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「10年目の再生コロニー」(B120614-03)のその後

B120614-03は、2012年の6月14日に長野県の駒ヶ根市で採集したクロオオアリの女王アリのコロニーです。このコロニーの成員は、2022年になって短期間に大量に死亡して、2022年7月9日の時点で、女王アリの他は働きアリが1匹のみとなり、幼生虫は極く僅かになっていました。
そこで、コロニーの消滅を防いで、この女王アリの寿命を調べようと、7月9日、他のコロニーから繭を30個与えました(11歳女王アリのコロニーを再生)。

参照:直近の記録:2023年6月14日ブログ

以下は、9月18日の様子です。働きアリが25匹、雄アリが16匹いました。

昨年の7月9日に与えた繭は、全て羽化しているはずですし、越冬幼虫の1匹も羽化しているはずですから、現有の幼生虫は全てB120614-03が産んだことになります。ところで、働きアリが25匹いましたので、働きアリの寿命を考慮すれば、この25匹は30個の繭から羽化した働きアリの可能性が高いと考えられます。また、雄アリ16匹は、30個の繭から羽化したのではないのですから、B120614-03が産んだことになります。
現有の幼生虫が羽化してみなければ、断定はできないのですが、もし働きアリが増えずに、雄アリが増えるようでしたら、B120614-03は産卵能力は残っているものの、有精卵を産む能力はなくなっていることになるでしょう。

働きアリが産んだ幼生虫

クロオオアリの女王アリB110608-07は、今年の1月11日以降4月6日までの間に死亡しています。
その残されたコロニーですが、9月7日の時点で、卵と小さな幼虫がいます。

9月7日撮影
9月7日撮影

この卵と幼虫は、働きアリが産卵したものと推定できます。

2010年生まれのクロオオアリの女王アリの死 13才

9月7日、クロオオアリの女王アリB110608-11が死亡していました。死亡して何日か経っているようでした。

左が胸部、右が腹部 9月7日撮影

B110608-11は、2011年に結婚飛行を了えた女王アリです。6月8日に長野県の駒ヶ根市内で採集しています。この女王アリは昨年から産卵能力を失っていました。
2010年の7月頃に羽化したと考えられますので、13年以上生きていたことになります。私の飼育下で、最も長生きをしたクロオオアリの女王アリになります。

結婚飛行後の翌々年になっても単独で子育てが可能

かつて、クロオオアリとムネアカオオアリの単独女王アリが、「年を越して再度の子育てに成功するか?」を記録しています。結果は7例の内2例が「年を越して再度の子育てに成功」しています。
この例では、結婚飛行後、同年中に子育てに失敗し、翌年に子育てに成功しています。では、子育てに失敗していて、結婚飛行の翌々年に、再度の子育てに成功するのでしょうか。この対象となるクロオオアリの単独女王アリがいましたので、観察していました。
2021年の5月23日に蒜山高原で新女王アリを採集したSN:BH210523-28です。
この女王アリの記録を見ると、同年5月30日には産卵数が8個(新女王アリ20匹の平均値5.8個)になっていて、産卵能力があったことが分かります。ただ8月1日時点で働きアリが1匹(同上平均値11匹)しかいませんでした。
その翌々年の今年の2月8日時点でも働きアリが1匹(越冬幼虫なし)いましたが、その後、いつなのかの記録はありませんが、単独女王アリになっていました。
今年の春以降に産卵があり、8月14日、働きアリが1匹羽化しました。

2023年8月14日20時6分撮影

今年の春以降、この単独女王アリに蜜を与えていましたが、蜜を飲んでいるところは見ていませんし、与えた蜜の量が減っているようにも見えませんでしたので、糖分を摂取していなかったのかもしれません。また、タンパク源は与えていませんでした。
この観察から、クロオオアリの女王アリは、結婚飛行後の翌々年になっても単独で子育てができることが分かります。その条件を限定すれば、
① 人工的な飼育環境
② 結婚飛行後の翌々年の春
③ 翌々年の越冬時には働きアリがいる
④ 翌々年越しの越冬幼虫はいない
⑤ タンパク源は不要
となります。

クロオオアリの新女王アリの誕生時期は?

B15006では今年も新女王アリが誕生しています。
7月27日の時点では、女王アリの繭が後2個残っていました。

1個目の女王アリの繭 7月27日撮影
2個目の女王アリの繭 7月27日撮影
羽化したばかりの新女王アリ 7月27日22時45分撮影

8月1日、それら2個の繭が無くなっていました。

羽化して暫く経った新女王アリ 8月1日20時4分撮影

昨年は、この同じB15006のコロニーで、7月25日に女王アリの羽化が全て完了しました。

このコロニーのこの2年間に限ってのことですので、現時点の限られた知見ではまだ一般化は難しいものの、飼育下でのクロオオアリの新女王アリの誕生時期は、7月上旬頃から7月下旬頃と言えそうです。

クリの木に3種のアリが来ていた

クリの木にはクリオオアブラムシがいますが、アリの蜜源として駆除していません。7月26日には、3種のアリがクリオオアブラムシの甘露を求めてやって来ていました。

クロオオアリ 17時2分撮影
クロヤマアリ 17時5分撮影

もう1種はアミメアリのようです。

17時4分撮影

ただ、見慣れたアミメアリよりも躯体が小さいように思いました。そこで、実体顕微鏡で確かめることにしました。

やはりアミメアリのようです。

参照:
クリオオアブラムシを発見(2020年5月23日)
移植トゲアリの暮らし(2021年5月13日)
「ぽろたん」にクリオオアブラムシ(2021年6月9日)
「ぽろたん」に小さなアブラムシ(2021年7月6日)
クリオオアブラムシの新たな共生相手(2021年10月30日)

B15006で今年も新女王アリが誕生

クロオオアリのコロニーB15006で、昨年多数の女王アリが誕生しました。今年も同じB15006で、女王アリのものと思われる大きな繭を散見していました。
7月9日、17段(2226カスタムメイド)アンテシェルフの最上段から2段目の部屋に有翅女王アリが2匹いるのを見かけました。
ところで、昨年生まれの新女王アリは、今年、人工巣の17段アンテシェルフから活動室のアンテグラウンドⅠに出て行き、結婚飛行にチャレンジしました。ただ、その結婚飛行へと飛び立つことができなかった新女王アリもいました。

活動室に常にいる昨年生まれの女王アリ4匹(内1匹は脱翅女王アリ)と下の写真の1匹の計5匹
7月9日撮影

ですから、17段アンテシェルフの中の2匹の有翅女王アリは、今年生まれの新女王アリだとは思えたものの、そうだと断定することはできませんでした。
それから3日後の7月12日、今度は17段の最下段で、羽化したばかりの女王アリを見つけました。

羽化したばかりの新女王アリ 7月12日21時55分撮影

その羽化直後の女王アリの近くにも有翅女王アリが複数いましたので、今年は、遅くても7月12日には既に新女王アリの羽化が始まっていたことになります。ちなみに昨年は、6月30日に初めて新女王アリを1匹見つけていて、その後新女王アリの羽化が7月25日まで続きました。

付記:今年は、アリの飼育室の気温をエアコンで自動管理しています。そのため、昨年よりも平均気温は低めになっています。室温が29℃になるとエアコン(冷房)が点き、26℃に下がれば冷房が切れます。また、室温が29℃まで上がると冷房が点くようになっています。(このことが、アリの成育に影響しているのかどうかについては検証していません)

飼育下でのクロオオアリの新女王アリの誕生時期は、現時点の知見ではまだ一般化は難しいものの、このコロニーに限って言えば、7月上旬頃から始まると言えそうです。

働く新女王アリ

2019年に庭で「働く」クロオオアリの新女王アリを観察しています。
参照:
働く?脱翅新女王アリ!」(2019年10月28日)
季節外れの半無翅女王アリ その後」(2019年10月26日)
季節外れの半無翅女王アリ」(2019年10月22日)

今年の4月20日に、クロオオアリB15006のコロニーの活動室で、翅を落とした新女王アリを見つけていましたが、それ以後もこの新女王アリは、観察の限りでは、ずっと活動室の中にいました。また、有翅女王アリもまだ何匹かコロニーに残っていて、活動室の中にいました。
今日も昆虫餌を与えたのですが、その餌に脱翅女王アリや有翅女王アリが、働きアリと一緒に食い付いていました。

昆虫餌に食い付く脱翅女王アリ 6月22日11時57分撮影
昆虫餌に食い付く有翅女王アリ 6月22日11時57分撮影
画像をクリック 2分30秒の動画

採集から11年目のコロニー2つ

現在2012年に新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーが2つあります。何れも同年の6月14日に長野県の駒ヶ根市で採集しました。
1つはB120614-86で、既に女王アリを無くしています。

B120614-86の飼育器 2023年6月14日撮影
越冬幼虫と思われるが成長していない ただ越冬幼虫は「極く僅か」であったはず

ところが、卵も見つかりました。

上の写真の一つ上の段 卵もある

越冬幼虫の数が「極く僅か」なはずですが、幼虫が一定数いて、しかも卵があります。ですから、働きアリ産卵とも考えられますが、いないはずの女王アリがいるようにも思えます。最下段の部屋を見ると、常にびっしりと詰まった塊があります。このことも、女王アリがいるかのように見えます。

最下段はいつ見ても、働きアリがぎっしりと塊を作っている

現時点では人工巣のアンテシェルフ内の巣を開けて見ることはしませんので、この疑問は保留とします。

もう1つの2012年採集のコロニーは、B120614-03です。このコロニーの成員は、昨年短期間に大量に死亡して、同年の7月9日の時点で、女王アリの他は働きアリが1匹のみとなり、幼生虫は極く僅かになっていました。そこで、この女王アリの寿命を調べる目的で、クロオオアリの他のコロニーの繭をこのコロニーに与えました。

カップ型のコンクリート人工巣で飼育している 2023年6月14日撮影
コロニーの全体の様子
卵が見られる 産卵能力はまだあるようだ
越冬幼虫だったのだろうか育った幼虫が1匹いた

B120614-03は11回目の結婚記念日を迎えたことになります。寿命としてはほぼ12年になります。

今年も異様に大きな繭

昨年の6月16日に異様に大きな繭を撮影しています。6月30日になって女王アリが誕生しましたから、その異様に大きな繭は女王アリの繭であったことが分かりました。
今年も、その異様に大きな繭ができていました。

6月7日撮影
大きな幼虫も 6月7日撮影
働きアリの幼生虫もとても多い 6月7日撮影

再び蒜山高原へ

5月28日に蒜山高原へにオオアリを採集しに行きましたが、新女王アリは採集できませんでした。再び蒜山高原へ採集に出かけるかどうか迷ってはいたのですが、1週間後の6月4日に蒜山高原へ出かけました。

道の駅蒜山高原から八束自然牧場公園を望む

八束自然牧場公園内では、以前クロオオアリの巣をいくつか見ていて、また直近では5月28日に1箇所見つけていたのですが、この度は見つけられませんでした。もっと時間をかけて探せば、見つけることができたのかも知れません。けれどもそういうこととは別に、あることが気を引きました。地面の至る所が掘り返されているのです。

これはモグラがしたのでしょう。これでは巣が壊されてしまいます。また、モグラの食性として昆虫を食べますから、アリの成虫や幼生虫も食べられることでしょう。
八束自然牧場公園の環境は、クロオオアリが棲息するには適していると思われますが、クロオオアリの巣がほぼ見つからないことの主因がこのモグラの存在なのかも知れません。
百合原休憩園地に行くと、1週間前は草原になっていましたが、草が刈られていました。

すっきりと公園らしく様変わりしましたが、アリにとっては食源を著しく失ったことになります。
次に、5月28日にも羽アリを観察した脇道と自転車道へ行きました。
今日も巣口に羽アリがいました。雄アリです。

雄アリが巣口から出ていた 14時36分撮影
同じ巣の別の巣口 14時37分撮影

16時近くにも観察に行きましたが、雄アリだけでほとんど変化はなく、結婚飛行が行われそうにありませんでした。

15時52分撮影

その後、ヒルゼン高原センター近くの場所に立ち寄りました。1週間前は1箇所、巣口を開き、巣口周辺にクロオオアリがいた場所があったのですが、今日は巣口がなくなっていて、クロオオアリはいませんでした。

1週間前には巣口があった場所 16時15分撮影

蒜山高原に1週間前に訪れた時には、クロオオアリとムネアカオオアリのメインの結婚飛行がこれからなのか、それとも既に済んでいたのか、判断できずにいました。しかし、今回の採集旅行を通して、5月28日時点で既にメインの結婚飛行が済んでいたと思えるようになりました。
恐らくは、5月17日にメインの結婚飛行があったのでしょう。

庭の羽アリが巣口から出て来た

庭の羽アリの様子については、5月22日に触れています。その時は、羽アリは巣口からはほとんど出て来ていませんでした。
6月1日、午後は曇で気温も23℃前後でしたので、結婚飛行はないだろうと思いながらも、17時40分頃に庭に出てみると、まだ翅のある女王アリが歩いていました。

有翅女王アリが庭を歩いていた 17時41分撮影

そこでその場所から一番近いA巣とU巣を見に行くと、比較的多くの羽アリが巣口から出ていました。その後、C巣を見に行くと、ここでも羽アリが巣口から出ていました。

A巣の様子

雄アリばかりのようだ 17時42分撮影
蜜器にも登っていた 17時50分撮影
雄アリの数が少なくなってきた 18時27分撮影

U巣の様子

雄アリが巣口から出ている 有翅女王アリが頭部をのぞかせている 17時42分撮影
巣口から出て来た有翅女王アリ 17時53分撮影
有翅女王アリが巣口の近くを歩いていた 17時53分撮影
雄アリが巣口からたくさん出て来ていた 18時01分撮影
働きアリも含めて全体的に数が少なくなっていた 18時28分撮影

C巣の様子

雄アリが巣口から出て来ている 17時44分撮影
巣口から少し離れたところに複数の有翅女王アリがいた 17時45分撮影
蜜器に登った有翅女王アリ 17時46分撮影
有翅女王アリが近くのプラムの木に上って行った 18時02分撮影
羽アリがいなくなっていた 18時28分撮影

3箇所のコロニー共に羽アリが巣口から出て来たのですが、飛び立つ羽アリは見ませんでした。17時40分からという限られた時間帯の観察だったので断言はできないのですが、今日は結婚飛行は行われなかったと思われます。
今後の結婚飛行を期待したいと思います。

2023 蒜山高原 新女王アリ採集できず

5月28日、オオアリを採集しに、2年ぶりに蒜山高原に行きました。
実は、5月17日に岡山市の最高気温が32.4℃になっていました。また、その前日の16日には29.0℃になっていて、21日にも29.1℃まで気温が上がっていました。
ですから、採集に出かけるのはもう手遅れになっているのかも知れないのですが、29日からは、暫くの間曇天や雨の日が続くことが分かりましたから、この日に採集に出かけたのです。
ちなみに、庭のクロオオアリは、22日時点では、まだ結婚飛行は行っていないようでした。

庭のクロオオアリ 巣口から外を窺う有翅女王アリ 5月22日15時25分撮影
庭のクロオオアリ 少しの間、巣口から出て来たオスアリ 5月22日15時27分撮影
庭のクロオオアリ 働きアリたちは巣の拡張をしているようだ 5月22日15時28分撮影

蒜山高原に着くと、まずかつて(2017年)オオアリがかなりの数採集できたヒルゼン高原センター近くの場所に行ってみました。

ヒルゼン高原センター近くの場所 5月28日10時49分撮影
巣口の様子 巣口は大きめだが、羽アリは見られなかった 10時57分撮影

この場所は、2018年に環境が様変わりして以来、クロオオアリの巣の数が急速に少なくなってきていましたが、今年もその傾向は変わっていませんでした。
次に、2018年にオオアリを多数採集した第1休憩所に行きましたが、ここでは、地面を歩くオオアリの働きアリも見つけることができませんでした

第1休憩所 オオアリの姿がない 11時23分撮影

次に行った道の駅蒜山高原では、比較的多くのクロオオアリの巣を見つけることができました。(参照:2016年「3度目の採集旅行」)

13時42分撮影
ムネアカオオアリもいた 13時56分撮影

最後に、2021年に多数のクロオオアリの脱翅女王アリを採集した脇道と自転車道へと向かいました。

ここにも(脇道)ムネアカオオアリがいた 14時27分撮影

ここで始めてオスアリが巣口にいるのを見つけました。

巣口から外を窺うオスアリ 14時35分撮影

この度の採集旅行では、新女王アリを採集することはできませんでした。
蒜山高原では、既にメインとなる結婚飛行は終わっていたのでしょうか、それともこれからなのでしょうか。私にはそれを判断することができませんでした。
これからの天候と、庭のクロオオアリの様子を見ながら、蒜山高原へ2度目の採集旅行に行くかどうかを決めることになりそうです。

飼育羽アリが一層活発に

クロオオアリのコロニーB15006の羽アリが、活動室アンテグラウンドⅠ型で活発に動くようになっていることについては、既に5月3日のブログで取り上げていますが、5月27日の様子を記録しておきます。

アクリル製の壁面に上ってきた羽アリ 5月27日19時20分撮影
開放蓋を開けたところ 19時22分撮影
開放蓋を取り外したことで室内に飛び出した有翅女王アリ 19時23分撮影
再び開放蓋をして、アンテグラウンドⅠ型よりも高くなる板を設置 19時30分撮影
飛翔しようとする有翅女王アリ 19時31分撮影
板の先端の最も高い所に有翅女王アリが集まってきた 19時37分撮影
19時37分撮影

室温が高いため、エアコンをつけたのですが、気温が下がったためか、時刻的に遅くなったためか、やがて飛び立とうとしなくなりました。

何らかの要因により、有翅女王アリは身を寄せたままで飛び立とうとしなくなった 19時51分撮影

この時の室温は、27℃前後になっていました。

トゲアリの寄生の試み その後(5月27日)

昨年行ったトゲアリの寄生の試みについては、前回は1月9日のブログに記載しています。

トゲアリの寄生の試み 1 (BH210523-18にT20220910-53が寄生 )

卵が多数ある 女王アリの腹部が異様に膨らんでいる

トゲアリの寄生の試み 2 (BH210523-19にT20220910-54が寄生 )

同じく卵が多数ある 女王アリの腹部が異様に膨らんでいる

トゲアリの寄生の試み 3 (BH210523-21にT20220910-65が寄生 )

同じく卵が多数ある クロオオアリの繭も見られる 女王アリの腹部が異様に膨らんでいる

トゲアリの寄生の試み 4 (BH210523-23にT20220910-44が寄生 )

同じく卵が多数ある クロオオアリの繭と幼虫も見られる 女王アリの腹部が異様に膨らんでいる

トゲアリの寄生の試み 5 (BH210523-29にT20220910-67が寄生 )

卵は少し少なめだ 女王アリの腹部が異様に膨らんでいる

桑の実にやって来たクロオオアリ

桑の実の果汁が食源になることは、2018年6月4日のブログで取り上げています。
今年も桑の木にたくさんの実が実りました。そこにクロオオアリがやって来ていました。

5月27日11時40分撮影
11時41分撮影
腹部が膨らんでいる 11時42分撮影
桑の木から帰巣するクロオオアリ 腹部が膨らんでいる 11時43分撮影
落ちた桑の実にもクロオオアリが来ていた 11時46分撮影

活発に動く活動室の中の羽アリ

B15006では、羽アリが活発に動き回っています。

アクリルの壁面を歩く新女王アリ 5月3日18時03分撮影
羽アリが一段と高いところに好んで集まっている 18時04分撮影
壁面を歩く複数の新女王アリ 18時05分撮影
オスアリは少数だが活動室に出て来ている 18時07分撮影
給餌を受ける新女王アリもいた 18時9分撮影

この時の室温は26℃程度でした。
羽ばたく音が時折、一瞬聞こえはしましたが、飛び立ってはいませんでした。この活動室のアンテグラウンドⅠ型も開放蓋になっていますから、結婚飛行が室内で起こるかも知れません。そうなることを期待しています。

活動室に翅を落とした新女王アリがいた

B15006の羽アリが、多数、活動室のアンテグラウンドⅠ型に出て来ています。

4月20日13時58分撮影

その中に翅を落とした女王アリがいました。僅かに翅の付け根辺りに翅が残っているようです。

翅を落としてはいるが、僅かに翅が残っている 13時58分撮影

翅が落ちていました。

翅が落ちていた 13時59分撮影

新女王アリとは思いましたが、巣の中を調べてみました。

巣の中の女王アリ 14時3分撮影

確かに女王アリがいました。やはり、活動室の中の翅がない女王アリは、新女王アリでした。

12歳で死んだクロオオアリの女王アリ

B110608-07の女王アリが死んでいるのに気づきました。
B110608-07は、2011年の6月8日に長野県駒ヶ根市内の家族旅行村で結婚飛行直後に採集したクロオオアリの女王アリです。

B110608-07の飼育容器

異変に気づくきっかけになったのは、大きめの腹部が目に入ったからでした。

大きめの腹部 頭部も大きめ

ただ、この腹部が女王アリのものかどうかは断定できませんでしたので、人工巣のリトルアンテシェルフの中を見てみました。すると生きた女王アリの姿はなく、死体らしいものが見つかりました。

分離した女王アリの死体のようだ
肢が上を向いている

確かに女王アリは死んでいるようです。
たくさんの幼生虫が残されていました。女王アリがいつ死んだかは特定できないまでも、過去のブログから1月11日以降と言うことになります。

幼生虫
幼生虫
幼生虫

2011年に採集したクロオオアリのコロニーとしては、3コロニーを飼育していたのですが、B110608-07については、寿命が確定したことになります。新女王アリの誕生時期(羽化)が6月の末から7月にかけてだとすれば、B110608-07は12年間以上生きていたことになります。

白い物体

T巣の近くで何やら白いものを運んでいるクロオオアリを見つけました。

4月4日8時46分撮影

暫くすると、近くで別のクロオオアリが同じような白いものを運んでいるのに気づきました。

8時52分撮影

この白いものを実体顕微鏡で見ようと思い、2匹目のクロオオアリから白いものを取り上げました。その際、この白いものが2つに割れてしまいましたが、小さな破片がその場に落ちました。その破片をこの2匹目のクロオオアリが見つけ、L巣へと運んで行きました。

小さな破片を運ぶクロオオアリ 8時56分撮影

この白いものは、これまでも類似のものをよく見かけていました。
参照:
アリ日記 2012/06/06〜08(4)クロオオアリ・ムネアカオオアリの食性」(2012年6月12日)
クロオオアリの食性 白い物体」(2019年10月28日)
実体顕微鏡で見ると、割れた箇所の切り口は黄色をしています。白い物体の中は黄色のもののようです。

2つに割れた白い物体 中は黄色をしている
更に砕いてみても中は黄色だった

ちなみに「クロオオアリの食性 白い物体」では、中まで白でした。
その「クロオオアリの食性 白い物体」では、白い物体をB15006に与えて反応を見ているのですが、その結果を「白い物体の1つが、ごみ捨て場になっている場所に置かれていたことから、B15006のコロニーには、この白い物体は利用価値がなかったと考える方が自然でしょう」とまとめています。
そこで、その追試を行うことにしました。同じくB15006に白い物体を与えてみました。

白い物体に関心を示しているようだ 盛んに触角で白い物体に触れている 4月5日17時34分撮影
暫くすると無関心になった 17時34分撮影
咥えて運ぶこともあったが、白い物体を下ろすと去って行った 17時47分撮影

そこで、クロオオアリのコロニーBH18024にも白い物体を与えてみたのですが、B15006に与えた時と同様に、最初は白い物体に触角で触れて関心を示したのですが、やがて無関心になりました。

最初だけ白い物体に関心を示したが、やがて去って行った 19時24分撮影

白い物体は、屋外のクロオオアリには何らかの有意義な物体だったはずですが、飼育下のクロオオアリは、今回の追試でも、関心がなかったことになります。この違いの要因が何であるかは不明です。
では、この白い物体をトゲアリに与えるとどんな反応があるのでしょうか。飼育下のクロオオアリとトゲアリでは、トゲアリの方が、春のより早い時期から盛んに活動しています。

白い物体に寄ってきたトゲアリ 4月5日17時38分撮影

暫くすると、巣へと運び始めました。

白い物体を巣へと通じる入り口へと運んで行った 17時42分撮影
白い物体が巣の中に運び込まれた時の様子 17時46分撮影

トゲアリはこの白い物体を有意義なもの、恐らく食べられるもの、と認識したようです。更にもう一つ白い物体を与えてみると、同じく巣へと運んで行きました。

白い物体を巣へと運んで行くトゲアリ 17時53分撮影

更に3つ目を与えた時の様子が下の写真です。2箇所にトゲアリが集まっていますが、左が昆虫を分解しているところ、右が白い物体に集まっているところです。昆虫と白い物体で同様の様子が見られることからも、この白い物体を有意義なもの、恐らく食べられるものと認識していると思われます。

集まりの左が昆虫、右が白い物体 17時59分撮影

一体この白い物体は何なのでしょうか。不明です。