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「日本アリ類同好会」への誘い

「日本アリ類同好会」は、LINEを使ったアリの飼育・観察・研究の交流グループです。2019年12月14日から運用しています。
「日本蟻類研究会」は既に存在していて、私も会員になっていますが、「日本アリ類同好会」という名称の団体はネット上で検索する限りはないようです。「日本蟻類研究会」は、大学関係者の方も多く、研究内容はとても深いのですが、「日本アリ類同好会」では、アリが好きな者同士が「友だち」になって、主に飼育方法や生態観察や採集情報などで、気軽に交流ができればと思います。ご賛同いただけるようでしたら、グループにご参加下さればと思います。
まだ、LINEをお使いになっていない方も、スマホやダブレットだけでなくPC版もございますので、導入をご検討下さい。LINEの導入の仕方については、ネット上でお調べ下さい(例えば https://line.macdrivelove.com/entry3.html 等)。
ご連絡いただければ、QRコードをお伝え致します。連絡先は info@kajitsuken.net です。
では、皆様のご参加を心よりお待ちしています。

トゲアリの寄生の第一段階 頭部が落とされるのはいつ?

これまでの観察によると、トゲアリの女王アリは、宿主の女王アリの腹面から頚に咬みついて寄生を開始するようです。そして、そのままの体勢で何日も過ごすのですが、やがて宿主の女王アリの頭部が落とされます。それが、寄生成功の第一段階と言って良いでしょう。
では、宿主の頚に咬みついてから、だいたい何日ぐらいで、宿主の女王アリの頭部が落ちるのでしょうか。観察日が実際に頭部が落ちた日とは限りませんが、宿主がクロオオアリの場合、以下に記載してみます。

頚に咬みついた日 頭部が落ちた観察日 その間の日数
20250912 20250921 9
20250913 20250920 7
20250914 20250920 6
20250915 20250920 5
20250916 20250924 8
20220912 20220918 6
20220913 20220917 4
20220913 20220922 9
20220913 20220917 4
20220919 20220929 10
平均値 6.8

再考 トゲアリの寄生時期と成功率の関係は?

昨年の9月17日のブログ「一時的社会寄生の試みを継続 寄生時期と成功率の関係は?」で、次のように書いています。

「2018年の場合は、トゲアリの女王アリを9月19日に採集し、3日後の22日に寄生を試みています。サンプルは1例で、寄生に成功しています。
2021年の場合は、トゲアリの女王アリを9月12日に採集し、4日後の16日に寄生を試みています。サンプルは2例で、1例が寄生に成功しています。
2022年の場合は、トゲアリの女王アリを9月10日に採集し、2日後3日後の12日・13日に寄生を試みています。サンプルは5例で、4例が寄生に成功しています。」

そして、2024年については、トゲアリの女王アリを9月8日に採集し、5日後の13日に1例、7日後の15日に4例、8日後の16日に6例に寄生を試みています。11例ともに寄生に失敗しています。
今年の場合は、トゲアリの女王アリを9月9日に採集し、2日後の11日に4例、3日後の12日に4例、5日後の14日に2例、6日後の15日に3例、7日目の16日に6例に寄生を試みました。その結果は、2日後は0/4、3日後は2/4、5日後は1/2、6日後は1/3、7日後は1/6で寄生に成功しています。
以上は何れも、トゲアリの女王アリを直接クロオオアリのコロニーに入れるという方法をとっています。
そこで、今年の2日後の0/4を例外と考えれば、上記の寄生方法ではと言う条件付きですが、昨年の9月17日のブログで示唆したように、「結婚飛行後、より早い時点で寄生を試みる方が、寄生の成功率は高い」と言えそうです。

トゲアリの寄生の試み 5例で第一段階が成功

昨年新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーを多数飼育しています。今年は、これらのクロオオアリのコロニーに、先日9月9日に採集したトゲアリの女王アリを寄生させることにしました。
寄生の試みは全部で19例行いました。いずれも寄生を始めさせる前に、1・2匹のクロオオアリの働きアリとトゲアリの女王アリをフィルムケース等の中で接触させ、化粧行為をするように促しました。ただ、トゲアリ側の各個体による個性とも言えるものが同じではなく、一概に同じ程度、化粧行為が行われたわけではありません。また、化粧行為を行っても、トゲアリの女王アリがクロオオアリのコロニーに進入した際は、全ての例でクロオオアリから攻撃を受けていました。

以下は、寄生が成功した5例です。

① 宿主BH240518-04への寄生(T250909-01)

T250909-01がフィルムケースから宿主へ進入した直後 9月12日14時02分撮影
T250909-01がクロオオアリから攻撃を受ける 9月12日14時06分撮影
化粧行為を行うT250909-01 9月12日14時7分撮影
クロオオアリの女王アリの背面から、T250909-01が頚に咬みついている 9月12日15時44分撮影
2日後の9月14日 頚に咬みついたまま 18時59分撮影
クロオオアリの女王アリは死んでいる 頚はまだ落とされていない T250909-01は頚に咬みついていない 9月20日17時42分撮影
頚が落とされていた 9月21日20時9分撮影

② 宿主BH240518-09への寄生(T250909-02)

フィルムケースの中のクロオオアリはBH240518-09の働きアリ 9月12日16時10分撮影
BH240518-09の中へT250909-02が入って行った 9月12日20時36分撮影
攻撃を受けるT250909-02 9月12日20時38分撮影
翌日13日の様子 T250909-02がクロオオアリの女王アリの頚に腹面から咬みついている
9月14日 前日同様、T250909-02がクロオオアリの女王アリの頚に腹面から咬みついている 19時1分撮影
クロオオアリの女王アリはまだ生きている 9月16日9時30分撮影
クロオオアリの頭部が切り落とされていた 9月20日17時30分撮影

③ 宿主BH240518-22への寄生(T250909-03)

この後フィルムケースの中にT250909-03とクロオオアリの働きアリ2匹を入れる 9月14日19時10分撮影
フィルムケースの蓋を取って、フィルムケースを宿主の飼育ケースのアクセス孔の上に被せる 9月14日21時7分撮影
攻撃を受けるT250909-03 9月14日21時8分撮影
T250909-03がクロオオアリの女王アリの後脚に食いついた 9月14日21時11分撮影
T250909-03がクロオオアリの女王アリの背面に馬乗りになっていた 9月14日21時20分撮影
T250909-03はクロオオアリの女王アリの背面から腹面へ移り、頚に咬みついている 9月14日21時26分撮影
T250909-03がクロオオアリの女王アリの頚に腹面から咬みついている 9月16日9時32分撮影
クロオオアリの女王アリの頭部が落とされていた 9月20日17時31分撮影
ゴミ置き場にクロオオアリの女王アリの死体があった 9月23日9時13分撮影

④ 宿主BH240518-25への寄生(T250909-04)

いったんはフィルムケースに入れたものの、接触空間を狭めるために、入れ物を換えた 9月15日15時31分撮影
フィルムケースの蓋を取って、フィルムケースを宿主の飼育ケースのアクセス孔の上に被せた 9月15日16時34分撮影
攻撃されるT250909-04 9月15日16時36分撮影
T250909-04がクロオオアリの女王アリの後脚に咬みついた 9月15日16時49分撮影
クロオオアリの女王アリがT250909-04に攻撃している 9月15日16時50分撮影
女王アリの両者の闘いは終わったかに見えたが…… 9月15日16時52分撮影
T250909-04の方から再び闘いを始めた 9月15日16時52分撮影
T250909-04はクロオオアリの女王アリの腹面を捉えた 9月15日16時52分撮影
頚に咬みついた 9月15日16時54分撮影
翌日の9月16日 頚に咬みついている 9時38分撮影
頭部が落とされていた 9月20日17時30分撮影

⑤ 宿主BH240518-29への寄生(T250909-05)

この後フィルムケースの中にT250909-05とクロオオアリの働きアリ2匹を入れる 9月16日9時10分撮影
宿主の中に入るT250909-05 9月16日14時16分撮影
女王アリ同士で闘いが起こった 9月16日14時18分撮影
9月16日14時18分撮影
両者はいったん別れた 9月16日14時18分撮影
T250909-05がクロオオアリの女王アリの背面から頚を狙っている 9月16日14時19分撮影
T250909-05はクロオオアリの女王アリの腹面に移動 9月16日14時20分撮影
腹面からクロオオアリの女王アリの頚に咬みついた 9月16日14時20分撮影
4日後も頚に咬みついている 9月20日18時2分撮影
クロオオアリの女王アリはまだ生きていた 9月21日20時10分撮影
クロオオアリの女王アリは既に死んでいた 頭部はまだ落とされていない 9月23日9時11分撮影
T250909-05は、クロオオアリの女王アリの腹面に留まっていた 9月23日9時11分撮影
頭部が落とされていた 9月24日13時29分撮影

クロオオアリ10コロニーの幼生虫の様子(9月16日)

昨年の5月18日に新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーうち、6コロニーはコンクリート製の人工巣に移転させています。これら6コロニーを含めると、クロオオアリについては、現在10コロニーを飼育しています。
このブログでは、9月16日のそれら10コロニーの様子(特に幼生虫の様子)を記録しておきます。

B15006(2015年創巣)

とてもたくさんの幼虫が見られる 何れも越冬幼虫になるようだ
卵もあった
少し大きめの幼虫もいた

BK170530-081(2017年創巣)

越冬幼虫なのだろう
大きめの幼虫がいた

BH210523-30(2021年創巣)

繭も見られる

BH210523-34(2021年創巣)

繭も見られた

BH240518-08(2024年創巣)

繭が多めのようだ

BH240518-10(2024年創巣)

繭が多めのようだ
かなり大きめの幼虫がいた

BH240518-28(2024年創巣)

BH240518-40(2024年創巣)

BH240518-41(2024年創巣)

BH240518-47(2024年創巣)

参照
越冬幼虫は何時頃から?」(2024年8月21日)

9月16日時点のトゲアリの様子(特に幼生虫)

9月16日時点での飼育している全てのトゲアリの様子、特に幼生虫の様子を記録しておきます。

T140906-40(2014年寄生)

T180919(2018年寄生)

T210912-02(2021年寄生)

T20220910-44(2022年寄生)
クロオオアリの働きアリが3匹生きています。

1匹目
2匹目
3匹目

T20220910-53(2022年寄生)
クロオオアリはいません。

T20220910-54(2022年寄生)
クロオオアリはいません。

昆虫を分解している まだ幼虫を育てているのだろうか

T20220910-65(2022年寄生)
トゲアリの働きアリや幼生虫はいません。クロオオアリがまだ多く生きています。

ところで、2022年寄生の4コロニーの宿主は、何れも2021年に新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーでした。この宿主の最も若い個体(クロオオアリの働きアリ)は2023年に羽化しています。興味深いのは、クロオオアリの寿命という点では4コロニーともに同じはずですが、生き残っているクロオオアリの個体数には大きな違いがあります。
今回の事例に限ってと言うことにはなりますが、トゲアリのコロニーの増大と宿主のクロオオアリの働きアリの寿命との間には、確かな関連がありそうです。

トゲアリの女王アリを採集(2025年)

9月9日、トゲアリの新女王アリを採集するために、滋賀県彦根市内の2012年以来観察・採集している場所に行きました。ちなみに、昨年は、一日早い9月8日に、同じ場所で、7時半頃から10時半頃までの3時間で、トゲアリの新女王アリを53匹採集しています。

8時半頃、採集地に着いてすぐに、トゲアリの脱翅女王アリを見つけました。

最初に見つけた脱翅女王アリ 9月9日8時30分撮影

この後、主に3箇所で新女王アリを採集しました。

一番多く採集できた場所 21匹採集 ここはA巣があった場所から林道を上がったところ
7匹採集 上の写真の場所より少し林道を上がったところ
10匹採集 写真の中央の木にかつてA巣があった この他にこの場所より林道を下った場所で1匹採集している

2021年以来観察をしているD巣では、結婚飛行を終えた女王アリは見当たりませんでした。

D巣がある木 この日は結婚飛行はなかったようだ
樹洞の中の様子 9時2分撮影
羽アリが多数見える 9時3分撮影
結婚飛行はこれからのようだ 9時6分撮影

トゲアリの新女王アリの採集は、この1日で終えることにしました。8時半頃から10時頃までの1時間30分ほどの時間で、39匹採集しました。その内、1匹は有翅女王アリでしたが、しばらくすると脱翅していました。

39匹を採集
ケースの中で脱翅した女王アリ 9月9日16時56分撮影

ところで、昨年の気象は次のようでした。
      日 (最低気温 / 最高気温) 昼(06:00-18:00) 夜(18:00-翌日06:00)
 前日  9月7日  (23.1 / 32.7)       晴         晴
 採集日 9月8日  (24.4 / 33.8)       晴         晴
今年は次のようです。
      日 (最低気温 / 最高気温) 昼(06:00-18:00) 夜(18:00-翌日06:00)
 前日  9月8日  (26.1 / 32.6)   曇時々晴、雷を伴う    晴時々曇
 採集日 9月9日  (25.9 / 34.0)   晴後時々曇、雷を伴う   晴時々曇

ボカシミジングモを撮る 獲物の躯体に損傷見当たらず

今年の8月22日のブログ「ミジングモが巣の中から、狩ったクロオオアリを運び出した」と同じ場所(B200603-075)で、今日、クロオオアリが4匹、宙吊りになっているのを見つけました。その内3箇所には、ミジングモがいました。ボカシミジングモのようです。

9月7日8時22分撮影
9月7日8時23分撮影
9月7日8時23分撮影

あとの一箇所には、ミジングモはいませんでした。写真撮影の時には、気づかなかったのですが、写真には、小さな虫が3匹写っていました。その虫には翅があるようで、カメムシのようにも見えます。クモではなく、昆虫のようです。この生き物はいったい何なのでしょうか。

9月7日8時23分撮影

3箇所のボカシミジングモをフィルムケースで捕獲しました。

9月7日12時3分撮影

以下の写真は実体顕微鏡で撮影したものです。

一番大きいボカシミジングモ 格子状の1目盛は1mm 脚部を除いた体長は2.8mm程 腹面撮影
1番小さいボカシミジングモ 格子状の1目盛は1mm 脚部を除いた体長は2mm程 背面撮影
中ぐらいの体長のボカシミジングモ 円形の1目盛は0.5mm 撮影時には死んでいた 13時42分撮影

ところで、宙吊りにされたクロオオアリは、肉眼で見た限りでは躯体に損傷がないように見えるのですが、そのことを調べるために、実体顕微鏡で拡大して見ることにしました。

側面
背面
腹面

実体顕微鏡で見る限りでは、やはり躯体に損傷は見当たりませんでした。
そこで、疑問に思うのですが、ミジングモはクロオオアリの何を食べているのでしょうか。あるいは、子クモを育てるために使うのでしょうか。

ところで、「ミジングモが巣の中から、狩ったクロオオアリを運び出した」のが、ミジングモの一般的な習性なら、ミジングモはクロオオアリの巣の中に入っても、気づかれないか、少なくとも襲われないのでしょうか。そこで検証してみることにしました。生きているボカシミジングモ2匹を、クロオオアリの2つのコロニーの中にそれぞれ強制的に入れてみました。

すぐさま、クロオオアリに捕獲されてしまった。
2匹目もクロオオアリに捕獲されてしまった。

この実験では、ミジングモをいきなりクロオオアリの働きアリが多数いる中に入れたので、自然界にはない状況であったことを考慮に入れなければならないのですが、クロオオアリはミジングモに気づくことができ、捕獲することができることが分かります。

15時半頃に再び宙吊りがあったB200603-075の巣口の辺りを見ていると、ボカシミジングモが1匹、獲物なしでクモの糸にぶら下がっていました。明日以降も、観察の機会がありそうです。

15時36分撮影

巣口は移動する(追記2025年9月1日)

巣口が移動することについては、これまでに次のブログで触れてきました。

移植2・3回目のその後」(2025年5月19日)
移植2・3回目に新たな巣口」(2025年7月3日)
巣口は移動する」(2025年7月8日)

9月1日、移植3回目(B200603-075)の巣口がまた移動していました。

9月1日8時51分撮影

写真の上方右にこれまでは巣口があったのですが、巣口があった場所は埋まっていました。下方左に新たに巣口ができていて、土を巣口から運び出す働きアリがいました。

ミジングモが巣の中から、狩ったクロオオアリを運び出した

これまでにも、クロオオアリの天敵として、各種のクモ類を紹介してきました。

過去の関連記事参照:
アリ日記 2012/06/06〜08(5)巣から外に出るリスク」2012年6月13日
クモに襲われたクロオオアリ その瞬間」2018年4月12日
生死の運命」2021年3月24日
サクラの切り株の中にムネアカオオアリを移植」2021年4月14日
アリジゴクとハエトリグモ」2021年4月27日
クモに襲われたクロオオアリを巣に戻す」2021年8月25日
クロオオアリの天敵」2024年5月7日
その後のクリオオアブラムシ(5/21・6/6)」2025年6月6日
クロオオアリの天敵(追記 2025年7月6日)」2025年7月6日
クロオオアリの天敵(追記 2025年8月8日)」2025年8月8日

今回は、「アリ日記 2012/06/06〜08(5)巣から外に出るリスク」「クロオオアリの天敵」「クロオオアリの天敵(追記 2025年7月6日)」で取り上げているミジングモ亜科(ボカシミジングモ)の追記です。ただし、今回の観察は夜間であったため観察がしにくく、また、その時写真を撮ってはいたものの、その写真だけでは、種を同定することはできませんでした。

8月21日の20時頃のことです。今年の7月3日のブログ「移植2・3回目に新たな巣口」で記載している3回目の新たな巣口をたまたま見たのですが、巣の中から死んでいると思われるクロオオアリの働きアリが運び出されるところでした。運び出していたのは、小さなクモでした。
これまで、ボカシミジングモがクロオオアリの働きアリを狩った後、宙吊りにしているところを幾度も見ていますが、その前段階の、どのようにしてクロオオアリを狩るのかは見ていません。この度たまたま見た限りでは、ミジングモはクロオオアリの巣の中で狩りを行ったのではないかとも思わせます。今後の観察を待ちたいものです。
残念なことに、ミジングモがクロオオアリの巣口から獲物を運び出すところは、カメラを持ち合わせていなかったので、写すことはできませんでした。

狩られたクロオオアリは、既に巣口から運び出されている 8月21日20時7分撮影
以上の2つの写真からは種の同定は難しい 8月21日20時8分撮影

翌日に巣口の回りを見ると、前掲の写真の箇所には何も残ってなく、3箇所でクロオオアリが宙吊りになっていました。ただ、これらの3個体が、いつ宙吊りになったかは前日以前に観察していないので分かりません。

写真の右上に巣口がある 写真では判別できないが、3箇所でクロオオアリが宙吊りになっていた 8月22日16時11分撮影
16時12分撮影
16時12分撮影
16時12分撮影

T140906-40で雄アリが3匹見つかる

飼育環境下のトゲアリのコロニーT140906-40(2014年9月6日に新女王アリを採集)で、昨年初めて女王アリが誕生しました。最初に女王アリの羽化を観察したのは、6月18日のことでした。そして、8月9日には、かなりの数になっていました。

2024年8月9日撮影

ところが、今年は女王アリになるような大きな繭も、羽アリもずっと見つけられないままでした。
8月21日になって、人工巣の中を注意深く見ていると、本巣を拡張した分巣のアンテシェルフの中に雄アリがいるのに気づきました。最初は1匹しか見つけられなかったのですが、更に注意深く観察して3匹いることが分かりました。本巣の中も改めて見たのですが、こちらには羽アリはいませんでした。

分巣のアンテシェルフで見つけた雄アリ 8月21日20時42分撮影
アンテシェルフ 上から3段目に雄アリが写っている 8月21日20時42分撮影
本巣の様子 羽アリは見当たらなかった 8月21日21時10分撮影

それにしても、昨年と比べて、今年は何故極少数の雄アリしかいないのでしょうか。思い当たる原因はありませんでした。
ちなみに、2022年には、雄アリがこのコロニーで初めて多数誕生していました。不規則ながら隔年発生のような波があるのでしょうか。

2022年7月29日撮影

「共存の試み5ケース」のその後

今年の5月9日に行った共存の試みは、その後も共存は順調で、コロニーは安定しています。

共存は順調だ 2025年8月15日撮影

この合併コロニーの女王アリBH240518-54は、5月9日の時点で、働きアリと幼生虫がいませんでした。現時点でこの共存コロニーには、卵が2個ありますが、BH240518-54が産んだのかは分かりません。

卵が2個ある 8月15日20時15分撮影

トゲアリの寄生の試み 3 コロニーが作れない

トゲアリの寄生の試み 3(クロオオアリのコロニーBH210523-21にトゲアリの新女王アリT20220910-65が、2022年9月に寄生 )の直近の様子は、今年の7月1日・2日に記録しています。

トゲアリの女王アリは健全だが、クロオオアリしかいない 2025年7月1日撮影
2025年7月1日撮影
孵化したばかりの幼虫はいるようだ 2025年7月1日撮影

その時点では、僅かに卵や孵化したばかりの幼虫がいたのですが、8月15日には、幼生虫はいなくなっていました。

8月15日撮影
8月15日撮影

このT20220910-65のコロニーでは、かつても卵や僅かに幼虫が見られましたが、トゲアリの働きアリは一度も生まれていません。

2023年5月27日撮影 繭はクロオオアリの越冬幼虫が蛹化したもの
2023年8月2日撮影 繭はクロオオアリの越冬幼虫が蛹化したもの
2023年9月7日撮影 大きな幼虫はクロオオアリの幼虫と思われる
2024年1月15日撮影 トゲアリの越冬幼虫はいないようだ
2024年4月10日撮影 クロオオアリはまだ多数いるが、トゲアリの成虫も越冬幼虫も見当たらない
2024年6月2日撮影 卵を多数産んでいる 何故か大きめ幼虫がいた
2024年6月2日撮影 大きめ幼虫
2024年6月28日撮影 大きめの幼虫が見当たらず、繭にもなっていなかった
2024年10月16日撮影 6月28日には卵が多数あったが、卵は1個のようだ クロオオアリのみ
2025年5月9日撮影 幼生虫がいない

2022年9月に行ったトゲアリの寄生の試みでは、5例が寄生に成功しましたが、トゲアリのコロニーが作れたのは現時点では3例になります(「トゲアリの寄生の試み5」は全滅)。寄生が成功しても、必ずしもコロニーが作れるとは限らないということになります。

個体差によるコロニー規模の違い

2021年の5月23日に新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーを現在4コロニー飼育しています。
その内、2コロニーは、小さなコロニーのままに留まっています。

左が BH210523-46 右が BH210523-53 8月14日撮影
左のBH210523-46の様子 卵があるが今年育った幼生虫はなかった 8月14日撮影
右のBH210523-53の様子 幼生虫は見当たらない 8月14日撮影

他の2コロニーは、大きく育っています。

BH210523-30 8月14日撮影
BH210523-34 8月14日撮影

また、この4コロニーの他にも、既に庭に移植した2021年に新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーが2つあります。これらは、更に大きなコロニーでした。

2024年5月26日に庭に移植したBH210523-32 2024年5月26日撮影
2025年3月25日に庭に移植したBH210523-37 2025年3月25日撮影

これら6コロニーは、同じ条件下で飼育を開始し、徐々にコロニーの規模に応じて給餌量を変え、飼育器を選んできました。
そうだとすれば、コロニーの規模を決定づけた主な要因は、女王アリの「産卵能力」だと言えそうです。

クロオオアリの天敵(追記 2025年8月8日)

これまでにも、クロオオアリの天敵として、各種のクモ類を紹介してきました。

過去の関連記事参照:
アリ日記 2012/06/06〜08(5)巣から外に出るリスク」2012年6月13日
クモに襲われたクロオオアリ その瞬間」2018年4月12日
生死の運命」2021年3月24日
サクラの切り株の中にムネアカオオアリを移植」2021年4月14日
アリジゴクとハエトリグモ」2021年4月27日
クモに襲われたクロオオアリを巣に戻す」2021年8月25日
クロオオアリの天敵」2024年5月7日
その後のクリオオアブラムシ(5/21・6/6)」2025年6月6日
クロオオアリの天敵(追記 2025年7月6日)」2025年7月6日

今回は、「生死の運命」「サクラの切り株の中にムネアカオオアリを移植」「クロオオアリの天敵」で取り上げているハエトリグモの追記です。このハエトリグモの種名については、これまでも同定していません。シラヒゲハエトリに似てはいますが、別種であるように思います。

8月8日9時25分撮影
同上の個体 8月8日9時25分撮影

アケビバナナにやって来たクロオオアリとその巣の発見

バナナの木に糖分を求めてクロオオアリがやって来ることについては、2019年2020年のブログで触れています。
その過去のブログのバナナは、大きく育つ「アイスクリームバナナ」でしたが、このバナナは今年は大きく育ってはいません。それとは別のバナナも植えていて、それは良く熟れたアケビに近い色の実を付けるアケビバナナという品種です。

アケビバナナ 8月7日撮影

このアケビバナナにクロオオアリが来ていました。

蜜を吸うクロオオアリ 8月7日16時29分撮影
腹部が膨れている 16時29分撮影

帰路を急ぐクロオオアリがいましたので、その後を追ってみました。

帰路を急ぐクロオオアリ この写真には2匹写っている 16時31分撮影
巣口にたどり着いた 16時35分撮影

この巣口は、庭の平面と斜面を区切るコンクリートブロックの斜面側にありました。

巣口は、向こうから縦2列目の最下層のコンクリートブロックの(地面との境の)中央辺り

この巣口がある場所は、C巣とは少し離れていますが、C巣は今年になって生存が確認できている最も近くにある巣になります。また、今年の春移植したBH210523-37の移植先に極近いので、BH210523-37の可能性もあります。更に、この近くで、J巣(自然巣 2018年5月21日発見)をかつて見つけていましたので、その可能性もないわけではありません。いずれにしても、この新たに発見した巣口を持つコロニーの所属や由来は特定できませんでした。

その後も、アケビバナナの木にクロオオアリがやって来ていました。

16時36分撮影
16時36分撮影

今年のクロオオアリの女王アリの羽化期間は(2025年)

7月13日のブログ「今年初めてのクロオオアリの女王アリの羽化」からおよそ2週間後の7月26日には、女王アリの繭と思われる数は、判別できたのは3個でしたが、それよりは多めに残っているようでした。とは言え、繭は明らかに少なくなっています。では、新女王アリは何匹になっているのでしょうか。
B15006の本巣であるアンテシェルフは17段仕様の人工巣です。その各段ごとに新女王アリと思われる女王アリの数を数えてみました。
 1段目:4匹
 2段目:0匹と このコロニーの女王アリ
 3・4段目:0匹
 5段目:7匹
 6段目:2匹
 7段目:0匹
 8段目:2匹
 9段目:3匹
 10段目:1匹
 11〜17段目:0匹

B15006の本巣である17段アンテシェルフ

新女王アリは19匹になっていました。ただ、段によっては女王アリの数が数えにくく、19匹は必ずしも正確ではないかも知れません。

その2日後の7月28日、残っている女王アリの繭は2個のようでした。

7月28日16時53分撮影
7月28日16時54分撮影

再び、段ごとに新女王アリと思われる女王アリの数を数えてみました。
 1段目:11匹
 2段目:0匹と このコロニーの女王アリ
 3段目:2匹
 4段目:1匹
 5段目:3匹
 6段目:1匹
 7段目:1匹
 8段目:1匹
 9段目:1匹
 10段目:0匹と 雄アリ1匹
 11段目:0匹
 12段目:1匹
 13〜17段目:0匹
新女王アリと思われる女王アリは22匹になっていました。ただ今回も、段によっては女王アリの数が数えにくく、22匹は必ずしも正確ではないかも知れません。

本巣の中で見つかった雄アリ 1匹のみ 7月28日17時6分撮影

ところで、活動室のアンテグラウンドⅠ型の中の羽アリの様子はどうなっているのでしょうか。既に結婚飛行の時期は終わっています。
まだ、新女王アリの羽化が始まっていなかった7月1日の観察によると、

「活動室のアンテグラウンドⅠ型の中に、昨年生まれの有翅女王アリが12匹と雄アリが3匹いました。(また、17段アンテシェルフの中には、昨年生まれの有翅女王アリと雄アリがそれぞれ1匹ずついました。)」

でしたが、今回の観察では、有翅女王アリが13匹、雄アリが3匹でした。

その翌日の7月29日も女王アリの繭2個がそのまま見られました。
30日・31日は観察できていませんでしたが、8月1日、女王アリの繭が2個とも確認できませんでした。このことから、明言は出来ないものの、今年の女王アリの羽化は、7月13日から始まり、7月末日頃まで続いたと言うことになります。

関連ブログ
B15006に雄アリが誕生」(2021年7月4日)
飼育下でクロオオアリの女王アリ誕生」(2022年6月30日)
クロオオアリの女王アリの羽化を撮る」(2022年7月6日)
女王アリの羽化がほぼ完了 B15006」(2022年7月23日)
今年も異様に大きな繭」(2023年6月7日)
B15006で今年も新女王アリが誕生」(2023年7月12日)
クロオオアリの新女王アリの誕生時期は?」(2023年8月1日)
クロオオアリの女王アリの羽化が始まっていた」(2024年7月8日)
今年のクロオオアリの女王アリの羽化期間は?」(2024年7月17日)
今年初めてのクロオオアリの女王アリの羽化」(2025年7月13日)

2022年:
6月30日に1匹のみ羽化 7月25日まで羽化が続く
 ※室温の自動管理なし
2023年:
7月12日までには羽化が始まっていて、8月1日まで羽化が続く
 ※室温管理 26℃〜29℃
2024年:
7月8日には羽化が始まっていた ほぼ7月17日まで羽化が続く
 ※室温管理 26℃〜30℃
2025年:
7月13日から始まり、7月末日頃まで続いた
 ※室温管理 26℃〜30℃

2022年女王アリ死亡のB120614-86の働きアリ 2年強の寿命

今年の6月13日のブログで、2022年に女王アリが死亡したクロオオアリのコロニーB120614-86の働きアリが、1匹のみ生き残っていることを報告していますが、その最後の1匹が7月16日死んでいました。
この最後の1匹が、2023年6月ごろに羽化したとすれば、この個体の場合、成虫での寿命は2年強と言うことになります。

B120614-86 最後の1匹が死んでいた 7月16日撮影

関連ブログ
①「働きアリの寿命」(2012年8月31日)
 「1年以上(生存中)」
②「1匹だけ育った働きアリ」(2021年8月31日)
 「成虫になって1年(生存中)」
③「働きアリの寿命」(2013年3月25日)
 「今年で2回目の春を迎えようとしている(生存中)」
 「約20ヵ月生きている(生存中)」
④「働きアリの寿命(その2)」(2013年6月10日)
 「23ヵ月間(確定)」「3年目を越えるのはもう目前(生存中)」
⑤「働きアリの寿命(その3)」(2014年6月19日)
 「最長で2年と11ヶ月近く生きていた(確定)」
⑥「外勤が少ないトゲアリ」(2020年5月29日)
 「最短でも11ヶ月ほど(生存中)」
⑦「トゲアリの様子 2020年10月」(2020年10月15日)
 「1年と4ヶ月以上に渡って生きている(生存中)」
⑧「ほぼ2年間生きているクロオオアリの働きアリ」(2021年5月31日)
 「ほぼ2年間生きている(生存中、例外的)」
⑨「クロオオアリの働きアリの寿命」(2024年8月9日)
 「短く見積もっても、8月時点で2年強(生存中)」

今年初めてのクロオオアリの女王アリの羽化

今日、クロオオアリの新女王アリが1匹羽化しました。羽化があったのは、2015年に結婚飛行を済ませた女王アリのコロニーB15006です。直近の様子は、7月1日のブログで触れています。
2022年以来、毎年女王アリが生まれていますので、今年で4年目を迎えることになります。その女王アリの羽化の時期ですが、以下の記録から要約すると次のようになります。

関連ブログ
B15006に雄アリが誕生」(2021年7月4日)
飼育下でクロオオアリの女王アリ誕生」(2022年6月30日)
クロオオアリの女王アリの羽化を撮る」(2022年7月6日)
女王アリの羽化がほぼ完了 B15006」(2022年7月23日)
今年も異様に大きな繭」(2023年6月7日)
B15006で今年も新女王アリが誕生」(2023年7月12日)
クロオオアリの新女王アリの誕生時期は?」(2023年8月1日)
クロオオアリの女王アリの羽化が始まっていた」(2024年7月8日)
今年のクロオオアリの女王アリの羽化期間は?」(2024年7月17日)

2022年:
6月30日に1匹のみ羽化 7月25日まで羽化が続く
 ※室温の自動管理なし
2023年:
7月12日までには羽化が始まっていて、8月1日まで羽化が続く
 ※室温管理 26℃〜29℃
2024年:
7月8日には羽化が始まっていた ほぼ7月17日まで羽化が続く
 ※室温管理 26℃〜30℃

2025年7月13日17時24分撮影
上写真と同一個体 2025年7月13日17時26分撮影

巣口は移動する

クロオオアリの巣口が移動することについては、直近では7月3日のブログで触れていますが、「BH170521-025+BH170520-001との再会」で触れたコロニーの場合も、巣口の移動が見られます。

「BH170521-025+BH170520-001との再会」時の巣口 4月12日撮影
5月11日の巣口
7月6日の巣口 4月12日の巣口に極近い 5月11日の巣口は7月6日の巣口の右上
巣作りをするクロオオアリ 7月8日8時24分撮影
巣作りをするクロオオアリ 7月8日8時44分撮影

同じコロニーと思われる巣口が他にもありました。下の写真の中央左寄りの花壇面と岩の隙間に巣口があるようです。

7月6日8時15分撮影