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特別仕様の人工巣2つ

今年の6月5日のブログ「アンテグラウンドⅠ型」で、2つのコロニーをアンテグラウンドに繋げたことを書きましたが、その後、S/N:B110608-07のクロオオアリのコロニー(2011年6月8日に新女王アリを採集)の方は、アンテグラウンドから外しました。2つのコロニーが混在すると、腹部を噛みちぎられる等の事象が度々見られたからでした。今は、コンクリート人工巣のクロオオアリのコロニーのS/N:B15006(2015年5月27日に新女王アリを採集)のみをアンテグラウンドⅠ型に繋げています。
そのB15006はかなり個体数が多くなり、コンクリート人工巣の中で、密集するようになりましたので、人工巣を拡張する必要を感じていました。そこで、様々に巣の拡張方法を考えたのですが、最終的にはアンテシェルフ型の人工巣にすることにしました。ただ、特別仕様としました。
底面を含めると17段からなり、1段の広さは 29.1cm×4.5cm=130.95㎠あります。高さは42.8cmあり、台座を含まない本体の横幅は30.7cm、奥行きは5.1cmあります。最下段に2箇所、最上段に1箇所出入り口用に穴があり、パイプが差し込まれています。この特別仕様のアンテシェルフには活動室は必要ではないため、最上段も他の段と同様の作りになっています。7月24日に完成しました。

17段2226カスタムメイドアンテシェルフ 8月21日撮影

この特別仕様のアンテシェルフを「17段2226カスタムメイドアンテシェルフ」と名付けることにします(2226とは17段の床面積の総和 単位㎠)。この17段2226カスタムメイドアンテシェルフは、アンテグラウンドⅠ型とコンクリート製人工巣の中間に繋いでいます。
カスタムメイドアンテシェルフを設置して1ヶ月程経ちますが、アリたちは下方の3段を利用しています。幼生虫は運び込んでなく、まだ、居住スペースとしては十分には利用されていないようです。

別のクロオオアリのコロニーになりますが、もう一つ人工巣を拡張しました。そのコロニーは、S/N:B120614-86(2012年6月14日に新女王アリを採集)で、真砂土を使った人工巣であるアンテネストで飼育し、後からアンテネストと繋げていました。このコロニーも、個体数が多くなり密集するようになっていましたので、人工巣を拡張する必要がありました。
カスタムメイドアンテシェルフとは、発想を変えて、そのアンテシェルフを作った3日後に百円shopで購入したケースを使って人工巣を作りました。Seriaで購入したもので、商品名は「Clear Case」です。ポリスチレン製でアクリルと比べれば、耐久性や硬度に問題がありそうですが、短時間で製作できそうです。「Clear Case」は重ね置きができるように設計されていて、大きさにバリエーションがあります。その中で最も底面積が広いケースを使うことにしました。そのケースも深さが2種類あり、内法の高さが14mmのものと37mmのものがあります。この2種を組み合わせて人工巣を作ります。

中央:百円shop購入のケースで作った人工巣 左:アンテシェルフ 8月21日撮影

最下段と上から2段目に深い方のケースを置き、その間に浅い方のケースを重ねます。最上段には浅いケースを重ね、蓋とします。ケース同士は、ただ重ねるだけで、貼り付けてはいません。こういった重ね方をすることで、後から中段に浅いケースを容易に追加することができます。中間の浅いケースと上方の深いケースの底には、長辺側の両端の中央に径9.2mmの穴を空けて、行き来できるようにします。最上段の浅いケースには、長辺側の両端の中央に空けた径9.2mmの穴の他に、中央に4cm間隔で4つの径9.2mmの穴を空けておきます。この4つの穴には、大気圧式給餌器を差し込みます。こうすることで、この上方の深いケースは給餌場になります(最上段の浅いケースの両端の2つの穴からは、シリコン栓を外して昆虫などを入れることができます)。最下層のケースには、他の人工巣と繋ぐための穴があり、アクリル製のパイプが差し込まれています。(そのパイプを穴に固定するために、アクリサンデー社のアクリル接着剤を使いましたが、ポリスチレンも溶解したらしく、アクリルと接着できました)
この百金のケースの人工巣にたくさんの働きアリがやって来ていますが、これまでに幼生虫は運び込まれていません。また、最下層のケースはごみ置き場になっていて、繭の殻などが置かれています。この百金ケース製の人工巣は、17段2226カスタムメイドアンテシェルフと同様、まだ、居住スペースとしては十分には利用されていないようです。

アンテグラウンドⅠ型

「アリたちの広い活動スペースを作りたい。その中には、いつも水があり、蜜のある植物も育っている」─ そんな構想を、かなりの以前から持っていました。それをどんな形で実現するかを最近になって考えてきました。そうしてできあがったのが、「アンテグラウンドⅠ型」です。

アンテグラウンドⅠ型全体像

大きさは、450mm×600mm規格のアクリル板を使って、底面積が最大の大きさになるように作りました。
このアンテグラウンドⅠ型は、大きくは4つの部分から構成されています。
○本体(水色の部分)
○クリーナーボックス(黄色の部分)
○リフト(下の茶色の部分)
○プラントライト架台(外側の部分)

本体・クリーナーボックス・リフトの正面図

本体・クリーナーボックスの側面図

本体の中には15cm立法の水槽を入れ、濾過器をつけてメダカを飼います。

メダカは5匹入れた

この水の中にアリが廃棄物を入れたとしても、メダカの餌になって、水は腐らないでしょう。これで、アリが水を汚すことによる水変えは、必要でなくなります。またこの水は、アリの飲料水になります。水が飲みやすいように、水槽には水面に達する木製のスロープを取り付けています。

木製のスロープ クロオオアリは水辺が好きなようだ

その水槽の中のメダカに餌を与える際、蓋を開けることなく給餌できるように、蓋に穴を空けてガラス製のロートを設置しました。また、水槽の水を補給する際にも使います。

本体の蓋に径6mmの穴を空けロートを通している ロートの穴はシリコン栓で塞いでいる

水槽からは、絶えず水蒸気が出ているはずです。ところが、アクリルは水を容易に吸収し、湾曲します。すると、飼育ケースにすき間ができやすい状態になります。そこで、本体の空気を換気することにしました。取り付けたのは、4cm四方の小さなミニ送風機です。これは、コンピュータ用の冷却ファンで、USB電源で動きます。

ケースの中の空気を吸い出すようになっている

この他に何も取り付けない蓋もある

ミニ送風機の下のアクリル板には、1.5mm径の穴を多数空けています。この穴の大きさでは、クロオオアリの働きアリはくぐり抜けることができません。
ところで、ケースの中に何か物を入れる際に便利なようにある工夫をしています。それが、右側の蓋にあるアントピットです。これは傾斜のある落とし穴になっていて、例えば脱走したアリなども楽にケースの中に落とし入れることができます。

傾斜の角度は60°になっている

もちろんこのアントピットには、ケースの中から出てこられないように穴を塞ぐ蓋もついています。
さて、冒頭に書いた「蜜のある植物」も本体の中に入れています。

イチゴの苗 土の替わりになっているのがハイドロボール 肥料としては水耕栽培に有効な液肥を使っている

植物の選定には少し迷いました。本体ケースの高さの内法は22cmですから、背が高くなる植物は入りません。花外蜜腺のある植物なら、長い間蜜が集められそうでしたが、背が低い植物は見当たりませんでした。そこで、長い間に渡って花が咲き、花に蜜があり、実もできる植物として、品種名が「トスカーナ」という赤花イチゴにしました。
そのイチゴを育てるために、プラントランプを使います。2つ前の写真には、プラントランプの光がアクリル板に反射して写っています。
ところで本体の底面には1.5mmの穴を空けています。

本体底面には1.5mm径の穴が多数ある

自然界では雨が降って汚れが流されますが、同様に、本体が汚れた時に水で洗うためです。汚れを含んだ水は、この1.5mm径の穴から下へと流れ落ちます。その水を受けるのがクリーナーボックスです。クリーナーボックスは、本体の下部21mmの部分の周囲を囲んでいて、水が決して外には漏れ出さないようになっています。クリーナーボックスに水が溜まると、クリーナーボックスを本体から離して水を捨てると便利です。それには、本体を上方へ持ち上げて固定すれば良いわけです。

本体を持ち上げた時

最初から2番目の図と比べて見て下さい。上図の濃い茶色の部分は非固定の木材で、リフトと本体との間に挟むことで、本体を30mm持ち上げることができます。こうすることによって、クリーナーボックスを本体下から取り出せるようになり、その中の水を捨てることができるようになります。
このアンテグラウンドⅠ型には、左右にそれぞれ2つのアクリルパイプがついていて、クロオオアリのコロニーとホースで繋ぎます。右側にあるアクリルパイプの1つには、S/N:B110608-07のクロオオアリのコロニー(2011年6月8日に新女王アリを採集)を、左側のパイプには、S/N:B15006のクロオオアリのコロニー(2015年5月27日に新女王アリを採集)を繋げました。これまで、人工飼育下では、一つの空間を2つのコロニーが共有するということはありませんでしたので、何か新しい発見があるかも知れません。

新たなアリの人工巣

これまで開発してきたアリの人工巣を改良して、新たに人工巣を提供できるようになりました。9月1日から提供できるのは、大きくは3製品群で、次の3点になります。

1.システム飼育器シリーズ

basestation1
2.フォトフレーム型人工巣セット

interiariset
3.コンクリート製人工巣セット

maruconomote

1のシステム飼育器シリーズでは、ベースステーションの「アンテキューブⅡ」を改良しました。バージョンは3ではありますが、今回からはただ「アンテキューブ」のみの表記としました。また、新たに大型ユニットとして「アンテフィールド」を作りました。これは、縦も横もアンテキューブの2倍の大きさで、面積では4倍の広さとなります。更に、フォトフレーム型の人工巣やコンクリート製の人工巣と繋ぐことができるアダプター「アンテアダプター」も作りました。これより、科学的授業実践研究会が開発した全ての人工巣と繋げることができるようになりました。

2のフォトフレーム型人工巣セットでは、人工巣本体の石膏に着色することとしました。これまではつや消しのクリア塗料を吹き付けていましたが、アリの生活廃棄物の汚れを目立ちにくくするために、薄い茶系統の「サンド」色のアクリル樹脂で塗装しました。また、餌器のモートフィーダーの蓋の穴を増やしています。

3のコンクリート製人工巣セットでは、巣穴の数をこれまでの2つから4つに増やしました。また、標準の蓋を大きく改善しています。更に、「W拡張蓋」を別途開発しました。これは、蓋としての機能の他、生活スペースの拡張と他の人工巣ともつながるという2つの拡張性を持っています。

これらの人工巣の詳しい仕様などは、科学的授業実践研究会のアリ教材のページでご覧いただけます。