昨年の9月16日に寄生を始めたT210912-02がいる人工巣リトルアンテシェルフをアンテグラウンドⅢに繋げたことについては、先のブログに書きましたが、その後について記録しておきます。




4月10日に、庭に移植していたトゲアリの2つのコロニー同士が戦っていたことについてブログに書いた際、2つのコロニーを繋いでいた散水ホースを、容易には接触できないように東側に移動したことを付記しましたが、その翌日の午後になると、トゲアリがそのホースを伝って歩かなくなっていたので、ホースを設置し直しました。
今日(4月12日)、クリの木の切り株の根元を見ると、トゲアリがいました。散水ホースを伝って切り株まで来たようです。そして、巣作りをしているようです。
夕刻になってT130921-09を見に行くと、巣箱の側面に幼虫を咥えている働きアリがいました。更に、幼虫を咥えてホースを西方に向かって早足で歩いていく働きアリがいました。
その後方には何かを運んでいる働きアリがいました。女王アリを運んでいるようです。
ちなみに昨年、T140906-03の引越の際にも、働きアリが女王アリを運ぶ場面がありました。
西方のクリの切り株の方を見ると、既に角材杭とクリの切り株を結ぶ通路が出来上がっていました。その切り株へと通じる通路を伝って、女王アリが運ばれていきました。
巣箱の中を見ると、もうほとんど引越済のようでした。
クリの木の切り株を見ると、女王アリを咥えた働きアリがまだ歩いていました。切り株に到着して5分ほどは経っているのですが、運び込む場所を迷っているようです。
その後、女王アリを何処に運び込んだのかは観察していませんが、巣作りを観察した右側の窪みではなく、上方へと幼虫を運ぶ働きアリもいましたので、女王アリが上方へ運ばれた可能性もあります。
女王アリが引越をし、先程巣箱の中もほとんど引越済のように見えましたが、まだ引越が続いていました。
7時ごろ見に行くと、この時刻になっても幼虫を運んでいました。
まだ、巣箱に残っている群れがあるのでしょうか。巣箱の窓越しに中の様子を見ると、巣ケースの下にまだトゲアリの塊がありました。しばらくの間は引越が続きそうでした。
今年庭に移植したT130921-09のトゲアリが、巣箱を取り付けている支柱の麓の散水ホースに集まっていました。
そのホースを西に辿っていくと、丸棒杭に近づいた辺りにもトゲアリがいて、丸棒杭にもトゲアリが多数いました。
その丸棒杭の上方へと仲間を運んで行くトゲアリもいました。
その先の丸棒杭の上部には、多数のトゲアリがいました。
更に、丸棒杭の上部が支えているイチジクの主枝を伝って、西へと仲間を運んでいくトゲアリがいました。
その西方面には、昨年移植したT140906-03のトゲアリの巣があります。これはいったいどういうことなのでしょうか。
他方、あちこちで戦いが起こっているのです。
かと思うと、西方向(T140906-03)へ幼虫が運ばれていたり、T130921-09の巣の中へ仲間が運ばれていたり、T140906-03の巣の中に仲間が運ばれていたりしています。
戦いは激化しているようです。
そもそもどちらから相手へ攻め込んでいったのでしょうか。丸棒杭の上方にいるトゲアリは、どちらのコロニーのトゲアリが多数なのでしょうか。分からないのです。
このまま両者を戦い続けさせるわけには行かないので、ミツバチ用の燻煙器で煙を噴きかけました。たちまち咬み付きが放たれました。
この後も幾度も薫煙器で煙を噴きかけ、戦いの沈静化を図りました。丸棒杭の麓のホースに集まるトゲアリが随分と少なくなった頃、丸棒杭の上方から下りてきて、ホースへと向かうトゲアリを1匹ずつ捕獲し、T130921-09の巣箱の巣口近くで放つと、ほとんどの場合、すんなりと巣穴の中に入っていきました。
この時初めて、丸棒杭の上方に残っていたトゲアリは、T130921-09のトゲアリであったことが分かりました。このことから、T130921-09のトゲアリは西へと攻め込んでいったことになります。
しかし、T130921-09の巣箱の側面でも戦いがあったのですから、T140906-03も東へと攻め込んでいたことになります。
2つのトゲアリのコロニーが、容易には接触できないように、散水ホースを東側に移動しておきました。
3月12日のブログでは、飼育しているトゲアリがバッタを解体したことを書きましたが、移植した庭のトゲアリ(T140906-03)にハエトリグモ(動物性の餌)を与えたところ、この場合も餌として摂取したようです。
この時期に、トゲアリが動物性の餌を食べることについては、既に2020年3月20日のブログで触れています。
この度、その追試となりますが、昨年から保管していたバッタ類を与えてみました。
2020年より1週間ほど早い時期でしたが、バッタ類を解体し始めました。
今年移植したトゲアリT130921-09の働きアリが、3月10日、たくさん巣箱から出て来ていました。
支柱を見るとそこにもトゲアリがいました。
そして、クリの切り株にもトゲアリがいたのですが、中型のアリ(クロクサアリと思われる)と戦っていました。
トゲアリは、肢や触角に咬みつくこの中型のアリを殺せるようですが、殺しても咬みつかれたままになってしまい、劣勢になるようです。
それから2日後の3月12日、クリの切り株の麓辺りにトゲアリの死体が幾匹かありました。そこで、巣箱を取り付ける支柱をもう1本用意し、クリの切り株の麓から離して打ち込み、巣箱を付け替えました。
支柱を3方からロープで固定し、トゲアリがクリの木にも直接行けるよう、支柱とクリの木をロープで結びました。
2月27日、昨年移植したトゲアリのコロニーT140906-03の働きアリが巣から出て来ていました。見かけたのは1匹でした。
この時刻(14時)の天候は晴で、気温は13℃でした。
今日28日も春らしい天気になっていました。今年の2月15日に庭に移植したトゲアリのコロニーT130921-09の様子を見に行くと、巣箱から働きアリが出て来ていました。
この時刻(14時前)の天候は晴で、気温は14℃弱でした。
BK170530-081は、2017年5月30日に駒ケ根市で新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーです。今年で創巣から5年目を迎えることになります。かなり大きなコロニーになってきていました。
そこで、アンテグラウンドⅢと繋げることにしました。
アンテグラウンドの中に15cm四方のキューブ水槽を入れ、濾過器を設置しました。また、アンテグラウンド内を換気するため、USB仕様の送風ファンも取り付けました。
昨年、クロオオアリのコロニーBK170530-040に寄生したトゲアリT210912-02の初期コロニーも、別に用意したアンテグラウンドⅢに繋げました。
こちらも、水槽・濾過器・USBファンを設置しました。
昨年は2月5日に飼育中のトゲアリのコロニーを庭に移植しました。移植が成功したようですので、今年も飼育しているトゲアリのコロニー(T130921-09)を移植することにしました。このコロニーは、女王アリを2013年9月21日に採集し、同年10月3日にクロオオアリのコロニーNESTCON01030(新女王アリを2011年6月8日採集)に寄生させたコロニーです。
昨年は、自然木(クリの木)に空洞を掘り移植しましたが、今年は、移植用に巣箱を作成しました。
移植場所としては、昨年トゲアリを移植したクリの木の隣り、のクリの木の横にしました。この場所は、冬は日光が届き、夏はクリの葉で日光が遮られます。
移植用の巣箱の中に巣ケースをそのまま入れ、巣箱の中で巣ケースが動かないように、巣ケースの底面を両面テープで固定しました。早朝、巣ケースから出ていた数匹の働きアリも巣箱に入れました。
巣箱を支柱に取付け、支柱をロープで固定しました。
ロープは固定するためですが、トゲアリが巣箱からクリの木や地面へと移動する際の通路にもなります。
巣箱の外へと通じる2箇所の穴は、しばらくはシリコン栓で塞いだままにしておきます。
庭に移植したトゲアリがいつしか姿を現さなくなりました。
12月11日、9時半頃にはやはりトゲアリの姿はありませんでしたが、11時前に見に行くと1匹のトゲアリが、巣があるクリの切り株の直ぐ上方のドーフィン(イチジク)の主枝を歩いていました。
その直ぐ後で、クリの切り株の上に置いているコンクリートブロックにもトゲアリがいることが分かりました。そこで、このトゲアリの近い場所に蜜器を置き、蜜を入れました。
そのトゲアリは、意外にも蜜にあまり関心がないように見えました。10数分後に見に行くと、蜜器のそばにはいましたが、蜜を飲んでいないように見えました。仲間も来ていませんでした。
午後に見に行くと、10匹近くのトゲアリが蜜器に来ていました。蜜はほぼ飲み尽されていました。
食い付きは悪くても、蜜を飲むことが分かりました。そこで、蜜をつぎ足しました。
蜜を飲んで戻っていくトゲアリを見ると、巣口が2個所に分かれていることが分かりました。
この2つの入り口は、中で繋がっているのかどうかは分かりません。
ところで、このトゲアリのコロニーが以前引越先に選んだ切り株の地際(4度目の引越先・6度目の引越先)の様子はどうなっているでしょうか。
しばらく観察しましたが、トゲアリは出入りしていませんでした。
12月も中旬に入っていますが、まだ天候次第ではトゲアリは巣から出てくることが分かりました。巣の直ぐ近く以外にも、移植当初のクリの木にトゲアリが2匹来ていました。その内1匹には蜜を近くで与えましたが、このトゲアリも蜜にはあまり関心を示しませんでした。
この時期の(飼育下ではない)トゲアリは、昆虫などのタンパク源を摂ろうとしているのでしょうか。試してみることにしました。
11月2日、庭に移植しているトゲアリの巣の極く近くにバッタと大根の葉に付いていた幼虫を置きました。しばらくして見に行くと、たくさんのトゲアリがバッタと幼虫に群がっていました。
タンパク源に関心があるようです。
そして、今日見に行くと、バッタは分解が進んでいて、幼虫は見当たりませんでした。幼虫は、巣の中に運び込まれたのでしょう。
昆虫の餌を与えようと、庭のトゲアリを見に行くと、クリの切り株の上に目新しい木くずがたくさんありました。
一昨日、6度目の引越を確認したばかりでしたが、この切り株の地際の6度目の引越先はどうなっているのでしょうか。見ると、地際にもトゲアリがいました。
これは、新たな引越先として切り株を掘っているのではなく、まだ明言はできませんが、地際と切り株の上面を繋げて、巣を拡張しているのでしょう。
9月16日に始めたトゲアリの女王アリの寄生の試みのその後について、まとめておきます。
1例目のトゲアリの女王アリS/N:T210912-01は、19日の夜、死んでいるのに気づきました。2例目のS/N:T210912-02が、この間ずっと宿主の女王アリと組み合っていましたので、T210912-01は、クロオオアリの女王アリと戦うことなく、働きアリに殺されたことになります。
2例目のT210912-02は、22日まではずっとクロオオアリの女王アリの頸部に咬みついていました。
9月23日になると、クロオオアリの女王アリから離れて、歩くようになりました。クロオオアリの働きアリから攻撃されてはいませんでした。
ただ、死んだように思えたクロオオアリの女王アリが、体を一瞬丸めたことがあり、まだ生きていました。
9月24日になると、クロオオアリの女王アリが動くところを見なくなりました。死んだのかも知れませんが、確認はできていません。トゲアリの女王アリが、クロオオアリの女王アリの頸部に咬みつくところも見ましたが、クロオオアリの女王アリから離れて歩くところも見ました。多くの時間は、クロオオアリの女王アリの極く近くにいます。
まだ確言はできないのですが、T210912-02は、寄生の極く初期の段階は達成したようです。
それにしても、トゲアリの女王アリが、ほぼ1週間もの間、咬み続けることができる能力には驚かされます。
9月8日に、庭のトゲアリが5度目の引越をしていたことを書きましたが、9月24日、また引越をしていました。これで、8月22日に気付いた初回の引越から6度目の引越になります。
少し前に、トゲアリの巣があるコンクリートブロックの直ぐ横のクリの切り株の上に、蜜を入れた蜜器を置いていたのですが、そこにトゲアリが来ていました。
蜜を吸って帰って行くところを見ると、巣があるコンクリートブロックの中に入って行くようです。
ところが、他にも帰路があることが分かりました。切り株の向こう側へ歩いて行くトゲアリがいました。そちらには4度目の引越先があります。クリの切り株の反対側にまわって見ると、案の定、4度目の引越先の切り株の地際から出入りするトゲアリが幾匹もいました。
巣が2箇所に分かれているのでしょうか。
しばらく観察していて分かったのですが、蜜器へは2筋の道ができていて、その1つがコンクリートブロックの下を通る経路のようです。
ですから、5度目の引越でコンクリートブロックの中へ引っ越してきていたのですが、4度目の引越先であったクリの切り株の地際へ再び引っ越したことになります。6度目の引越でした。
最後にトゲアリの寄生を試みたのは、3年前の2018年9月22日でした。この時は、たった1例だけの寄生の試みでしたが、幸運にも寄生に成功しています。このトゲアリのコロニーは、今も生存しています。
9月16日、先日(9月12日)採集したトゲアリの新女王アリを使って、久しぶりに寄生を試みることにしました。宿主としてクロオオアリのコロニーのBK170530-040を使うことにしました。
寄生体としてS/N:T210912-01を使うことにしました。新女王アリをクリアカップ容器で仮保管していますので、その中にBK170530-040の働きアリを1匹入れてみました。
直ぐに女王アリの方からクロオオアリを捕捉し、化粧行動を始めました。やがて女王アリがクロオオアリを放ちました。クロオオアリは無傷のようです。BK170530-040の働きアリを更に1匹ずつ加え、3匹にしましたが、女王アリは化粧行為をしませんでした。女王アリは早足にクリーンカップの円周を歩いています。もう寄生する準備ができたのでしょうか。
いよいよ寄生を始めることにしました。フィルムケースに女王アリを移し入れ、BK170530-040の飼育器のアクセス穴の栓を外して、フィルムケースを被せました。間もなく飼育器の中に入って行きました。
この時の様子をビデオ撮りしています。15時11分からの3画面を4分30秒にまとめています。
ビデオの3画面目は、寄生開始からおよそ1時間後ですが、トゲアリの女王アリがかなり弱っているように見えます。翌日には死んでいるのではないかと思っていましたが、9月17日、朝見るとそうでもないようです。クロオオアリたちに拘束されていない時があり、その時は、普通に歩いて移動していました。また、前日は上の段から2段目で拘束されていましたが、今日は上から4段目(下からは3段目)に移動していました。
ところで、もう1例、9月16日に寄生を試みていました。寄生体はS/N:T210912-02、宿主は同じくBK170530-040です。
クリアカップの中に既に入れていた3匹のクロオオアリの働きアリの中に、T210912-02を入れました。ところが意外にも、このT210912-02はクロオオアリには関心がないようです。しばらく見守りましたが、化粧行為をしようとしません。盛んにクリアカップの円周を早足で歩いています。
そこで、化粧行為をしていないまま、BK170530-040へ侵入させることにしました。今度の侵入口は、クロオオアリの女王アリがいる最下段横の拡張穴にしました。
この時の侵入の様子もビデオ撮りしています。16時22分に侵入しましたが、その直後の様子です。
ビデオのように、T210912-02は迷う様子もなく、一直線にクロオオアリの女王アリに向かって行きました。そして、喰い付いたようでした。
19時過ぎに様子を見ると、クロオオアリの女王アリは頭部を上方に上げたままになっています。
この姿勢は、クロオオアリの女王アリが腹面から頸部を咬まれていることを意味しています。以前からの観察で、この姿勢が寄生の成功率が最も高い姿勢です。トゲアリの女王アリが既に王手をかけたことになります。このままの姿勢を組み続けることができれば、寄生は成功です。
ちなみに、クロオオアリの女王アリの背面に2本の肢の跗節がくっきりと写っていますが、この肢はトゲアリの女王アリの肢です。トゲアリの女王アリが、クロオオアリの女王アリをその腹面からしっかりと抱きついていることが分かります。
22時過ぎになって、予期通りの写真(トゲアリの女王アリが、クロオオアリの女王アリの腹面から頸部に咬みついているところ)を撮ることができました。
また、今日(9月17日)もトゲアリの女王アリがクロオオアリの女王アリの頸部を腹面から咥えているところを見ることができました。
さて、2例目のトゲアリの女王アリの他、1例目のトゲアリの女王アリも、現時点では生きているのですが、このようなことは、自然界でも起きているはずです。ですから、一時的になるかも知れませんが、複数のトゲアリの女王アリ(関連ブログ)が、BK170530-040に寄生しつつあることを良しとしたいと思います。2匹をこのままにして観察を続けます。
9月13日にもトゲアリの結婚飛行があったようです。
B巣の周りと、A巣の周りで雄アリを複数匹見つけています。
右の翅が僅かに残っている女王アリと、右の翅が残っている女王アリもいました。
9月30日は、8時30分ごろから10時40分ごろまで(2時間10分)採集を行い、24匹の新女王アリを採集しました。その内1匹は、直前の写真に写っている女王アリです。
1日目・2日目共に2時間強の時間、採集しました。その間に20匹と24匹の女王アリを見つけたのですが、この数は以前と比べても決して少なくはありません。いずれの日も結婚飛行があった日だったからでしょう。
この間の気象は次のようです。(初めて最低気温が20℃を割ったのは7日です)
日 (採集匹数) (最低気温 / 最高気温) 昼(06:00-18:00)の天気概況
9月7日 (19.7 / 29.1) 曇
9月8日 (20.7 / 24.6) 曇時々雨
9月9日 (20.3 / 28.9) 雨時々曇後晴
9月10日 (18.4 / 29.0) 晴後一時曇
9月11日 (22.0 / 28.0) 雨一時晴後曇
9月12日(20匹) (21.7 / 26.1) 曇
9月13日(24匹) (19.9 / 27.7) 曇
8月29日のブログ「トゲアリの女王アリ採集と気象条件」で、
採集期間は 9月8日から20日
最低 / 最高気温は 19.9℃以下 / 29.5℃以下
天気概況は 曇か晴
の時であれば、必ずトゲアリの女王アリが採集できると予測しましたが、確かに9月13日はその条件に該当していました。この日の他にも、9月10日が条件に該当していますので、結婚飛行があったのかも知れません。また、9月7日は、採集期間の予測の8日より1日早いとは言え、気象条件が該当していますので、この日も結婚飛行があったのかも知れません。
9月12日は、諸条件の内、最低気温が高めでしたが、実際には結婚飛行がありました。上記の採集条件は、そもそも確実性の範囲を表したものです。
これまでの観察から、トゲアリの結婚飛行は2週間(2013年 2014年)から1ヶ月程度(2015年)の期間に分散的に行われることが分かっています。今年は、継続観察はできませんが、9月13日以降にメインの結婚飛行が行われるかもしれません。
2018年を最後にトゲアリの新女王アリを採集していませんでしたが、この度3年ぶりに、かつてと同じ場所で採集を試みました。
9月12日、先ず目にしたのは、B巣がある樹の周りを歩いているトゲアリの働きアリです。それらの中で、何かを捕らえているトゲアリがいました。よく見ると2匹のトゲアリがトゲアリの雄アリに咬みついていました。
この日、結婚飛行があったことが窺えます。この後、10時頃にも、死んだ雄アリを運ぶ働きアリを見ました。
2012年にトゲアリの巣をこの場所で発見以来、2018年まで、B巣の他にA巣とC巣という3箇所でトゲアリの巣を観察してきましたが、今も同じ3箇所にトゲアリがいるのでしょうか。調べてみると、ある意味で驚きだったのですが、今も3箇所共にトゲアリの巣がありました。
以前そうしていたように、近辺の地面を見ながら歩いていると、複数箇所で女王アリが地面を歩いているのを見つけました。
ところで、まだ翅のある女王アリが樹の幹を歩いているところも見ました。
雄アリと有翅女王アリが巣から出ていて、脱翅女王アリが多数採集できたのですから、この日の早朝、トゲアリの結婚飛行があったのは確実です。
C巣については、巣の確認は出来たものの、C巣の極く近辺では女王アリが採集できませんでしたので、A巣とB巣、それに可能性としては、道沿いにはないまだ未発見の巣から結婚飛行があったのでしょう。2013年、または2014年には既にこの場所で新女王アリを採集していますので、A巣とB巣については、ほぼ確実に言えると思うのですが、A巣については9年間、B巣については8年間、羽アリを出し続けてきたと推測されます。また、コロニー自体の寿命は更に長いことになります。
ところで、3年越しにこの地を訪れましたので、新たにトゲアリの巣が発見できるかもしれないと思い、林道をA巣よりも上方へと歩いて行くと巣を見つけました。この巣をD巣と名付けます。
この樹の幹には翅を落とした女王アリが何匹かいました。
ところが、このD巣の場合、幹にいる脱翅女王アリが何箇所かでトゲアリの働きアリに取り囲まれて攻撃されていました。
その様子をビデオに収めています。ビデオには4場面を収めていますが、その内最後の4例目の女王アリは、化粧行為を行っています。
複数の新女王アリがなぜ巣のある樹の幹にいたのでしょうか。考えられることは、この巣の有翅女王アリが結婚飛行をしにこの樹に上り、飛び立たず、または樹上で交尾を終えて脱翅し、この樹を歩いて下ってきた、ということです。地上に降り立つ前に、直前まで家族であった働きアリに捕まったのでしょう。けれども、ビデオの中の4例目を見ると、その個体が化粧行為をしているのが気になります(1例目も僅かにそのようにも見えます)。この女王アリは、自分が生まれたコロニーに戻ろうとしたのでしょうか、そして何のために?「直短的社会寄生」の試みをした時、トゲアリの女王アリが、同じようにトゲアリの働きアリを捕らえて化粧行為をしたことを思い起こしました。
9月12日は、9時10分ごろから11時50分ごろまで(2時間40分)採集を行い、20匹の新女王アリと1匹の雄アリを採集しました。
8月28日に4度目の引越をした庭のトゲアリですが、今日見ると引越先のクリの切り株の地際には、トゲアリが1匹もいませんでした。その上方のドーフィン(イチジク)の幹にはトゲアリがいましたが、またどこかへ引越したのでしょうか。
巣の場所を探すために、ドーフィンの隣りのクリの木にいたトゲアリに蜜を与えました。
その後を追うと、ドーフィンの太い主枝を支えているレンガとコンクリートブロックの隙間に入って行きました。また、その隙間から出てくるトゲアリもいました。
巣はコンクリートブロックの穴の中にあるようです。引越元は上の写真の切り株の向こう側の地際ですから、距離としては近いところです。
コンクリートブロックの穴の下側は、一部が塞がれていません。
そこで、コンクリートブロックの下方からスコープカメラを入れて、中の様子を見ました。
確かに、コンクリートブロックの穴の中にトゲアリの塊がありました。
これで5回目の引越になりました。
8月に生存を確認できた移植コロニーを記録しておきます。
L巣(B16013)とQ巣(B15099)(いずれもクロオオアリ)とトゲアリは、7月に引き続き生存が確認できています。
BH210523-14は、今年採集したクロオオアリの新女王アリのコロニーです。5月24日に移植しています。7月23日にも生存が確認されています。
B200603-83は、昨年の6月3日から4日にかけて新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーで、今年の4月14日に移植しました。このコロニーは、6月7日にも生存が確認できていました。
B16015は、2019年6月19日に移植を開始し、7月1日に引越を完了したクロオオアリのコロニーです。N巣と名付けています。4月8日にも生存が確認できていました。
7月には、移植コロニーの内、生存を確認できたコロニーが11件ありましたが、今月は6件に留まりました。これは、酷暑と長雨のため野外での観察を控えたためと、アリの野外での活動が少なかったことによると考えています。ただ、酷暑と長雨は、まだコロニーの規模が小さなアリの生存を脅かしたとも考えられます。このことをとても心配しています。