前回のブログで取り上げている女王アリの採集場所は、少し離れた2箇所ですが、いずれも標高が850m前後のところです。
それらの地点では、既に大部分の羽蟻が直前に結婚飛行を終えていたわけですが、と言うことは、少し標高が高いところでは、結婚飛行はこれからかも知れません。
そこで、同じ地域の山へと車を走らせました。途中に駐車場とトイレがある公園があり、そこで観察することにしました。標高は990m前後です。
道はアスファルトで舗装されていて、道の脇のコンクリート製の溝との間の割れ目をうまく利用して、クロオオアリがいくつか巣を作っていました。案の定、そこにはまだたくさんの羽蟻がいました。
これらは6月5日の様子です。結局、この日、これらの巣からは羽蟻は飛び立ちませんでしたが、ほんの少し道を下ったところにあるクロオオアリの巣からは、何匹かの女王アリが飛び立つのを見ることができました。
ただ、私が見た限りでは、巣の出入り口には雄アリもいたのですが、女王アリだけが、時々飛び立つといった具合でした。
ところで、ムネアカオオアリの女王アリの方はと言うと、山側の茂みの中から何匹かが出てきました。
結局、この日この公園では、ムネアカオオアリの女王アリを2匹採集するにとどまりました。クロオオアリの女王アリは採集できませんでした。
次の日にもこの公園を訪れましたが、前日と違い、夕刻になっても巣から出て来る羽蟻はいませんでした。2日目はこの公園では、1匹も女王アリを採集することができませんでした。
ところで、天気が昨日より違っていました。夕刻前には、曇になっていました。そして、午後8時を過ぎた頃、雨が激しく降ってきました。
それで、この日、羽蟻が飛び立たなかったわけがわかったように思えました。もし、結婚飛行をしていたら、新女王アリは雨の中で穴を掘ることになります。小降りならまだしも、激しい雨の中では、せっかく掘りかけた穴は、あっという間に埋まってしまったことでしょう。
まだ、結婚飛行をする前の巣では、巣の出入り口から羽蟻が外の様子を窺っています。いつ巣から飛び立つか、外の様子を見ていると考えられますが、様々な気象的な要素を捉える能力があるのではないでしょうか。アリには、ある意味、天気を予知できる能力があると言えるでしょう。(例えば、モンシロチョウには天気を予知する能力があるのかと言うことです。裏返して言えば、天気を予知する必要があるのかということでもあります。モンシロチョウは、雨が降ってきて始めて、葉の裏などに身を寄せるのでしょうか。)