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1時間の巣の出入り クロオオアリ

11月28日、クロオオアリの活動の様子を巣の出入りで調べました。対象としたクロオオアリの巣は、庭の中では最もコロニーの規模が大きいB巣です。この日は、曇で気温は観察中の時間帯で14℃前後でした。観察を開始したのは午前9時34分でその時刻から1時間の記録です。

赤丸は巣穴 空色の丸は帰路のアリ 桃色の丸は往路のアリ

巣から出て行った数 36匹
巣に戻ってきた数  27匹
ただし、上記の匹数の中には、巣から出て間もなく巣に戻った4匹が含まれています。巣に戻ってきたクロオオアリの腹部は、多くの場合(巣から出て間もなく巣に戻った4匹以外に、明らかに3匹を除いて)膨れていました。蜜を吸って帰ってきたと考えられ、別の観察から、その蜜源は、11月21日のブログ「まだ活動している庭のクロオオアリ」で触れているクリの木のアブラムシが出す甘露であることがわかっています。
ところで、昆虫などのタンパク源は運び込まれませんでした。この時期になると、もうほとんど昆虫の姿は見なくなっていますので、それは当然のことのように思えます。今回の観察は、僅かに1時間でしたのでそれだけで断言はできませんが、この時期、クロオオアリのコロニーが必要としている養分は主に糖分のようです。

※アブラムシの甘露成分について
引用 日本生態学会誌 57:324 – 333(2007)アリ-アブラムシ共生系における今後の展望:内部共生細菌や天敵群集を含めた複合共生系とアブラムシの適応との相互作用 片山 昇(京都大学生態学研究センター)
甘露成分(326ページ)
アブラムシがアリへ提供する甘露の主要な成分は糖と アミノ酸で、その量や成分はアブラムシや寄生する植物 の種類によって異なる。アブラムシが餌として利用する 植物の師管液の主要な成分はショ糖などの糖類で、ア ミノ酸ではアスパラギンとグルタミンが多い(Ziegler 1975;Sasaki et al. 1990;Douglas 2006)。アブラムシは、 師管液中の必要なものを吸収したあと、残りを甘露とし て排泄する。たとえば、師管液中の全アミノ酸濃度は、 約 60 – 200 mM であるが、甘露中のアミノ酸濃度は、師管 液の 30%程度にまで低下する(Douglas 1992;Sasaki and Ishikawa 1995;Liadouze et al. 1996;Febvay et al. 1999; Lohaus and Moeller 2000;Sandström and Moran 2001; Bernays and Klein 2002;Fischer et al. 2002;Wilkinson and Douglas 2003;Hunt et al. 2006)。

まだ活動している庭のクロオオアリ

今年の6月5日のブログ「アンテグラウンドⅠ型」で紹介している飼育器の中のクロオオアリは、このところ、ほとんどフィールドには出てこなくなりました。

アンテグラウンドⅠ型の様子 撮影した13時32分時点では、このフィールドには、働きアリは1匹も出て来ていなかった 11月21日撮影

気温の方は、今朝は、今年の夏以降の最低の3℃(自宅の屋外気象計による)になり、いよいよ冬が間近になってきました。それでも、庭のミツバチはまだ活動していました。

巣箱を出入りしている 11月21日11時2分撮影

もうすっかり昆虫の姿を見る機会が少なくなりましたが、カマキリムシだけは、まだ庭で姿を見ます。

11月21日11時2分撮影

11月21日11時7分撮影

ところで、庭のクロオオアリは今日も地上で活動しているのでしょうか。様子を見に行くと、これまでも通路になっていた場所にクロオオアリがいました。それは、クリの木の幹に通じる道で、クリの木の上方をよくよく見ると、アブラムシが群がっている枝があり、そこにクロオオアリがいました。

11時1分撮影

アブラムシのすぐ横の枝にいたり、甘露で濡れた葉を舐めていたりしました。このアブラムシは、かなり大きな体の種で、クリの木に毎年発生しています。クリの木には目立った害はないようなので、今年からは駆除しないでいました。庭の果樹の中では唯一アブラムシを保護していて、クロオオアリをはじめ他の種のアリたちの餌場になっています。

栗の花にもクロオオアリが

これまでに、庭の果樹にやって来るクロオオアリを紹介してきましたが、栗の花にもクロオオアリが来ていました。

地味な花ながら蜜が出ているようだ 16時54分撮影

体に花粉がついている 花粉を媒介することになる 16時57分撮影

体に花粉がついているクロオオアリもいましたから、受粉を媒介することもあるのでしょう。

過去の関連ブログ(今年の庭の果樹)
庭の果樹とクロオオアリ」(4月17日)
柿の花にも蜜が」(5月18日)
桑の実とサクランボの花外蜜腺」(6月4日)

桑の実とサクランボの花外蜜腺

クロオオアリの食性についての直近のブログとしては、「柿の花にも蜜が」で蜜を集めるクロオオアリの様子に触れましたが、庭の桑の木にもクロオオアリがやって来ていました。ちょうど今は、桑の実がとてもたくさん実っていて、その実の果汁がお目当てのようです。

桑の実の果汁を吸いに来たクロオオアリ 腹部が膨らんでいる 小型のクワガタムシの雌雄もいた 6月3日18時01分撮影

次は、今日のサクランボ(品種名は「さおり」)の様子です。ここにもクロオオアリが来ていました。葉柄に花外蜜腺があるようです。

花外蜜腺を舐めるクロオオアリ 6月4日13時50分撮影

6月4日13時53分撮影

ただ、この花外蜜腺からは、あまり蜜は出ていないようです。クロオオアリは、枝から葉柄へと進み、この花外蜜腺をほぼ必ず舐めるのですが、それはとても短い時間で、蜜を吸っているとは思えません。現に、その時サクランボの木に訪れていたクロオオアリの腹部は、どの個体も膨らんでいませんでした。ところが、そのように思っていると、サクランボから下りていくクロオオアリがいて、その個体の腹部は膨れていました。

巣へ帰りかけたところ 腹部が膨れている 6月4日13時54分撮影

この木にはアブラムシは付いていないので、サクランボの花外蜜腺から、僅かだと思いますが、蜜(樹液)が出ているようです。

柿の花にも蜜が

まだ幼木ですが、庭に富有柿を植えています。その柿の木にもクロオオアリがやって来ていました。

蜜を吸っているようだ 5月18日8時24分撮影

でも、柿の花からも蜜が集められるのでしょうか。上の写真をよく見ると、花に頭部を突っ込んでいるアリの腹部が膨れています。木から下りて巣へと帰っていくクロオオアリの腹部も膨れていました。

木から下りて巣へと帰っていくクロオオアリ 腹部が膨れている

クロオオアリは、柿の花からも蜜を集めることができることが分かります。

虫を運ぶクロオオアリ

この時期、庭のクロオオアリは、ほぼ全てと言っていいほど、蜜を集めて巣に戻っていきます。昆虫などを巣に運び込むところはほとんど見ることができません。ですが、時たま、何かをくわえて巣へと運んで行くのを目にします。

ハエ目(双翅目)の仲間のようだ 4月30日16時13分撮影

ダンゴムシのようだ 5月1日16時49分撮影

何かの幼虫のようだ 5月1日18時0分撮影

関連ブログ
アリ日記 2012/06/06〜08(4)クロオオアリ・ムネアカオオアリの食性」(2012年6月12日)
クロオオアリが運んでいたもの」(2016年4月12日)
庭のクロオオアリの半日」(2016年10月16日)