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ミツバチの死骸を置き忘れたクロオオアリ

3月27日、花壇で、ミツバチの死骸を運んでいるクロオオアリを見つけました。タンパク源の収集も始まっているようです。

3月27日17時5分撮影

帰路を追うと、N巣B16015まで死骸を運んで行きました。ただ、巣口が見つからなかったようで、巣口の近くで死骸を離して休息を取り始めました。

巣口の近くで 17時10分撮影
休息中のクロオオアリ 17時11分撮影

この後、再び死骸を咥えて巣へと戻ろうとしていたようですが、巣口が見つからないようでした。そうこうしているうちに、少しばかり巣口から離れたところに、再び死骸を置きました。

17時17分撮影

そして、このクロオオアリは、ミツバチの死骸を置いたまま、巣へと戻って行きました。

巣口に入る直前 17時18分撮影

しばらく巣口を見ていると、2分強経った頃、働きアリが1匹巣口から出て来ました。

巣口から出てくるクロオオアリ 17時20分撮影

この巣口から出て来たクロオオアリが、先程のクロオオアリなのかは、断定はできませんでした。

翌日の3月28日、死骸が置かれていた場所をみると、同じ場所にまだ死骸がありました。

3月28日10時25分撮影

あのクロオオアリは、私には苦労しながら死骸を運んでいたように見えていたのですが、貴重なタンパク源をもう忘れてしまったようです。

最長記録 寿命14年以上 クロオオアリの女王アリ

B110608-06は、2011年の6月8日に長野県の駒ヶ根市内で採集したクロオオアリの女王アリです。昨年は、6月8日に13回目の結婚記念日を迎えましたが、3月26日、14回目の結婚記念日を迎えることなく、死んでいました。

生きているようにも見えたが、死んでいた 3月26日
リトルアンテシェルフの最下段の様子 他の段には死体はなかった

アンテシェルフの中の死体数を数えてみると、働きアリは43匹でした。
水も蜜も与えていましたが、摂取していなかったのかも知れません。女王アリには寿命があったとしても、働きアリまで全滅していましたので、その点が不可解でした。

このブログ「anttech.jp」を始めたのが2011年の6月のことで、同時にこの年から、アリの観察を本格的に再開しました。

2019年7月24日のブログから引用〉
小学生中学生の頃、アリを飼育していましたが、2010年になって再びアリを飼育するようになりました。その年の6月8日、たまたまですが長野県のK地点でクロオオアリの新女王アリを1匹採集したのが、再びアリを飼育するきっかけになりました。そして、その翌年の3月に退職したため、2011年からは、アリを飼育する時間が持てるようになりました。

その年に採集した新女王アリが、このB110608-06です。
寿命としては、女王アリの羽化が結婚飛行をする前年の6月の末から7月にかけてだとすれば、B110608-06は14年間以上生きていたことになります。
このB110608-06の死亡を持って、2011年に採集し、2020年8月15日以降も生きていた3つのコロニーの女王アリが全て死んだことになりました。
寿命は次のようになります。

B110608-06  上記14年以上
B110608-07  2023年4月6日死亡確認 12年以上
B110608-11  2024年3月23日死亡確認 13年以上

創巣13年目の無女王コロニーと単独女王は共存可か(3)

上記の題目の(2)では、共存は可能との結果でした。

(引用)(2024年7月2日)
3)1年以上前に女王アリを失っている創巣から13年目のクロオオアリのコロニーと、創巣から2年目のクロオオアリの単独女王アリは、共存できることがある。

単独女王アリBS2305M-02は、2023年に結婚飛行に飛び立った女王アリですから、今年の3月で、結婚飛行からは2歳未満ですが、今日3月25日、死亡を確認しました。少し前に死んだと思われます。数少ない働きアリも全滅していました。働きアリの死因は、恐らく寿命だと考えられます。

単独女王アリだったBS2305M-02 2025年3月25日撮影
雄アリが1匹死んでいた
働きアリ6匹全てが死んでいた

今年は早々に移植を試みる

BH210523-37は、2021年5月23日に蒜山高原で新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーです。コロニーがとても大きくなっています。
これまでも、幾度もクロオオアリを庭に移植してきましたが、3月に移植を試みるのは初めてになります。

移植を行うBH210523-37 コンクリート部の巣室は働きアリで埋め尽くされている
幼虫がクロオオアリの体の隙間から辛うじて見える 3月25日14時42分撮影

ミツバチの巣箱を庭に設置し、その中にコロニーを飼育ケースのまま入れました。

14時44分撮影

上部に被せていた活動室を取り外し、本体のコンクリート人工巣のケースの中に板を入れて、女王アリも人工巣から外へ出やすいようにしました。

14時46分撮影

そしてミツバチの巣箱に蓋をしました。

移植場所の様子

働きアリが、ミツバチの巣箱の巣門から出てくるだろうと、しばらくの間、様子を観察していたのですが、1匹も出て来ませんでした。こんなことは、これまでにはないことでした。

N巣B16015から働きアリが出て来た

3月22日に、今年初めてクロオオアリが地上に出ているのを見ましたが、今日、3月25日、朝方に庭の芝生の上を歩いているクロオオアリを見つけました。

3月25日8時46分撮影

この時に気温は、13℃程度だったようです。早速、蜜を与えました。

8時50分撮影

それから2時間ほどして同じ箇所を見ると、複数匹のクロオオアリが来ていました。

10時42分撮影

しばらくして、クロオオアリの帰路を追ってみると、N巣B16015(2019年6月19日移植 29日引越)の働きアリであることが分かりました。

10時46分撮影
10時46分撮影
N巣B16015のあるところ 10時48分撮影
N巣B16015は、上から2段目のコンクリートブロックの踏段のところにある

N巣は、2016年に新女王アリを採集したコロニーですので、まもなく創巣から9年目を迎えることになります。

桜の花の蜜を吸うクロヤマアリ

先日からサクラ(暖地桜桃)が満開になっています。そのサクラの花の蜜を求めて、メジロがやって来ていました。

3月22日8時27分撮影

クロヤマアリも来ていました。

3月22日15時8分撮影
3月22日15時8分撮影

クロヤマアリは巣作りも忙しそうでした。

3月22日15時10分撮影
3月22日15時10分撮影

クロオオアリが出て来た 2025年春

ここ数年、自宅の庭で、春に、クロオオアリが地上に出てくる最初の日を記録しています。正確には、私が最初に地上で見かけた日ということになります。
2017年は3月26日、2018年は3月25日、2019年は3月20日、2020年は3月18日、2021年は3月6日、2022年は3月13日、2023年は3月11日(ミツバチの巣箱の中)と3月16日(多数活動)、2024年は3月4日(ミツバチの巣箱の屋根の内側)と3月14日(庭の芝地で1匹)でした。
そして、今年は今日、3月22日、ミツバチの巣箱を歩いているクロオオアリを1匹見つけました。この日の最高気温は、今年になって最高となる22.1℃(昨日は18.4℃で今年になっての最高気温)でした。

クロオオアリを見つけた 2025年3月22日14時37分撮影
蜜を与えた 14時39分撮影
ミツバチの巣箱 蜜を与えたのは箇所は屋根の右下

蜜を吸った後の帰路を追ってみたのですが、帰りを迷っているようで、結局こちらが根負けしてしまいました。
ところが、それから3時間ほど経って、巣箱を見ると、クロオオアリが来ていました。先程のクロオオアリは、巣に戻れたことが分かりましたし、恐らく同じ個体のクロオオアリが、再び、蜜を吸いに来たのでしょう。

はじめに見つけたクロオオアリと体格が似ている 17時36分撮影

一時的社会寄生のトゲアリ4+1例の様子(2024年10月16日)

2022年9月に行ったトゲアリの一時的社会寄生5例の試みの内、4例の様子と1例の様子を記録しておきます。(前回の6月28日の4例の様子はこちら、前回の6月18日の1例の様子はこちらを参照)

トゲアリの寄生の試み 1 (BH210523-18にT20220910-53が寄生 )

6月28日にはまだクロオオアリがいたが、トゲアリだけになっている

トゲアリの寄生の試み 3 (BH210523-21にT20220910-65が寄生 )

6月28日には卵が多数あったが、卵は1個のようだ クロオオアリのみ

トゲアリの寄生の試み 4 (BH210523-23にT20220910-44が寄生 )

クロオオアリが散見される
羽化して間もないと思われるトゲアリがいる
幼虫がいる

トゲアリの寄生の試み 5 (BH210523-29にT20220910-67が寄生 )

クロオオアリの死体と思われる
6月28日にも幼生虫としては卵のみがあったが、今回もその時とほぼ同数の卵がある

トゲアリの寄生の試み 2 (BH210523-19にT20220910-54が寄生 )

6月18日と比べると、明らかにコロニーが大きくなっている
幼虫もたくさん見られる
繭もある
タンパク源もまだ摂取しようとしている

T140906-40の様子(2024年10月16日)

T140906-40では、まだ結婚飛行に飛び立つ羽アリがいます。ただ、ほぼ雄アリのみです。

女王アリは一番上の1匹のみ この写真には雄アリが8匹写っている 10月16日10時16分撮影

T140906-40の活動室アンテグラウンドⅡ型の中には、有翅女王アリのみならず、脱翅女王アリもいませんでした。

活動室に出ている雄アリ 9時3分撮影

人工巣の中にも新女王アリはいませんでしたが、雄アリの方は人工巣の中にもいました。

人工巣の中の雄アリ 9時11分撮影

ちなみに、新女王アリの死体を探しましたが、見当たりませんでした。

幼虫が多数います。私にはこのまま越冬幼虫になるのかを判断できるだけの知見がなく、今回は判断を見送ることにします。(以下何れも10月16日撮影)

トゲアリの新女王アリ 生き残っているのはなぜ?

クロオオアリのコロニーBH210523-53の中に、かなり前(記録していない)からトゲアリの脱翅女王アリが入っていました。この女王アリは、T140906-40のコロニーから来たと考えられます。

今のBH210523-53の中の様子 10月15日撮影

その女王アリが今も生きています。クロオオアリの働きアリとの関係を観察すると、クロオオアリから攻撃を受けていないのです。ただ、右の前肢を失っています。

10月15日11時4分撮影
クロオオアリから攻撃されていない 11時5分撮影

このクロオオアリのコロニーには女王アリがいます。

11時5分撮影

トゲアリの女王アリは、普段は大気圧給水器の給水箇所に頭部を入れてじっとしています。

トゲアリの女王アリの普段の様子 10月15日16時10分撮影

このトゲアリの女王アリは、寄生していないにも関わらず、攻撃を受けていないということが不思議なのです。
今年の観察では、8月31日のブログ「クロオオアリのコロニーにトゲアリの新女王アリが入る」と9月17日のブログ「一時的社会寄生の試みを継続 寄生時期と成功率の関係は?」では、何れも寄生できなかった場合にトゲアリの女王アリは、クロオオアリの働きアリに殺されています。
このトゲアリの女王アリは今後どうなるのでしょうか。

創設から3年目のトゲアリのコロニーで雄アリが誕生

8月28日のブログ「脱翅女王アリが別のコロニーの中へ そして本巣の中へ」の中で、「このコロニーは創設3年目で、羽アリはまだ誕生していません。」と書いていますが、どうやらそれは間違っていたようです。その時既に雄アリが誕生していたようです。
その時点では、トゲアリのT140906-40の新女王アリがT210912-02の活動室(アンテグラウンドⅢ型)の中に入って来ていましたので、T210912-02の活動室にいる雄アリもT140906-40からやって来たと思っていました。

僅かだが雄アリがいる 8月31日撮影
9月11日撮影
人工巣の中にも雄アリがいた 9月12日撮影

その後不思議に思うようになってきたのですが、この雄アリたちは、いつ見ても働きアリから攻撃されていませんでした。
それから、1ヶ月強たった10月15日の様子では、雄アリたちは数が増えて、働きアリたちと馴染んでいます。

10月15日撮影
10月15日撮影

どうやら、この雄アリたちは、この巣(T210912-02)で生まれたようです。だとすると、少し驚きなのですが、創設から3年目で雄アリが生まれたことになります。

一時的社会寄生の試みを継続 寄生時期と成功率の関係は?

一時的社会寄生の試みを13日に始めて15日にトゲアリの死亡という結果になったことは、前回のブログで報告しています。
その15日と16日に、同様の方法で、トゲアリの女王アリが同様のクロオオアリのコロニー(2024年5月18日に新女王アリを採集)に寄生するよう試みました。
寄主は、BH240518-11・12・13・14(以上15日寄生開始)、15・16・17・18・20・21(以上16日寄生開始)の9コロニーです。

化粧行為が見られた 寄主はBH240518-13 9月15日14時21分撮影
背面からクロオオアリの首を咬もうとしている 寄主はBH240518-15  9月16日10時44分撮影
腹面からクロオオアリの女王アリの頸に咬みついていた 寄主はBH240518-16 9月16日11時25分撮影
背面からクロオオアリの首を咬もうとしている 寄主はBH240518-18 9月16日17時3分撮影

上に挙げた4枚の写真の様子は、寄生成功への一歩となる行為ですが、実は9例を通して極く希な事例です。ほとんどの場合、化粧行為はなく、またクロオオアリの女王アリを襲おうとはしていませんでした。
トゲアリの女王アリ9匹は、9月17日までに全て殺されてしまいました。

今年は、9月13日から10例で寄生を試みたのですが、何れも寄生に失敗したことになります。寄生成功率が0%と言う結果ですが、なぜそのようになったのか、明言はできないのですが、寄生を開始させる時期によるのではないかと考えています。
自然界では、結婚飛行の直後から寄生行動が始まっていると思われるのですが、今回の一連の寄生の試みを始めたのは、5日後から8日後でした。
そこで、寄生を開始させる時期が、寄生の成功率と関係があるのかどうかを過去の事例を参照して考察してみます。

2018年の場合は、トゲアリの女王アリを9月19日に採集し、3日後の22日に寄生を試みています。サンプルは1例で、寄生に成功しています。
2021年の場合は、トゲアリの女王アリを9月12日に採集し、4日後の16日に寄生を試みています。サンプルは2例で、1例が寄生に成功しています。
2022年の場合は、トゲアリの女王アリを9月10日に採集し、2日後3日後の12日・13日に寄生を試みています。サンプルは5例で、5例共に寄生に成功しています。

ちなみに以上挙げたこれらは、何れもトゲアリの女王アリを直接クロオオアリのコロニーに入れるという方法をとっており、今年の場合と寄生の方法は同じです。
これらのデータを見る限りでは、上記の寄生方法ではと言う条件付きですが、結婚飛行後より早い時点で寄生を試みる方が、寄生の成功率は高いと言えそうです。

一時的社会寄生の試みを開始 T240908-01

先日の9月8日に採集したトゲアリの新女王アリをクロオオアリのコロニーに寄生させることにしました。寄主のコロニーは、今年の5月18日に採集した新女王アリのコロニーBH240518-11です。

寄主になるBH240518-11

寄生させるトゲアリの女王アリをT240908-01と名付けます。

T240908-01はクリアカップに入れている

寄生の方法としては、クリアカップの蓋を外して逆さにし、BH240518-11のクリアケースの蓋の穴のシリコン栓を外して被せます。

寄生開始 9月13日9時43分撮影

間もなく、クロオオアリの働きアリが蓋の穴からクリアカップの中に入って行きましたが、両者の接触はなく、したがって化粧行為はありませんでした。そして化粧行為がないままに、トゲアリの女王アリはクリアケースの中に入って行きました。

クリアカップの中に入って行く2匹目のクロオオアリの働きアリ 9時45分4秒撮影
トゲアリの女王アリがクリアケースの中に入る穴を見つけたところ 9時45分38秒撮影

トゲアリの女王アリは何度もクロオオアリの女王アリと接触しました。多くの場合、クロオオアリの女王アリから攻撃されていて、逃げ回っているように見えました。クロオオアリの働きアリからも攻撃されていましたが、拘束される場面は極く僅かでした。その間も、トゲアリの女王アリは化粧行為をしようとはしませんでした。

9時47分16秒撮影
9時47分24秒撮影
9時47分33秒撮影
9時52分16秒撮影

ところが、唐突に思えたのですが、トゲアリの女王アリがクロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付きました。この体勢は、寄生成功への第一歩です。

9時54分撮影

しばらくすると、働きアリが女王アリの周りに集まり、クロオオアリの女王アリの躯体を舐めていました。

10時6分撮影

ところが20時頃見に行くと、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリから離れていて、働きアリに取り囲まれて攻撃されていました。

20時0分撮影

それから2日後の9月15日、トゲアリの女王アリは死んでいました。

トゲアリの女王アリを採集(2024年)

トゲアリの新女王アリを例年同じ場所で採集しています。今年は9月7日に現地へ行き、8日の朝に採集地点に行きました。
車から降りるとすぐ、車の横でトゲアリの脱翅女王アリを見つけました。

2024年9月8日7時30分撮影

D巣があるところまで車道を上がって行くと、まだ羽アリが巣口の周りに出ていました。

羽アリが4匹写っている 7時41分撮影

2021年来観察していることですが、今年も巣口の周りで、複数の脱翅女王アリが働きアリに拘束(攻撃)されていました。

7時41分撮影
7時42分撮影
7時44分撮影
7時44分撮影
中には翅がついたままの新女王アリも攻撃されていた 7時53分撮影

これらの拘束されている女王アリは、これまでの観察から、この樹の上方から下って来たと考えられます。今年は1匹のみの観察とはなりましたが、脱翅女王アリが、樹上から早足で下って来るところを見ました。
ところで今年は、新たにトゲアリの巣を一箇所見つけました。それはD巣がある場所から更に車道を上がって行ったところにありました。

トゲアリの巣があった樹(中央)
樹の下方中央辺り
線状にへこんだ箇所に巣があるようだ 9時23分撮影

この巣をE巣と名付けることにします。
今年は、7時半頃から10時半頃までの3時間で、トゲアリの新女王アリを53匹採集しました(内1匹は採集直後に死亡)。

この写真撮影の後で2匹を採集した 10時33分撮影

ところで採集箇所ですが、それぞれの採集箇所で何匹採集したかの記録は付けてはいないものの、今年は下の写真の箇所で最も多く採集できたように思います。

この場所の近くでトゲアリの巣は見つかっていない

採集箇所については、2013年からこの同じ採集場所で採集しているのですが、採集できた箇所・多く採集できた箇所は、10年を越える期間を経て変わってきています。

この場所で大量に採集できたことがある 今年は採集できず
この場所でも女王アリを多数採集したことがあった
この場所で採集できたことがあったが、昨今では採集できていない
今までほぼ採集できていなかったが、今年は数匹採集できた

ちなみに、今年の気象は次のようでした。
  日 (最低気温 / 最高気温) 昼(06:00-18:00) 夜(18:00-翌日06:00)の天気概況
 9月7日  (23.1 / 32.7)       晴         晴
 9月8日  (24.4 / 33.8)       晴         晴

ところで、脱翅の瞬間を見ることができました。

脱翅直前 9時42分31秒
脱翅直後 9時42分33秒

単独女王アリと女王アリがいないコロニーの合併(1年目の同世代のクロオオアリ)

これまでも、オオアリの同種間共存については、いくつかの事例を見てきました。その中で、ムネアカオオアリの事例で、単独女王アリと女王アリがいないコロニーの合併があります。この事例では、共存が成立していて、次のように結論づけています。

「既に女王アリを失っている創巣から2年目のムネアカオオアリのコロニーの働きアリと、創巣から4年目のムネアカオオアリの単独女王アリは、共存できることがある。」

今回は「単独女王アリと女王アリがいないコロニーの合併」という点では同じですが、クロオオアリ同士で、「既に女王アリを失っている創巣から1年目のコロニーの働きアリと、同世代の単独女王アリ」という点が異なる共存を試みることにしました。

BH240518-31:7月28日に女王アリの死亡を確認
 今年5月18日に蒜山高原で新女王アリを採集したクロオオアリのコロニー
BH240518-53:単独女王アリ
 今年5月18日に蒜山高原で採集したクロオオアリ新女王アリ、成虫はいないが子育てはできるようだ

左がBH240518-31のコロニー、右が単独女王アリBH240518-53
BH240518-31のコロニーの様子 9月1日16時52分撮影
BH240518-53の様子 幼生虫がいる 9月1日16時53分撮影

9月1日の17時前に合併を開始しました。合併の方法としては、単独女王アリの方をカット綿ごと(女王アリと幼生虫を乗せて)BH240518-31のコロニーの中に入れます。

合併の直後の様子 16時55分59秒撮影
16時58分01秒撮影

戦いが起こりましたが、間もなくすると、女王アリと働きアリ間で栄養交換が見られました。

16時58分45秒撮影
17時01分27秒撮影
攻撃姿勢を取りながら栄養交換をする働きアリ 女王アリに咬みつこうとしている働きアリもいる 17時03分07秒撮影
攻撃を受けながらも栄養交換をする女王アリ 17時07分13秒撮影
攻撃される女王アリ 17時07分52秒撮影
17時08分16秒撮影
17時09分04秒撮影

これまで、攻撃をしかけるのは主に働きアリの方でしたが、女王アリが働きアリを殺す場面がありました。

この直前に女王アリが働きアリ(右下方 頭部が落とされている)を殺した 17時13分37秒撮影
女王アリが幼虫を咥える場面もあった 女王アリが育てていた幼生虫は既に働きアリに受け入れられていた 17時20分16秒撮影
17時20分26秒撮影
まだ羽化して間もない働きアリとも栄養交換をしていた 17時24分20秒撮影

合併が始まってからほぼ30分程度で、両者は落ち着いてきたようです。
それから3日後の9月4日、合併が成功して共存が始まっているようでした。新たに働きアリが殺されることも無かったようです。

9月4日19時12分撮影
ゴミ置き場の様子 9月4日19時15分撮影

この実験結果を見る限りでは、次のように言えそうです。

「既に女王アリを失っている創巣から1年目のクロオオアリのコロニーの働きアリと、同世代のクロオオアリの単独女王アリは、創巣から3ヶ月超の時点で、共存できることがある。」

 

「脱翅女王アリが別のコロニーの中へ そして本巣の中へ」その後

8月28日のブログ「脱翅女王アリが別のコロニーの中へ そして本巣の中へ」のその後ですが、トゲアリの女王アリが3匹死んでいました。この3匹が、28日に観察した3匹なのかはわかりません。

このトゲアリの女王アリは頭部が落とされている 8月31日19時6分撮影
死んだトゲアリの女王アリを運ぶ働きアリ 8月31日19時16分撮影
死んでいた女王アリを取り出した 8月31日19時19分撮影

クロオオアリのコロニーにトゲアリの新女王アリが入る

クロオオアリのコロニーBK170530-081は、アンテグラウンドⅢ型の活動室を使っていますが、この活動室は開放蓋にしています。
8月24日、この活動室の中で、トゲアリの脱翅女王アリを見かけました。8月21日から飛翔を観察しているT140906-40から飛んできた女王アリと思われます。

8月24日14時26分撮影

そのままにしておきました。
8月31日に見ると、トゲアリの女王アリの死体が、このコロニーのゴミ置き場で2体見つかりました。

8月31日10時57分撮影
10時58分撮影

念のために、このクロオオアリのコロニーの女王アリの様子を確かめました。普段と変わらない様子でした。

BK170530-081の女王アリ 11時1分撮影

脱翅女王アリが別のコロニーの中へ そして本巣の中へ

8月24日、トゲアリのT210912-02の活動室(アンテグラウンドⅢ型)で、トゲアリの脱翅女王アリを3匹見つけました。このコロニーは創設3年目で、羽アリはまだ誕生していません。ですから、この3匹は、8月21日から飛翔を観察しているT140906-40の女王アリです。

1匹目 クロオオアリを捕らえて化粧行為をしているように見えた 8月24日11時28分撮影
2匹目 働きアリから拘束されていなかった 11時33分撮影
3匹目 働きアリが女王アリを捕らえようとしていた 11時34分撮影

これらのトゲアリの脱翅女王アリは、T210912-02の活動室は開放蓋になっているので、活動室の中にたまたま飛び込んだのだと思います。だとすると、活動室に入った時には、有翅のままだったことになります。そこで、活動室の中で脱翅したことになりますが、活動室の中はかなり生活ごみが散乱しているためなのかも知れませんが、落とした翅は見つかりませんでした。しかも、3匹が3匹共に翅を落としていたのですから、交尾を了えていたのかも含めて、本当はどのような経緯だったのか疑問が残ります。

8月28日、トゲアリの働きアリが、活動室内でトゲアリの脱翅女王アリを咥えて運んでいました。

8月28日19時37分撮影

活動室の中には24日の時点で、脱翅女王アリが3匹いたわけですが、このトゲアリの働きアリに運ばれていた女王アリを含めて、2匹しか見当たりませんでした。脱翅女王アリの死体も見当たりませんでした。

もう1匹のトゲアリの脱翅女王アリ 19時39分撮影

その運ばれていた女王アリは、やがて放たれて活動室の中を歩いていましたが、しばらくして本巣へと通じるアクリルパイプの中に入って行きました。そして、その先のシリコンホースの中を本巣へと進んで行きましたが、様子を見ているとトゲアリの働きアリが進路を防ごうとしているかに見える場面もありました。ですが、間もなく脱翅女王アリは本巣の中に入って行きました。本巣の中は、トゲアリの働きアリで充満していましたので、その後の動きは観察できませんでした。

アクリルパイプへと入って行く 19時46分撮影
シリコンホースの中を本巣へと進む脱翅女王アリ 19時47分撮影

トゲアリのごみ投下術の謎

8月20日、トゲアリのコロニーT140906-40の活動室に簡易的な飛翔台を設置して以来、開放蓋の上などにトゲアリの生活ごみが載るようになりました。

飛翔台の高さは83cm 8月20日撮影
ごみは撮影後除去した 8月21日6時43分撮影
ごみは撮影後除去した 8月24日8時24分撮影
8月27日15時4分撮影
8月27日15時5分撮影
生活ごみを咥えて飛翔台に上るトゲアリ 8月27日15時17分撮影

これはとても不思議なことです。生活ごみを飛翔台に上って落とすだけなら、真下に落ちるでしょうから、開放蓋には載らないはずです。
トゲアリが、どんなふうに生活ごみを落としたのかを知りたいのですが、まだ観察ができてはいません。

結婚飛行に際しての羽アリの様子を時系列で見る

8月22日2時47分撮影
8月21日3時59分撮影
8月25日4時27分撮影
8月21日5時10分撮影
8月21日6時46分撮影
8月24日8時25分撮影
8月22日2時47分撮影
8月22日4時3分撮影
8月21日21時6分撮影
8月22日2時47分撮影
8月22日4時3分撮影
8月21日21時6分撮影

岡山市の日の出時刻は、8月21日が5時29分、8月25日が5時33分です。
夜の21時頃は、結婚飛行の兆しは見られませんでしたので、トゲアリは夕刻日が暮れて結婚飛行をするのではないことが分かります。
深夜は観察していませんが、3時頃には羽アリたちは既に結婚飛行に向けて動き始めているようです。日の出の1時間半前頃(4時頃)になると、結婚飛行に向けての動きが活発になっています。そして、日の出時刻の1時間半後(7時頃)には、結婚飛行に向けての動きがほぼ見られなくなっています。

今から10年前の2014年に、「トゲアリの結婚飛行に出会いたくて」という題のブログを7回に渡って書いています。その中の第(3)稿では、23時台に羽アリが巣から出てきているところを観察しています。

2014年9月10日23時22分撮影

また、第(4)稿では、1箇所のコロニーで20時台で羽アリを観察しています。

2014年9月12日20時11分撮影

第(5)稿では、4時からの観察で、4時台に多数の羽アリを観察していて、7後頃まで羽アリが巣からで出ています。そして、7時を過ぎると羽アリが少なくなり、8時を過ぎると羽アリが見られなくなっています。

2014年9月13日4時0分撮影

10年の時を経て、トゲアリの結婚飛行に際して、飼育下での羽アリの様子と自然界での羽アリの様子を見比べることができたことは、とても有意義なことのように思います。