タグ別アーカイブ: トゲアリ

直短寄生のその後と旧女王アリの寄生

9月20日には、トゲアリの働きアリを53匹(内帰宅時点で2匹死亡)採集し、次のように働きアリを増やしました。
例1:23匹
例2:23匹
例3:23匹
例4:20匹
そして、私が9月11日に採集した右前脚付節以下を失っている女王アリを寄生主に新たに加えました(5例目)。化粧を行う際に主に使っている肢は前脚ですので、その前脚の一部を失っているこの女王アリが、寄生に成功するかには、新たな関心がありました。この日は働きアリを3匹まで入れましたが、寄生に成功しているようでした。

9月21日には、トゲアリの働きアリを51匹(内帰宅時点で3匹死亡)採集し、翌日22日、5例について次のように働きアリを増やしました。
例1:30匹
例2:30匹
例3:30匹(死んでいた働きアリ1匹と死にかけていた働きアリ1匹を取り出して30匹にした)
例4:30匹
例5:8匹
これらの内、例2では、女王アリが働きアリから攻撃を受ける場面がありました。
また、例3と例4では、化粧をしている場面がありました。

ところで、2013年にムネアカオオアリの巣に寄生したトゲアリの女王アリが、22日には全ての幼生虫と働きアリを失って、単独で暮らしていました。そこで、6例目として、この女王アリを寄生主にすることにしました。観察のポイントとしては、新女王アリではないため、化粧行為を行うかどうかを見るところにありました。

最初の働きアリ1匹の場合 2分間の動画 要クリック

後に働きアリが3匹になった場合 1分間の動画 要クリック

働きアリから攻撃を受けていましたが、後には攻撃を受けなくなりました。化粧行為ですが、通常は、働きアリから攻撃を受けた場合、働きアリを抱え込んで化粧行為の体勢に入ることが多いのですが、観察した限りでは、意外にも一度も見受けられませんでした。この日、働きアリは3匹まで加えました。

ところで、16日にいただいた寄生済のトゲアリの女王アリは、残念ながらこの日(22日)に死んでしまいました。よく馴染んでいたように見受けられたのですが、とても残念です。死因は分かりません。

9月23日の様子は次のようです。(働きアリの数)
例1:30匹
例2:29匹(働きアリ1匹死亡)
例3:29匹(働きアリ1匹死亡)
例4:29匹(働きアリ1匹死亡)
例5:13匹
例6:10匹

9月24日の様子

左から例1から例5までの様子

例6(旧女王アリの寄生)の様子

9月26日の様子(働きアリの数)
例1:30匹
例2:29匹
例3:27匹
例4:29匹
例5:13匹
例6:10匹

いずれの例でも、女王アリは働きアリの中で生き続けています。

更に直短的社会寄生を試みる

更に4例目の直短寄生を試みました。
私が9月11日に採集したトゲアリの女王アリを1匹寄生主としました。

20分間の動画を1分刻みで4分間に編集している 要クリック

また、昨日寄生させた2例も働きアリを12匹まで増やしました。上記4例目は、働きアリを4匹にしました。また、4例共に蜜を与えました。

左から1例目・2例目・3例目・4例目となる

ところで、昨日採集し、収集器に残していたトゲアリの働きアリは、今日13匹死んでいました。蜜も水も与えていたのですが、死にやすいのでしょうか。

採集した翌日には、寄生に用いなかった働きアリの内、13匹が死んでいた

「直短的社会寄生」を試みる

トゲアリは、コロニーの創設にあたり、他種のコロニーに一時的に社会寄生しますが、昨日のブログ「目から鱗のトゲアリの寄生」では、直接、親元のコロニーではない同種(トゲアリ)のコロニーに社会寄生していました。トゲアリのこのような寄生については、全く新たな寄生の仕方ですので、この寄生の仕方について新たに言葉を作ると便利です。そこで、この寄生のことを「直短的社会寄生」(略称は「直短寄生」と呼ぶことにします。

「直短的社会寄生」(「直短寄生」)の定義
新女王アリが、本来は異種のアリのコロニーに一時的に寄生して、やがて完全に自己のコロニーを形成するのに対して、最初から同種のコロニー(そのコロニーに女王アリがいるかいないかに関わらず)に直に寄生すること。

9月17日、近くにある塚山公園へ行きました。昨年からトゲアリが棲息していることが分かっている辺りに行ってみると、案の定、トゲアリの働きアリが樹の幹を上下していました。

写真中央にある樹で働きアリを採集 樹の根本に近いところには樹洞がある

合せて55匹を採集しました。

取り敢ず収集器にまとめた 帰宅時に1匹が死亡

蜜と水を与える

昨日、トゲアリの女王アリを提供して下さった方からは、詳しく寄生の仕方を教えていただいていました。
夕刻寄生を試みました。昨日送っていただいた寄生済を除く2匹のトゲアリの女王アリの内、1匹(怪我を負っていた)が死亡していましたので、最後の1匹を寄生主としました。
先ず働きアリを1匹だけ収集器から取り出し、女王アリと一緒にしました。暫くしてその働きアリを捕らえ、化粧を始めました。

働きアリを捕らえて化粧を行っている

この化粧の行為は、オオアリと一緒にした場合と同様でした。やがて、働きアリを2匹目、3匹目、……5匹目と加え、最終的には12匹まで加えました。直短寄生は順調に成功しました。

そこで、私が9月11日に採集したトゲアリの女王アリ2匹も寄生させることにしました。

2分30秒間の動画 要クリック

2匹共に寄生に成功したようです。

トゲアリの女王アリを採集

9月1日から採集旅行に出かけ、2日・3日の二日間、採集を試みましたが、採集できませんでした。
8月末から9月初めにかけて、採集できた年がありましたので、採集旅行に出かけたわけですが、今年は秋の訪れが遅かったようです。まだ、結婚飛行を全く行っていないようで、先行的に飛び立つ数匹の女王アリさえいませんでした。
自宅から300km離れた場所で、毎年採集していますので、常時採集の機会があるわけではなく、今回は10日から採集旅行に出かけ、本日11日に、ある程度まとまった数のトゲアリの女王アリを採集しました。

11日に採集したトゲアリの女王アリ

続 トゲアリの新居

7月1日・2日、6月16日に引き続き、まだ新居を持たない残りの10コロニーのトゲアリを移転させました。
飼育器の造りは、ほぼ前回と同様ですが、少し小さめの水槽を使っています。また、巣箱は新しくデザインしました。巣箱には、閉ざされた空間があり、側面の1つの穴からのみ出入りできるようになっています。

トゲアリの新居

トゲアリは、現在のところ13コロニーを飼育していて、その内2コロニーは、昨年リトルアンテシェルフに移転させました。11コロニーは、カップ型のコンクリート人工巣やW拡張蓋で飼育していて、いつか広い飼育器に移転させたいと考えていました。

6月16日、11コロニーの内、取り敢ず1コロニー用に新しい飼育器を作りました。
この飼育器は、市販のガラス水槽を使い、アクリルで蓋と餌器を作り、木製の巣箱のようなものを入れます。

木造物を入れている パイプ状のものが餌器と水器

餌器と水器はパイプの下方に切れ目があり、大気圧を利用して漏れ落ちないようにしています。この飼育器では、敢えて土(真砂土)を敷いています。生活の汚れを吸収させる目的があります。

パイプの切れ目から蜜を飲む働きアリ

木製の巣箱のようなものをこんな風に利用している

「羽化介助できない?」 トゲアリ

今年8月31日のブログ「年周期を迎えるトゲアリの現状」の中で、T150828-03(2015年採集)について、8月22日時点で「羽化介助できない?」と記述していました。

羽化したばかりと思われるトゲアリの働きアリ

羽化したばかりと思われるトゲアリの働きアリ 8月22日撮影

上の写真を見ただけでは、トゲアリの羽化をムネアカオオアリが介助しているようにも見えますが、トゲアリは既に死んでいます。

繭から顎が出ている

繭から顎が出ている 8月22日撮影

この繭の中のトゲアリは、繭を咬みきって顎を動かしています。しかし、羽化を介助するムネアカオオアリはいません。

8月22日にはトゲアリの働きアリが0匹だったのが、31日には2匹、1ヶ月後の9月22日には3匹になっていましたので、羽化の介助が全くできないわけではないことが分かります。けれども、9月22日現在、繭の死体が10個あり、その内7個は繭の中に死体があり、3個は繭がかなり破れた状態で、ゴミとして捨てられていました。

繭の中に死体がある

繭の中に死体がある

繭が破れた状態でゴミとして捨てられている

繭がかなり破れた状態でゴミとして捨てられている

既存のトゲアリのコロニーへのトゲアリの新女王アリの寄生は?

2015年10月17日のブログ「2匹のトゲアリが寄生」で、既存のトゲアリのコロニーへトゲアリの新女王アリが寄生した事例を挙げています。2016年6月22日のブログ「トゲアリの2つのコロニーを合併」では、その事例を踏まえて、「トゲアリの合併については、次のことが分かりつつあります。」と書き、次のようにまとめています。

「3.トゲアリのコロニー(オオアリの働きアリを含む)にトゲアリの女王アリを単独で入れると受け入れられる。」

そこで、この所見を再度検証することにしました。
2014年に寄生したシリアルナンバーT140906-40のトゲアリのコロニーへ、今年採集の単独のトゲアリの新女王アリT160907-06を入れます。T140906-40のコロニーは、トゲアリの働きアリが多数いて、8月末日の時点で宿主のクロオオアリの働きアリが15匹いました。
9月8日、T160907-06が侵入すると、まもなくT140906-40と組んだ状態になりました。確言はできませんが、T160907-06の方がT140906-40に食いついたのでしょう。

侵入者が家主に背後から食いついている

侵入者が家主に背後から食いついている

この行動は、通常オオアリの巣に侵入した時に、トゲアリの女王アリが取る行動と同じです。しばらく組んだ状態が続いていましたが、私の不注意で、飼育容器に手が触れてしまい、半ば倒れてその衝撃で組んだ状態が解かれてしまいました。これを機に、これまではカップ型コンクリート人工巣の上部の拡張蓋に女王アリを含む本体がいましたが、下部のコンクリートの巣穴に移動を始めました。140906-40も移動し、T160907-06は拡張蓋に残った状態になり、しばらくは拡張蓋の中を走り回っていました。

3日後の9月11日、1匹のトゲアリの女王アリの死体が、水入れのペットボトルのキャップの中に捨てられていました。侵入した方のT160907-06でしょう。死体を見ると、左右前脚を基節から失っていました。他には傷はないようでした。

左右前脚を基節から失っている

左右前脚を基節から失っている

今回の事例を考慮すると、上述の所見「3.トゲアリのコロニー(オオアリの働きアリを含む)にトゲアリの女王アリを単独で入れると受け入れられる。」は必ずしも正しいとは言えません。ただ、気になることは、私の不注意が元で、女王アリ同士が組んだ状態が解かれたことです。もしも、組んだ状態が続いていれば、その場合はどうなったことでしょう。

参考:トゲアリの合併に関する過去ブログ
トゲアリの女王アリを2匹入れると」(2013/09/27)
トゲアリの家族は他家の子どもを受け入れるか」(2014/09/02)
2匹のトゲアリが寄生」(2015/10/17)
トゲアリのコロニーの遺族同士の合併・共存は可能か」(2016/05/11)
トゲアリの女王アリの共存 その後」(2016/05/11)
トゲアリの2つのコロニーを合併」(2016/06/22)

トゲアリを採集(2016年9月)

2013年からトゲアリの女王アリの採集を続けています。当初から、同じ場所で採集を行っており、毎年、かなりまとまった数のトゲアリの女王アリを採集しています。

2013年 9月12日〜9月25日 144匹
2014年 9月02日〜9月17日 111匹
2015年 8月28日〜9月28日   86匹

また、1日の採集数で最も多かったのは、2013年は9月16日の66匹、2014年は9月6日の44匹、2015年は9月20日の28匹でした。
ただ、これらのデータを見る上では注意が必要です。例えば、昨年(2015年)は9月の上旬に一定期間、林道が復旧工事のため閉鎖されたため、その間、徒歩で1度だけ採集場所に行くということがありました。また、他用に追われ採集に行けない期間もありました。ですから、一昨年の111匹、2013年の144匹と比べると採集した数は少ないのですが、昨年はトゲアリの羽アリが飛び立った数が少なかったというわけではありません。
また、今年は、48匹を採集しましたが、居住地が昨年までとは異なるため、長期間滞在しての継続的な採集・観察ができず、9月3日から9月7日までの5日間で採集しました。
その今年の採集経過ですが、次のようになります。

9月3日 1匹    9月4日 1匹
9月5日 0匹    9月6日 0匹
9月7日 46匹

いずれの日も、午前10時前後から採集に出かけています。かなり徹底して女王アリを探しましたが、3日と4日はそれぞれ1匹ずつしか採集できていません。

9月3日採集の1匹

9月3日採集の1匹

9月4日採集の1匹

9月4日採集の1匹

また、5日と6日は0匹です。けれども7日になると一挙に46匹になります(採集時間は午前10時頃から11時50分まで)。

9月7日採集のトゲアリ

9月7日採集のトゲアリ

6日まで女王アリがほとんど結婚飛行を行っていないのは、今年の天候によるようです。9月になっても厳しい残暑のままでしたし、台風の影響で天気が優れませんでした。
下の天候のデータをクリックしてご覧下さい。

9月1日から7日までの天気

9月1日から7日までの天気

9月1日と2日は比較的天気が良く、また最低気温も低くなっています。おそらくですが、3日と4日に1匹ずつ採集していますが、この2匹は、それぞれその日の朝に結婚飛行を行ったのではなく、9月2日以前に結婚飛行を行った数少ない中の1匹だったように思います。結婚飛行の後、何日か地上を歩き回る女王アリがいることは、以前のブログ「交尾後に地上を歩く日数(3)」他で触れています。
5日は朝にも雨が降りましたし、6日も天気がよくありませんでした。7日は、過去4日間からすれば天気が回復したと言えます。例年からすれば、まだまだ秋に近づく天候とは言えませんでしたが、トゲアリのコロニーでは、やっとその日が来たとばかり、羽アリが飛び立ったのでしょう。

ところで、7日の採集中にある事象に出合いました。それは、ある樹の太い幹を歩いて下りる翅を落としたトゲアリの女王アリを3匹見つけたことです。この樹付近では、毎年、地面を歩く女王アリを幾匹か採集しています。ただ、この樹を上り下りするトゲアリの働きアリをこれまでも一度も見ていませんので、この樹にはトゲアリの巣はないように思います。これまでは、地面を歩いている女王アリを採集してきましたが、樹を下りる女王アリが数匹いたのですから、これらの女王アリは樹上で翅を落としたと考えられます。そして、樹から下りた後は、地面を歩くのでしょう。

翅を落としたトゲアリの女王アリが下りてきた樹

翅を落としたトゲアリの女王アリが下りてきた樹

酒井春彦氏は「トゲアリの生活 ─飼育と野外観察をとおして─」(インセクタリウム1996年8月号)の中で、こんなふうに記していました。

「……林の中の道を50mほど歩いたところで、羽アリが飛んでいることに気づきました。体の大きさや季節からいってトゲアリに間違いないと思いました。そのうちに地上を歩いているメスが見つかるだろうと思い、そのあたりを歩きまわりました。20分くらいたったころ、林縁のアカマツの上の方から1匹、また1匹と、翅を落としたメスが下りてきました。……けっきょく、どのメスもみな地上まで下りました。こうして、地面を歩きながらクロオオアリなどの巣を探すのでしょう。……」

既に酒井氏は、トゲアリの女王アリの習性の一つを観察していました。ただ、この文章からだけだと、「トゲアリの女王アリは、樹上で交尾を終え、翅を落として地上を歩く」かのように受け止められますが、私の経験からは、それは一部の女王アリであり、多くの場合は交尾後は直接地上に下りたって翅を落として、地上を歩くように思います。
例年の採集地に巣がある樹木があるのですが、その樹を伝って下りてくる女王アリを見たことはありません。また、その巣のある樹木の根本近くでは女王アリは採集できていません。
7日に採集した女王アリの中には、まだ翅が付いている女王アリがいました。いずれも地上を歩いているところを採集しました。1匹は、何者かに襲われたらしく、左の前翅のみが残り左右の後脚が転節以下なくなっていました。また1匹は、右の後翅のみ残っていました。更に1匹は、午前11時台に採集しましたが、全て翅が付いていました。ところが、この1匹は、数十分後に見た時には、全ての翅を落としていました。
これらの採集時に翅が付いていた3匹の状況からも、確言はできないのですが、ほとんどの場合は地上で翅を落とすのではないかと思われます。

地上で採集後、数十分後には全ての翅を落とした女王アリ

地上で採集後、数十分後には全ての翅を落としていた