間の共生
異種のアリ同士は仲良くできるか  2013年04月16日
単独女王アリと異種間の養子縁組?  2014年06月29日
2種のオオアリが混在するコロニー  2014年07月03日
2種のオオアリの家族  2014年09月01日
ここにも異種合同の家族が  2015年07月13日
現有のクロ・ムネアカ共存コロニー  2016年05月14日
ムネアカオオアリはクロオオアリの卵を受け入れるか?  2016年06月16日

トゲアリの共生
トゲアリの家族は他家の子どもを受け入れるか  2014年09月02日
トゲアリのコロニーの遺族同士の合併・共存は可能か  2016年05月11日
トゲアリの女王アリの共存 その後  2016年05月11日
トゲアリの2つのコロニーを合併  2016年06月22日

ミニアンテシェルフ(飼育器)を開発

アンテシェルフシリーズの小型人工巣を作りました。クロオオアリやムネアカオオアリ、トゲアリなどの大型のアリ用です。
巣内の床の総面積は、アンテシェルフが801平方センチメートル(約28.3cm平方の広さ)、リトルアンテシェルフが400.05平方センチメートル(約20cm平方の広さ)に対して、ミニアンテシェルフは174.15平方センチメートル(約13.2cm平方の広さ)です。
棚は3段あり、最上階は活動室と居室を兼ねます。

ミニアンテシェルフ

このミニアンテシェルフの特色の一つは、給餌器として大気圧式を採用していることです。蜜器と水器として使います。両者は同一仕様のものです。
当研究会製作の他の人工巣と繋げる端子はありませんので、拡張性はないのですが、創巣期から2〜3年は飼育できそうです。
詳しくは、こちらをご覧下さい。

トゲアリの直短的社会寄生 9月26日その後

トゲアリの直短的社会寄生の様子のその後(9月26日以降)ですが、9月30日に、例2(S/N:T17002)のトゲアリの女王アリ(昨年9月11日採集の新女王アリ)が、トゲアリの働きアリ28匹を残して死んでしまいました。この例2では、22日に、女王アリが働きアリから攻撃を受ける場面がありました。

10月10日には、新たに2例の直短寄生を試みました。そのトゲアリの女王アリは、シリアル番号T130913-01とT150828-06です。この2匹は、一つのコロニーで共存していました。その経緯については、2015年10月17日のブログ「2匹のトゲアリが寄生」で触れています。その後、2017年8月1日には働きアリが3匹死んで4匹になり、同年8月8日には2匹死んで2匹になり、9月7日には1匹死んで1匹になり、ついに10月1日には残っていた1匹の働きアリも死んでしまい、女王アリが2匹だけになっていました。この2匹の寄生を例7・例8としました(2匹はシリアル番号は分かっていますが、区別ができないため、例7・8の個体の特定はできない)。
例7(左後脚不自由)では、初めに一緒にした1匹目の働きアリの方が逃げていましたが、2匹目と喧嘩になり、3匹目を加えると攻撃されて女王アリが死にかけました。そこで、女王アリをいったん取り出しました。2日後の12日には、争いは見られなくなっていました。
例8では、働きアリが女王アリを攻撃し、女王アリが逃げていました。例7・8共に、例6の場合(新女王アリではなく、コロニーを既に作ったことがある女王アリ。「直短寄生のその後と旧女王アリの寄生」参照)と同様に、化粧行為は見られませんでした。
この2例の女王アリは、いずれも5匹の働きアリを残して、5日後の15日に死んでしまいました。

11月11日になって、例1の女王アリ(知り合いの方からいただいた女王アリ)が死にました。
年を越し、2月12日、例5のコロニーから女王アリの姿が消えました。死体も食べられた跡もなく、なぜいなくなったのかを特定できませんでした。

例5を含めると、2月12日現在、例3・4・5・6を飼育中です。それぞれのコロニーの働きアリの数は、順に18・19・21・10匹です。また、これまでに死んでいった働きアリの数と、加えた働きアリの数は次のようになります。

例1(S/N: T17001):死んだ匹数40 加えた匹数54
例2(S/N: T17002):死んだ匹数  0 加えた匹数31
例3(S/N: T17003):死んだ匹数31 加えた匹数57
例4(S/N: T17004):死んだ匹数49 加えた匹数64
例5(S/N: T17005):死んだ匹数33 加えた匹数54
例6(S/N: T17006):死んだ匹数46 加えた匹数52
例7(S/N: T17007):死んだ匹数  0 加えた匹数  5
例8(S/N: T17008):死んだ匹数  0 加えた匹数  5

長期間コロニーが続いていた例では、死んでいった働きアリがたくさんいたことが分かります。これは、直短寄生が要因と言うよりも、トゲアリの飼育の難しさだろうと考えています。

2月12日撮影 左から例3・4・5・6のコロニー

直短寄生のその後と旧女王アリの寄生

9月20日には、トゲアリの働きアリを53匹(内帰宅時点で2匹死亡)採集し、次のように働きアリを増やしました。
例1:23匹
例2:23匹
例3:23匹
例4:20匹
そして、私が9月11日に採集した右前脚付節以下を失っている女王アリを寄生主に新たに加えました(5例目)。化粧を行う際に主に使っている肢は前脚ですので、その前脚の一部を失っているこの女王アリが、寄生に成功するかには、新たな関心がありました。この日は働きアリを3匹まで入れましたが、寄生に成功しているようでした。

9月21日には、トゲアリの働きアリを51匹(内帰宅時点で3匹死亡)採集し、翌日22日、5例について次のように働きアリを増やしました。
例1:30匹
例2:30匹
例3:30匹(死んでいた働きアリ1匹と死にかけていた働きアリ1匹を取り出して30匹にした)
例4:30匹
例5:8匹
これらの内、例2では、女王アリが働きアリから攻撃を受ける場面がありました。
また、例3と例4では、化粧をしている場面がありました。

ところで、2013年にムネアカオオアリの巣に寄生したトゲアリの女王アリが、22日には全ての幼生虫と働きアリを失って、単独で暮らしていました。そこで、6例目として、この女王アリを寄生主にすることにしました。観察のポイントとしては、新女王アリではないため、化粧行為を行うかどうかを見るところにありました。

最初の働きアリ1匹の場合 2分間の動画 要クリック

後に働きアリが3匹になった場合 1分間の動画 要クリック

働きアリから攻撃を受けていましたが、後には攻撃を受けなくなりました。化粧行為ですが、通常は、働きアリから攻撃を受けた場合、働きアリを抱え込んで化粧行為の体勢に入ることが多いのですが、観察した限りでは、意外にも一度も見受けられませんでした。この日、働きアリは3匹まで加えました。

ところで、16日にいただいた寄生済のトゲアリの女王アリは、残念ながらこの日(22日)に死んでしまいました。よく馴染んでいたように見受けられたのですが、とても残念です。死因は分かりません。

9月23日の様子は次のようです。(働きアリの数)
例1:30匹
例2:29匹(働きアリ1匹死亡)
例3:29匹(働きアリ1匹死亡)
例4:29匹(働きアリ1匹死亡)
例5:13匹
例6:10匹

9月24日の様子

左から例1から例5までの様子

例6(旧女王アリの寄生)の様子

9月26日の様子(働きアリの数)
例1:30匹
例2:29匹
例3:27匹
例4:29匹
例5:13匹
例6:10匹

いずれの例でも、女王アリは働きアリの中で生き続けています。

更に直短的社会寄生を試みる

更に4例目の直短寄生を試みました。
私が9月11日に採集したトゲアリの女王アリを1匹寄生主としました。

20分間の動画を1分刻みで4分間に編集している 要クリック

また、昨日寄生させた2例も働きアリを12匹まで増やしました。上記4例目は、働きアリを4匹にしました。また、4例共に蜜を与えました。

左から1例目・2例目・3例目・4例目となる

ところで、昨日採集し、収集器に残していたトゲアリの働きアリは、今日13匹死んでいました。蜜も水も与えていたのですが、死にやすいのでしょうか。

採集した翌日には、寄生に用いなかった働きアリの内、13匹が死んでいた

「直短的社会寄生」を試みる

トゲアリは、コロニーの創設にあたり、他種のコロニーに一時的に社会寄生しますが、昨日のブログ「目から鱗のトゲアリの寄生」では、直接、親元のコロニーではない同種(トゲアリ)のコロニーに社会寄生していました。トゲアリのこのような寄生については、全く新たな寄生の仕方ですので、この寄生の仕方について新たに言葉を作ると便利です。そこで、この寄生のことを「直短的社会寄生」(略称は「直短寄生」と呼ぶことにします。

「直短的社会寄生」(「直短寄生」)の定義
新女王アリが、本来は異種のアリのコロニーに一時的に寄生して、やがて完全に自己のコロニーを形成するのに対して、最初から同種のコロニー(そのコロニーに女王アリがいるかいないかに関わらず)に直に寄生すること。

9月17日、近くにある塚山公園へ行きました。昨年からトゲアリが棲息していることが分かっている辺りに行ってみると、案の定、トゲアリの働きアリが樹の幹を上下していました。

写真中央にある樹で働きアリを採集 樹の根本に近いところには樹洞がある

合せて55匹を採集しました。

取り敢ず収集器にまとめた 帰宅時に1匹が死亡

蜜と水を与える

昨日、トゲアリの女王アリを提供して下さった方からは、詳しく寄生の仕方を教えていただいていました。
夕刻寄生を試みました。昨日送っていただいた寄生済を除く2匹のトゲアリの女王アリの内、1匹(怪我を負っていた)が死亡していましたので、最後の1匹を寄生主としました。
先ず働きアリを1匹だけ収集器から取り出し、女王アリと一緒にしました。暫くしてその働きアリを捕らえ、化粧を始めました。

働きアリを捕らえて化粧を行っている

この化粧の行為は、オオアリと一緒にした場合と同様でした。やがて、働きアリを2匹目、3匹目、……5匹目と加え、最終的には12匹まで加えました。直短寄生は順調に成功しました。

そこで、私が9月11日に採集したトゲアリの女王アリ2匹も寄生させることにしました。

2分30秒間の動画 要クリック

2匹共に寄生に成功したようです。

トゲアリの女王アリを採集

9月1日から採集旅行に出かけ、2日・3日の二日間、採集を試みましたが、採集できませんでした。
8月末から9月初めにかけて、採集できた年がありましたので、採集旅行に出かけたわけですが、今年は秋の訪れが遅かったようです。まだ、結婚飛行を全く行っていないようで、先行的に飛び立つ数匹の女王アリさえいませんでした。
自宅から300km離れた場所で、毎年採集していますので、常時採集の機会があるわけではなく、今回は10日から採集旅行に出かけ、本日11日に、ある程度まとまった数のトゲアリの女王アリを採集しました。

11日に採集したトゲアリの女王アリ