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アリ日記 2011/08/10 ローヤルゼリーの効用は

群馬県の沼田市を旅行中に養蜂園を見つけました。ローヤルゼリーの原液をアリに与えたいと予てから考えていましたので、購入しました。果たして、アリはローヤルゼリーを食べるでしょうか。

写真のように、ミツバチの分泌物であるローヤルゼリーを違和感なく食べ始めました。ローヤルゼリーにはタンパク源も含まれているので、日常的な餌として利用できれば、飼育の手間が簡略化されます。つまり虫を与えなくてもよくなるかも知れません。

そこで、餌として糖分と昆虫を与える場合と、糖分とローヤルゼリーを与える場合で家族の増え方を比べてみます(糖分だけの場合は省略しています)。それぞれ5個の人工巣で対照実験を行います。それぞれの5個の内訳は、働きアリの数が10匹が4個と11匹が1個です。何ヶ月後かの働きアリの数を比較します。ここで予想を立てておきましょう。

ア.昆虫を与えた方が働きアリの数が多くなる。
イ.ローヤルゼリーを与えたほうが働きアリの数が多くなる。
ウ.どちらもほぼ同じ。

さて、話が変わって、10日現在の人工巣の数は60個ですが、その全ての巣の働きアリの数を調べました。〔( )の中の数字はムネアカオオアリの数で内数〕

13匹      1
12匹      1
11匹      4
10匹    11 (2)
9匹      4
8匹      7
7匹      9(2)
6匹      5 (1)
5匹      1
4匹      7(1)
3匹      0
2匹      1
1匹      6(1)
0匹      3

働きアリがいない3匹の女王アリの家族のうち、1匹は子育て失敗組(7月22日記事参照)ですから、59家族で平均を出してみると、働きアリの数は、1家族当たりおよそ7匹(405匹÷59家族=6.86…匹/家族)となります。

記述のローヤルゼリーを使った対照実験は、上記のこの60個の人工巣から抽出したものです。

下の写真は、10日時点での順調に育っている家族の様子です。上がクロオオアリ、下がムネアカオオアリです。働きアリが10匹前後います。

下の写真は何をしているのでしょう。

中央のアリは、足をたたむように曲げ、既に死んでいるように見えます。周りの3匹のアリに食べられるのでしょうか。よく見ると右上のアリの口元に黄色いものが見えますが、これは何なのでしょうか。

ちょっと見ると中央のアリは攻撃されているように見えますが、実はこれは羽化の様子です。黄色いものは繭のかけらです。クロオオアリは、自分一匹では羽化できません。繭を破るのも、蛹の時に体中を覆っている薄い 膜を取り去るのも、全部仲間のアリがします。女王アリが子育てをして、初めて成虫になるときは、女王アリがこの役をします。何れにせよ、クロオオアリの世界では、自分だけの力では生まれることができず、必ず介助が必要なのです。こんな昆虫は外にはいません(全てのアリの仲間がそうであるかの検証はしていません)。やはり、アリの仲間は高度に発達した社会生活を営んでいると言えます。

最後にこの写真を見てください。

女王アリが死にました、働きアリ1匹と繭1個を残して。こうなったらもうこの家族は続きません。全滅するのを待つのみです。では、次のようなことをしたらどうなるのでしょうか。働きアリと繭を他の女王アリと一緒にします。その女王アリにはまだ働きアリがいません。

ア.女王アリは仲良く働きアリと繭を受け入れる。
イ.女王アリは働きアリを殺し、繭だけ受け入れる。
ウ.女王アリは働きアリを殺し、繭もかみ砕く。

一緒にすると必ず働きアリは殺されます。しかし、繭は受け入れられます。
働きアリは女王アリに近づきます。そこには敵意は感じられません。が、女王アリはすり寄ってきた働きアリをすぐに殺してしまうのです。

アリ日記 2011/08/02 完成した64個の人工巣

今日までにコンクリート製の人工巣が64個完成し、一覧できるように棚に並べて、飼育を始めました。

写真には写っていませんが、写真の下方にも人工巣があります。また、写真中央手前は2年目をむかえたクロオオアリの家族の人工巣です。

下の2枚の写真は、これら人工巣の中でも、順調によく育っている家族の写真です。上がクロオオアリで、下がムネアカオオアリです。働きアリが6〜7匹いますね。

さて、7月27日付けで紹介したクロオオアリの庭での飼育ですが、10cm角のタイルの上に更に15cm角のタイルを載せました。

タイルを2枚にすることで、暑さを防ぐことができ、また、雨の時の真砂土 (まさど・まさつち)の流失を防ぐことができます。

タイルを取り除いて、巣の中の様子を見てみましょう。


7月26日には働きアリが1匹だったのが、4匹になっています。ただ、出入り口は、今もまだ塞がれているように見えます。尤も、この段階では、必要に応じて出入り口を開けたり閉めたりしているのかも知れません。

この日、巣穴の周りの真砂土はかなり乾燥していたので、タイルを取り除いてみるまで心配でしたが、PET樹脂製の蓋の内側に水滴がたくさんついていました。結露した水分です。この結露した水があるので、死なないで生きていられるのでしょう。