昨年の9月16日に寄生を始めたT210912-02がいる人工巣リトルアンテシェルフをアンテグラウンドⅢに繋げたことについては、先のブログに書きましたが、その後について記録しておきます。




これまでに、ムネアカオオアリの同種間共存については、5例観察してきています。その内の1例では、女王アリがいない働きアリ8匹のコロニーの中に単独女王アリを入れる実験をしています。その結果は、まとめて次のように記しています。
「既に女王アリを失っているムネアカオオアリのコロニーの働きアリと、異年代(2年若い)のムネアカオオアリの単独女王アリは、単独女王アリから見て創巣の翌年の3月時点では共存できることがある。」
今回は、その類似の追試になります。違いは、単独女王アリの方が2年古い世代になることを含みます。
◎単独女王アリ RH18004
2018年5月15日に、岡山県蒜山高原で新女王アリを採集 卵が多数
◎女王アリがいないコロニー R200603-020
2020年6月3日か4日に、長野県駒ヶ根市で新女王アリを採集 働きアリのみ30数匹
女王アリの遺体がある
この後、女王アリは一旦上の飼育器に戻り、再び下の飼育へ入っていきました。下の飼育器の中で、女王アリは働きアリから攻撃されますが、女王アリの方から攻撃する場面は見ませんでした。
午後6時頃になって様子を見ると、上下の飼育器の女王アリと働きアリがほとんど入れ替わっていました。
それから3日後の5月7日に、小型の水槽の中に上下の飼育器を蓋を開けて入れ、1×4材とアクリル板で作った巣も入れました。翌日見ると、その巣の中にRH18004の女王アリとR200603-020の働きアリが入っていました。R200603-020の女王アリの遺体は、飼育ケースの中に残されていました。
この実験結果を見る限りでは、次のように言えそうです。
「既に女王アリを失っている創巣から2年目のムネアカオオアリのコロニーの働きアリと、創巣から4年目のムネアカオオアリの単独女王アリは、共存できることがある。」
BN19004を庭に移植したのは、4月25日でした。それから5日後の4月30日、いつの間にか引越が完了していました。
引越に気づかなかったので、何処に引っ越したのか分かりませんでした。
ところが、次の日の5月1日、庭の東方のブドウ園の南フェンス下に土が盛られているのに気づきました。クロオオアリの働きアリが土を運び出していました。
確言はできないものの、ほぼ間違いなくBN19004の引越先のようです。移植場所から直線距離にしておよそ8.7m離れていますが、全行程をコンクリートを利用すれば、容易く辿り着くことができる場所です。
4月25日、クロオオアリのB200603-024を庭に移植することにしました。B200603-024は、2020年の6月3日に長野県で新女王アリを採集したコロニーです。比較的良く繁栄しています。
庭の西方の南斜面下にニホンミツバチの待ち箱を用意し、その中に飼育器を斜めに起こして置きました。飼育器から蜜器を外して、巣箱の本体を被せました。
それから3日後の4月28日、巣箱の中を見ると引越が完了していました。
飼育器の出入り用の穴の下に、大きめの小石が何個も運び込まれていました。かなり行動的なコロニーだったようです。
2019年に採集したクロオオアリのコロニーの内、飼育してきたのは3つのコロニーです。その3つのコロニーとは、先日庭に移植したBM19001とBN19004とBM19007です。今回は、BN19004とBM19007を庭に移植することにしました。
1)BN19004は、2019年の5月25日に長野県で新女王アリを採集したコロニーです。
4月25日、BN19004を市販の西洋ミツバチの巣箱の中に入れて移植しました。一昨年(2020年)の9月27日に移植した2例目と同じ場所(八朔の近く)での移植です。
2)BM19007は、2019年の6月3日に香川県で新女王アリを採集したコロニーです。
4月28日、BM19007を市販の西洋ミツバチの巣箱の中に入れて移植しました。
4月22日に移植用の巣箱で移植したR200603-007が、巣箱から外へ出られるように、4月25日、シリコン栓を外しました。
BM19001は、2019年6月3日に香川県で新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーです。このコロニーは、コンクリート製の丸形の人工巣で飼育していて、かなり順調に繁栄しています。
このコロニーを庭に移植することにしました。
西洋ミツバチ用の巣箱を庭の西方の花壇に置き、その巣箱の中に人工巣を入れて、人工巣のシリコン栓を1つ外しました。それから、巣箱に蓋をしました。
すると、間もなく西洋ミツバチ用の巣箱から出てくる働きアリがいました。半時間もすると、コンクリートブロックを通路にして、比較的多くの働きアリが歩くようになりました。
移植を始めて1時間ほど経過した時、出歩いている働きアリにクモを与えてみました。果たして、巣箱の中の人工巣に帰ることができるでしょうか。
クモを運び始めた直後は、巣箱とは反対の方向へ歩いていましたが、やがて巣箱の方向へと歩き始めました。それからはもう道に迷っているようではありませんでした。しばらくして、クモを咥えて巣箱の中へ入っていきました。
この働きアリは、新しい環境に置かれて僅かに1時間程しか経っていなかったのですが、巣の位置を認知できていたことになります。
その観察の途中、花壇の南壁の麓にトカゲが現れ、クロオオアリの数匹の集まりに瞬く間に近づいて去っていきました。その一瞬を撮影しました。
トカゲは口にクロオオアリを咥えています。トカゲが立ち去った後を見ると、クロオオアリの頭部がありました。
庭に程々の数のトカゲ(カナヘビ)がいますが、これまではアリを襲う場面は見かけませんでした。けれども、トカゲもアリの害敵だったのです。
それからしばらくして、あちこちで巣作りが始まっていることに気づきました。
翌日の24日は、午前中から午後にかけて雨が降りました。雨上がりに巣作りの様子を見に行くと、巣箱から最も近い場所の1箇所だけ、巣作りが続けられていました。
引越先が統一されたようです。
自宅の庭とその周辺で、これまでもクロナガアリの女王アリを採集しています。2019年は5月1日、2018年は4月26日、2017年は4月16日でした。
4月23日、庭の芝地にちょっとした穴が目に留まりました。中に何かいるようです。
その穴にトビイロシワアリが1匹入っていきましたが、そのためなのか、その何かが穴から出て来ました。クロナガアリの女王アリでした。
近くでクロナガアリの結婚飛行があったようです。そこで、庭の他の場所にクロナガアリの女王アリがいないか探しながら、南フェンスの外の小道に行きました。その小道の3箇所で女王アリを見つけました。
4月22日、ムネアカオオアリを庭に移植することにしました。今年になって初めての試みです。
ムネアカオオアリの移植の直近の過去の試みは、昨年の4月14日と4月16日と5月6日の3例がありますが、いずれも今では死滅したと考えています。3例とも、枯れた切り株の中に移植しました。
今回は、今年トゲアリの移植に使った移植用の巣箱を使うことにしました。
移植するのは、昨年移植した3例と同期の2020年採集のR200603-007です。
移植用の巣箱の中に、飼育ケースを立てるように入れ、下側になったシリコン栓を外しました。
移植場所はビックリグミの枝の下にしました。近くには桜の木の切り株があります。
しばらくは、移植用の巣箱の側面の穴は塞いだままにしておくことにしました。
4月10日に、庭に移植していたトゲアリの2つのコロニー同士が戦っていたことについてブログに書いた際、2つのコロニーを繋いでいた散水ホースを、容易には接触できないように東側に移動したことを付記しましたが、その翌日の午後になると、トゲアリがそのホースを伝って歩かなくなっていたので、ホースを設置し直しました。
今日(4月12日)、クリの木の切り株の根元を見ると、トゲアリがいました。散水ホースを伝って切り株まで来たようです。そして、巣作りをしているようです。
夕刻になってT130921-09を見に行くと、巣箱の側面に幼虫を咥えている働きアリがいました。更に、幼虫を咥えてホースを西方に向かって早足で歩いていく働きアリがいました。
その後方には何かを運んでいる働きアリがいました。女王アリを運んでいるようです。
ちなみに昨年、T140906-03の引越の際にも、働きアリが女王アリを運ぶ場面がありました。
西方のクリの切り株の方を見ると、既に角材杭とクリの切り株を結ぶ通路が出来上がっていました。その切り株へと通じる通路を伝って、女王アリが運ばれていきました。
巣箱の中を見ると、もうほとんど引越済のようでした。
クリの木の切り株を見ると、女王アリを咥えた働きアリがまだ歩いていました。切り株に到着して5分ほどは経っているのですが、運び込む場所を迷っているようです。
その後、女王アリを何処に運び込んだのかは観察していませんが、巣作りを観察した右側の窪みではなく、上方へと幼虫を運ぶ働きアリもいましたので、女王アリが上方へ運ばれた可能性もあります。
女王アリが引越をし、先程巣箱の中もほとんど引越済のように見えましたが、まだ引越が続いていました。
7時ごろ見に行くと、この時刻になっても幼虫を運んでいました。
まだ、巣箱に残っている群れがあるのでしょうか。巣箱の窓越しに中の様子を見ると、巣ケースの下にまだトゲアリの塊がありました。しばらくの間は引越が続きそうでした。
今年庭に移植したT130921-09のトゲアリが、巣箱を取り付けている支柱の麓の散水ホースに集まっていました。
そのホースを西に辿っていくと、丸棒杭に近づいた辺りにもトゲアリがいて、丸棒杭にもトゲアリが多数いました。
その丸棒杭の上方へと仲間を運んで行くトゲアリもいました。
その先の丸棒杭の上部には、多数のトゲアリがいました。
更に、丸棒杭の上部が支えているイチジクの主枝を伝って、西へと仲間を運んでいくトゲアリがいました。
その西方面には、昨年移植したT140906-03のトゲアリの巣があります。これはいったいどういうことなのでしょうか。
他方、あちこちで戦いが起こっているのです。
かと思うと、西方向(T140906-03)へ幼虫が運ばれていたり、T130921-09の巣の中へ仲間が運ばれていたり、T140906-03の巣の中に仲間が運ばれていたりしています。
戦いは激化しているようです。
そもそもどちらから相手へ攻め込んでいったのでしょうか。丸棒杭の上方にいるトゲアリは、どちらのコロニーのトゲアリが多数なのでしょうか。分からないのです。
このまま両者を戦い続けさせるわけには行かないので、ミツバチ用の燻煙器で煙を噴きかけました。たちまち咬み付きが放たれました。
この後も幾度も薫煙器で煙を噴きかけ、戦いの沈静化を図りました。丸棒杭の麓のホースに集まるトゲアリが随分と少なくなった頃、丸棒杭の上方から下りてきて、ホースへと向かうトゲアリを1匹ずつ捕獲し、T130921-09の巣箱の巣口近くで放つと、ほとんどの場合、すんなりと巣穴の中に入っていきました。
この時初めて、丸棒杭の上方に残っていたトゲアリは、T130921-09のトゲアリであったことが分かりました。このことから、T130921-09のトゲアリは西へと攻め込んでいったことになります。
しかし、T130921-09の巣箱の側面でも戦いがあったのですから、T140906-03も東へと攻め込んでいたことになります。
2つのトゲアリのコロニーが、容易には接触できないように、散水ホースを東側に移動しておきました。
セイヨウミツバチの巣箱近くでクロオオアリを見かけました。そこで、巣箱近くに蜜器を置きました。しばらくするとクロオオアリが蜜器の蜜を吸っていました。
蜜を吸い終わったクロオオアリの帰路を辿ると、昨年の10月9日のブログで書いた「A巣の近くに新たに見つけた巣口」近くで、地中へと潜ったようでした。
ローズマリーにもクロオオアリが来ていました。
蜜を与えて帰路を追ってみると、昨年の8月24日に生存を確認していたB16015(2019年6月19日に移植を開始し、7月1日に引越を完了したクロオオアリのコロニー)の巣があった辺りの芝地の中で、姿が見えなくなりました。
3月12日のブログでは、飼育しているトゲアリがバッタを解体したことを書きましたが、移植した庭のトゲアリ(T140906-03)にハエトリグモ(動物性の餌)を与えたところ、この場合も餌として摂取したようです。
3月22日、S/N:B14034+133に雄アリがいました。
B14034+133は、2014年の6月に新女王アリを採集したB14034(女王アリと働きアリ4匹 幼生虫無し)とB14133(女王アリと働きアリ13匹 幼虫10)の合同コロニーです(2016年5月10日のブログ「クロオオアリの複数の女王アリは同居できるか 結果」参照)。
2020年7月10日には、S/N:B120614-03で雄アリが誕生していて、2021年7月4日には、S/N:B15006で雄アリが誕生していました。これでクロオオアリの大きなコロニーで雄アリが誕生したのは3例目になります。
それぞれ雄アリが誕生した年数を推定すると次のようになります。
B120614-03 8年目
B15006 6年目
B14034+133 8年目
なお、上記3コロニーは、いずれも女王アリは存命です。
昨年は、3月6日に、その年の春になって初めてクロオオアリが地上に出てきた(自宅の庭)のを観察しています。その1週間後の13日、再びクロオオアリを地上で(同じく自宅の庭)見かけています。
奇しくも、今年はその内の同じ13日に、クロオオアリを自宅の庭で見かけました。1匹のクロオオアリが、傾斜地の踏段のコンクリートブロックの上を横切るように歩いているところにたまたま出くわして見つけました。
蜜を与えて、このクロオオアリが何処の巣からやって来たのかを調べたかったのですが、帰路の途中、芝地の中で見失ってしまいました。
そして、今日3月14日、イチゴ園でクロオオアリを見つけました。早速蜜を与えました。
このクロオオアリの帰路を追うつもりでしたが、迷っているようで近辺を行ったり来たりしていました。その内にもう1匹のクロオオアリが、近くにやって来ましたので、このクロオオアリにも蜜を与えました。
この大型のクロオオアリは、迷うことなく帰路につきました。その後を追ってみると、C巣に戻っていきました。
ちなみに、ここ数年、自宅の庭で、春に、クロオオアリが地上に出てくる最初の日を記録しています。正確には、私が最初に地上で見かけた日ということになります。
2017年は3月26日、2018年は3月25日、2019年は3月20日、2020年は3月18日に、2021年は既述の通り3月6日、そして今年は3月13日になりました。
この時期に、トゲアリが動物性の餌を食べることについては、既に2020年3月20日のブログで触れています。
この度、その追試となりますが、昨年から保管していたバッタ類を与えてみました。
2020年より1週間ほど早い時期でしたが、バッタ類を解体し始めました。
今年移植したトゲアリT130921-09の働きアリが、3月10日、たくさん巣箱から出て来ていました。
支柱を見るとそこにもトゲアリがいました。
そして、クリの切り株にもトゲアリがいたのですが、中型のアリ(クロクサアリと思われる)と戦っていました。
トゲアリは、肢や触角に咬みつくこの中型のアリを殺せるようですが、殺しても咬みつかれたままになってしまい、劣勢になるようです。
それから2日後の3月12日、クリの切り株の麓辺りにトゲアリの死体が幾匹かありました。そこで、巣箱を取り付ける支柱をもう1本用意し、クリの切り株の麓から離して打ち込み、巣箱を付け替えました。
支柱を3方からロープで固定し、トゲアリがクリの木にも直接行けるよう、支柱とクリの木をロープで結びました。
2月27日、昨年移植したトゲアリのコロニーT140906-03の働きアリが巣から出て来ていました。見かけたのは1匹でした。
この時刻(14時)の天候は晴で、気温は13℃でした。
今日28日も春らしい天気になっていました。今年の2月15日に庭に移植したトゲアリのコロニーT130921-09の様子を見に行くと、巣箱から働きアリが出て来ていました。
この時刻(14時前)の天候は晴で、気温は14℃弱でした。
BK170530-081は、2017年5月30日に駒ケ根市で新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーです。今年で創巣から5年目を迎えることになります。かなり大きなコロニーになってきていました。
そこで、アンテグラウンドⅢと繋げることにしました。
アンテグラウンドの中に15cm四方のキューブ水槽を入れ、濾過器を設置しました。また、アンテグラウンド内を換気するため、USB仕様の送風ファンも取り付けました。
昨年、クロオオアリのコロニーBK170530-040に寄生したトゲアリT210912-02の初期コロニーも、別に用意したアンテグラウンドⅢに繋げました。
こちらも、水槽・濾過器・USBファンを設置しました。