日別アーカイブ: 2015年5月26日

ルリアリの異様

ルリアリを実体顕微鏡で観察していて、意外なことを目にしています。
まず、下の写真をご覧下さい。

扇のような模様が見える

扇のような模様が見えます

これは幼虫ですが、たたんだ扇のような模様が見えます。ここには写っていませんが、同じ模様が蛹にも見られました。とりわけかなり多くの幼虫に同じような模様が見られるのです。模様は皮膚と一体化しているように見え、本当に皮膚の模様のように見えるのです。いったいこれは何だろうとかなり長い間、不思議に思っていました。
ところが、今日、やっとそれが何なのか思い当たりました。餌として与えているガの鱗粉なのではないか……、そう思い、確かめて見ることにしました。巣の中の床を見ると、

これは鱗粉です

これは鱗粉です

同じ模様のものが、無数にありました。これは明らかにガの鱗粉です。幼虫などに見られた模様は、やはりガの鱗粉だったのです。

実体顕微鏡で見ると、もうひとつ、不思議なものが見えます。体の中の白い塊です。

幼虫や蛹の体の中に白い塊が見える

幼虫や蛹の体の中に白い塊が見えます

成虫の腹部の中にも白い塊が見えます

成虫の腹部の中にも白い塊が見えます

いったいこれは何なのでしょうか。脂肪の塊?、つまり栄養源なのでしょうか。ちなみに、羽化したばかりの成虫を見ると、やはり胸部と腹部に白い塊が見えます。

羽化したばかりの成虫 やはり白い塊が見えます

羽化したばかりの成虫 やはり白い塊が見えます

ブドウの幹の中から女王アリが

5月2日、庭の「ピオーネ」というブドウの幹の中から、女王アリを採集しました。
この時期、ブドウは新しい芽を出すのですが、途中から葉が出てこない幹があり、その幹にはスカシバというガの幼虫(蛹)が入り込んでいるのです。葉が出ない冬の間はわからないのですが、春になるとスカシバが入っていることがわかります。
こうなると、幹を切り落として、スカシバを退治しておかなくてはならないのですが、そうした幹の一つから、これまで見たことがない女王アリを見つけました。
スカシバがいたと思われる幹の空洞の中に、幼虫や蛹とともに女王アリがいました。同じ箇所に働きアリもいたので、それも採集しました。

ブドウの幹の中から見つかった女王アリ

ブドウの幹の中から見つかった女王アリ

働きアリの姿もある 左上

働きアリの姿もある 左上

女王アリからは、種は特定できませんでしたが、働きアリを見ると四つ星があり、シベリアカタアリのように思えました。
この働きアリは、8匹採集していましたが、不思議なことに何日経っても女王アリと一緒にならないのです。そこで、この働きアリと女王アリは、たまたま同じ場所で採集した別種であると考え、働きアリの方を取り除きました。
5月26日、働きアリが1匹生まれていました。

働きアリが1匹生まれていました

働きアリが1匹生まれていた

やはりこの女王アリは、シベリアカタアリではなかったのです。シリアゲアリのようです。種は特定できませんが、シリアゲアリ亜属のアリです。女王アリには、働きアリにはある刺(前伸腹節刺)がありません。

女王アリには刺がない

女王アリには刺がない

特製の蜜をすぐそばに置きましたが、飲まずに木片を被せてしまいました。

アミメアリを捕獲

5月17日午後、千鳥ケ丘公園で塊を作っているアミメアリを見つけました。

アミメアリの塊

アミメアリの塊

産卵の為に寄り集まっているのではないかと思い、採集して観察をしようと思いました。フィルムケース2個を両側から挟み込むようにして、一度に大量のアミメアリを採集しました。ほんのわずかながら、幼虫の姿はありましたが、卵は見当たりませんでした。
カップ型コンクリート製人工巣用のW拡張蓋がちょうど空いていましたので、その中に入れました。しかし、餌器を入れ忘れていましたので、次の日にはパイプでアンテアダプターを繋げて巣を拡張しました。

巣を拡張したところ

巣を拡張したところ この写真は拡張した後の21日の写真

すると、アンテアダプターの方へ移動してしまいました。狭い空間の方が、お気に入りのようです。
案の定、産卵が始まりました。下の写真は、採集からわずか3日後に撮影したものです。もうこんなにも卵が増えています。

アクリル製の上蓋に置かれた多数の卵

アクリル製の上蓋に置かれた多数の卵

アミメアリは女王アリがいないアリで、働きアリが産卵することは知識では知っていましたが、確かにそうでした。
この卵は、アクリル製の上蓋にくっつくように置かれていましたので、実体顕微鏡でよく観察できました。

5月21日撮影

5月21日撮影 クリックすると写真が拡大します

5月26日撮影

5月26日撮影 クリックすると写真が拡大します

卵の中が透けて見えています。よく見ると粒のようなものが見えます。これは一体何なのでしょうか。

ちなみに、以下は飼育器の中のアミメアリの生活の様子です。

水を飲む

水を飲む

ガを食べる

ガを食べる

蜜を飲む

蜜を飲む