アリの巣の中にはしばしばダニがいます。昆虫の食べ残しがあれば、ほとんどの場合、そこにはダニがいると思ってもよいでしょう。肉眼では気付かないことが多いのですが、実体顕微鏡などを使えば、はっきりとその姿をとらえることができます。
このダニは、ほとんど自然発生をして現れたかのように思えます。実際には、餌として与える昆虫のどこかについているのでしょう。このダニの発生は防ぎようがありません。大量に発生させないためには、昆虫を食べ残さないよう少なめにアリに与えること、食べ残しているようなら、早めに取り出すことです。
上の写真は、死んで干からびたクロオオアリの幼虫に付いていたダニです。この1つ前のブログ(「クロオオアリの不可解な行動」)の下の写真の左上に写っている幼虫が、その死んでいる幼虫です。このように、このダニは、クロオオアリやムネアカオオアリの死んだ幼虫や卵にもついていることがあります。
以前、クロオオアリに少し大きめのガの幼虫を与えたところ、働きアリたちがその幼虫を巣穴の中に運び込み、そのまま腐敗したことがありました。この時、実に大量のダニが発生し、極く小さな白っぽい点が死んだ幼虫の周りにいっぱい見られました。この状況は、かなりの時間をかけてなくなりました。
ダニといえば、寄生性のものを思い浮かべますが、ダニ目の大部分は寄生性はありません。このダニも、アリには危害を与えていないようで、死んだ昆虫を食べる腐食性と思われます。ひょっとしたら、アリの餌になっているかも知れません。また、人間にも危害を与えないようですから、アリを飼育する上で、健康上特別に配慮することはないようです。