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腹部が異常に膨らんだ女王アリ

クロオオアリの女王アリの中には、腹部が異常とも思われるほど膨らんだ個体をたまに見かけることがあります。今日も、そんな女王アリがいました。

腹部が異常に膨らんだクロオオアリの女王アリ 5月23日9時39分撮影

卵をたくさん孕んでいるのでしょうか。そんな風にも思えるのですが、そうではないのです。今回は次のようにはしませんでしたが、女王アリをすごく驚かせると、腹から茶色っぽい透明な液体を出して、逃げ惑うことがあります。働きアリの場合も、腹部をぱんぱんに膨らませているのをよく見かけますが、それと同じなのでしょう。通常は、その都度、働きアリから養分を受け取っているはずですが、腹部に養分をたくさん溜め込むこともあるのでしょう。

柿の花にも蜜が

まだ幼木ですが、庭に富有柿を植えています。その柿の木にもクロオオアリがやって来ていました。

蜜を吸っているようだ 5月18日8時24分撮影

でも、柿の花からも蜜が集められるのでしょうか。上の写真をよく見ると、花に頭部を突っ込んでいるアリの腹部が膨れています。木から下りて巣へと帰っていくクロオオアリの腹部も膨れていました。

木から下りて巣へと帰っていくクロオオアリ 腹部が膨れている

クロオオアリは、柿の花からも蜜を集めることができることが分かります。

新女王アリに餌を与えると

結婚飛行を終えたクロオオアリの新女王アリは、単独で子育てをします。その際、幼虫を育てる養分は、外部から得ることなく、自身の体の中の養分を使います。そのため養分が限られ、最初に生まれてくる働きアリは、体格がとても小さくなります。

ところで、もしも、この最初の子育てをしている期間に糖分等の餌を与えると、子育てはどのように変わるのでしょうか。幼生虫の数が増え、また成虫も体格が大きくなるのでしょうか。

6月20日、クロオオアリの新女王アリ40個体を20個体ずつのグループに分け、餌を与えることにしました。

A:メープルシロップまたはグラニュー糖を与える
20個体の幼虫の総計:30匹(平均1.5匹)

B:メープルシロップまたはグラニュー糖とシルクパウダーを与える
20個体の幼虫の総計:37匹(平均1.85匹)

翌日の21日に餌を与えました。その際、餌を飲んだのを確認できたのは、Aグループで6個体、Bグループで2個体に過ぎませんでしたが、観察していない時に餌を飲んだ可能性はあります。

それから1ヶ月後の7月31日、その結果をまとめてみると……

Aグループ
6匹死亡(死亡率30%) 死亡時幼生虫無しを確認:4コロニー
成虫無し7コロニー 成虫有りの匹数:各2・2・3・8・9・10・11匹
生存コロニーの成虫の平均匹数:2.25匹

Bグループ
13匹死亡(死亡率65%) 死亡時幼生虫無しを確認:6コロニー
成虫無し7コロニー 成虫有りは無し
生存コロニーの成虫の平均匹数:0匹

上記の死亡率と成虫の平均匹数を以下の数値と比べると……

A・Bグルーブと同じ日(5月30日)・同じ場所(同じ市内の3ヶ所)で採集したクロオオアリの女王アリ158匹の7月31日のデータ
死亡率13%
生存コロニーの成虫の平均匹数:7匹

明らかに有意差が見られます。つまり、幼虫が1〜2匹程度の時点で、蜜やシルクパウダーを与えると死亡率・子育て成功率(成虫の数)ともに悪化することが分かります。とりわけ、たんぱく質が含まれているシルクパウダーを与えてしまうと、極端に子育てができなくなります。
Bグルーブの死亡率が高いことについては、シルクパウダー入りの蜜を食べたかどうかが分からないので、それを原因だと断定することはできません。Aグループに蜜を与えた時もそうでしたが、Bグループでも餌を与えて暫くの日数、そのままにしていました。その間に、餌が毛細管現象で脱脂綿へと移り、Bグループでは脱脂綿が緑色に変色した場合がありました。これが独特の匂いを持つまでになっていて、死因の原因になったとも考えられます。与えた餌は翌日には撤去すべきでした。

以上の結果から、自然の理に反して、創巣期のクロオオアリの新女王アリに餌を与えることは、害にこそなれ、益にはならないと言う結論が出るわけですが、どのような実験をしたにせよ、諸条件(餌を与える時期や餌の与え方、餌の種類等)をかなり限定しているわけですから、一般論として述べることは避けたいと思います。

その後の蜜作り

2013年の4月16日のブログで、新たに考えた蜜について書きましたが、それ以後、さらに新しい蜜を使っています。

ND4_1899

以前と違う点は、トレハロースを加えたことと、黒砂糖の代わりに黒みつにしたことです。
トレハロースというのは、動物ではエビや昆虫類に含まれています。バッタ、イナゴ、蝶、ハチなど多くの昆虫の血糖はトレハロースです。分解酵素・トレハラーゼによってブドウ糖(グルコース)に変えて利用しています(Wikipediaに拠る)。カブトムシ用などの昆虫ゼリーにはこのトリハロースが含まれているようです。

作り方ですが、入れ物としてフィルムケースを用意し、この中にグラニュ糖(商品名:「ヨーグルト用のお砂糖」)とトレハロース(商品名:「トレハ」)を入れ、少量の水で溶かします。これに黒みつや蜂蜜、メープルシロップを加えますが、それぞれ分量は適当でよく、加える順序も適当です。最後にローヤルゼリーを加えて、ローヤルゼリーが満遍に溶け込むようにします。これで完成です。

蜜をアリに与える時には、シリンジ(注射器)を使います。作り置きの蜜は、冷蔵しておきます。

昆虫がほぼ姿を消す晩秋から春になるまで、この蜜のみを与えてきました。春先からクロオオアリやムネアカオオアリの幼虫が成長し始めましたが、昆虫を与えなくても、大きく育ちましたので、この蜜を養分にして幼虫が育ったとも考えられます。ただ、対照実験をするなど、厳密に検証したわけではありませんので、この蜜の効用については断定はしないでおきます。