昨年新女王アリを採集した4コロニーの内3コロニーを、6月23日、カップ型コンクリート製人工巣に引越させました。
1)ムネアカオオアリのコロニー RH230604-01
2)ムネアカオオアリのコロニー RH230604-02
3)クロオオアリのコロニー BS2305M-03
昨年新女王アリを採集した4コロニーの内3コロニーを、6月23日、カップ型コンクリート製人工巣に引越させました。
1)ムネアカオオアリのコロニー RH230604-01
2)ムネアカオオアリのコロニー RH230604-02
3)クロオオアリのコロニー BS2305M-03
5月30日に、クロオオアリのコロニーBH210523-30を引越させましたが、今回は、BH210523-34を飼育ケース間で引越させます。BH210523-34はBH210523-30と同様に、2021年5月23日に蒜山高原で新女王アリを採集したコロニーです。こちらのコロニーも、カップ型コンクリート製人工巣で飼育していましたが、コロニーが大きくなってきていました。
このBH210523-34をリトルアンテシェルフに引越させます。このリトルアンテシェルフには、最下段の両端にアクリルパイプがあって出入りができますが、更に出入りしやすいように最下段のアクセス窓をシリコン栓を挟んで持ち上げました。
リトルアンテシェルフにアルミホイールを被せて、引越専用にしている衣裳ケース(ベビーパウダーを無水アルコールで練って壁面上部に塗っている)に入れ、人工巣を分解(カップからコンクリート部分を分離)して、成員を強制的に衣裳ケースに落とし入れました。
衣裳ケースの中に入れられると、働きアリたちは早くもリトルアンテシェルフの中に幼生虫を運び入れ始めました。
引越先の準備を始めました。小型水槽の底に敷板を置き、周りを川砂で敷き詰めました。この砂は粘土質を含まないため、さらさらしています。アリの飼育に土は必要ではありませんが、砂を敷くことで飼育器内の底面積を、砂の表面積で3次元的に格段に広くする、ことができ、汚れを分散させることができます。
ところで、リトルアンテシェルフを衣裳ケースの中から小型水槽に移した後の衣裳ケースの中には、まだ比較的多くの働きアリが残っています。そこで、この働きアリを小型水槽に移し入れなければなりません。
その時に使っているのは平筆です。平筆でアリをすくうようにすると、アリを筆に乗せることができます(毛に咬みついてなかなか毛を放さないアリもいます)。筆に付いたアリは、開放蓋をした小型水槽の上から払い落とせばよいわけです。
5月1日に人工巣からクロオオアリがいなくなりましたが、その翌日以降も3箇所で巣作りが継続していました。
5月5日早朝、幼虫を運ぶ働きアリを目にしました。
後を追って行くと、東方の巣に入って行きました。
どこから幼虫を咥えてやって来たのでしょうか。ミツバチ巣箱辺りを見ていると、「直下巣」からであることが分かりました。
これまでの観察からは、幼生虫が「直下巣」へ運ばれるところは見ていませんでしたので、とても意外でした。
しばらくすると、成虫も「東方巣」へ運ばれて行きました。
ただそれらの成虫が、何処の巣から運ばれてきたのかは分かりませんでした。
7日と8日にも、「東方巣」へと幼虫を運ぶ働きアリを見ました。ただ、この時は何処の巣から運んで来ているのかは分かりませんでした。
9日以降は、「直下巣」と「西方巣」では、ほとんど働きアリが見られなくなっていました。「東方巣」では、働きアリが土を運び出していましたが、巣がほぼ完成したのでしょうか、その数は少なくなっていました。
B200603-034のコロニーは、引越先として「東方巣」を選んだようです。
前日の夕刻には、まだ女王アリや働きアリや幼生虫が人工巣に残っていたのですが、今日(5月1日)の昼過ぎ、人工巣の中にほぼクロオオアリはいませんでした。この間は、雨や曇の天気でした。
3箇所の巣作りの箇所を見ると、何れもクロオオアリがまだ巣作りをしていました。
女王アリは何処に行ったのでしょうか。前日の様子から考えると「西方巣」に行ったのでしょうか?
4月29日は、「雨時々曇」であったため、移植後の様子を観察していなかったのですが、30日に見ると、既に引越が始まっていました。
3箇所で巣作りが行われていました。
巣作り中の3巣目は、巣箱の東方にありました。
実はこの場所は、N巣がある場所です。争いが起こるのではないかと思ったものの、そのような場面はありませんでした。
移植時の引越では、複数の箇所で巣作りが始まることについては、既に「BM19003を移植 引越先が分裂?」や「B15099を移植 4日目 ほぼ引越完了」「B14034+133の引越先」などで観察しています。
クロオオアリは、自然界では営巣途中で巣を引っ越すことはないと考えられますので、人為的な「移植」では、新たに巣を作り始める前に引越先を統一する能力は備わっていないのでしょう。
まだ、引越はこれからのようでした。
10時ごろからは、幼虫を運ぶ働きアリを多数見るようになりました。
引越先が「西方巣」に統一されたのでしょうか。
夕刻、人工巣の中を見て確かめることにしました。人工巣の中は、働きアリも幼生虫も少なくなってはいましたが、そこにはまだ女王アリが残っていました。
クロオオアリのコロニーB200603-067は、2020年の6月3日に新女王アリを採集したコロニーです。比較的順調にコニーが大きくなり、昨年の5月3日に大型のコンクリート人工巣(カブトムシの飼育容器を利用)に引越させていました。
それ以後も、働きアリが増えていきましたので、この度、コンクリート人工巣から、更に居住空間が広いアンテシェルフに引越させることにしました。併せて、アンテシェルフに外付けで餌器を取り付けます。
翌日の朝、引越は既に完了していました。ちなみに、引越先を暗くしておくのがよいように思われがちですが、今回はその必要はなかったようです。
新たに作る餌器は、クロオオアリのコロニーB110608-07の引越の際に作った「開放蓋式アンテフィーダー」より一回り大きなものです。木製の台の上にアンテシェルフと一緒に載せます。
開放蓋の裏面に、ベビーパウダーを無水エタノールで練って塗りました。
これまでクロオオアリの女王アリの寿命については、「おめでとう! 結婚10年記念日」と「11歳女王アリのコロニーを再生」で触れてきています。「11歳女王アリのコロニーを再生」は、2012年に新女王アリを採集したコロニーですが、もう一つ2012年に採集したコロニーがあります。B120614-86です。
このコロニーの女王アリは、6月14日に長野県の駒ヶ根市内で採集しています。その7年後の2019年(10月19日)には、その時飼育していたクロオオアリのコロニーでは一番働きアリの数が多いコロニーでした。2000年の9月4日に、活動室としてアンテグラウンドⅢに繋いだのですが、同年10月から11月にかけて、働きアリが大量に死んでしまいました。
後に、アンテグラウンドⅢから外し、アンテネストとリトルアンテシェルフで飼育していました。
アンテネストは自然巣を観察するように作られていますが、巣房の中の様子が見難くなっていたことと、アンテシェルフの中も清掃する必要がありました。そこで、コロニーを飼育器から取り出し、アンテシェルフを洗った後、その中に戻すことにしました。
その過程で、コロニーの状態が把握できました。働きアリは多数、雄アリは4匹、越冬幼虫は極く僅か、だったのですが、女王アリはいませんでした。
生きていれば11歳だったのですが、昨年の11歳になる6月14日に女王アリが生きていたかどうかは調べられていません。それは、前述のようにアンテネストの巣房の中の様子は全ては見られなかったからです。
けれども、越冬幼虫が僅かながらもいたのですから、女王アリが産んだものだとすれば、夏ごろまでは生きていたことになります。したがって、新女王アリの誕生時期(羽化)が6月の末から7月にかけてだとすれば、11年間生きていたことになります。
今年の春以降、越冬幼虫が成長して成虫になった時、その成虫の中に働きアリがいるなら、この推察が正しかったことになるでしょう。その一方、その成虫が雄アリばかりだった場合、女王アリが産卵したのか、働きアリが産卵したのか分かりませんから、女王アリがいつまで生きていたのかも特定できなくなり、この推察が正しかったとは断言できなくなるでしょう。
11月3日の観察で、庭のトゲアリ(T130921-09)が分巣を造っていることに触れています。今日は、このところかなり寒くなりましたので、その一方の分巣になっていた吊り下げ巣箱を屋内に回収することにしました。吊り下げ巣箱のロープを外してから、スコープカメラで巣箱の中を見たのですが、トゲアリの姿はありませんでした。
トゲアリのコロニーT130921-09は、いつのまにか完全に引越をしていました。おそらく、11月3日の観察から考えて、クリの木の地面際の朽ちた箇所に引っ越したのでしょう。来年の春になれば、そのことが確認できることでしょう。
今日は、庭のトゲアリ(T130921-09)をクリの木で見かけました。吊り下げ巣箱から出てくるトゲアリもいました。
そこで、蜜をクリの木の幹に垂らしました。
蜜を吸ったトゲアリは、意外にもクリの木の幹を下って行きました。
吊り下げ巣箱の方に目をやると、1匹の働きアリが、何かを咥えて巣穴から出てきました。後を追って行くと、このトゲアリもクリの木の幹を下って行きました。そして、地面際の朽ちた箇所へ入って行きました。
他方、蜜を吸って吊り下げ巣箱に戻って行く働きアリも見ました。
巣が2つに分かれているのでしょうか。今度は、昆虫を与えてみましょう。どちらの巣に運ぶでしょうか。
次に、大きめのクモを与えてみました。複数匹のトゲアリの働きアリがクモを分解し始めましたが、分解にかなり時間がかかっていましたので、クモの足を1本カッターで分離し、それを運び始めたトゲアリの後を追いました。このトゲアリもクモの肢を地面際の朽ちた箇所へ運んで行きました。
T130921-09は2箇所に分かれて生活しているようです。吊り下げ巣箱と地面際の朽ちた箇所のどちらが本巣になっているのかは推測するしかないのですが、一連の観察からは、地面際に本巣がありそうです。女王アリもそちらにいるのでしょうか。
直近の記事では「おめでとう! 結婚11年記念日」で紹介しているクロオオアリのコロニーB110608-07は、大変繁栄していたのですが、夏前から働きアリの数が急激に少なくなってきていました。その原因が分からないまま、女王アリが生きているのかが気になっていました。と言うのも、雄アリは増えていたからです。ところが、飼育ケースの汚れが大変酷く、女王アリの生存が確認できない状態でした。そこで、8月31日、引越をさせることにしました。
巣の本体(リトルアンテシェルフ)を解体して、コロニーを衣裳ケースの中に落とし入れると、女王アリが出て来ました。女王アリは健在だったのです。これでこの女王アリが確かに11年以上生きていることが明らかになりました(「11年以上」と表記したのは、結婚飛行に飛び立つ前年に成虫になっていると考えられるからです)。
別のアンテシェルフにアルミホイルを被せて、衣裳ケースの中に入れました。
翌朝には、引越はほぼ完了していました。予め用意していた餌器(開放蓋式アンテフィーダー)とリトルアンテシェルフを繋げ、1体にするための台に両者を載せました。餌器の上面にはベビーパウダーを塗っています。
幼虫がかなりの数いるようです。
8月11日の朝方、庭のトゲアリ(T130921-09)を見に行くと、多数の働きアリがクリの木の下方の切り株に近いところにいました。そこで、クモを与えてみました。
空中に吊るした人工巣箱を見ると、小型のアリが来ていました。巣箱を吊るしているロープを伝って歩いている同種の小型のアリもいました。
クロヤマアリもロープを伝って人工巣箱にやって来ていました。
何か異変が起きているのでしょうか。8月1日のこと(敵わなかった引越?)を思い起こしました。
コロニーの本体が何処にあるのかを知るために、人工巣箱の上に蛾を置きました。
先程与えたクモを探すと、別の場所へ運ばれていました。そこは、切り株の上部のベニヤ板の下に近いところでした。そして、そのベニヤ板の下の空洞にたくさんのトゲアリが集まっていました。また、その空洞の下方にもトゲアリがいました。
既にこの空洞にコロニーの本体が引越しているのでしょうか。
先程人工巣箱の上に置いた蛾の一部を運んでいる働きアリがいました。人工巣箱の巣穴へ運び込まずに、ロープを伝って人工巣から離れて行きます。
これでコロニーの本体が、人工巣箱から出て行ったことがはっきりしました。
更に切り株の上部のベニヤ板の下の空洞を見ると、幼生虫が運ばれて来ていることが分かりました。
再び、蛾の一部を運ぶ働きアリを見ました。この働きアリも、ロープを伝って人工巣箱から離れて行きました。そして、ベニヤ板の下の空洞へ入って行きました。
夕刻、観察に行くと、ベニヤ板の下の空洞に、ほとんどトゲアリがいなくなっていました。
人工巣箱を見ると、幼虫がちょうど巣穴へと運び込まれているところでした。
実はその直前に働きアリが仲間を咥えて運んでいるところを見ていましたが、その運ばれている方のアリはトゲアリの女王アリでした。
巣箱に到着した後、女王アリは咥えられたまま巣口近くまで運ばれて行きましたが、巣穴の大きさが比較的小さかったためか、巣の中に運び込まれませんでした。女王アリは巣箱の上面で一旦放たれ、その後再び咥えられて巣穴の中に運び込まれていきました。
この後も、幼生虫や仲間が人工巣箱へと運ばれていました。
それまでは気づいていなかったのですが、切り株の地際や地際近くの落ち葉に多数のトゲアリがいました。そして、そこにも、仲間を運ぶ働きアリがいました。
地際深くには、小型のアリが多数いました。
切り株の地際も巣の引越先候補だったのかも知れません。
8月1日も引越が敵わなかったようでしたが、今回も引越ができなかったようです。
翌日の8月12日、人工巣箱にトゲアリが留まっていることが分かりました。
ところが、クリの木の切り株から少し離れたところに落ちている枯れ葉やその近くの芝地にトゲアリがいました。しかも、幼生虫を運んできていました。
けれども、やはりコロニーの本体は人工巣箱の中にいるようです。与えたクモを巣箱の中に運び込んでいました。
夕刻、観察しに行くと、クリの木の切り株から少し離れたところに落ちていた枯れ葉やその近くの芝地からトゲアリがいなくなっていました。人工巣箱の中に戻って行ったのかも知れません。
人工巣箱に自然入居したトゲアリT130921-09のコロニーのその後ですが、完全に通常の生活に戻れたようでした。引き続きアブラムシから甘露を集めたりしていました。
ところが今日8月1日、たくさんのトゲアリの働きアリが、先の引越以前によく見かけたクリの木の切り株まで下りてきていました。
上の4枚の写真の一番上の写真を撮る際、働きアリが幼虫を咥えていることに気づきました。幼虫を咥えた複数の働きアリたちは、一定の方向へ歩いて行くのではなく、右往左往しているようでした。なぜこんなところに幼虫を運んできているのでしょう。そもそもどこから幼虫を運んできたのでしょう。
しばらく観察していると、幼虫を咥えて人工巣箱へと向かう働きアリを複数見かけるようになりました。
と言うことは、この幼虫はクリの木の切り株の中から運ばれてきたのでしょうか。しかし、先の引越・避難の際に、一部の群れが切り株の中に留まっていたとは考えられないのです。
しばらくすると、仲間を咥えて人工巣箱へと運ぶ働きアリも見かけるようになりました。
憶測に過ぎませんが、以前に巣にしていた切り株の中へ、人工巣箱から引越しようとしていたのかも知れません。ところが、切り株の中に小型のアリがいて(途中から入ってきた?)、引越を諦めたとも考えられます。
蜜を与えてみましょう。そうすれば、巣から出て来ている働きアリたちが、切り株の中へ帰って行くか、人工巣箱へ帰って行くかで、どちらを巣にしているかが分かります。
案の定、蜜を吸ったトゲアリたちは、迷うことなく人工巣箱へと帰って行きました。
更にバッタを与えてみました。
はやり、分解したバッタの躯体の一部を人工巣箱へと運んで行きました。
人工巣箱の中を巣にしているようです。
クロオオアリの移植コロニーB15099(O巣)は、昨年の7月11日に巣口が移動していたことについて触れていますが、今年になっては生存が確認できていませんでした。
7月23日、庭で蜜の給餌をしていて、あるクロオオアリの帰路を追っていると、巣口に辿り着いたのですが、そこはO巣があった近辺でした。
この場所を昨年の7月11日に撮影した写真で見ると、昨年巣口が移動した元の場所の東(写真では右)よりの上方のコンクリートブロックの隙間です。
B15099の生存を最後に確認していたのは、記録の限りでは昨年の8月ですから、ほぼ1年間生存が確認できていなかったことになります。観察不足であったとも言えますが、こんなこともあるのでしょう。
7月13日に庭に移植したB16018が、7月22日、既に引越を済ませているのがわかりました。
小型のアリ(オオズアリ)がいて、幼虫を運んでいました。アンテネストの中にも小型のアリが入っていました。ただ兵隊アリは来ていませんでしたし、小型のアリの個体数はそれほど多くはありませんでした。
アンテネストの底を下から見ると、幼生虫がいました。
幼生虫の全てではないように見えるのですが、幼生虫を置いたまま引越したことが分かります。恐らく何者かに巣を襲われたのでしょう。それにしても、クロオオアリの死体は全くありませんでした。
7月20日には、アリたちがまだアンテネストの中にいましたし、今日、小型のアリがまだあまり来ていなかったことを考えると、21日辺りに引越をしたのでしょう。引越先が何れ分かればと思います。
一昨日の7月15日、今年庭に移植したトゲアリT130921-09の異変に気づき、仮と思える避難場所を確かめることができましたが、その翌日の7月16日、T130921-09のために人工巣箱を設置することにしました。
以前T140906-03が人工巣箱に自然入居しましたので、T130921-09も人工巣箱に自然入居するかも知れません。T140906-03の場合は、結局人工巣箱に棲み続けることはできませんでしたが、その主な原因は、巣箱を地上に直に置いていたからだと考えています。そのため、小型のアリに襲われたようです。
そこで、今回は、人工巣箱を空中に吊るすことにしました。ロープで人工巣箱を上から吊るし、斜め下方向に3本のロープで固定しました。それから、落ちずに枝に掛かっていたトゲアリがいる落ち葉を巣箱の上に載せました。
次の日の7月17日、人工巣箱を見ると、巣箱の出入り口の穴を出入りする働きアリがいました。しかし、巣箱の上の落ち葉の中には、数が少なくなったようには見えましたが、まだトゲアリがいて、枝のトゲアリの塊の方は、変化がないようでした。
そして今日7月18日、巣箱の上の落ち葉の中のトゲアリがいなくなっていて、巣箱の出入り口付近には、巣を守っているかのような働きアリがいました。また、枝の塊も無くなっていました。
クリの木の葉には、甘露を求めてトゲアリが来ていました。いつもの光景です。
巣箱の上の落ち葉の中にいたトゲアリが、先ず初めに人工巣箱に移動し始め、その後でか並行してか、それらのトゲアリに誘導されて、枝で塊を作っていたトゲアリも人工巣箱に移動したのでしょう。分散していたトゲアリのコロニーが人工巣箱の中で一つにまとまったのでしょう。
そのことを確かめたいと思い、甘露を集めに行く通路の途中の枝に蜜を垂らして、蜜を飲んだ後、何処へ帰って行くかを観察することにしました。
T130921-09のコロニーは、やはり人工巣箱の中に引越したのでしょう。その後、次第に多くのトゲアリが、巣箱と蜜のある枝の間を往復するようになりました。
それからほぼ1時間後に見ると、巣口を守っているのでしょう、巣口の周りの働きアリが増えていました。
クロオオアリのS/N:B14034+133の引越先であった場所に、小型のアリが出入りしていました。
クロオオアリのコロニーはどうなったのでしょう。
5月4日に庭に移植したクロオオアリのコロニーのB14034+133は、5月9日になっても、複数個所で巣作りが行われていて、巣の位置が統一されていないようでした。5月10日以後は、自宅に不在の期間があり、その後の観察はできていませんでした。
それから1ヶ月以上が経った6月13日、引越先の手がかりを得たいと思い、コンクリートの階段で観察をしていると、側溝でクロオオアリを見つけました。早速蜜を与えました。
そのクロオオアリはやがて帰路についたようです。後を追って行くと、側溝の中の散水ホースを伝って上へと歩き始めました。そして、側溝の最上部に達すると、その散水ホースを伝って進路を右にとり、石板の溝蓋の下を潜り抜け、やがて側溝の割れ目の中に入って行きました。
この側溝の割れ目の場所については、5月9日までの観察では、観察の対象にはなっていませんでした。しかし、移植用に使った西洋ミツバチの巣箱からその方面へ歩いて行く働きアリが極く少数ながらいることに気づいてはいました。
再び階段の下の方へ行くと、腹部が膨らんだ働きアリが歩いていました。その働きアリを発見した場所から考えて、先程側溝に垂らした蜜を飲んだのではないようでした。その後を追って行くと、先程の働きアリと同じコースを歩いて、この働きアリも側溝の割れ目に入って行きました。
その側溝の割れ目から出てくる働きアリもいました。
確かに、ここがクロオオアリの巣になっていることが分かりました。
ところで、帰巣した2匹目の働きアリは、側溝で与えた蜜を飲んだわけではないのに腹部が膨らんでいたのですから、どこかに蜜源があるはずですので、その蜜源を探すことにしました。そこで、側溝の割れ目の巣とは反対方向に歩いて行く働きアリが階段の下の方にいましたので、その後を追ってみました。
すると、かなり離れたところに設置していた蜜器に辿り着きました。この蜜器には午前中に蜜を入れていました。
この新たに発見した巣のコロニーは活発に活動していることが分かります。このコロニーは、巣の位置から考えて、B14034+133に間違いないでしょう。
ちなみに、移植直後、巣作りが盛んに行われていた場所にはクロオオアリはいませんでした。
6月5日に移植トゲアリが大量死しているのに気づきましたが、3日後の6月8日に、生き残ったトゲアリがいるのかどうかを、元の巣があったクリの切り株辺りから周辺へと調べてみました。
すると、切り株の直ぐ上のドーフィン(イチジク)とロープで繋がっているヌアールK(イチジク)の主枝、を歩くトゲアリを見つけました。そこで、蜜を与えました。
やがて、腹部を膨らませて早足に歩き始めました。途中で仲間に出会うと、蜜を分け与えていました。そして、茎や葉で繋がっていたビックリグミの木の小枝をその木の中心方向へと歩いて行きました。
どうやらこのビックリグミの周辺に引越先の新居がありそうです。
蜜を垂らした箇所を見ると、数匹のトゲアリが集まっていました。その内の1匹が腹部を膨らませて歩き始めましたが、意外にもヌアールKの主枝を反対方向へと進んで行きました。そして、ロープを伝って杭に取り付き、更にその上方から隣りの杭へ渡り、隣りの杭を下って行きました。反対側へ回り込んで見ると、そこにトゲアリの女王アリがいました。
しばらくその場を離れ、再び見に行くと、女王アリが隣りの杭へと移動していました。
昨年の8月に、このトゲアリが引越をした際に1×4材で作った縦89mm×横127×奥行120mmの巣箱を持ってきて、杭の下方に置きました。
夕刻になって見に行くと、巣箱を出入りしていました。
巣箱がトゲアリに気に入られたのか、トゲアリが自然入居したことになります。杭の上部を両方向から見てもトゲアリはいませんでしたので、女王アリもこの巣箱に入ったのでしょう。
トゲアリが人工的な巣箱に自然入居したのですから、これは新たな発見であり新たな知見です。
15時頃、ヌアールKの主枝に蜜を追加しておいたのですが、夕刻見ると、その蜜がほとんど減っていないように見えました。このことから、巣箱に入った働きアリの個体数は少ないように思います。
ところで、最初に見つけたトゲアリが、蜜を吸った後ビックリグミへと戻って行ったのですから、そちらにもトゲアリの集団があるように思います。しかし、そのことは確認できないままになりました。
4月28日に庭に移植したBM19007ですが、移植に使った西洋ミツバチの巣箱の中に長い間留まっていました。
西洋ミツバチの巣箱の中にコロニーが留まっているのを最後に確認したのは5月12日ですが、5月24日に見ると、既に引越していました。引越に立ち合うことができませんでしたので、引越先は分からないままになりました。
B14034+133は、元々2014年採集のクロオオアリの2つのコロニーの合同コロニーです。
2015年11月30日に、いずれも女王アリがいるB14034(働きアリ4匹 幼生虫無し)とB14133(働きアリ13匹 幼虫10)を合併してできたコロニーです。その後ほぼ半年後には、女王アリは1匹になっています。
B14034+133は、とてもよく繁栄していて、今年の3月には雄アリがいるのを確認しています。
このB14034+133を今回は庭に移植することにしました。4月25日にBN19004を移植した同じ場所(八朔の近く)に、5月4日、西洋ミツバチ用の市販の巣箱の中に入れて移植しました。
1時間半程経つと、クロオオアリはもう巣箱から出て来ていました。巣箱直下のコンクリートの隙間に出入りする働きアリや、散水ホースを伝ってコンクリートの階段の側溝を下っていく働きアリがいました。
午後には、先程のコンクリートの隙間の他にも3箇所で巣作りを始めていました。
(以下の写真の箇所は巣箱に近いところから)
側溝の散水ホースを伝って、かなりの数の働きアリが移動していました。その一部がコンクリートの階段端の割れ目にもやって来ていました。
5月5日、早朝、階段端の割れ目で巣作りがかなり進んだようです。また、その位置の反対側に当たる側溝側も掘られていました。
ミツバチの巣箱を開けて見ると、飼育水槽の中にはほとんどクロオオアリはいないように見えました。
夕刻、幼虫をミツバチの巣箱から運び出す働きアリがいました。巣箱直下のコンクリートの隙間に運び込みました。まだ、飼育水槽の中にクロオオアリの家族が残っていたようです。
しばらくして、仲間を咥えて運ぶ働きアリもいました。
5月7日になると、それぞれの箇所で巣作りがかなり進んでいました。まだ引越先が統一されていないようです。
更に新たにコンクリートの階段下でも巣作りが始まったようです。
飼育器の水槽の中にはもうクロオオアリはいなくなっていました。引越が完了したのでしょう。
それから2日後の5月9日になっても、巣作りの場所は統一できていないようです。
(以下の写真の箇所は巣箱に近いところから いずれも14時台)
BM19001を移植した際には、次の日には巣の位置が統一されたようでしたが、この度のB14034+133では、複数個所で巣作りが行われていることから、6日経っても巣の位置が統一されていないようです。
コロニーの本体が、どこか1つの巣穴に引越しているのか、それとも分散して複数の巣穴に入ったのかは、確かめることができていません。