9月17日に、「トゲアリの強さについて」述べましたが、そのサンプル数は10例でした。また、その後、オオアリの女王アリのいない巣へトゲアリの女王アリを入れましたが、そのサンプル数は5例でした。
今回は、更に追加実験をした全部を合わせての現時点での結果を報告します。
追加実験は次のようです。
(年は採集年度 記載のないものは2012年採集)
(「有」は女王アリあり 「無」は女王アリなし 「死体」は女王アリの死体あり)
9月18日
⑨ 以前の⑤クロオオアリ(S/N:SIMSMA 01089)2度目(死体)
9月26日
⑩ 以前の③クロオオアリ(S/N:SIMSMA 01016)2度目(有)
⑪ 以前の⑤⑨クロオオアリ(S/N:SIMSMA 01089)3度目(死体)
⑫ 以前の⑥クロオオアリ(S/N:NESTCON 01001拡張蓋)2度目(無)2011年
⑬ 以前の⑦クロオオアリ(S/N:NESTCON 01004拡張蓋)2度目(無)2011年
⑭ 以前の⑧クロオオアリ(S/N:NESTCON 01005拡張蓋)2度目(無)2011年
⑮ クロオオアリ(S/N:SIMSMA 01043)(死体)2013年
⑯ クロオオアリ(S/N:SIMSMA 01056)(死体)2013年
⑰ クロオオアリ(S/N:ANTECB 02005)(有)2013年
⑱ クロオオアリ(S/N:ANTECB 02007)(有)2013年
⑲ クロオオアリ(S/N:ANTECB 02008)(有)2013年
⑳ クロオオアリ(S/N:ANTECB 03003)(有)2013年
㉑ クロオオアリ(S/N:ANTECB 03004)(有)2013年
⑻ 以前の⑶ムネアカオオアリ(S/N:SIMSMA 01007)2度目(有)
⑼ 以前の⑸ムネアカオオアリ(S/N:SIMSMA 01033)2度目(有)
9月27日
㉒ クロオオアリ(S/N:NESTCON 01001本巣)(有)2011年
㉓ クロオオアリ(S/N:NESTCON 02001)(有)2013年
㉔ クロオオアリ(S/N:NESTCON 02002)(有)2013年
㉕ クロオオアリ(S/N:SIMSMA 01047)(有)
㉖ クロオオアリ(S/N:SIMSMA 01067)(有)
㉗ クロオオアリ(S/N:SIMSMA 01075)(有)
㉘ クロオオアリ(S/N:SIMSMA 01080)(有)
㉙ クロオオアリ(S/N:SIMSMA 01086)(有)
㉚ クロオオアリ(S/N:SIMSMA 01042)に2匹同時侵入(有)
⑽ ムネアカオオアリ(S/N:SIMSMA 01010)(有)
⑾ ムネアカオオアリ(S/N:SIMSMA 01029)(有)
⑿ ムネアカオオアリ(S/N:SIMSMA 01063)(有)
⒀ ムネアカオオアリ(S/N:SIMSMA 01068)(有)
⒁ ムネアカオオアリ(S/N:SIMSMA 01070)(有)
クロオオアリの巣への侵入は、㉚が同時に2匹ですので、総計31匹になります。ムネアカオオアリの巣への侵入は、14匹となります。
結果について
クロオオアリの場合は、トゲアリが寄生に成功したと思われるのは、4例です。(他は全て死亡しました)
④(S/N:SIMSMA 01024)(有)
⑪(S/N:SIMSMA 01089)3度目(死体)
⑮(S/N:SIMSMA 01043)(死体)2013年
㉖(S/N:SIMSMA 01067)(有)
※現在闘争中なのは、
⑬(S/N:NESTCON 01004拡張蓋)2度目(無)2011年 寄生できる可能性がある
⑭(S/N:NESTCON 01005拡張蓋)2度目(無)2011年 強く攻撃を受けている
ムネアカオオアリの場合は、トゲアリが寄生に成功したと思われるのは、4例です。(他は全て死亡しました)
⑴(S/N:NESTCON 01025本巣)(有)
⑷(S/N:SIMSMA 01028)(死体)
⑹(S/N:NESTCON 01025拡張蓋)(無)
⑺(S/N:NESTCON 01029拡張蓋)(無)
考察
自然界では、オオアリの女王アリがいる巣の方が、多いと考えられますので、それぞれの寄生の成功率は、
クロオオアリ:2÷31×100=6.5%
ムネアカオオアリ:1÷14×100=7.1%
これは、両者には有意差がないと言うことですので、オオアリ全体としては、3÷45=6.7%となります。
女王アリがいない場合、女王アリとの闘争がないわけですが、その場合の寄生の成功率は、
クロオオアリ:2÷31×100=6.5%
ムネアカオオアリ:3÷14×100=21.4%
この場合は、両者に有意差がありますので、どう考えたらよいか迷いますが、オオアリ全体としては、5÷45×100=11.1%となり、6.7%と比べると2倍弱ですが、寄生できる成功率が高くなります。なお、最終的には、クロオオアリの闘争中の2サンプルの結果を反映させたいと思います。
いずれにしても、9月15日に立てた寄生時の成功率についての仮説「トゲアリの女王アリは、その大多数がオオアリの女王アリとの戦いに破れる」を裏付けています。