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T210912-02が産卵していた

昨年の9月16日に寄生を始めたT210912-02がいる人工巣リトルアンテシェルフをアンテグラウンドⅢに繋げたことについては、先のブログに書きましたが、その後について記録しておきます。

腹部が異常なまでに膨らんでいる 5月9日撮影
飼育器の様子 下から4段目にトゲアリの女王アリがいた 5月9日撮影
女王アリがいた同じ階に卵がある 5月9日撮影
5月9日撮影

2つのコロニーをアンテグラウンドⅢに繋ぐ

BK170530-081は、2017年5月30日に駒ケ根市で新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーです。今年で創巣から5年目を迎えることになります。かなり大きなコロニーになってきていました。

そこで、アンテグラウンドⅢと繋げることにしました。

左がアンテグラウンドⅢ

アンテグラウンドの中に15cm四方のキューブ水槽を入れ、濾過器を設置しました。また、アンテグラウンド内を換気するため、USB仕様の送風ファンも取り付けました。

昨年、クロオオアリのコロニーBK170530-040に寄生したトゲアリT210912-02の初期コロニーも、別に用意したアンテグラウンドⅢに繋げました。

トゲアリの女王アリが寄生しているT210912-01の初期コロニー

こちらも、水槽・濾過器・USBファンを設置しました。

9月16日の寄生 その後

9月16日に始めたトゲアリの女王アリの寄生の試みのその後について、まとめておきます。

1例目のトゲアリの女王アリS/N:T210912-01は、19日の夜、死んでいるのに気づきました。2例目のS/N:T210912-02が、この間ずっと宿主の女王アリと組み合っていましたので、T210912-01は、クロオオアリの女王アリと戦うことなく、働きアリに殺されたことになります。

9月19日21時44分撮影

2例目のT210912-02は、22日まではずっとクロオオアリの女王アリの頸部に咬みついていました。

9月18日5時57分撮影
9月21日9時40分撮影
9月22日9時33分撮影

9月23日になると、クロオオアリの女王アリから離れて、歩くようになりました。クロオオアリの働きアリから攻撃されてはいませんでした。

クロオオアリの女王アリから離れて歩くトゲアリの女王アリ 働きアリから攻撃されていない 9月23日8時2分撮影

ただ、死んだように思えたクロオオアリの女王アリが、体を一瞬丸めたことがあり、まだ生きていました。

クロオオアリの女王アリが体を丸めた一瞬 9月23日8時18分撮影
ほとんどの場合、トゲアリの女王アリはクロオオアリの女王アリの傍にいる 9月23日20時6分撮影

9月24日になると、クロオオアリの女王アリが動くところを見なくなりました。死んだのかも知れませんが、確認はできていません。トゲアリの女王アリが、クロオオアリの女王アリの頸部に咬みつくところも見ましたが、クロオオアリの女王アリから離れて歩くところも見ました。多くの時間は、クロオオアリの女王アリの極く近くにいます。

側面からクロオオアリの女王アリの頸部に咬みついていた 9月24日10時10分撮影
クロオオアリの女王アリから離れて歩いていた 9月24日15時27分撮影
多くの時間、クロオオアリの女王アリの極く近くにいる 9月24日16時53分撮影

まだ確言はできないのですが、T210912-02は、寄生の極く初期の段階は達成したようです。
それにしても、トゲアリの女王アリが、ほぼ1週間もの間、咬み続けることができる能力には驚かされます。

寄生を試みる 宿主BK170530-040

最後にトゲアリの寄生を試みたのは、3年前の2018年9月22日でした。この時は、たった1例だけの寄生の試みでしたが、幸運にも寄生に成功しています。このトゲアリのコロニーは、今も生存しています。
9月16日、先日(9月12日)採集したトゲアリの新女王アリを使って、久しぶりに寄生を試みることにしました。宿主としてクロオオアリのコロニーのBK170530-040を使うことにしました。

宿主となるBK170530-040
女王アリ 最下段にいた 9月16日14時56分撮影

寄生体としてS/N:T210912-01を使うことにしました。新女王アリをクリアカップ容器で仮保管していますので、その中にBK170530-040の働きアリを1匹入れてみました。

クリアカップの中 14時58分撮影

直ぐに女王アリの方からクロオオアリを捕捉し、化粧行動を始めました。やがて女王アリがクロオオアリを放ちました。クロオオアリは無傷のようです。BK170530-040の働きアリを更に1匹ずつ加え、3匹にしましたが、女王アリは化粧行為をしませんでした。女王アリは早足にクリーンカップの円周を歩いています。もう寄生する準備ができたのでしょうか。

もうクロオオアリには関心がないようだ 15時8分撮影

いよいよ寄生を始めることにしました。フィルムケースに女王アリを移し入れ、BK170530-040の飼育器のアクセス穴の栓を外して、フィルムケースを被せました。間もなく飼育器の中に入って行きました。

アクセス穴の栓を外してフィルムケースを被せた 15時12分撮影
クロオオアリの飼育器の中に入って行った 15時12分撮影

この時の様子をビデオ撮りしています。15時11分からの3画面を4分30秒にまとめています。

ビデオの3画面目は、寄生開始からおよそ1時間後ですが、トゲアリの女王アリがかなり弱っているように見えます。翌日には死んでいるのではないかと思っていましたが、9月17日、朝見るとそうでもないようです。クロオオアリたちに拘束されていない時があり、その時は、普通に歩いて移動していました。また、前日は上の段から2段目で拘束されていましたが、今日は上から4段目(下からは3段目)に移動していました。

拘束が解かれてはいないようだ 化粧行為も見られた 9月17日8時55分撮影

ところで、もう1例、9月16日に寄生を試みていました。寄生体はS/N:T210912-02、宿主は同じくBK170530-040です。
クリアカップの中に既に入れていた3匹のクロオオアリの働きアリの中に、T210912-02を入れました。ところが意外にも、このT210912-02はクロオオアリには関心がないようです。しばらく見守りましたが、化粧行為をしようとしません。盛んにクリアカップの円周を早足で歩いています。
そこで、化粧行為をしていないまま、BK170530-040へ侵入させることにしました。今度の侵入口は、クロオオアリの女王アリがいる最下段横の拡張穴にしました。

最下段にある拡張口 最下段にはクロオオアリの女王アリがいる

この時の侵入の様子もビデオ撮りしています。16時22分に侵入しましたが、その直後の様子です。

ビデオのように、T210912-02は迷う様子もなく、一直線にクロオオアリの女王アリに向かって行きました。そして、喰い付いたようでした。
19時過ぎに様子を見ると、クロオオアリの女王アリは頭部を上方に上げたままになっています。

頭部を上げたままの姿勢になっている 19時6分撮影

この姿勢は、クロオオアリの女王アリが腹面から頸部を咬まれていることを意味しています。以前からの観察で、この姿勢が寄生の成功率が最も高い姿勢です。トゲアリの女王アリが既に王手をかけたことになります。このままの姿勢を組み続けることができれば、寄生は成功です。
ちなみに、クロオオアリの女王アリの背面に2本の肢の跗節がくっきりと写っていますが、この肢はトゲアリの女王アリの肢です。トゲアリの女王アリが、クロオオアリの女王アリをその腹面からしっかりと抱きついていることが分かります。
22時過ぎになって、予期通りの写真(トゲアリの女王アリが、クロオオアリの女王アリの腹面から頸部に咬みついているところ)を撮ることができました。

トゲアリの女王アリがクロオオアリの女王アリの頸部を腹面から咥えている 22時21分撮影

また、今日(9月17日)もトゲアリの女王アリがクロオオアリの女王アリの頸部を腹面から咥えているところを見ることができました。

8時38分撮影
8時59分撮影

さて、2例目のトゲアリの女王アリの他、1例目のトゲアリの女王アリも、現時点では生きているのですが、このようなことは、自然界でも起きているはずです。ですから、一時的になるかも知れませんが、複数のトゲアリの女王アリ(関連ブログ)が、BK170530-040に寄生しつつあることを良しとしたいと思います。2匹をこのままにして観察を続けます。