人工巣」カテゴリーアーカイブ

25mL大気圧給水器を26個追加製作

2月11日のブログで、「この大型のコンクリート人工巣2種に開放蓋を作成することで、ムネアカオオアリの単独女王アリを飼育している1つのケースを除いて、現在飼育している全ての飼育容器に開放蓋を設置(38個)し終えました。」と書きましたが、この度は、38個全ての飼育容器に大気圧給水器を用意することにしました。
既に200mLの大気圧給水器は4個、25mLの大気圧給水器は8個作っていますので、残り26個を25mL用で作成しました。

左は給水器受け
給水器受けに給水器を逆さにして入れ、給水器底部のシリコン栓を外して給水する こちらを参照
出来上がった26個(+8個)の25mL大気圧給水器

大型のコンクリート人工巣2種に開放蓋作成

現在飼育中のコンクリート製の人工巣には、カップ型の人工巣の他に、直径15cmのクロオオアリ用の人工巣1個と、カブトムシの飼育容器を利用した人工巣2個があります。

直径15cmのクロオオアリ用の人工巣 私が中学生の時に製作したもの
カブトムシの飼育容器を利用した人工巣
カブトムシの飼育容器を利用した人工巣 2005年製作

2月11日、これらに開放蓋を作りました。

直径15cmのクロオオアリ用の人工巣の開放蓋の設計図
カブトムシの飼育容器を利用した人工巣の開放蓋の設計図
完成した直径15cmのクロオオアリ用の人工巣用の開放蓋 内側にベビーパウダーを塗っている
完成したカブトムシの飼育容器を利用した人工巣用の開放蓋 内側にベビーパウダーを塗っている
開放蓋を人工巣に設置したところ B200603-034
開放蓋を人工巣に設置したところ B210523-032
開放蓋を人工巣に設置したところ B210523-37

この大型のコンクリート人工巣2種に開放蓋を作成することで、ムネアカオオアリの単独女王アリを飼育している1つのケースを除いて、現在飼育している全ての飼育容器に開放蓋を設置(38個)し終えました。これで、飼育容器の中へのアクセスがし易くなります。

これまでに製作してきたこれら38個の開放蓋が、アリの逃亡を防げるかどうかは、今後検証することになります。

Seriaのケースで開放蓋の簡易飼育器を作成

Seriaで購入した「ClearCase DEEP」というプラスチック製の容器をまとまった数、保管していました。このケースを再利用して、2021年と2020年に新女王アリを採集したコロニーを引越、飼育することにしました。対象としたのは、クロオオアリ6コロニー(BH210523-28/31/36/46/48/53)とムネアカオオアリ1コロニー(R200603-021)です。

クロオオアリのコロニーBH210523-46
クロオオアリのコロニーBH210523-53

クリアケースには元々蓋がありませんでしたので、開放蓋を作りました。

開放蓋の設計図 だいだい色の部分がクリアケースディープ
作成した開放蓋
開放蓋の内側にベビーパウダーを塗って完成

次に極く簡易的な人工巣を作りました。3部屋から成る人工巣です。

人工巣は一箇所セロハンテープでケースに固定している
人工巣の設計図
巣房への出入り口を1箇所設けている
巣房間を移動するための隙間

引越は、飼育中の飼育容器から全てのコロニーの構成員を振り落とす方法で強制的に行いました。

強制引越後のクロオオアリのコロニー 2月9日9時26分撮影
強制引越後のムネアカオオアリのコロニー 9時31分撮影
人工巣を棚に設置 9時33分撮影

夕刻見ると、BH210523-53が、いち早く、全構成員が巣房に入っていました。

いち早く全構成員が巣房に入ったBH210523-53 19時0分撮影

W拡張開放蓋と25mL大気圧給水器を作成

コンクリート製のカップ型人工巣で、現在クロオオアリを8コロニー飼育しています。

コンクリート製のカップ型人工巣

蓋の部分は、W拡張蓋に取り替えることができます。

W拡張蓋に取り替えたところ

この度は、このW拡張蓋の観音開きになっている上部の蓋の部分を取り外し、開放蓋のW拡張蓋にします。

桃色部分がW拡張開放蓋
裏面にベビーパウダーを塗る
開放蓋をW拡張蓋に被せたところ
こんな風に使う

続けて、このカップ型のコンクリート人工巣用に、25mL容量の大気圧給水器を作りました。200mL大気圧給水器を小型化しています。

設計図
25mL大気圧給水器
こんな風にW拡張開放蓋に設置する

小型水槽に開放蓋と大気圧式パイプ給餌給水器を設置

小型の水槽の中に人工巣を入れて飼育しているオオアリのコロニー(「生き続ける2011年採集の女王アリ」等参照)は、現在13あります。これらの小型の水槽の蓋は、3分割した密閉蓋になっています。

小型水槽の蓋

この度、新たに開放蓋を作り、13コロニー全てに開放蓋を設置することにしました。

小型水槽用の開放蓋

開放蓋の内側にはベビーパウダーに無水エタノールを加えて塗ります。

開放蓋の内側にベビーパウダーを塗る
小型水槽に開放蓋を設置したところ このコロニーはトゲアリT180919 1月28日10時57分撮影

更に、小型水槽用に給餌・給水器を作ることにしました。

小型水槽開放蓋用大気圧式パイプ給餌給水器
給餌給水器のベースの部分 写真は逆さにしたところ 裏の区分内にベビーパウダーを塗る

アリ返し(高さ2cm)は2箇所になっています。本来ならアリ返しを方形に囲むように更に2箇所付ければ良いのですが、利用済の3分割密閉蓋を再利用してカットして使ったため、長辺方向に湾曲があり、接着が困難でしたので2箇所になりました。

給餌給水器を設置したところ このコロニーはクロオオアリB200603-075 1月29日13時55分撮影
給餌・給水部を拡大 水はパイプいっぱいに入れてある

200mL大気圧給水器用に留水器を作成

25日のブログで、200mLの大気圧給水器をアンテグラウンド内に設置したことについて書きましたが、27日、その給水器から水が漏れ出ていました。給水器内にあった100㎤の空気が膨張したのが原因のようでした。大気圧給水器に水を100mL入れた時点では室温がとても低く、その後エアコンを点けるなどして気温差が大きくなったからでしょう。
寒い季節以外は起こらないと考えましたが、通年のことを考え、溢れ出た水がアンテグラウンド内に直に流れ出ないように、留水器(注:造語)を作ることにしました。
容器の底面を10cm×10cmの正方形とし、高さを2cmとすれば、容積は200mLとなります。大気圧給水器の最大容量は200mLですから、この容器の高さですれすれよいわけです。ですが、オオアリの水死を防ぐために、留水器の底に部材を敷くことにしましたので、留水器の高さを2cmよりも高くすることになります。
部材としては、かなり特殊な玄関マットを使うことにしました。厚みは1cmですが、スポンジよりも更に隙間の多い構造です。

玄関マット 10cm×10cmにカット

10cm×10cmにカットした玄関マットの体積を量るため、玄関マットを平形の100mLマスに入れて、100mLマスがいっぱいになるまで水を入れ、その水の重さを量りました。

平形の100mLマスと玄関マット
水を入れない状態で0gにする
マスいっぱいに水を入れると78gだった

水の重さは78gでしたので、玄関マットの体積は22㎤であることが分かります。そこで、玄関マットを底に敷いた方形の容器に、200mLの水を溢れないように入れるには、2.22cmの高さが必要になることがわかりました。
このことを考慮して、留水器の高さを2.5cmとして製作しました。

10×10×2.5cmの留水器を4個作った
大気圧給水器と留水器 クロオオアリのコロニーB15006のアンテグラウンドⅠ型の中 1月28日13時52分撮影

200mL大気圧給水器

アンテグラウンドシリーズ(Ⅰ型Ⅱ型Ⅲ型)には、中にキューブ型の小型水槽を常設し、オオアリが常に水分補給ができるようにしていました。小型水槽にはポンプ式の水循環濾過器を入れていて、更に水質浄化液を注入していましたので、水質は良い状態で保たれていました。

クロオオアリのコロニーBK170530-081用のアンテグラウンドⅢ このコロニーの働きアリは、冬場でも少数ながら水辺に集まっている 1月24日16時51分撮影

長くて4年半程、キューブ型の小型水槽を使い続けてきましたが、デメリットを2点ほど感じていました。
1つは、オオアリが昆虫を解体した後の残滓や仲間の死体を水に捨てる習性があり、水質が保たれていても、濾過器や水槽を取り出して掃除をする必要がありました。
もう1つは、オオアリは水辺を好む習性があり、夏場は特に、常に多数のオオアリが水槽に群がり、(そのことで濾過器や水槽をアンテグラウンドから取り出す際に支障となるだけでなく、)水面に飛び出して泳ぎ始め、濾過器で水を循環していることもあり、陸に上がれなくなって水死することがありました。

群れになって水に浮かんでいる 生きていたので救出した 1月24日16時55分撮影

そこで、これまでとは給水の仕方を変えて、大気圧式の給水器を製作・設置することにしました。

200mL大気圧給水器

最大給水容量を200mLとしました。これだけ容量があれば、自然蒸発がし難い構造ですから、かなりの期間水を補給しなくてもよいでしょう。4側面の内2側面の下方に1.6×2.0mmの切り込みを入れていて、水が流れ出るようにしています。吸飲箇所の幅は4mmです。ただ水がどの程度腐敗するかは今は分かっていません。底面には脚を4箇所付けていて、給水器をアンテグラウンドの中に置く際、オオアリを挟まないようそれぞれ脚幅を短めの15mmにしています。
大気圧給水器に水を入れる際に便利な器具も作りました。

左が200mL大気圧給水器 右が大気圧給水器に水を入れる際の器具

大気圧給水器に水を入れる際は、給水器を逆さにして、底面の径10mmの穴にロートを差し込みます。

大気圧給水器に水を入れる

2側面の下方の切り込みをとても狭くしたので、水が出難かったようです。翌日になって、適量の水が出ていました。

水がほぼ出てきていない 1月24日17時18分撮影
翌日になると水面が見えた 1月25日19時48分撮影

1月25日、残り3個のアンテグラウンドの中の水槽を取り出し、この日製作した200mL大気圧給水器を残り3箇所にも設置しました。

アンテシェルフ用に開放蓋式アンテフィーダーを作る

クロオオアリのコロニーB200603-067は、2020年の6月3日に新女王アリを採集したコロニーです。比較的順調にコニーが大きくなり、昨年の5月3日に大型のコンクリート人工巣(カブトムシの飼育容器を利用)に引越させていました。
それ以後も、働きアリが増えていきましたので、この度、コンクリート人工巣から、更に居住空間が広いアンテシェルフに引越させることにしました。併せて、アンテシェルフに外付けで餌器を取り付けます。

引越後の大型のコンクリート人工巣 このコンクリート人工巣は2005年に製作
引越専用にしている衣裳ケースの中 引越先のアンテシェルフを入れている 1月14日13時51分撮影
越冬幼虫がかなりいる 13時52分撮影

翌日の朝、引越は既に完了していました。ちなみに、引越先を暗くしておくのがよいように思われがちですが、今回はその必要はなかったようです。

引越が完了したようだ 1月15日8時20分撮影
8時24分撮影

新たに作る餌器は、クロオオアリのコロニーB110608-07の引越の際に作った「開放蓋式アンテフィーダー」より一回り大きなものです。木製の台の上にアンテシェルフと一緒に載せます。

上面図 向かって右がアンテシェルフ 左が開放蓋式アンテフィーダー
開放蓋式アンテフィーダー側面図
開放蓋

開放蓋の裏面に、ベビーパウダーを無水エタノールで練って塗りました。

1月15日9時3分撮影
9時4分撮影
9時5分撮影

アンテグラウンドに開放蓋を作る

開放仕様の蓋については、既に今年の9月2日にクロオオアリのコロニーのB110608-07用の餌器の蓋として作っています。それから2ヶ月経過しましたが、クロオオアリが餌器から脱走することは1度もありませんでした。そこでこの度は、既に使っている3仕様4台のアンテグラウンド用に、開放仕様の蓋を作ることにしました。
開放仕様の蓋と言うのは、物理的にプラスチックやガラスなどでケースを閉ざすのではなく、ケースの内外の空間が繋がっている枠だけの蓋のことを言います。ただ、そのままでは、アリはケースの側面を上ってきて脱走しますので、ベビーパウダーに無水エタノールを混ぜて開放蓋の内側前面に塗っておきます。

アンテグラウンドⅠ型に設置した開放蓋 クロオオアリB15006を飼育 11月2日撮影
アンテグラウンドⅡ型に設置した開放蓋 トゲアリT140906-40を飼育 11月5日撮影
アンテグラウンドⅢ型に設置した開放蓋 クロオオアリBK170530-081を飼育 11月5日撮影
アンテグラウンドⅢ型に設置した開放蓋 トゲアリT210912-01を飼育 11月5日撮影

開放蓋は3mm厚のアクリル板で作っています。開放蓋の四方を囲む枠の幅は33mmで、この枠に30mm幅のアクリル板を垂直に取り付けています。

33mm幅の枠に垂直に取り付けている30mm幅のアクリル板 ベビーパウダーを両面に塗っている アリが脱出するには最大の難所となる
同上(内側から見ると) 33mmの枠の内側にもベビーパウダーを塗っている
アンテグラウンドⅠ型の開放蓋 1/2個分
アンテグラウンドⅡ型の開放蓋 1/2個分
アンテグラウンドⅢ型の開放蓋 1/2個分

ケースの中の空気を吸い出すために設置していたUSB仕様の送風ファンは不要になりますが、水槽の濾過器はそのまま使うことにしました。そこで、電源コードを伝って脱出するのを防ぐために電源コードに「アリ返し」を取り付けました。電源コードとアリ返しにもベビーパウダーを塗っています。

アリ返し ベビーパウダーを塗っている
アリ返しは2枚を重ねて切り込みで電源コードを挟み込む

2つのコロニーをアンテグラウンドⅢに繋ぐ

BK170530-081は、2017年5月30日に駒ケ根市で新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーです。今年で創巣から5年目を迎えることになります。かなり大きなコロニーになってきていました。

そこで、アンテグラウンドⅢと繋げることにしました。

左がアンテグラウンドⅢ

アンテグラウンドの中に15cm四方のキューブ水槽を入れ、濾過器を設置しました。また、アンテグラウンド内を換気するため、USB仕様の送風ファンも取り付けました。

昨年、クロオオアリのコロニーBK170530-040に寄生したトゲアリT210912-02の初期コロニーも、別に用意したアンテグラウンドⅢに繋げました。

トゲアリの女王アリが寄生しているT210912-01の初期コロニー

こちらも、水槽・濾過器・USBファンを設置しました。

広い床面積の人工巣「17段アンテシェルフ」

17段ある人工巣のアンテシェルフは、既に2018年7月24日から使っています。それから2年強経ち、クロオオアリのコロニーは順調に大きくなってきました。

2020年8月30日撮影

この人工巣は、アンテグラウンドⅠ型に繋いで使っています。
さて、この度、活動室専用のアンテグラウンドⅢの開発に伴い、この17段のアンテシェルフ(生活室専用)をご希望の方に提供を開始いたしました。

最下層段と16段棚を合せた総面積は、2229.3平方センチメートルで、約47.2cm平方の広さがあります。詳しくは、こちらをご覧下さい。

大型の活動室を製作 アンテグラウンドⅢ

これまで、アンテグラウンドと名付けてⅠ型Ⅱ型を製作していますが、この度、それらのおよそ0.56倍の底面積を持つアンテグラウンドⅢを作りました。Ⅰ型とⅡ型で働きアリの活動を観察してきましたが、活動のために巣から出てくる働きアリの密度は低く、そこまで広くなくても良いことが分かってきていました。
このアンテグラウンドⅢに、USB仕様の送風ファンと水槽と濾過器を組み込んで使用します。

このアンテグラウンドは活動室専用なので、シリコンチューブで人工巣を繋ぎます。

こんな感じです 写真の人工巣は「17段アンテシェルフ」

更に詳しくは、こちらをご覧下さい。