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「日本アリ類同好会」への誘い

「日本アリ類同好会」は、LINEを使ったアリの飼育・観察・研究の交流グループです。2019年12月14日から運用しています。
「日本蟻類研究会」は既に存在していて、私も会員になっていますが、「日本アリ類同好会」という名称の団体はネット上で検索する限りはないようです。「日本蟻類研究会」は、大学関係者の方も多く、研究内容はとても深いのですが、「日本アリ類同好会」では、アリが好きな者同士が「友だち」になって、主に飼育方法や生態観察や採集情報などで、気軽に交流ができればと思います。ご賛同いただけるようでしたら、グループにご参加下さればと思います。
まだ、LINEをお使いになっていない方も、スマホやダブレットだけでなくPC版もございますので、導入をご検討下さい。LINEの導入の仕方については、ネット上でお調べ下さい(例えば https://line.macdrivelove.com/entry3.html 等)。
ご連絡いただければ、QRコードをお伝え致します。連絡先は info@kajitsuken.net です。
では、皆様のご参加を心よりお待ちしています。(なお、Gmailをお使いの場合、返信が届かないことがしばしばあるようです。受信が可能になるように予め設定しておくことをお勧め致します。)

今秋 生存確認更に3巣(N・J・T巣)

11月2日、N巣B16015(2019年6月19日移植 29日引越)、J巣自然巣(2018年5月21日発見)、T巣BK170530-133+BH170521-023(2020年9月27日移植 10月26日引越)の3巣の生存を確認しました。

N巣B16015
N巣の巣口は、蜜器右横のコンクリートブロックの右手前にあった
J巣自然巣
J巣の巣口は、写真中央少し下の1枚の落ち葉の箇所にあった
T巣BK170530-133+BH170521-023
T巣の巣口は、階段下蜜器の向こうにあった

今秋、今日までに庭で6巣の生存を確認することができました。今年の夏も猛暑になったことと、その間、庭のクロオオアリに蜜を給餌していなかったこともあって、クロオオアリが無事でいるかとても心配でした。ですが、6巣で生存を確認でき、コロニーの規模を知ることはできませんが、ひとまず安心することができました。

今秋 生存確認3巣目(A巣)

10月25日、クリの木の切り株でクロオオアリを見つけました。ここは、今秋これまでに生存を確認した2巣とはかなり距離が離れていて、別の巣のクロオオアリであることが明らかでしたので、蜜を与えて帰路を追うことにしました。

クリの木の切り株上で蜜を吸うクロオオアリ 14時6分撮影
クリの木の切り株
帰路のクロオオアリ 14時11分撮影
帰路のクロオオアリ 14時13分撮影
帰路の経路 ほぼ写真中央を奥へと歩いて行った
上写真に続く帰路 右のコンクリートブロックから上方へと歩いて行った 左上方の木は清水白桃

今年観察していたA巣の巣口に極く近い場所に巣口がありました。下写真の右に見える幹は清水白桃の木です。

この後すぐに巣口から巣の中に入って行った 14時16分撮影

この後、他のもう1匹の帰路も追い、同じ箇所に巣口があることを確認しました。

同じクリの木の切り株で蜜を吸うクロオオアリ 14時19分撮影
14時21分撮影
14時22分撮影
同じ箇所で巣口へと入って行った この写真では巣口で僅かに腹部が写っている 14時26分撮影

W巣の巣口発見 蜜源は「ぽろたん」のアブラムシ

10日前の10月15日に、ネクタリンの木の近くの芝地に巣があることを確認しましたが、その時は、巣口が何処にあるかは分かりませんでした。
今日10月25日、その巣口を特定することにしました。
前回クロオオアリがいた箇所を観察していると、クロオオアリを見つけましたので、蜜を与え、帰路を追いました。

クロオオアリに蜜を与える 10月25日8時50分撮影
帰路のクロオオアリ 8時55分撮影

巣口が特定できました。

巣口がある箇所 9時8分撮影

給餌のため、蜜器に蜜を入れて巣口の上方に置いておきました。

蜜器の蜜を吸って帰って行くクロオオアリ 9時19分撮影

この時期、巣口としては広過ぎる穴があり、その穴から巣内を行き来するクロオオアリが見えました。

巣穴を見ると 9時22分撮影

巣口はこの巣口の他にもあるようです。

蜜器の左斜め下に広めの巣口、更に左斜め下と蜜器の右斜め方向にも巣口があった

このネクタリンの木の近くの芝地にあるクロオオアリの巣を仮に「W巣」と名付けます。

ところで、このW巣のクロオオアリが蜜源として利用していたのは、「ぽろたん」という品種のクリの木だったことがわかりました。
その「ぽろたん」には、小さなアブラムシが付いていました。このアブラムシは、2021年7月6日にも観察しています。

葉の上に付いた甘露を吸うW巣のクロオオアリ 9時38分撮影

直短寄生のT20220910-18 働きアリが1匹になる

9月29日のブログでは、働きアリは2匹のままいるものの、卵が見当たらなくなったと書きましたが、今日10月20日に見ると、働きアリが1匹死んでいました。

右の個体が新たに死んでいた働きアリ 10月20日17時44分撮影

参照:T20220910-18関連
2022年9月25日のブログ「2022年トゲアリの直短寄生の試み 3・4・5」
2022年10月6日のブログ「直短寄生5例のその後(10月6日)」
2022年10月25日のブログ「直短寄生4例のその後(10月25日)」
2022年11月22日のブログ「直短寄生が2例のみ残る」
2023年1月9日のブログ「直短寄生2例のその後(1月9日)」
2023年5月30日のブログ「直短寄生2例のその後(5月30日)」
2023年6月12日のブログ「直短寄生2例のその後 子育て開始? 成員増は不可」
2023年7月25日のブログ「孵化がまだのT20220910-18」
2023年8月1日のブログ「直短寄生のT20220910-18 巣から出る」
2023年9月18日のブログ「直短寄生のT20220910-18 働きアリが2匹に」
2023年9月29日のブログ「直短寄生のT20220910-18 卵がなくなる」

庭のクロオオアリ 再会?

夏が過ぎて、思い出したかのように、心配事がありました。長い間、庭で極く僅かにしかクロオオアリを見なくなったことです。玄関に置いているミツバチの巣箱へ何匹かが列をなしてやって来ていたのを見たことはありましたが、その外はほんの時たま、1匹のみが歩いていのを見たぐらいでした。
そんな中、10月15日、庭でクロオオアリを見つけました。巣を特定するために蜜を与えました。

10月15日15時14分撮影

帰路を追って行くと、L 巣 B16013(2019 年 6 月 8 日移植 18 日発見)に戻って行きました。

L巣がある場所 15時16分撮影
L巣

L巣への帰路の観察と並行して、もう1匹のクロオオアリにも蜜を与えていました。

大型のクロオオアリ 15時15分撮影

この大型のクロオオアリの帰路も追いましたが、途中で見失ってしまいました。帰路はL巣の方向ではありませんでした。
しばらくして、少し離れた別の箇所でクロオオアリを見つけましたので、同じく蜜を与えました。

15時20分撮影

帰路を追うと、前掲の大型のクロオオアリと同じ方向へと進み、ネクタリンの木の近くの芝地で見失いました。

ネクタリンの木の近くの芝地でクロオオアリを見失う 15時28分撮影

再び、最初に蜜を与えた近くを見ると、クロオオアリが来ていましたので、蜜を付け足して、そのクロオオアリの帰路を追ってみました。すると、最初に見つけたクロオオアリと同様に、L巣へと戻って行きました。2度観察できたことから、L巣が滅びていないことが判明しました。

最初に蜜を与えた近くにやって来ていたクロオオアリ 15時30分撮影
そのクロオオアリが戻って行ったのはL巣だった 15時35分撮影

再び少し離れたその別の場所を見ると、複数のクロオオアリが蜜を吸っていました。

15時36分撮影

後を追って行くと、今度もネクタリンの木の近くの芝地で見失いました。どうやらその当たりに巣口がありそうです。
芝刈りを長い間していないことが、見失う原因になっているようでしたので、芝を刈り込むことにしました。

芝を刈った

その後、芝を刈った箇所で観察していると、腹部が膨れた複数匹のクロオオアリがやって来て、巣口を探しているような行動が見られました。ただ、観察した限りでは、どのクロオオアリも巣口を見つけられないようでした。そこで、巣口を特定することは出来ずじまいになりました。巣口の特定は、後日にすることにしました。
このネクタリンの木の近くの場所は、これまでに巣のありかとして観察をしたことがない場所です。新たな発見となるコロニーなのか、それとも最も近い、といってもかなり離れているC巣のコロニーなのかは不明です。

それから1時間ほど経った頃、ネクタリンの木からは近い場所で、クロオオアリを多数見つけました。なぜ1箇所に多数集まっていたのかは調べていません。
蜜を与えておきました。帰路も観察しませんでした。

1箇所にクロオオアリが多数集まっていた 17時0分撮影
蜜を与えた 17時2分撮影

原因不明の大量死

クロオオアリのコロニーBK170530-081で異変が起きていました。10月11日、活動室(アンテグラウンドⅢ)に出ている働きアリの多くが、”殺虫剤がかかったかのように”苦しがっていました。
翌日見ると、既に死んでいる個体も多数見られました。

アンテグラウンドⅢの中 10月12日撮影

実はこうした事態は、以前にもこのコロニーのみでなく、複数のコロニーでも見られました。同じコロニーでも、人工巣の中では見られませんでしたので、乾燥によるものとも考えていましたが、その事態が起こった季節はかなり寒くなってからでした。今回は、気候としてはまだ温暖です。
原因は不明なままです。

直短寄生のT20220910-18 卵がなくなる

直近のトゲアリT20220910-18のブログ(9月18日)では、「6月12日や7月25日の時と比べると(卵が)少なくなっています」と書きましたが、今日9月29日、働きアリは2匹のままいるものの、卵が見当たりませんでした。

9月29日14時56分撮影
14時56分撮影

参照:T20220910-18関連
2022年9月25日のブログ「2022年トゲアリの直短寄生の試み 3・4・5」
2022年10月6日のブログ「直短寄生5例のその後(10月6日)」
2022年10月25日のブログ「直短寄生4例のその後(10月25日)」
2022年11月22日のブログ「直短寄生が2例のみ残る」
2023年1月9日のブログ「直短寄生2例のその後(1月9日)」
2023年5月30日のブログ「直短寄生2例のその後(5月30日)」
2023年6月12日のブログ「直短寄生2例のその後 子育て開始? 成員増は不可」
2023年7月25日のブログ「孵化がまだのT20220910-18」
2023年8月1日のブログ「直短寄生のT20220910-18 巣から出る」
2023年9月18日のブログ「直短寄生のT20220910-18 働きアリが2匹に」

トゲアリの女王アリを採集(2023年2回目)

9月9日に引き続き、9月23日にトゲアリの女王アリを採集しに滋賀県に行きました。早朝に降雨はなく、晴れてきていましたので、採集できることを期待して、例年の採集地点まで出かけました。
9月10日に6匹を採集した箇所で、トゲアリの女王アリが2匹、地上を歩いていました。

中央右側にも1匹写っている 9月23日8時33分撮影
2匹の採集場所

10日に5匹を採集したD巣まで行くと、巣の様子に明らかに変化がありました。樹の空洞の外周りを歩く働きアリの数が少なくなっていました。

樹の空洞の外周りにいる働きアリが少ない

空洞の中の様子を覗いてみると、羽アリがいないようでした。

空洞の上方の様子 8時41分撮影
羽アリが見当たらない 8時42分撮影
羽アリが見当たらない 8時42分撮影

10日の時には、樹の幹上で脱翅女王アリがトゲアリの働きアリに取り囲まれて攻撃されていたのですが、この日は見かけませんでした。
過去何年かにも渡って数多く採集できていたA巣の近くの箇所でも、10日の時と同様に1匹も採集できませんでした。

A巣のすぐ近く

結局、この日を通して2匹しか採集できませんでした。
その2匹ですが、2匹とも傷ついていました。1匹は右後脚を基節から引きずって歩いていて、もう1匹は右前脚の転節以下を失っていました。

右後脚が不自由に
右前脚を失っている

2匹しか採集できなかったことを考えると、今日は結婚飛行はなかったようです。この2匹については、傷ついていたことから考えて、今日以前に結婚飛行を了えていて、何日か地上を歩いていた〈(1)(2)(3)〉のでしょう。そもそも、D巣の様子から考えると、今年の結婚飛行は既に終わっていたようです。

ちなみに2013年以後の記録で、9月下旬に採集した女王アリの数は次のようです。
2013年
  9月21日 20匹(29.2/18.2℃)
  9月24日 26匹(29.6/19.6℃)
  9月25日   6匹(30.1/20.5℃)
2015年
  9月28日 10匹(採集目標10匹に達したため)

トゲアリの大コロニーの大量の寿命死

T140906-40は、2014年の9月6日にクロオオアリのコロニーに寄生したトゲアリの大コロニーです。今年の9月で9年目を迎えます。

巣本体 2023年9月19日撮影
9月8日撮影

活動室アンテグラウンドⅡには、大量の働きアリの死体が積み上げられています。恐らく寿命で死んだのでしょう。

大量の働きアリの死体 9月19日撮影

直短寄生のT20220910-18 働きアリが2匹に

9月18日、直短寄生のT20220910-18では、働きアリが2匹になっていました。

働きアリ1匹目
働きアリ2匹目 女王アリは9月13日頃から再び人工巣に入るようになった

卵があるようです。6月12日や7月25日の時と比べると少なくなっています。

最初に産卵を確認したのは、5月30日でしたが、これまで1度も孵化した幼虫を見ていません。
卵が孵化しないという事例は、昨年一時的社会寄生をした「トゲアリの寄生の試み 5 (BH210523-29にT20220910-67が寄生 )」でも見られました。なぜ孵化しないのか分からないままになっていますが、このことから「孵化の条件」のようなもの(鳥の有精卵は適温と転卵が孵化の条件)がやがて分かるようになればと思います。

参照:T20220910-18関連
2022年9月25日のブログ「2022年トゲアリの直短寄生の試み 3・4・5」
2022年10月6日のブログ「直短寄生5例のその後(10月6日)」
2022年10月25日のブログ「直短寄生4例のその後(10月25日)」
2022年11月22日のブログ「直短寄生が2例のみ残る」
2023年1月9日のブログ「直短寄生2例のその後(1月9日)」
2023年5月30日のブログ「直短寄生2例のその後(5月30日)」
2023年6月12日のブログ「直短寄生2例のその後 子育て開始? 成員増は不可」
2023年7月25日のブログ「孵化がまだのT20220910-18」
2023年8月1日のブログ「直短寄生のT20220910-18 巣から出る」

「10年目の再生コロニー」(B120614-03)のその後

B120614-03は、2012年の6月14日に長野県の駒ヶ根市で採集したクロオオアリの女王アリのコロニーです。このコロニーの成員は、2022年になって短期間に大量に死亡して、2022年7月9日の時点で、女王アリの他は働きアリが1匹のみとなり、幼生虫は極く僅かになっていました。
そこで、コロニーの消滅を防いで、この女王アリの寿命を調べようと、7月9日、他のコロニーから繭を30個与えました(11歳女王アリのコロニーを再生)。

参照:直近の記録:2023年6月14日ブログ

以下は、9月18日の様子です。働きアリが25匹、雄アリが16匹いました。

昨年の7月9日に与えた繭は、全て羽化しているはずですし、越冬幼虫の1匹も羽化しているはずですから、現有の幼生虫は全てB120614-03が産んだことになります。ところで、働きアリが25匹いましたので、働きアリの寿命を考慮すれば、この25匹は30個の繭から羽化した働きアリの可能性が高いと考えられます。また、雄アリ16匹は、30個の繭から羽化したのではないのですから、B120614-03が産んだことになります。
現有の幼生虫が羽化してみなければ、断定はできないのですが、もし働きアリが増えずに、雄アリが増えるようでしたら、B120614-03は産卵能力は残っているものの、有精卵を産む能力はなくなっていることになるでしょう。

トゲアリの女王アリを採集(2023年1回目)

9月9日、トゲアリの女王アリを採集するため、滋賀県彦根市内の2012年以来観察・採集している地点に行きました。

2021年から観察しているD巣 9月9日16時40分撮影
2012年から観察しているB巣 16時45分撮影
2012年から観察しているC巣 16時46分撮影
2012年から観察しているA巣 撮影は翌日10日の9時45分

この日は、夕刻からの観察であったのですが、トゲアリの女王アリは、地上や樹上で見つけることはできませんでした。
翌日の9月10日、9時過ぎに採集地に行くと、しばらくして地上を歩いているトゲアリの脱翅女王アリを見つけました。

最初に採集した脱翅女王アリ 9時11分撮影

そして同じ箇所で更に4匹を採集しました。

この写真には3匹の脱翅女王アリが写っている 上方中央に2匹、下方右寄りに1匹 9時12分撮影

D巣に行くと、過去2年に渡って繰り返し見てきたことですが、3箇所で脱翅女王アリがトゲアリの働きアリに取り囲まれて攻撃されていました。

脱翅女王アリがトゲアリの働きアリに取り囲まれて攻撃されている 9時17分撮影
別の脱翅女王アリがトゲアリの働きアリに取り囲まれて攻撃されている 9時18分撮影

樹の空洞の中を覗いてみると、昨年同様に空洞の上方に塊が見られ、羽アリもいました。

樹の空洞の中のトゲアリの塊 9時20分撮影
羽アリが写っている 9時24分撮影
羽アリが写っている 9時29分撮影

D巣の樹の麓で、トゲアリの脱翅女王アリがフタフシアリ亜科のアリに攻撃されていました。

D巣の樹の麓で 9時29分撮影

また、最初に採集した箇所で更に1匹を採集しました。この1匹は、草の葉の上で休んでいました。

9時50分撮影

この日、合わせて12匹を採集しました。
翌日9月11日は、早朝降雨がありました。8時過ぎに同じ採集地に出かけましたが、結婚飛行は行われなかったようでした。間もなく雨が降りだし、採集できずに帰りました。

気象データ:

9月9日(終日値) 晴または曇
 最高/最低気温(℃):30.8/23.0  降水量(mm):0.0

9月10日(午前10時までの値) 晴または曇
 最高/最低気温(℃):30.0/24.1  降水量(mm):無

9月11日(午前8時までの値) 晴・雷・曇・雨
 最高/最低気温(℃):25.9/24.7  降水量(mm):0.5未満

働きアリが産んだ幼生虫

クロオオアリの女王アリB110608-07は、今年の1月11日以降4月6日までの間に死亡しています。
その残されたコロニーですが、9月7日の時点で、卵と小さな幼虫がいます。

9月7日撮影
9月7日撮影

この卵と幼虫は、働きアリが産卵したものと推定できます。

一時的社会寄生のトゲアリ5例の様子(9月7日)

トゲアリの寄生の試み 1 (BH210523-18にT20220910-53が寄生 )

8月2日には、トゲアリの働きアリが1匹でしたが、16匹ほどになっています。また、蛹と幼虫が見られ、恐らくトゲアリの幼生虫だと思われます。

トゲアリの寄生の試み 2 (BH210523-19にT20220910-54が寄生 )

元々女王アリがいた巣部屋
別の巣部屋 女王アリがこちらにいた

大きなトゲアリの寄生コロニーになってきています。卵はないようですが、幼虫と蛹があります。

トゲアリの寄生の試み 3 (BH210523-21にT20220910-65が寄生 )

8月2日の時点でもトゲアリの働きアリはいませんでしたが、今回もトゲアリの働きアリはいませんでした。この時、トゲアリの女王アリが卵を咥えていました。

トゲアリの寄生の試み 4 (BH210523-23にT20220910-44が寄生 )

8月2日には、トゲアリの働きアリは4匹でしたので、トゲアリのコロニーが大きくなってきています。

トゲアリの寄生の試み 5 (BH210523-29にT20220910-67が寄生 )

8月2日の時点でも卵でしたが、今回も卵のままでした。ところで、5月27日の時点でも卵でしたので、少なく見積もっても2ヶ月以上卵のままと言うことになります。

2010年生まれのクロオオアリの女王アリの死 13才

9月7日、クロオオアリの女王アリB110608-11が死亡していました。死亡して何日か経っているようでした。

左が胸部、右が腹部 9月7日撮影

B110608-11は、2011年に結婚飛行を了えた女王アリです。6月8日に長野県の駒ヶ根市内で採集しています。この女王アリは昨年から産卵能力を失っていました。
2010年の7月頃に羽化したと考えられますので、13年以上生きていたことになります。私の飼育下で、最も長生きをしたクロオオアリの女王アリになります。

結婚飛行後の翌々年になっても単独で子育てが可能

かつて、クロオオアリとムネアカオオアリの単独女王アリが、「年を越して再度の子育てに成功するか?」を記録しています。結果は7例の内2例が「年を越して再度の子育てに成功」しています。
この例では、結婚飛行後、同年中に子育てに失敗し、翌年に子育てに成功しています。では、子育てに失敗していて、結婚飛行の翌々年に、再度の子育てに成功するのでしょうか。この対象となるクロオオアリの単独女王アリがいましたので、観察していました。
2021年の5月23日に蒜山高原で新女王アリを採集したSN:BH210523-28です。
この女王アリの記録を見ると、同年5月30日には産卵数が8個(新女王アリ20匹の平均値5.8個)になっていて、産卵能力があったことが分かります。ただ8月1日時点で働きアリが1匹(同上平均値11匹)しかいませんでした。
その翌々年の今年の2月8日時点でも働きアリが1匹(越冬幼虫なし)いましたが、その後、いつなのかの記録はありませんが、単独女王アリになっていました。
今年の春以降に産卵があり、8月14日、働きアリが1匹羽化しました。

2023年8月14日20時6分撮影

今年の春以降、この単独女王アリに蜜を与えていましたが、蜜を飲んでいるところは見ていませんし、与えた蜜の量が減っているようにも見えませんでしたので、糖分を摂取していなかったのかもしれません。また、タンパク源は与えていませんでした。
この観察から、クロオオアリの女王アリは、結婚飛行後の翌々年になっても単独で子育てができることが分かります。その条件を限定すれば、
① 人工的な飼育環境
② 結婚飛行後の翌々年の春
③ 翌々年の越冬時には働きアリがいる
④ 翌々年越しの越冬幼虫はいない
⑤ タンパク源は不要
となります。

T20220910-16の死

8月2日の時点で、直短寄生のトゲアリのコロニーT20220910-16では、働きアリが12匹になる見込みでしたが、8月6日までに2匹が死に、働きアリが10匹になっていました。

餌器の中に働きアリの死体が2体ある 8月6日撮影

また、7月29日に与えた蛾はそのままになっていました。この間、幼虫にタンパク源を給餌していないようです。
8月14日、T20220910-16が死亡していました。働きアリは10匹共に生きていました。女王アリの死因は不明です。

女王アリが死んでいた 8月14日撮影

昨年から行っている直短的社会寄生の試みは5例でしたが、T20220910-16が死亡したことで、残るは1例(T20220910-18)のみとなりました。

一時的社会寄生のトゲアリ5例の様子(8月2日)

トゲアリの寄生の試み 1 (BH210523-18にT20220910-53が寄生 )

T20220910-53では、既に1匹が羽化していましたが、死んでいます。写真の1匹のトゲアリは、その後に生まれたのでしょう。

トゲアリの寄生の試み 2 (BH210523-19にT20220910-54が寄生 )

一時的社会寄生のトゲアリ5例の中で最初に羽化があったコロニーです。卵の他、小さな幼虫が多数います。トゲアリが幼生虫の世話を始めているようです。

トゲアリの寄生の試み 3 (BH210523-21にT20220910-65が寄生 )

まだ羽化したトゲアリはいない
となりの部屋にも繭があった

トゲアリの寄生の試み 4 (BH210523-23にT20220910-44が寄生 )

7月26日から羽化が始まりました。それから1週間後(8月2日)には働きアリが4匹になっています。

トゲアリの寄生の試み 5 (BH210523-29にT20220910-67が寄生 )

繭がない
トゲアリの卵だが、孵化していない

5月27日の時点でも卵でした。少なく見積もっても、8月2日までには、67日あり、2ヶ月以上になります。直短寄生のT20220910-18では、5月30日に卵を2個観察していて、この場合も卵の期間が2ヶ月以上になっています。

羽化が進んで働きアリが増える(T20220910-16)

7月28日に、新たに幼生虫を投入したトゲアリT20220910-16のその後の様子です。
翌日の29日には、働きアリが1匹増えて6匹になっていました。働きアリが羽化介助をしたようです。この日の夕刻、更に1個の繭の羽化を介助していました。

7月29日16時22分撮影
16時27分撮影

タンパク源として、前日に蛾を1匹入れておきましたが、分解していませんでした。
ですが、更に蛾を2匹入れました。また、砂糖水をほんの僅か与えました。

新たに蛾を2匹と砂糖水(写真下方左寄り)を与えた 16時34分撮影

今度も蛾にはほとんど関心を示しませんでした。砂糖水は1匹が飲み始めましたが、他の働きアリは、砂糖水を触角で触っても立ち去りました。
19時半頃に見ると、働きアリが7匹になっていました。無事に羽化できたようです。

7月31日になると、働きアリは8匹になっていました。

働きアリが8匹になっていた 7月31日19時30分撮影

そして更に8月2日になると働きアリが10匹になっていて、観察した時点では、羽化中の働きアリが1匹いました。7月28日に、繭を7個取り入れましたので、7個の繭が羽化すれば働きアリが12匹になります。まだ羽化していない繭が1個ありましたので、羽化が順調に進んでいることが分かります。

羽化中と羽化がまだの繭で働きアリが12匹になる見込み 8月2日19時48分撮影

クロオオアリの新女王アリの誕生時期は?

B15006では今年も新女王アリが誕生しています。
7月27日の時点では、女王アリの繭が後2個残っていました。

1個目の女王アリの繭 7月27日撮影
2個目の女王アリの繭 7月27日撮影
羽化したばかりの新女王アリ 7月27日22時45分撮影

8月1日、それら2個の繭が無くなっていました。

羽化して暫く経った新女王アリ 8月1日20時4分撮影

昨年は、この同じB15006のコロニーで、7月25日に女王アリの羽化が全て完了しました。

このコロニーのこの2年間に限ってのことですので、現時点の限られた知見ではまだ一般化は難しいものの、飼育下でのクロオオアリの新女王アリの誕生時期は、7月上旬頃から7月下旬頃と言えそうです。