昨年の6月8日に交尾を終えたクロオオアリやムネアカオオアリの家族に変化が見られるようになりました。

女王アリの腹部が膨れています。幼虫も大きくなりだしました。冬の間も、小さな幼虫を見かけていましたが、このところ急に大きくなりだしました。

こちらの家族では、もうかなり幼虫が大きくなっています。この家族は、コンクリートの穴の中には入らずに、地上で暮らしています。このような家族は、意外と多いのです。アクリル板で蓋がされていますので、空気が入れ替わることがなく、巣の中にいるのと同じ環境なのでしょう。このように地上を巣にしている家族の場合、飼育する上で困るのは、砂糖や水を与える時です。アクリルの蓋を開けるとわっさと這い上がってきて、外に出てしまいます。そこで、働きアリの動向を見て瞬時に餌を与えます。水は、化粧品用の注射器の針だけをそっと蓋の下に滑り込ませて、ピストンを押して給水します。
このような家族を巣穴に移動させるには、あることをします。アクリルの蓋の代わりに穴の空いた蓋をするとよいのです。私の場合は、アルミをパンチングした板を使いました。時々、息を吹きかけたり、風を送ります。アリはそれを嫌って、右往左往します。そして、その内巣穴に入って落ち着きます。

この家族も地上で生活しています。幼虫が見えますね。こちらの方は、6月8日以来、一度もたんぱく質(昆虫など)を与えないで、砂糖と水だけで飼育している家族です。5家族中1家族の女王アリが途中で死にましたが(残された10匹の働きアリと1匹の幼虫は、今も元気に暮らしています)、餌との因果関係はまだ結論を出す段階ではありません。また、幼虫もこのようにいるのですから、幼虫がどのように育つか、全体の個体数がどうなるのかも、今年の研究課題です。

こちらは、一昨年の6月に交尾を終えた女王アリとその家族です。たくさんの幼虫が育ちつつあります。この家族は、未だに1つの部屋だけを使っています。

こちらも、一昨年の6月に交尾を終えた女王アリとその家族ですが、今は3部屋から5部屋ほどを使っています。こちらの家族の方が明らかに個体数が多いのです。両者の個体数はかなり違いますが、その要因は特定できていません。どちらにも、同じ回数砂糖や昆虫を与えてきました。個体数の違いは、昨年の夏にはもう現れていました。

ズームアップしてよく見ると、もう繭がいくつもあります。大変早い成長です。

ピントを後ろにシフトすると、卵や小さな幼虫も見えます。
全体に成長が早くなっているのは、飼育している部屋の室温に原因がありそうです。ここは3階で、このところ昼間は暖房をしていなくても、24度ぐらいになります。また、冬の間も昼間は暖房をしていることが多かったのです。これら気温が要因となって、成長を早めていると考えてもよいでしょう。
最後に、ムネアカオオアリの様子です(下の写真)。現在ムネアカオオアリは、6家族います。

ちなみに、その他に、冬の間に女王アリが死んだ1家族がいます。その原因は分かりません。女王アリは死んでしまいましたが、残された10匹の働きアリは元気に暮らしています。