確かな時期は覚えていないのですが、おそらく今年の春の終わりごろ以来だと思うのですが、庭で久しぶりにクロオオアリを見つけました。塀に砂糖水を垂らして、庭に元々からいるアリを呼び寄せて調べようとしていたのですが、その砂糖水にクロオオアリが来ていたのです。
庭で久しぶりに姿を見たクロオオアリ
なんと久しぶりなのでしょう、庭に移植したクロオオアリが巣から外に出て餌探しをしていたのです。まだ、どこかでちゃんと生きていたのだなという安堵というか、嬉しさのようなものを感じました。9月1日に庭に移植したクロオオアリの巣を調べて、まだ生きている家族があることは分かっていたのですが、庭を歩いている働きアリを、春の終わり以来一度も見ていなかったのですから、餌はどうしているのか、とても心配だったのです。
でも、今日、少なくともある巣では、餌を探して生きていたということが分かったのです。
ところで、この働きアリは、どこに棲んでいる家族の一員なのでしょうか。極近くに1号巣があり、9月1日には、少なくとも1匹の働きアリがいることを確認しています。また、春の終わりに庭で働きアリを見つけたのも、この1号巣の働きアリでした。
しばらくすると、この働きアリは、砂糖水から離れ、どこかへと帰り始めました。後を追っていけば、 どこに巣があるか分かるはずです。すると、案の定、1号巣の方へと行きました。
1号巣の上を歩くクロオオアリ
ところが、この働きアリは、1号巣のレンガから下へ降りていき、再び地面を歩き始めました。
「ひょっとしたら、あの家族なのかもしれない」─ その時そう思いました。というのは、この働きアリが、かなり大型であることもそう思わせたひとつの要因ですが、2年間人工巣で飼い、今年の6月18日に庭に出し、7月15日に気付いた時にはどこかに引越をしていたあの家族が、きっと庭のどこかで生きているはずだと信じていたからです。
その働きアリは、再び地面を歩き始めて、それからほんの少し歩いたところで、突然姿を消してしまいました。
どこに消えたのだろう!
消えた辺りの枯れた葉をそっと取り除いたのですが、穴らしいものがありません。本当に不思議です。
穴らしいものがない
ところが、もう一度、その辺りを別の角度から見ていると、なにやら穴らしいものがありました。
何か穴のようなものがある
そこで、細長い草の葉を穴の中に突っ込んだのですが、何の反応もありません。まわりの草の葉を取り除いておこうと、草の葉を引っ張ったところ、穴のある辺りの地面が盛り上がってしまいました。
穴の辺りまで土が崩れてしまった
この穴の周りには、穴を掘った後のちょっとした盛り土がありません。本当に、ここにアリの家族が棲んでいるのでしょうか。また、ここを巣の出入り口にして棲んでいるとしても、そのアリの家族は、極近くの1号巣の家族なのでしょうか。それとも、他の家族 ─ 大方それは3年目を迎えていたあの大きめの家族なのでしょうか。
しばらくして、塀の砂糖水があるところを見ると、さっきと同じ大きさの働きアリが来ていました。きっと同じアリなのでしょう。
さっきと同じアリらしい
砂糖水をなめていましたが、腹部が膨らまない内に移動して、今度は何やら塀をなめ始めました。
何をなめているのでしょうか
そこには何もないように思えるのですが、アリにとっては何か食べ物があるのでしょう。でも、それではお腹が膨らみそうもありません。お腹が膨らむまでは巣に帰らないでしょう。
そこで、近くに氷砂糖も置いていたので、この氷砂糖に水を垂らしました。するとしばらくして、この働きアリはこの氷砂糖を見つけました。
氷砂糖を見つけた
まもなく、お腹が膨らんでいきました。
お腹が膨らんだ
やがて、帰り始めました。追って行くと、
例の穴に入って行くクロオオアリ
例の穴に入っていきました。この穴は、確かにクロオオアリの巣穴なのです。
やがてまた、同じアリと思われる働きアリが砂糖水のところにやってきて、巣穴に戻っていきました。
なかなか仲間の働きアリが出て来ないので、どうなっているのだろうと思っていると、少し小型の働きアリが砂糖水の方へと歩いていくのを見つけました。この働きアリは、先程からの働きアリと砂糖水があるところで出合い、挨拶を交わしてから砂糖水をなめ始めました。同じ巣の仲間です。
少し小型の働きアリ
やがて1号巣のレンガの上を通り、
帰路のもう一匹の働きアリ
同じ巣穴に入っていきました。
巣穴に入る働きアリ
しばらくの間、観察を続けていると、2匹の働きアリが砂糖水の場所にいる写真も撮ることができました。
2匹の働きアリ
夜の8時に行って見ると、大きい働きアリが砂糖水のところに来ていました。夜も活動しているようです。