「アリ学入門」は、2015年の7月25日に持たれた「『アリを飼ってみよう!』1日教室」用に書き起こしたテキストです。この1日教室は、滋賀県大津市にある滋賀リビング新聞社のカルチャー倶楽部の講座の一つとして持たれたもので、参加対象を主に小学生とその保護者としていました。この「アリ学入門」は、データの提示方法では、小学校高学年向きにはなりますが、アリに関心のあるお子さんなら、学年に関係なく楽しく学べるように書かれています。是非、親子で設問に答えながら、アリについて一緒に考えてみて下さい。
月別アーカイブ: 2015年11月
2015年度トゲアリの寄生実験の経緯と結果
2015年は8月28日から9月28日までの1ヶ月間にトゲアリの女王アリを合わせて86匹採集しました。9月の上旬に一定期間、林道が復旧工事のため閉鎖されたため、その間、徒歩で1度だけ採集場所に行くということがありました。また、他用に追われ採集に行けない期間もありました。ですから、昨年の111匹、一昨年の144匹と比べると採集した数は少ないのですが、今年はトゲアリの羽アリが飛び立った数が少なかったというわけではありません。
参考1:過去3年間の採集時期と採集個体数
2013年 9月12日〜9月25日 144匹
2014年 9月02日〜9月17日 111匹
2015年 8月28日〜9月28日 86匹
参考2:2015年の採集日と個体数
8月28日 17匹
8月29日 4匹
8月31日 2匹
9月02日 3匹
9月05日 1匹
9月12日 21匹
9月20日 28匹
9月28日 10匹(採集目標10匹に達したため)
〈実験1〉(ムネアカオオアリ)
◦ 宿主の女王アリを冷凍死させる
◦ 2015年採集のムネアカオオアリを宿主として使う
トゲアリの女王アリが宿主のコロニーに侵入後、脚や触角の切断という深手を負うのは、宿主の女王アリとの戦いです。(働きアリが、まだ生きているトゲアリの女王アリの脚や触角を切断することはできないようです。)それなら、あらかじめ宿主の女王アリを取り除いておけばリスクが少なくなるのですが、そうすると女王アリに咬みついて行う「識別成分塗布」はできません。
そこで、昨年思いついたのが、宿主の女王アリを冷凍して殺す方法です。詳しくは、2014年12月2日のブログ「トゲアリの寄生をより成功させるには」をご覧下さい。昨年は、3例試み、3例ともに寄生に成功しましたが、3例しか事例がないため、今年この方法を検証することにしました。
また、その年採集の女王アリのコロニーを宿主にして、比較的高い確率で寄生に成功するようなら、寄生コロニーを比較的容易にまとまった数作ることができるようになります。幸い、今年も今年採集の女王アリのコロニーが一定数残っていましたので、宿主として使うことにしました。
実験の手順
①ムネアカオオアリのコロニーを5分間冷凍室に入れる
②ムネアカオオアリの女王アリを取り出し、更に30分冷凍室に入れる
③死亡したムネアカオオアリの女王アリとトゲアリの女王アリをいっしょにする
④1時間後、両者を元のムネアカオオアリの巣に入れる
宿主とトゲアリの女王アリのS/N
R15020(働きアリ21匹) T150828-01
R15048(働きアリ21匹) T150828-02
R15051(働きアリ19匹) T150828-03
R15079(働きアリ20匹) T150828-04
R15080(働きアリ16匹) T150828-05
9月2日に実験を開始しました。ところが、早速、実験の手順②で躓いてしまいました。30分間冷凍室に入れていたのでは、5個体とも女王アリが仮死状態になっていただけで生きていたのです。そのため、ムネアカオオアリの巣に戻す前に、T150828-01とT150828-02が、ムネアカオオアリの女王アリに殺されてしまいました。その代わりとしては、T150902-01とT150902-02を用意しました。
翌日3日に、ムネアカオオアリの5個体を再び冷凍庫に入れました。今度は1時間にしましたが、それでもR15020とR15051とR15080は生き返りました。ただそのままで実験を継続しました。実験の結果は次のようになりました。
R15020(働きアリ21匹) T150902-01 9月9日死
R15048(働きアリ21匹) T150902-02 9月10日死
R15051(働きアリ19匹) T150828-03 現在も生きている
R15079(働きアリ20匹) T150828-04 9月14日死
R15080(働きアリ16匹) T150828-05 9月5日死
〈実験2〉(クロオオアリ)
9月6日、実験1と同様の方法で実験をしていますが、クロオオアリの女王アリを1〜2時間程度冷凍室に入れ、実験の手順④を3時間にしています。結果は次のようになりました。
B15007 T150828-08 9月14日死
B15009 T150828-09 9月9日死
B15012 T150828-10 9月14日死
B15015 T150828-12 9月8日死
B15027 T150828-13 10月1日〜17日の間に死
〈実験3〉(ムネアカオオアリ)
9月6日、実験2と同様の方法で実験をしていますが、ムネアカオオアリの女王アリを2時間冷凍室に入れています。手順④は同様に3時間です。結果は次のようになりました。
R15002 T150828-14 9月6日蟻酸死 再投入T150829-02 9月14日死
R15006 T150828-15 9月6日蟻酸死 再投入T150902-03 9月19日死
R15007 T150828-16 9月14日死
R15026 T150828-17 9月24日死
R15038 T150829-01 10月25日生きていた
表中、蟻酸死とあるのはこういうことです。冷凍死させたムネアカオオアリの女王アリと一緒にしてから3時間経たない内に、トゲアリの女王アリが死んでしまいました。その原因はその日には分からなかったのですが、ムネアカオオアリの女王アリが冷凍死する時に、蟻酸を出していたようです。その冷凍死したムネアカオオアリの女王アリがいる容器の中に、トゲアリの女王アリを入れたために、トゲアリが死んだ考えられます。
T150829-01が「10月25日生きていた」というのは、こういうことです。この時、働きアリ(ムネアカオオアリ)はわずかに3匹しかいませんでしたので、これからに不安がありました。そこで、11月13日のブログ「コロニー同士の合併 共存 その1」で取り上げているムネアカオオアリの合併コロニーの中に、入れることにしました。もし、うまくいけば、一挙に大家族になります。
合併コロニーですから、コロニーを見分ける識別成分は混在していて、案外すんなりとトゲアリの女王アリが受け入れられるのではないかと考えたのです。しかし、結果は意外なものでした。女王アリは攻撃を受け、死んでしまいました。一緒に入れた3匹の働きアリが受け入れられたかは、確かめられていません。
〈実験4〉(クロオオアリ)
9月12日から実験を始めています。
B15046 T150912-01 当日蟻酸死 T150912-06 9月16日死
B15109 T150912-02 9月16日死
B15124 T150912-03 9月14日死
B15152 T150912-04 9月20日死
B15155 T150912-05 9月19日死
初めクロオオアリの女王アリを2時間冷凍しましたが、B15152とB15155は生き返りました。この2個体は13日に3時間かけて冷凍死させました。
〈実験5〉(ムネアカオオアリ)
9月13日から実験を始めています。(3時間かけて冷凍死させています)
R15035 T150912-07 9月24日死
R15065 T150912-08 9月19日死
R15069 T150912-09 9月24日死
R15090 T150912-10 9月24日死
R15099 T150912-11 9月19日死
〈実験6〉(クロオオアリ・ムネアカオオアリ)
9月14から実験を始めています。この実験では、宿主の女王アリを冷凍死させず、宿主のコロニーの中に直接トゲアリの女王アリを入れました。
B15062 T150912-12 9月16日死
B15067 T150912-13 9月16日死
B15138 T150912-14 9月16日死
R15074 T150912-15 9月16日死
R15084 T150912-16 9月16日死
〈実験7〉(クロオオアリ・ムネアカオオアリ)
9月20日から実験を始めています。この実験は、2015年採集の女王アリのコロニーではなく、また、宿主の女王アリを殺さずに寄生させています。昨年まで多用していた方法によるものです。
R121004(2012/06/14採集 ムネアカオオアリ) T150920-01 9月24日死
NESTCON02010(2013/06/16採集 ムネアカオオアリ) T150920-02 9月24日死
NESTCON01010(2011/06/08採集 クロオオアリ) T150920-03 現在も生きている
ANTCUB03002(2013/06/17採集 クロオオアリ) T150920-04 9月24日死
NESTCON01021(2012/06/14採集 クロオオアリ) T150920-05 現在も生きている
NESTCON01029(2012/06/14採集 ムネアカオオアリ) T150920-06 9月24日死
2015年度のトゲアリの寄生の実験は以上となります。
実験総数 36
クロオオアリへの寄生の実験 16
ムネアカオオアリへの寄生の実験 20
凍死させた女王アリへの寄生
→クロオオアリ 10
→ムネアカオオアリ 12(外数で3は生き返ったまま寄生)
2015年採集の女王アリのコロニーへの寄生
→クロオオアリ 13
→ムネアカオオアリ 17
寄生の成功率
2015年採集の女王アリのコロニーで、凍死させた場合、クロオオアリで0/10、ムネアカオオアリで1/12で、全体としては1/22(4.5%)になりました。
他方、2015年前からのコロニーで、凍死させずに寄生させた場合、クロオオアリで2/3、ムネアカオオアリで0/3で、全体としては2/6(33.3%)になりました。
また、2015年採集の女王アリのコロニーで、凍死させずに寄生させた場合、クロオオアリで0/3、ムネアカオオアリで1/5で、全体としては1/8(12.5%)になりました。
現時点でのトゲアリのコロニー
現時点で、トゲアリが寄生しているコロニーは18あります。年度別の内訳は次の通りです。
2013年寄生開始 5コロニー
2014年寄生開始 10コロニー
2015年寄生開始 3コロニー
以下、それぞれのコロニーについて記録しておきます。
記号の説明
TW:トゲアリの働きアリの数(概数)
BW:宿主のクロオオアリの働きアリの数(概数)
RW:宿主のムネアカオオアリの働きアリの数(概数)
〈〉:宿主の採集年と宿主名(S/N)
〈2013年寄生〉
T130912-04 〈2012年6月14日 SIMSMA01024〉 TW10 BW13
T130913-01 〈2012年6月14日 NESTCON01025〉 TW多数 RW多数 (2015年トゲアリの女王アリ2匹目共存)
T130913-04 〈2012年6月14日 SIMSMA01028〉 TW30 RW1
T130921-09 〈2011年6月08日 NESTCON01030〉 TW20 BW0
T130924-15 〈2011年6月08日 NESTCON01001〉 TW5 BW14
〈2014年寄生〉
T140902-01 〈2011年6月08日 NESTCON01003〉 TW多数 BW4
T140903-01 〈2011年6月08日 NESTCON01005〉 TW10数匹 BW多数
T140906-03 〈2012年6月14日 NESTCON01027〉 TW10匹ちょっと RW9
T140906-04 〈2012年6月14日 SIMSMA01010〉 TW0 RW5 (女王アリ左前脚不自由)
T140906-13 〈2012年6月14日 SIMSMA01023〉 TW0 BW4 (幼生虫無)
T140906-21 〈2013年6月05日 ANTECB02003〉 TW20 RW10 (女王アリ右触角柄節のみ)
T140906-39 〈2012年6月14日 NESTCON01022〉 TW17 BW9
T140906-40 〈2012年6月14日 NESTCON01024〉 TW多数 BW多数
T140908-26 〈2012年6月14日 SIMSMA01079〉 TW0 BW3 (幼生虫無)
T140908-27 〈2012年6月14日 SIMSMA01047〉 TW3 BW4 (幼生虫無)
〈2015年寄生〉
T150828-03 〈2015年5月27日 R15051〉 TW0 RW20 (幼生虫有)
T150920-03 〈2011年6月08日 NESTCON01010〉 TW0 BW多数
T150920-05 〈2012年6月14日 NESTCON01021〉 TW0 BW多数
2015年度 クロオオアリ・ムネアカオオアリの子育て成功率
2015年に採集したクロオオアリとムネアカオオアリの女王アリ(主に5月27日採集)の子育て成功率をまとめてみました。
ここで言う子育て成功率とは、ある決まった定義はないのですが、ある期間までに働きアリが1匹でも誕生したコロニーの割合とします。
飼育環境:
◎ 小型のふた付き透明カップの中にカット綿を敷き、常に湿った状態(結露などで透明カップの側面等が湿る程度)を保ちます。
◎ 糖分等の餌は与えず、水だけを摂取する状態にしておきます。
◎室温での飼育となります。
〈クロオオアリの場合〉
今年は女王アリを合わせて158匹採集しました。この内、29匹は、採集直後または6月の早い時点で譲りましたので、対象外とします。残りの129匹の内、7月31日までに働きアリが1匹でも誕生したコロニーは82、働きアリが誕生しなかったコロニーは47でした。したがって、子育て成功率は、
82匹÷129匹×100 ≒ 63.6%
となります。
7月末日で区切ったのは、巣の創設後ほぼ1か月半で羽化が始まり、7月の終わり頃には働きアリが10匹前後になっているからです。7月末日に働きアリが1匹もいない場合、子育てが順調に行われなかったと考えられます。ちなみに8月末日まで期間を延ばしてみても、クロオオアリの場合、4コロニーのみで初めての働きアリが生まれたに過ぎません。しかも、その働きアリの数も2匹、1匹、1匹、1匹です。
参考までに、この8月末日までの子育て成功率も挙げておきます。
86匹÷129匹×100 ≒ 66.6%
〈ムネアカオオアリの場合〉
今年は女王アリを合わせて100匹採集しました。この内、8匹は、採集直後または6月の早い時点で譲りましたので、対象外とします。残りの92匹の内、7月31日までに働きアリが1匹でも誕生したコロニーは62、働きアリが誕生しなかったコロニーは30でした。したがって、子育て成功率は、
62匹÷92匹×100 ≒ 67.4%
となります。
ムネアカオオアリの場合は、8月末日までに新たに9コロニーで働きアリが生まれましたので、クロオオアリの場合と同様に、8月末日までの子育て成功率も挙げておきます。
71匹÷92匹×100 ≒ 77.2%
(9コロニーの働きアリの数:1匹、2匹、1匹、2匹、3匹、2匹、1匹、2匹、1匹)
女王アリがいないコロニー同士の合併 共存 その2
クロオオアリを対象として、コロニー同士の合併・共存について実験を行いました。
ムネアカオオアリの場合と同様に、主にトゲアリの寄生実験で、寄生に失敗して残された女王アリのいないクロオオアリのコロニー同士を合併します。
9月16日に、まず2つのコロニー(B15046とB15109)を合併し、9月19日には1つのコロニー(B15155)を加え、更に9月20に1つのコロニー(B15152)を加えました。いずれも、喧嘩をすることなく、共存し始めました。
これで、ムネアカオオアリ同士、クロオオアリ同士の場合、コロニーを合併しても共存することが分かりましたので、異種間ではどうなるか実験をすることにしました。
9月24日、この新しくできたクロオオアリの共存コロニーに、ムネアカオオアリの2つのコロニー(R15026とR15035)を加えました。今度は、人工巣の中の地表で激しい騒ぎが起こり、喧嘩があちこちで起こりました。クロオオアリの本巣がある穴の中には、ムネアカオオアリはほぼ入れず、入り込んだ2・3匹はクロオオアリに取り囲まれて殺されてしまいました。こうして、ムネアカオオアリのコロニーとクロオオアリのコロニーは、完全に分離したままになり、ムネアカオオアリは人工巣の中の地表で集団になり、クロオオアリはそれ以前と変わりなく穴の中に留まりました。
やがて、巣の中に通じる出入り口が塞がれました。どちらのアリがしたのかは、観察できていません。
この後、10月9日にクロオオアリの2つのコロニー(B15140とB15154)をフィルムケースの中で合併し、この実験中の人工巣の蓋の穴がある所の上に置き、内部と行き来できるようにしました。このクロオオアリたちは、ほぼ一方的にムネアカオオアリに攻撃され、10月17日には、2匹を残して殺されていました。
10月25日、ムネアカオオアリを入れてほぼ1か月が経ち、クロオオアリが巣穴に閉じ込められている状況なので、このままでは糖分が摂取できず、死んでしまう恐れがありましたので、ムネアカオオアリを取り除くことにしました(このムネアカオオアリは15匹で、実験中のムネアカオオアリの合併巣へ移し入れました)。そして、同日、クロオオアリの1コロニー(B15027)を入れました。このコロニーも共存できたようです。
下の写真は、2015年11月13日現在の様子です。
コロニーデータ(全て2015年5月27日、長野県駒ヶ根市内で採集)
B15046 地点T採集 トゲアリ寄生準備のため女王凍死
B15109 地点T採集 トゲアリ寄生準備のため女王凍死
B15155 地点K採集 トゲアリ寄生準備のため女王凍死
B15152 地点M採集 トゲアリ寄生準備のため女王凍死
B15140 地点M採集 女王自然死
B15154 地点M採集 女王自然死
B15027 地点T採集 トゲアリ寄生準備のため女王凍死
今回の実験では、ムネアカオオアリのコロニーも合併させましたが、クロオオアリ同士の実験のみの条件を精査せずに並べると以下のようになります。
1.コロニー同士を合併
2.いずれのコロニーにも女王アリがいない
3.1年目のコロニー
4.同じ巣から飛び立った女王アリのコロニーでないコロニーを含む
5.クロオオアリの場合
女王アリがいないコロニー同士の合併 共存 その1
働きアリが別のコロニーに入り込むと殺されてしまいます。アリのコロニー間では、共存は難しいように思えます。
ところが、ある知り合いの方が、アリのコロニー同士を共存させる研究をされていることを知りました。特別に考案された方法で、共存に成功されたようです。
これが動機となって、私も研究してみることにしました。トゲアリの寄生実験では、ムネアカオオアリの女王アリを冷凍死させ、トゲアリの女王アリを入れるのですが、トゲアリの女王アリが殺されて、働きアリと幼生虫だけが残ったコロニーが複数個ありました。これらのコロニーは、いずれも今年(2015年)採集した新女王アリのコロニーです。
研究に当たり、まず、素の状態、つまり何も特別な処理をせずに合併することを考えました。その結果と以後の実験を対照して考察するためです。
9月19日、初めに2つのコロニー(個体識別番号R15006とR15065)をそのままできるだけ自然に合併することにしました。小型の透明カップで飼育していましたので、2つのカップともに蓋を開け、一方を逆さにして他方に被せました。一部幼虫等が下のカップの中に落ちたようですが、しばらくは逆さになったカップの中にその巣の働きアリはとどまっていました。意外にも喧嘩は起こっていない様子で、しばらくして見ると、働きアリの多くが下のカップの中に移動していました。そこで、同日さらにコロニー(R15099)を合併することにしました。先の2コロニーの中に1コロニーを加えるには、働きアリが飛び出すリスクを考え、3コロニーともに短時間(5分間)冷凍室に入れ、仮死状態にしてから合併しました。
9月24日、とても安定して共存できているようでしたので、更に2コロニー(R15069とR15090)を冷凍して仮死状態にしてから入れました。既存の働きアリたちは、まだ新たな入居者が眠りから覚めない内から、幼生虫を受け入れて集めていました。眠りから覚めていく働きアリとの間に喧嘩は起こりませんでした。
こうして、女王アリはいませんが、大きなコロニーが形成され、初めから一つのコロニーであったかのように暮らし始めました。下の写真は10月17日の様子です。
その後、10月25日にR15026とR15035の15匹とR15038の3匹を加えました。
下の写真は2015年11月13日現在の写真です。
以上で、5つのコロニーと10月25日に加えた3つのコロニーの合わせて8つのコロニーを合併したことになります。これらのコロニーの女王アリは、5月27日に長野県駒ヶ根市内で採集しています。その内、前半の5つのコロニーの女王アリは、R15006のみ早朝で、残りの4コロニーは午後4時以降に採集しました。また、後半の3つのコロニーの女王アリは、午前中に別の場所で採集しています。
今回の実験の条件を精査せずに並べると以下のようになります。
1.コロニー同士を合併
2.いずれのコロニーにも女王アリがいない
3.1年目のコロニー
4.同じ巣から飛び立った女王アリのコロニーでないコロニーを含む
5.ムネアカオオアリの場合
クロオオアリの場合も並行して実験を進めていました。「コロニー同士の合併 共存 その2」も併せてをご覧下さい。
「片翅を付けたままの」女王アリ のその後
今年(2015年)の6月2日のブログ「片翅を付けたままの産卵」で触れた今年採集のムネアカオオアリの女王アリの子育ては、順調に進みました。今も右側の翅が付いたままですが、働きアリが20匹以上で、幼虫もいます。特別なケースですが、問題はないようです。
人工巣 大小アンテシェルフを開発
クロオオアリ、ムネアカオオアリ、トゲアリ等の大型のアリ用に製作していた「アンテシェルフ」の後継機種として、この度「アンテシェルフ(新型)」と「リトルアンテシェルフ」の大小2種の人工巣を開発致しました。
詳しくはこちらをご覧下さい。